「おいおいおい……チート過ぎだろうが一夏の野郎!!」
俺は思わずそう言いながら席を立ってカタパルトのある場所へと走り出す。
「一夏のやつ……中の人ネタが多すぎです」
「そりゃ同感……つか、あれが一夏兄さんの人格なのかすら分かりませんけど」
後では同じく走ってる総士と春秋がそう言っている。何せあのモード変換機構……どう見ても中の人の演じている別キャラの性質に酷似しているのだ。
恐らくはビーストはアクエリオンEVOLのカグラの『ミスラ・グニス』、アイズは遊戯王のカイトのエースの『銀河眼の光子龍』、そしてデストロイは言わずもがな……
「どこがユニコーンじゃないだよ春秋!!もろ踏襲してんじゃねぇか!!」
「仕方ないだろ!!俺だってあんな能力なんて寝耳に水なんだよ!!」
「いい争いしてる場合か!!それよりも織斑千冬との連絡は!?」
喧々囂々に言い合うが、三人とも悠長には構えてはいない。何せいまの状況は文字通りデストロイ……危険真っ只中だ。
何せ一夏の機体が極端に紅くなった途端、まるで別人のようにセシリアへ攻撃し始めたのだ。ティアーズを使えない状況で、セシリアはインターセプターというナイフ一本で戦うしかなく、状況は最悪に近い。
「というより、俺ら三人でアレを止められると思うか?」
「さぁな?良くて五分五分だろ」
実際のところ、まともに相手できるのは恐らく実弾を使える俺ぐらいだろう。ビームは恐らく吸収されるから、ビーム砲もインコムも役に立たないだろうし、かくいう俺も有線とはいえ、遠隔操作のガンバレルが使えないから、ヴェルデ装備で何とかするしかない
「というより、なんでシャルロットを呼ばなかったんだ?」
と、春秋が聞いてくるが、理由を知ってる俺と総士は溜め息を付きたくなってくる。
「お前もシャルのISと戦ってるなら分かってるだろ?」
「シャルロットのIS?……確かに原作とは180度以上に変わってたけど……それが?」
「春秋、あの機体のベースはね……ベルフェゴールなんだよ」
総士のその言葉に春秋は言葉を失い、マジ?、と聞き返してきた。まさかの気づいてすらいなかったようだ。
「マジもマジ、大真面目だよ」
「いやいやいや!!ちょっと待てって!!え、ベルフェゴールってアレだろ?ガンダムX外伝の!?SDガンダムの!?」
「そのベルフェゴールだ」
そう言うと、マジかぁ……と、遠い目をしていた。
「まぁ……確かにそれなら今の一夏と戦わせるのは無理だわな……」
……さて、読者の方々覚えているだろうか?ガンダムベルフェゴールがどんな存在なのか。覚えている人は少しばかり退屈になるかもしれないが復習の時間とさせてもらおう。
ガンダムベルフェゴール……それはガンダムXの世界において、『アシュタロン』と『ヴァサーゴ』の元になった機体だ。『アシュタロン』のようなクローアームを搭載し、『ヴァサーゴ』のように『メガソニック砲』を搭載している。単純な火力だけなら、『ヴァサーゴCS』にも引けを取らないだろう。
そして製造目的……これが重要なのだが、ガンダムベルフェゴールは『
『ニュータイプキラー』、それが意味するのは文字通り、ニュータイプを殺すための機体ということになる。そしてユニコーンにも、本来の意味とは違うが、同じようにニュータイプ殲滅用システム『ニュータイプ・デストロイヤー・システム』……通称『NT-D』というものが存在している。
さて、仮に一夏の機体が現在、その『NT-D』によって暴走しているのだとしよう。その状態で、ニュータイプキラーのベルフェゴールをベースにしているシャルロットと、今の一夏を戦わせた場合どうなるか?
