数か月前
ボーダー本部のラウンジにおいて一人の少年がいた、少年は一人黙々と読書をしている
「あ、いたいた・・・」
その少年のもとにやってくる一人の女性
「あなたが東雲渚君ね」
すると少年は本を見ている状態で、声をかけられたほうを見る
「貴方は確か・・・A級の・・・」
「加古望、よろしく・・・ご一緒していいかしら?」
「・・・・どうぞ」
とナギサが了承すると、その女性、加古望は向かい合う場所の席に座った
「それにしてすごい本ね、だいたい時間が空いてるときラウンジで読書をしてるって聞いてたけど本当だったのね」
「まあ、ほかにすることもないですし」
「ふうん」
と女性は試しに一冊本を取って読んでみる、内容は難解というほどではないが思わずううっと声に出してしまうほどちんぷんかんぷんな内容である
「・・あなたって本当にすごいわね」
「そこまですごいものじゃないですよ・・・それよりも僕に何か用事があるんですよね?、まさか僕とおしゃべりするためだけじゃないでしょ?」
「そうね、ストレートに言わせてもらうけど・・・」
と加古は言う
「うちに入らない?」
そうストレートに
「・・・・本当にストレートですね、でもほかの人たちにも言ってますけど僕は入隊はお断りしてます、何より私はイニシャルKでもないですし・・・」
「まあそうなんだけどね、でもあなたの強さは聞いてるわ、あの太刀川君に勝ち越したんでしょ?」
「運が良かっただけですよ、あの時はぎりぎりでしたし、あの後スカウトされましたけど一番の理由は大学のレポート関連の意味合いが大きかったですから丁寧にお断りさせてもらいました」
「相変わらずね・・・」
その後の経緯を聞いてあきれ気味になる加古
「そうだわ、そういえば噂で聞いたんだけど、最近ガンナー用のトリガーに興味があるって?」
「はい、弧月だけではどうにも決定打がないと思って、それで距離をとれるガンナー用に興味を持ちまして」
「だったらちょっと付き合ってもらえる?、私はポジションはシューターだからあなたの力になれるかもしれないと思うけど」
すると、ナギサは読んでいた本に栞を挟んで閉じた
「・・・・本当ですか?」
「食いついたわね、あなたの実力もぜひ見てみたいし」
「・・・・お願いします」
と二人はブースに行った、これが少年と彼女の最初のかかわりだった・・・・・・・・・
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現在
「それにしても昨日は諏訪さん散々だったよねー、つつみんとひさとは最後まで粘ったのに」
「うるせー、傷をえぐるな」
そんな会話をしているのはB級10位諏訪隊の面々であった
「そういえば加古さんあれから何かあったんでしょうか、ぼおっとしていることが多くなりましたけど」
「そういえばそうだな・・・」
とアタッカーの日佐人とガンナーの堤がそう会話する
「黒江に至っては自慢のスピード見切られた上に負けたからな、ショックだったのかもな・・・」
「あれ・・?」
諏訪の言葉を華麗にスルーして同じ隊のオペレーター、おサノこと小佐野瑠衣が何かを探すようにあたりを見つつ、声を漏らす
「どした?おサノ」
「え?ううん、何でもない・・」
と慌てて言葉を返す
「そういえば今日はナギサ君いないみたいだね、暇な時はよくラウンジで本を読んでるから」
「あ、そういえば・・・ナギサ先輩がいるとこには本が山積みになってますからね」
と堤と笹森が言う
「そうなのよ、今日は来てないみたいでね」
「「「「うわあ!?」」」」
急に後ろから話しかけられて驚く四人
「何よ失礼ね、声をかけた程度で驚くなんて」
「いやいやいや、いきなり後ろから声かけられたら驚くだろ普通」
「加古さんはどうしてここに?」
その人物は加古望、A級6位加古隊の隊長である
「うん、ナギサ君を探しているのよ、この時間帯よく彼はここで読書してるって聞いてたから」
「今日は来てないみたいですね」
とあたりを見回す
「彼って昼休みのほとんど本に費やしてたもんね」
「なんでもお昼も食べない程だし」
「私はもう少し探してみるわ、みんなは?」
「俺たちは今から昼飯、午後から防衛任務だからな」
「そう、じゃあまた・・・」
と加古は諏訪隊と別れるのであった
「加古さんってずいぶんナギサ先輩にご執心みたいですね」
「そりゃ前にスカウト断られた代わりにガンナー用トリガーの基礎練習を兼ねたランク戦に付き合ったからね、四種類それぞれ五本ずつの合計20本」
「それでどうなったのー?」
小佐野は聞く
「確かバイパーで全勝して、次にメテオラで4-1、あとは負け越しだったみたい・・・」
「まあ後の二つはあいつ使いこなしてるしな、あの時ナギサはガンナー用に関してはとーしろーだったからよ」
「ふうん・・」
堤と諏訪の問いに小佐野は普段と似合わないないくらい興味ありげな表情で見つめていたという・・・・・・・・・
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加古が彼を探していた、理由は聞きたいことがあるからその一点である、この前諏訪隊と自分の隊が戦った不審な人型、彼女は敗れる際に相手のかぶっていた仮面を飛ばした、その素顔が彼に似ていたのだ
「(まさか・・・本当に彼が・・・)」
できれば見間違いだと信じたい、でももし本当ならあの時何をしていたのかを知りたいと、すると
「‼」
不意に彼の姿が見えた
「ナギサ君・・・?」
するとナギサは自分の気づいたのか、軽く会釈してその場を去っていく
「待って!」
と彼女は彼をおいかけてその腕をつかんだ
「え・・・?」
ナギサは突然のことに驚いたのか、彼女のほうを見る
