IS 月は出ているか?   作:ドロイデン

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Episode45 セシリアvs一夏 後編

 私の世界観が変わったのは、あのテロの事件の日でした。

 

 それまでの私は、亡き父様と母様が残した会社や家を守るために、他人を省みず、それだけの為に生きてきました。

 

 ISのパイロットになったのも、政府の方がそうすれば遺産の保護をするという契約のもと、そのために私はなお一層に努力をし、それゆえに自分自身を見失いかけていました。あの日までは――

 

 

 

 対戦相手……一夏さんの機体がやって来てまず思ったのは、その異常性でした。

 

 白く塗られたフレームに、まるで円盤のような非固定ユニット、頭部には金色のV型のアンテナという、そこまで見ればクロトさん達の機体と然程変わりませんでしたが、その機体から発せられる……雰囲気というか……そう言ったものが別のものに感じられました。

 

「待たせちまったな!!」

 

「全くですわ……淑女(レディー)を待たせるなんて、紳士(ジェントル)にあるまじきです」

 

 軽口を言うが、内心私はいつ射っても言いようにライフルを自然な形に構える。

 

 一夏さんもそれに気付いたのか、腰に装備された……恐らく片手斧(シングルエッジアックス)のようなものを構える。

 

「……」

 

「…………」

 

 互いに沈黙が流れ、管制からスタートの合図が鳴り響いた。

 

「!!」

 

 先手を取ったのは一夏さん、手に持っていた斧を下段に構えて寄ってくる……が、あまりにも

 

「直線的過ぎですわ!!」

 

 持っていたライフルのレーザーで迎撃する。一夏さんはそれを斧の腹でガードしながら、それでも近付いてくる。どうやら対レーザー加工がされてるようでした。

 

「でしたら……ティアーズ!!」

 

 私は背面の四基を飛ばして、さらに火線を増やす。が、その瞬間に驚きの光景を目にしました。

 

「白獣!!モード‘ビースト’」

 

 その言葉と共に一夏さんの機体が……文字通り()に為りました。フレームが一部紅い色と共に展開し、まるで狼のような姿へと変貌してレーザーを紙一重で避けていきます。

 

「そんな!!」

 

 さらに移動も狼らしく四足歩行でいながら、空中を踏み鳴らすかのように飛んで来ます。

 

「ぐ!!ティアーズ!!」

 

 私はライフルを射ちながらティアーズを動かして牽制を仕掛けます。最初の頃は中々出来ませんでしたが、今なら余裕で出来るこの芸当には流石に不味いと判断したのか、一夏さんは機体を人形へ戻して距離を離して斧の柄頭からレーザーを放って迎撃してきます。

 

「くそ……やっぱり遠距離とは相性が悪すぎだろ……」

 

「ティアーズの火線を避けておきながら良く言いますわ!!」

 

 というよりも一夏さん自体が射撃がそこまでなのか、サブマシンガン程度の連射でも掠りもしません……というより、どうやったら斧に銃口なんて組み込めるんですの?

 

「だったら……白獣、モード‘アイズ’!!」

 

 その言葉と共に、今度は非固定ユニットが禍々しい水色をベースにしたカラーの光と共に翼のように展開され、フレームも同じカラーの装甲が現れる。

 

「そんな小手先の技で!!」

 

 私はただ機体が変形しただけと思ってティアーズを含めてレーザー攻撃を仕掛ける。狙いは抜群、一夏さんは動いてすらいない、当然直撃する。

 

 しかし、一夏さんの機体はダメージを受けるどころか、寧ろS()E()()()()()()()()()()

 

「な!!なんですの!?その機体は!!」

 

「――白獣ってのは、こいつの本当の正式名称じゃない」

 

 私の言葉に、一夏さんは語るようにそう言った。

 

「こいつは状況に応じて四つの形態へ変化することで、どんな相手とでも互角に渡り合う為に産み出された」

 

「四つの……形態変化!?」

 

 つまり、あの『ビースト』と『アイズ』……そして通常形態の三つの他にあと一つ変形するというんですの!?