答えは地獄絵図、互いに暴走しあい、互いが壊れるまで戦い続ける事になってしまい、最悪、二人とも死ぬ可能性がある。
さらに言うと、その戦闘の余波で他の生徒が怪我をする危険性がある。そうなれば一夏は少年院……いや、女権の手によって人体実験のモルモットにされかねない。それだけは防がなければならない。
「そういうわけだから、さっさと行くぞ」
「分かったよ!!だが、勝算は?はっきり言ってあの状態の一夏を大人しくさせる手段なんてねぇぞ?」
「そこは、傭兵部隊のリーダーに任せるさ、な?総士?」
「それは別に構いませんけど、とりあえず前提条件としてトリモチ弾は装備ですよ?」
セシリア視点
「この!!」
インターセプターを目の前の目標へと切りつける。が、暴走してる彼はそれをいとも簡単に避けたうえに、私のお腹に蹴りを容れてきました。
「カハッ!!」
あまりの威力に、絶対防御の上からなのにかなりのノックバックが発生して、呼吸が一瞬できなくなり、そこを一夏さん(?)は畳み掛けるように手持ちのアックスで切りつけてきます。
が、それを何とかインターセプターでガードしますが、圧倒的なパワー差と筋力的な差でそれを弾き飛ばされてしまい、首を掴まれ、今度は斧の柄頭を頭に殴り付けてきます。それによって額から血が流れて、正直頭がぼうっとし始めました。
「い……ちか……さん……」
正気に……と言うことすらできず、私は意識を失いかけたところを、彼は叩きつけるかのようにお腹を蹴り飛ばしました。
土煙から現れた私はISを強制解除され、ISスーツの至るところが破けとんで……正直他人からしたら見るに耐えない姿でした。
「はぁ…………はぁ…………カハッ!!」
息絶え絶えに立ち上がろうとした途端に、口から大量の血が吹き出てしまいます……。正直、口の中の味なんか考えてられないほど、今の自分はダメージが大きすぎました。
(やっぱり……一夏さんは強いですわね……)
私はそんなふうに言いながら、フラフラと、まるで亡霊のように立ち上がる。
なぜ立ち上がるのか、と聞かれれば私はこう答えるだろう……
本来ISの暴走はシステムに組み込まれているか、そうなるように他人がハッキングするかの二択しか存在しない。確かに一夏さんは旗から見れば暴走しているようにしか見えませんが、実際は真逆、彼は寧ろ精神的には冷静なはずです。
ならなぜか、それは
両親が事故で無くなったあと、私はひたすらに家を守ることだけを目的として生きていました。他人なんかどうでもいい、家を、両親が残したものを守るためなら他人なんて、そういう生き方をしていました。
ですがあの襲撃事件の時以来、私の中にある感情が生まれました。
――私は、なんのために生きているのか、と
実際、私がいくら頑張っても、ISを動かしても、ほとんど何も変わらない、進んでいるのか、後退しているのか、全然分からない日々に、私はある種の諦めを持ちました。
――私が存在する意味がないのだ、と
事実、イギリス政府は保護と言う名目でオルコット家から資産を取り上げ、それを時刻の女性政治家が横領する。毎年のように資産は少しずつ消え始め、五年間で私が継いだ時の八割にまで資産が消えていました。
ISに関しても、ただBT適正が他よりも高かっただけ、そうでないならすぐにでも使い捨ての扱いを受けてた可能性だってある。そう考えると、私の存在意味なんてはなから無かったと考えた方が気が楽でした。
それでも、やはりオルコット家の当主として、イギリスの代表候補生として勝手をすることはできない。だからこそ、私は彼に
当然ながら彼は猛反発し、たった数日程度の付き合いである私の事を心配しました。でも、私の事を話して、何を思ったのか彼は件を了承してくれました。
理由は聞きませんでした。それを聞けば、私に意味ができてしまうから……存在しなくてはいけない責任が出てしまうから……そんな気がしてなら無かったのです
そして、彼は手元の大斧をブレード……ビームサーベルのように展開しました。
(あぁ、お母様……お父様……セシリアも今…………そちらに……)
私の心の中の遺言を聞いたのか、一夏さんはその剣を私に向かって振り下ろしました。
セシリアがどうなったのかは次回!!というわけでオマケは無しです!!