「…………はぁ」
鈴と別れてすぐ、俺は寮に戻ってベットに倒れ混むと物思いに耽っていた。
別段、彼女の事を憐れだと思ったとかそういうことじゃない。それは彼女の存在理由の冒涜だし、何よりもある意味彼女らしいとは思うからだ。
「けど……な……」
それでも考え込んでしまうのは、俺自身がまだまだ未熟なのか、それとも単なるお人好しなのか……
「お、いたいた!!クロト!!」
「ん?」
と、慌てた様子でやって来たのは同室の友人である総士だ。
「なんだよいきなり」
「いきなりじゃねぇって、一夏のクラス代表パーティそろそろ始まるぞ?」
「いや、俺三組だし、それに人多いの苦手だから別に行かなくても……」
「番外編でノリノリに仮装してた奴が人多いの苦手とか嘘だろ。それとそういう空気壊す発言はダメだからな~」
と、まるで引きずるように襟首を掴まれドナドナされる。とりあえずお願いだから気管が塞がるからやめてくれ~!!
「「「織斑君!!クラス代表決定おめでとう!!」」」
「えっと……ありがとう……ございます?」
「なんで疑問系なんだよ一夏兄さん……」
途中普通に歩いて、会場である一年生寮食堂に到着した俺が見たのは、たった数時間足らずで普通にパーティーらしい雰囲気満面だった。
「クロト兄遅いよ~」
「そうかよシャル、つか普通に他クラスの連中多いな……」
見た限り、俺や春秋といった三組の生徒や、総士に簪といった別クラスの代表まで、各々勢揃いという感じになっている。
「まぁパーティーは楽しんだもの勝ちって言うしね。あ、これクロト兄のドリンクだよ」
「そうかい、……ところでこのジュースなんかヤバイものとか入ってたりするのか?」
「なんでさ!!そんなことしないから!?」
シャルは不満そうに言ってるが、我が妹はかなり質の悪いヤンデレ系ブラコンだからな。前にスポーツドリンクに媚薬なんてもん入れてきたから、後の処理が大変なことになった(最も、それを渡したのがやっぱりウサギだったから、後日減給+腕ひしぎ逆十字を食らわせた)
「ホントに大丈夫だから!!普通に市販のジュースをそのまま紙コップに注いだだけだから」
「…………とりあえず今回は信用しようか。それで、セシリアは……まだ病室か?」
俺がそう聞くと、シャルは苦笑いを浮かべる。
「うん。怪我は元よりなんだけど、この間のがセシリアの自作自演だったから織斑先生達に怒られてね、今ごろは病室で反省文でも書いてるんじゃないかな?」
「そうかよ……あとでお菓子でも持ってお見舞いにでも行ってこい」
「そういうのはクロト兄が行ってきてね。知ってるよ、セシリアのお見舞い、行ってないんだってこと」
ジト目で睨んでくる妹に、俺はため息混じりに頭を引っ掻く。
「お見舞いつってもまだ一日しか経ってないからな、それに今日はちょっと色々あったしで無理だったし……」
「色々って、まさかまた無茶とかしようってのじゃ無いよね?」
「それはない。今回に限っては全くない」
寧ろ今回の件は一夏が解決するべき事だ。部外者で良く知らない人間が関わるには重たすぎるし辛すぎる。
「それなら良いけどさ……クロト兄ってどこかうちのウサギさんと同じで突拍子もないことするからね」
「余計なお世話だっつうの」
軽くデコピンを食らわせて俺は隅っこの方に向かう。個人的に騒がしいのは好きじゃないし、できるなら原作キャラとブッキングしたくない…………もう手遅れだが。
「あ、クロトくんだよね!!私、二年生で新聞部の黛薫子っていうんだけど、少し取材しても良いかな?」
「……別に構いませんけど」
はい、やっぱり捕まったよね。原作キャラ……一夏達と近づけばこうなることは明白なのに……
「じゃあ一つ目!!フリーデン社のテストパイロットらしいけど、やっぱりフランスでも女性主義の人が多いのかな?」
「……珍しい質問をしますね。まぁ確かにうちは合併前のデュノア社だった人員が半数ぐらいいますから、国中にはそういったカテゴリーの女性達も居ますけど、うちはそういった偏見を持つ人間はシャットアウト……雇わないスタイルなんで男女間の摩擦は少ないですよ」
