それはとある放課後のことだった。
「そういや春秋、お前代表戦勝てんのか?」
男四人で『IS/EXVS』……転生前にあったガンダムゲームに似た奴……をしながら唐突に聞いた俺に春秋はギクリとしながら固まっている。ちなみに今は俺と春秋でのシングルマッチで、俺が使ってるのはつい最近アプデで追加された妹のシャルの『イノベイク・C2(コスト3000)』だ。
「一応お前、このクラスの代表だろ?けど、最近お前が機体の練習をしてるところを全然見てないんだが?……っとマシンガン怖!!」
「えっと……今は狙撃の反射練習をしてて……ゲロビウゼェなオイ!!」
春秋は代表候補生時代の山田先生の『リヴァイブ・カスタム』で、コストは2500の癖に実弾の段幕が地味にウザイからおまいうなんだけどな。
「それってインコムのだろ?んなもんシステムアシストで何とかなるだろ……いけ、クロービット!!」
「システムアシストだけだと機械的だから読まれやすいんだよ。だからそれに頼らないようにしないと……グレネード食らえや!!」
「けど狙撃もセシリアから教えてもらってるんだろ?だったら勝てよ……っと体力黄色だからリミッター解除な」
「マジか!!半覚貯まってるのに常時リミッター解除とかチートやめい!!」
ふふふ、世の中チートばかりなんだから、これぐらい勝てなきゃ荒波は超えられないぞ!!
「なんか内心でムカつくこと言われたような……と、受け覚貯まった!!と、ついでにファイア!!」
「おま!?射程範囲極大の覚醒技のクアファラをブッパかよ!?しかも近くだからまともに食らってるし!?」
「当たれば良かろうなのだ!!よし、漸く一機落とした!!」
「よーし怒ったぞ、もう覚醒尽きたよな?ついでにこっちはフル覚貯まってるしねっぷねぷにしてやんよ!?」
「それ違う!!使い方は間違ってないけどなんか違う!!ってすぐに落ちた!?」
「よし、リミッター解除のゲージ貯まったから……一気に行こうか?」
「ちょ、
「そして覚醒技の締めは……」エイ!!パッキン!!
「うわぁ!!クローに捕まって真っ二つにされた!?」
「よし、俺の勝ちだ!?」
さすが第三世代というだけの性能をゲームでも遺憾なく発揮したシャルのポーズは、何故か機体に着いた血を嘗めるような恐ろしいものだったが、実際に見たことのある仕草なためそこまで驚くことはない。
「これでクロトの二連勝だな」
「ドンマイ春秋」
「くそぉ……どうして一夏兄さんやクロトさんの機体はアプデされてるのに……自分の機体ならまだ……」
春秋が悔しそうに呟く。というのも一夏と俺の『イノベイク』は2500でシャルと一緒にゲームに登場しており、一夏のは機体変形で能力が変わる玄人向けに、俺のも装備変更はあるものの、どれも射撃よりの中堅レベルとなっている。
さらに言うとシャルのはまだアプデから二週間と経ってないのに、既にSランク機体にまで上り詰めているのだから機体性能は馬鹿にできない。余談だが千冬さんの暮桜もコスト3000のSランク機体なのだが、その能力が射撃がデスヘルのように斬撃を飛ばし、特射が高速ダッシュと、鞭と『ゼロシステム』がなくて変わりに中距離射撃(?)が付いた皇帝なガンダムというものだった。
「仕方ないだろ、一夏は知らんけど俺はラビット社の息子で、総士は傭兵部隊出身だからな、一般人でそこまで特殊な武器持ってないからピックアップされないんだろ」
「インコムも十二分に特殊だろ……」
「ま、そのうち何とかなるだろ。さて、次は一夏な?」
「お、なら俺は……これだ!!」
と、一夏が何やらランダム画面からスティックを動かすと……っておい!?
「な、なんで『月下銃士』!?」
そう、まさか俺の『月下銃士』が突然として姿を現しやがった。しかもコスト3000とかどういうこっちゃ!?
