「……厄介な機体ですね」
僕、藤原総士は春秋が使う専用機を見て内心冷や汗を掻いていた。個人的に彼の戦闘スタイルは昨日のうちに知ってはいたものの、まさかあそこまでスタイル特化した機体を特典にしてくるとは思っても見なかった。何より、
(僕の機体と相性が悪い……)
スペリオルガンダム……コアなガンダムマニアなら知らぬものは殆どいないが、その理由は機体の異質さにある。人工知能『ALICE』を搭載し、尚且つ武器は高火力な遠距離重視、さらにはその発展型が持つIフィールドを展開できるリフレクターインコム、射程距離内なら死角など全く無いとも言える絶対防衛範囲、故にこう呼ぶものまでいる。
『ある意味で
スタジアム内
「スペリオルガンダム……まさかとは思ってはいたが、そんなのを持ち出すとはな」
俺は春秋のことを見ながら、内心冷や汗を掻いていた。
「まぁな。俺が一番好きな機体っていうのもあるが、何より、
「……あぁ、ほんと、その通りだよ!!」
アンチ……その意味はガンダムという作品を知っていればすぐに分かることだ。試しに俺はライフルショーティーで弾丸を一発放ってみるが、それは大腿部……人間で言う膝の辺りから現れたインコムによって別方向へ弾き飛ばされた。
「やっぱり、特典に既にリフレクターインコムを搭載させていたか」
「当然、操作は少し難しいけど、上手く使えば
俺はその言葉にいよいよ冷や汗が頬を伝い始めた。奴の言うアンチによって、俺の打てる手が半分近く減ったからだ。
仕方なくショーティーをしまい、俺はフラガラッハを抜いて、さらにバックパックをガンバレルに変化させる。いや、そうでなければ勝ち目が少ないからだ。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!いけ!!ガンバレル!!」
「いけ!!インコム!!」
戦いの第二の火蓋が切って下ろされる。しかしそれは、俺がピンチという状況を物語っていた。
観客席(side一夏)
「春秋……あいつすげぇよ」
俺は弟とクロトの戦いを見て素直にそう思った。見た感じ重武装な春秋の機体が、機動性が高いクロトと互角に張り合ってる。けど、
「クロトのやつ、どうしてビームを射たないんだ?」
そう、春秋が一次移行してから、クロトは射撃武器を全く使ってない。機動性を生かした接近戦、しかもブレード二本だけで戦っている。
「……一夏、おそらくあれは射たないんじゃない、射てないんだ」
「射てない?」
と、隣にいる箒は冷静に分析してそう言った。
「クロトは先程ビームを一発射っただろ?」
「あ、あぁ、けど春秋の機体の武器で跳ね返されたけど……」
「恐らくだが、あれはビームを跳ね返すんじゃなく弾く事ができる武器だ」
その言葉に俺は頭に?を浮かべる。
「それって同じなんじゃ」
「馬鹿者、似てるようで違うんだ、弾くということは自分が射ったビームさえ弾いて、別方向から当てることができる。恐らく、クロトはそれを警戒してるんだ」
「?」
「……はぁ、つまり、今の春秋に対してビーム射撃は殆ど効かないうえに、逆に利用される危険性もあるということだ」
そこまで言われて漸く分かった。その話が本当なら、クロトの武器は大半が使えないことになる。
見た感じ、クロトの武器はビームライフルや重火力ビームを主体とした中・遠距離が多い、しかしそれが効かないとなれば自ずと実弾、ないし近接戦闘に持ち込まなければいけなくなる。
「……あれ?でもクロトの武器にミサイルもあったよな?それに実弾のアサルトライフルだって……」
「ミサイルは恐らく一次移行前のあれで殆ど使いきったのだろう。それにクロトはそれでかなりバカスカ射っていた、残りのエネルギーも少ない状況で、少なからずエネルギーを使う射撃武器は使えないんだ」
「そっか……でも凄いな箒、そんなことすぐに分かるなんて」
俺が素直に褒めると、箒は頬を紅くして俯く。
「ま、まぁな。知り合いに似たようなスタイルの人が昔住んでた所に居たからな」
「へぇ~」
俺は軽く納得すると再びスタジアムを見る。戦況はかなり動いていて、今、春秋がクロトの機体を蹴り飛ばした。
スタジアム
「ハァ……ハァ……ホントに厄介極まりねぇなおい」
互いにSEは100前後、しかし春秋の方はビームをまだまだ使えるほどエネルギーが残ってるはず、対して俺はミサイルは底をつき、エネルギーすら殆ど限界に近い、もうビーム砲はワンチャンスあるかないかだろう。
「へ、こっちはさっきまでドカスカ射ってくれた仕返しができて嬉しいくらいだ」
「言ってろ、最後には俺が勝つ」
「やれるもんなら……な!!」
春秋はそう言ってビームサーベルで斬りかかってくる。
「大体、俺はお前が気にくわない!!」
と、突然プライベート通信を春秋は俺に掛けてくる。
「はぁ?なんでだよ」
「俺はシャルロットが一番好きだからだよ!!」
「知るかだぁほ!!」
あまりにも理不尽な理由に俺は少しだけキレた。
「俺が好きだったシャルロットの兄で、幼い頃から一緒だったとか、マジでモゲロ!!」
「るせぇ!!俺だって好きでこうなったわけじゃねぇよ!!」
「んだと!!あの可愛いシャル様と一緒に入れて嬉しくないとかふざけるな!!」
「俺は簪&本音だからな!!」
「片方お前の恋人じゃねぇか!!ガチでふざけんなマジモゲロ!!」
……こうまで白熱した試合で観客は盛り上がってるが、当の俺たちはしょうもない理由でキレあってた。記録に残んなきゃ良いけど……。
「つうかお前を義兄さんとか呼ばなきゃいけないとかガチでふざけんな!!」
「誰が義兄さんだ!!俺の目の黒いうちはシャルロットは渡さん!!シャルロットが許してもやらん!!」
「横暴だなおい!!」
うん、もうキレた。俺は一回距離をとり、ノワールに一瞬で換装してブレードをアンカーに取り付けぶん投げる。当然、アイツはそれを一本目は避けるが二本目はタイミングが悪くビームサーベルの柄に当たって落としてしまう。
さらに俺は一本目のアンカーからブレードを遠隔パージし、アイツの機体にフックを引っ掻ける。そしてライフルショーティーを抜いてレギルスと戦うダークハウンド宜しく、回転しながら撃ち込んできたワイヤーを絡ませる。
「うぉぉぉぉぉ!!」
そして最後は奴の顔面に拳を叩き込む。その瞬間、春秋の機体SEが全損したらしく、試合終了のアラートが鳴った。