「え、えっとその・・・」
彼女も聞きたいことがある、でもなかなか口に出せない、代わりに出た言葉は
「・・お、お腹すかない?」
「え・・・?」
食事の誘いであった・・・・・・・・・
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加古隊 作戦室
そこではフライパンで何かを炒める音が響いている、その待合のところでナギサは小説だろうか、本を読みながら待たせてもらっている、そして
「はい、どうぞ」
とお皿がおかれるとそこには見た目何も変わらぬ炒飯がおかれている
「わあ、おいしそうですね・・・」
「うん、今日はちょっと気合を入れて甘い感じに仕上げてみたの、食べてみて?」
とナギサは本に栞を挟んでおいておいて炒飯をスプーンですくって食べてみる
「どう・・・?」
加古が聞く、するとナギサの目元から何かが流れる
「あ、あのごめん!?、口に合わなかった?」
泣くほどまずいのかと思った加古は慌てる、だがナギサの口から出た言葉は意外なものだった
「おいしい・・・」
「え・・・?」
そうつぶやいたのだ
「初めてです、誰かに作ってもらったの食べておいしいって感じたの・・・」
「え?、初めて・・・?」
ナギサの言葉に加古は疑問の声を浮かべる
「僕ね、この街に来る前まで父と従妹の三人で暮らしていたんです・・・でも父は女の子を望んでいたので母が亡くなって、叔父夫婦が亡くなってうちに引き取ることになった従妹のことをとってもかわいがってました・・・その代わり僕に対して冷たい態度をとるようになったんです、家の中にいても話もしてくれない、お料理だって従妹の分しか用意しない、たまに用意してくれたのもだいたいが失敗作でしかもそれを犬の餌用の受け皿に入れて用意してて、もう家にいるのがいやで飛び出したんです・・・」
「そうだったの・・・」
「・・・・でもそんな僕のことを本気で心配してくれて僕を引き取ってくれた人がいるんです」
「そうなんだ・・・その人って?」
「紅葉さんです」
「紅葉って・・・水無月紅葉さん?」
「はい・・・僕にとって紅葉さんは恩人で母親のような人なんです、僕の母は僕が幼いころに亡くなったと聞いていましたので・・・前からあこがれてたんですお母さんのいる家庭に・・・」
「そうだったの・・・ん?、あれ?」
不意に加古は疑問を浮かべる
「紅葉さんはお料理作ってくれなかったの?」
と聞くと、ナギサはあきれたようにため息をついた
「実は紅葉さん、家事全般がだめで料理もレトルトとかコンビニで済ませちゃうことが多くて、うちの家事は全部僕がしてるんです」
「ええ!?、そうだったの!?」
「くぉらナギサ!、余計なこと言うな!」
ナギサの言葉に驚く加古、そこに勢いよく入ってきたのは
「あ、紅葉さん・・・どうしてここに?」
「さっき双葉ちゃんに会って、望ちゃんの炒飯がおいしいっていうから食べてみないかって誘われたのよ、そしたらナギサと望ちゃんが真剣な会話をしてたから扉の前で待たせてもらってたのに、ナギサァ・・・」
「あはは・・・」
これには加古も苦笑を浮かべるしかなかった
「あ、あの・・・」
とそこにひょっこり現れる少女は加古隊のアタッカー、黒江双葉であった
「後でお説教だからね」
「はい・・・」
とナギサの叱られフラグがたったところで
「望ちゃん!、最初に言っておくわ・・・ナギサから聞いたさっきの言葉、忘れなさい!、いいわね!?」
「は、はい・・・」
あまりの剣幕に加古も思わず了承してしまうのであった
「それと、双葉ちゃんから聞いたんだけど炒飯づくり得意なんですって?、そこまで言うんだからぜひとも食べてみたいからもらえるかしら?」
「は、はい、まだありますから・・・」
「ついでに炒飯作り教えてもらったら?」
「ナギサ・・・?」
「・・・・すいません・・・」
余計なことを言うナギサを鋭い眼光でにらんでおとなしくさせる紅葉であった、そして
「・・・・・・・」
水無月紅葉、死亡
「どうかしたの紅葉さん!?」
「たぶん紅葉さんには甘すぎたんじゃないでしょうか、甘いもの苦手だし」
「そうなんですか」
ちなみに今日のメニューは、生クリームがたっぷり入っていたらしい、そして炒飯はナギサと双葉がおいしくいただきましたとさ
そしてこの光景を見て自分の抱いていた疑問のことなど簡単に吹っ飛んだ加古であった・・・・・・・・・
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「うう、昨日はお説教のフルコースだった・・・」
とげんなりしたように、つぶやくナギサであった
「ナギサが余計なこと言うからだよ」
と一人の女性が話しかけてくる
「弥生さん、どうかしたんですか?」
「いいよ今は誰もいないし普通に接しても・・ただ昨日紅葉の姐さんがナギサにお説教したって聞いたからね、私の可愛い可愛い弟子が気がかりで」
「ほっといてくださいよ、美奈さん・・・」
顔を赤くしてそむけるナギサを見て、美奈と呼ばれた女性はくすくすと微笑む
「それよりもナギサは、このボーダーに入って楽しいことは見つかった?」
「それは・・・今の生活は楽しいと思いますけど、それに関してはまだ」
「そう、ウフフフ・・まあ何かあったら師匠である私に言いなさい!、力になるからね」
とナギサの肩をバンバンたたいて言う
「痛い痛い!、わかりましたわかりましたから強くたたかないでください‼」
「うん、よろしい」
と笑みを浮かべる美奈であった
「それじゃ今日の任務でね、
「わかりました、
と二人は別れるのであった・・・・・・・・・
迷うことなかったみたいね・・・・・・・・・