 

「ビーストは文字通り、機体を人から獣へと変形することで攻撃の予知及び地上戦闘で優位に立つ。アイズは非物質要素……レーザーやエネルギー攻撃を吸収し、それを自分の力へと変換する」

 

「っ!!だから……」

 

 その言葉で漸く、当たるはずの攻撃を一瞬にして避けたり、SEを回復するという不可思議な現象に納得が言った。

 

「だから本来の名前は……四つの獣が敵を(敗北)へと呼ぶことから……『死獣』、そう呼ばれた」

 

 死獣……まさしくその能力に相応しいとは思いますが、それ以上に不可解すぎる機体でした。ですが、

 

「ならミサイルで!!」

 

 それでも対処のしようはあります!!レーザー等のエネルギーがダメなら、物質で攻めるだけ!!ライフルもしまい、拡張領域にしまっていたコンバットナイフ……インターセプターで攻める!!

 

「――セシリア、俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 そう言った瞬間、妙な悪寒を感じて慌てて下がりました。次の瞬間、私が今さっきいた場所で突然爆発が起こりました。

 

 何事かと思いましたが、すぐにその正体は分かりました。何故ならそれは、()()()()()()()()()なのだから。

 

「そんな!?なぜミサイルが私を狙って!!」

 

「……死獣の最後の姿……モード‘デストロイ’の能力だ」

 

 その声と共に一夏さんの方を見ると、その姿に息を呑みました。『アイズ』の時みたいに装甲が開かれてはいましたが、その色は揺れるような真紅……さらに非固定ユニットもまるで炎のように紅く染まっていました。

 

「‘デストロイ’は、遠隔操作されているもの全てを、自分の支配下へと乗っ取る力を持ってる」

 

「遠隔操作されているものの乗っ取りですって!?」

 

 それが本当ならば私にとっては最悪ですわ。何故なら

 

「お前が放ったミサイルも遠隔操作されているもの……ならば乗っ取る事は可能だし、何より、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その通りです。私のIS『ブルー・ティアーズ』は第三世代遠距離用機体として、脳波遠隔操作兵装『ティアーズ』を有していて、何よりそれを中心とした戦術をプランニングされています。

 

 ですが、逆に『ティアーズ』を全て落とされたり、または今回のように操作系統を奪われてしまったら、それこそレーザーライフルを持っただけの第一世代機体までグレードダウンしてしまいます。

 

 そうなれば一瞬にして殺られるのは受け合い……非常にピンチです。

 

「だから……ウグ!?」

 

 一夏さんが何かを言おうとした次の瞬間、一夏さんが突然左手で頭を押さえ始めました。

 

「い、一夏さん?」

 

「ハァ……ハァ……セシリア!!すぐにここから……離れろ!!」

 

「そんなことを言われましても!!と、とにかく一夏さん!!ISを解除してくださ……ッ!!」

 

 私がそう言おうとした瞬間、私に向かって一夏さんが銃を射ってきました。しかも先程までのマシンガンではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でした。もし一瞬避けるのが遅ければ、競技用リミッターが掛けられてるとはいえ死んでいたかもしれません。

 

「いち……!!」

 

 再び声を掛けようとしましたが、私はそこで口を閉ざしてしまいます。何故なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには真紅ではなく、深紅の装甲を持った堕天使がそこにいたのですから。




オマケ二十六 観客席では(序盤)

春秋「なぁ、ここでどっちが勝つか賭けしようぜ?負けたやつ全員が勝った奴全員に賭けたやつ奢るってことで。ちなみに俺は一夏兄さんに上天丼(¥700)」

クロト「セシリアに穴子御膳(¥950)」

シャル「セシリアにチーズオムライス(¥800)」

総士「セシリアに鰻重上(¥1250)」

簪「セシリアに……刺身定食(¥700)」

本音「セシリアに特上お茶漬けセット(¥900)」

マドカ「い、一兄さんにジャンボパフェ(¥890)」

春秋「もう少し一夏兄さんに票を入れろよ!!」

 織斑一夏、やはり実力が下に見られてしまうのはしょうがなかったらしい
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