「これの隠しコードだよ。白騎士と月下銃士は特殊なコマンド入れで使えるんだぜ。機体ボイスは無いけど」
「マジかよ……!!(ホントは俺なんだけど……)」
驚きもつかぬ間、あっという間に俺の操るシャルロットは木っ端微塵にされたのだった。……とりあえずサテキャ無いだけマシか……。
「あー、負けた負けた!!一夏の野郎ガチ勢みたいな動きしやがって……」
夜、夕食を食べ終えた俺は自分のベットでのたうち回る。あのゲームはそこそこやっていたつもりだが、まさか一夏にハンデ(コスト1500残機一機オンリー)でさえ無傷で倒された時には軽く絶望した。どんな廃ゲーマーだよ
「……なぁクロト、明日の放課後にちょっと手伝ってほしいんだが」
「ん?珍しいな、総士がそんなこと言うなんて」
と、本当に珍しく頼み事をする総士に首を傾げながら聞き返す。
「実はお前、または簪のどちらかと模擬戦をしたい、可及的速やかに」
「模擬戦?……あぁ、もしかして鈴か?」
俺は思い出すように言うと、彼は苦虫を噛み潰して濃縮ゴーヤジュースを飲み干したような顔で頷く。
「クラス代表の交換で……面倒だから二つ返事で了承しようとしたら……クラスの女子連中がな?」
「あー、俺らって貴重な客寄せパンダだからな……男子クラス代表ってだけでかなりクラスネームのアドバンテージになるし」
「そういうこと。で、クラス代表戦が二週間後だから、その前に決着をつけちまおうとなって、三日後に俺と鈴で代表決定戦ってわけ」
つまるところ、原作の一夏VSセシリアと似たような状況だと言いたい訳ね。
「……それで、勝つつもりなのか?」
「まさか、寧ろ原作通りになるように上手く負けるつもりだよ」
「はぁ?ならなんで模擬戦?」
「上手く負けるには、敵の実力を予測した上で、その一歩手前の実力で負けるのが後腐れ遺恨なく終わらせる目印だ。つまるところ、似たような武器を持ってる人間と戦う必然性がある」
なるほど、確かに最もらしいことを言ってるが、
「本音は?」
「誰も模擬戦に付き合ってくれる人間が居ないんだよコンチクショー!!」
「あー、そういうこと」
ちなみに学園内一年生での専用機持ち事情だが、一夏は箒……もとい泉莉とマドカが調整と模擬戦をほぼ毎日してるらしく、暫くはそっちに集中とのこと。
セシリアは今のところ一夏戦で専用機が木っ端微塵になってしまい、現在D判定で修理に出してるため、少なくとも一ヶ月は国から代替機の第二世代『メイルシュトロム』をカスタムした物を使うらしい。まぁ本人も怪我があるから暫くは入院生活だが。
シャルは言うまでもなく、楯無さんから模擬戦禁止令を出されてしまっている。理由はシャルが模擬戦する度にスタジアムの修繕費が馬鹿にできないらしく、これには俺もシャルも何も言えなかった。
ならば春秋……と言いたい所だが、アイツは多分実力なら俺達の中で多分最弱だし、能力もセシリアの二番煎じがギリギリだ。ついでに実体剣持ってないからセシリアとそろって名目から除外される。
「で、実体剣持ってるうえで、実力も互角だから俺か簪と模擬戦したい、と?」
「そういうこと。無論強制はしないし、嫌なら嫌と言ってく「別にいいよ」……早いなおい」
「実際俺も訓練の相手が居なくて退屈してたからな。それに、
俺はそういうとオータムに明日の放課後のスタジアム使用の許可をメールで頼むと、数分後には第四スタジアムを貸しきりにしてくれた。なんとも気前のいい話である。
「んじゃ、明日よろしくな」
「おう!!IS唯一の可変型の実力、学ばせて貰うぜ!!」
「それレオスじゃないか!!まぁ良いけどよ」
俺らはそんな軽口を叩きながら談笑しあう。まるで昔からの友人かのように……。
オマケ 女子同士のIS/EXVS
シャル「こら簪!!ボクに退き射ちしないで格闘戦してよ!!」(イノベイクC2 コスト3000 Sランク)
簪「格闘判定強い機体に……真っ正面から挑む……バカは居ない」(ミステリアスレイディ コスト2000 Bランク)
本音「む~マドマドファンネル鬼畜~!!」(イノベイククロト コスト2500 Bランク)
マドカ「ふっふっふ……手加減してもらえるという甘い妄想を抱いて逝け!!」(サイレントゼフィルス コスト2500 Aランク)
シャル「もうオコだよ!!ボクのゲロビ喰らえぇ!!」
簪「え?200が一瞬で溶けた!?……ごめん本音、先落ちした」
本音「うそ~かんちゃん!?ってうわ、ビット爆発した~!!」
その後箒(暮桜 コスト3000 Sランク)と鈴(白獣 コスト2500 Aランク)さらにオータム(アラクネ コスト1500 Aランク)と山田先生(リヴァイブ=SMG コスト2500 Aランク)も乱入したゲーム大会は、寮管の千冬の出席簿が飛ぶまで続いたという……