「へぇ~。世界シェア第二位の会社にしては意外だね」
「意外というか、そもそもIS自体女性だけじゃ造れない事を分かってるんで、武器や機体の企画を俺達男や技術者が綿密に造って、それを実際に動かして調整、意見をするのがテスターの女性達ってしてるだけです。実際俺も実家で技術者としても採用してもらってるんで、そういった現場は良く見てましたから」
実際に動かす女性テストパイロット達の意見は技術者面々にはかなり有益だし、女性陣もその意見をすぐに解釈したうえで改良する技術者を見習ってる部分もあるからか、テストパイロットの中には造る側に転向する人も少なくないと聞いたことがあるくらいだしな。
「じゃあ二つ目、とある女子生徒からクロト君って彼女が居るって聞いたんだけど?マジ?」
「マジですよ……別に言いふらすもんでも無いんで自分からは言わないですけど」
俺が無難にそういうと、パーティ会場に静けさが舞い降りた。……え?俺なんか不味いこといった?と思った次の瞬間
「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」
「「☆*○◎〓%£△□!?」」
いつ以来かのソニックウェーブが俺と黛先輩の鼓膜をつんざいた。ていうかうるせぇよ!!
「だ、大丈夫っすか?先輩?」
「う、うん……いや~耳栓の上から鼓膜震わせるほどとはね(汗)」
「いつの間に……」
そう思って見てみると、彼女の耳には10円玉が挟まっていて、即席の耳栓が完成していた。
「なんで10円玉?」
「ほら、耳の穴の近くって溝みたいになってるから、10円硬貨が一番大きすぎず小さすぎず、何より普段から持ち歩けるから、なにげにこう言うときに重宝するのよ?」
「さいですか……」
どうでもいい豆知識みたいなのを教えてもらうが、多分実践する日は来ないだろうな、うん。
「じゃあ最後にもう一つだけ、クロト君の意気込みというか、目標を教えてくれないかな?」
「そうですね……個人的には平和に過ごしたいというのが切実な願いですね」
「平和にって……まるで年寄りみたいね」
「ここ最近、何かとテロだったり誘拐だったりと物騒な事件にフランスで巻き込まれてきたんで」
思い返すと原作の白騎士事件の手伝いをしたら
「い、色々と大変なのね」
「同情するなら平穏をくれだよ、全く」
「そっか、じゃあ織斑兄弟や他の代表候補生も集まってるみたいだし、専用機持ちで写真とろうか」
集合写真ね……まぁ別に構わないけどさ。
というわけで俺は簪の隣に左隣に立つと、右側から本音も現れて、その、右腕に抱きついてきたんだよ……。
「あの~本音さん、これはいったい?」
「う~ん、虫除けかな?」
「…………深くは聞かないでおくか」
そんな会話をしてるうちに先輩のシャッターが押される。それに便乗して女子生徒の一部が横だったりに乱入してきたのは別の話である。
オマケ三十 好きなキャラ
総士「なぁ、二人ってガンダムのキャラで誰が好きなんだ?」
春秋「唐突だなおい……う~ん、俺はグラハムさんかな」
総クロ「「あぁ、乙女座ホモね」」
春秋「いやホモじゃないから!!ホモじゃないし……ホモじゃないよな?」
クロト「いやなんで疑問系?……そういう総士は?」
総士「俺はマリーダさんだな。あの人に一回でいいから優しく抱き締めてもらいたい」
春クロ「「あー、抱き締められてから拡散ビーム射たれるのね分かります」」
総士「それはエクバのクシャトリヤの派生だろうが!?確かに抱き締めコンなんて呼ばれるけど違うからな!!それでクロトは?」
クロト「う~ん、強いてあげるなら……サイかな?」
総春「「………………誰?」」
クロト「酷くね!?」
クロト、好きなキャラを覚えられてなくて、かなりショックを受けたらしい。ちなみに作者の好きなキャラはキャプテン・アッシュである(ドウデモイイ