退屈、その思考が少女の殆どを占めていた、彼女の生まれは世界有数の大手会社、九条コンチェルトの社長の子、幼き頃から帝王学やあらゆる勉学を叩き込まれ、10になる頃にはハーバード大レベル迄の頭脳を持つようになった、体格、身体能力もまるで持って当然と言わんばかりに周りとは一線を超えたものだった、そしてダメ押しと言わんばかりに5歳の頃に発見された脳の異常医師が言うにはとてつも無い確率でしか手にいる事が出来ない完全記憶能力というものだった、故に彼女は一度見たことを絶対に忘れない...嫌忘れられないのだ
その少女の名は九条明美 誰よりも明るく誰よりも美しく....そんな意味で名付けられた少女は現在16歳、夢すら謳歌する事が出来ない、誰もが羨む才能を持ちながら誰よりも悲しい....これはそんな少女が描く本来なら絶対にあり得ない歴史の物語である
「今日もまた何も無い退屈な日々だったなぁ」
「友達から借りてた漫画.,...えっとONE PIECEだっけ?あんな風に私も自由に世界を冒険してみたいなぁ、最も私じゃ絶対叶わない夢だけど」
「私一人で何言ってるんだろう....家に...帰ろう」
九条家、日本中何処を探してもこんな素晴らしい家があるかと聞けば全員が無いと答えるほどの家...というよりはお屋敷である、何時と変わらず家に帰った彼女は夕食後父に呼ばれた
「明美、ちょっと良いかな?」
父、九条武人に呼ばれた明美は父の書斎へと向かう、以前は厳しかった父だが彼女の才能を見るうちに人が変わった様に甘くなった、彼女は察するきっとこれは私に敷かれるレールへと案内されているのだろう、だが彼女は断らない、なぜなら退屈なこの世界に拒否をする理由も無いのだから、口調を変え顔色を変えて答える
もちろんですわ...と
「明美に来てもらったのは他でも無い縁談の話だ」
「....」
「これから私は日本で一番では無く世界で一番を目指す明美には私の助けになってもらいたい」
「....男の写真はありませんか?」
「見るかい?これだ」
父か渡した写真を見る、その瞬間彼女は記憶するこの明らかに彼女とは合わない男の顔を
「名前はウィルソン・フィリップス、一応はエジプトの上院議員を務めている、明美にはこの男の妻になってもらいたい、これからのビジネスの為にもエジプトとの関係はより強固な物にしたい、だからこそエジプトの内部である上院議員を手中に収めビジネスをより成功へと導く、顔は...まぁあれだが、実績は目を見張るものがある、だからこそこの男を選んだ、君をもっと豊かにする為だ...この話受けてくれるか?」
明美は思う父は確かに私を愛してくれている、だが中国の商人が世界最高の盾と矛を宣言し、盾が壊れた様に何処までも矛盾している
私を愛しているのなら何故結婚相手を選ばせてくれないのか、私だって相手ぐらい家を思って相手を選ぶ例えばイギリス貴族の長男だったり、アメリカの外交官だったり...でも顔や性格ぐらいは自分に選ばせてくれても良いのでは無いか、しかもまだ発展途上国であるエジプトと選ぶ事だから父にも考えがあるのだろう、私は思考を巡らせ二つの考えへと辿り着く
一つ、上院議員という立場を利用し国の経済のメインでもある観光を牛耳る事、これは簡単だろう、彼の実績を見ると政治に何かしらの影響を与えているその彼が観光に力を入れるとくれば国も協力するだろう、となれば話は簡単、スポンサーに私の会社、資金源を私の許可で得る事にすれば、観光という事業は簡単に支配できる
二つ、恐らく父はこっちの方を考えているだろう、エジプトという国そのものを支配する事、計画は実に簡単上院議員を大統領迄押し上げ、妻という私の立場を利用し、会社を後ろ盾にするだけ、実に単純である、私の会社は現在世界も目を見張るものがあり、何人か外国の人が契約を結びに家に来ていた事もある、殆どの人が私をチラチラ見ていたがこちらは溜まったものでは無い、まぁその話は置いておいて、そんな会社がエジプトに着けば外国は必ずエジプトを援助し、エジプトは強大な国へと変貌する結果としてエジプトに多大な成果をもたらした私の会社が事実上の国のTOPになれる....父が考えているのはこんな感じだろう....結論から言う、父は結局自分の事しか考えていない、一番の理由は先程の言葉、私を豊かにする、確かに私を考えてはいるが簡単に言えば私が豊かになれば自分も必ず豊かになる、だからこそ自分の娘さえも簡単に利用できる、大体そんなところだろう、だが私は気にしない何故ならそれこそが私に決められた道であり、レールなのだ拒否権はない私の人生は決まったも当然、それが今だった....唯それだけなのだから、しかしやはり気になる事はある
それは私が断った場合だ、大方既に縁談は纏っていて、後は婚約するだけの所まで来ているだろうだが、一度気になったものは聞いてみたい私とはそういう人だ、だから私はカマをかけてみた
「お戯れを、もう婚約まで決まってるのでしょう?ならば私は断る理由がありませんよ」
どうだろうか....
「やはり流石は私の娘だ、その通りだよ、実は婚約は一週間後なんだ、明美の許可も取ったし今週の金曜日には日本を出る、恐らく今週が友達に会う最後のチャンスだろう、だからしっかりと別れを告げておくんだよ?」
予想通り、この世界に面白いものなど存在しないと感じる私には唯父に従うだけ....でも一度ぐらい自分の足だけで冒険してみたかったと少しの後悔を残し
「わかりました」
とだけ伝えて部屋に戻り、そのまま目を閉じた
目を開くと知らない空間だった、見渡す限りの白、その空間の中に私と一人の人間がいた、夢とは分かっているが取り敢えず私は聞いてみた
「あの...此処は?」
「ああ、ごめんね此処は神の世界、君は僕が呼んだんだ」
一瞬硬直、だがすぐに元に戻る、どうせ此処は夢.....
「夢じゃ無いし、今言った事も嘘じゃ無い、信じてくれ....難しいかな?明美さん」
心を読まれた?読心術に長けているのだろうしかし、この少年は私の名前を知っていた、私はこの少年に自分の名前を話していない、夢では無いのか?
「だから夢じゃないって....まぁ良いや君に聞きたいのは一つ....」
「この世界じゃ無い別の世界で生きてみたいとは思わないかい?」
「どういう...事?」
訳が分からない、心を看破されただけでは無く、心の奥底まで読まれた....認めよう此処は夢では無い現実だと
「まぁ、簡単に言えば転生だね、君には本当に多くの才能を与えてしまった..これはそんな僕からのお誘いさ、決められた道を外れ自分で道を作る道のね」
「....素敵なお誘いね、一つ良いかしら?」
「なんだい?」
「仮に私がその道を選択したとして、この世界に存在していた私はどうなるの?」
「死ぬよ、死因はおいおい決めるけど確実に、転生っていうのはそういう事、でも安心して記憶もそのままだし、心臓も停止されずそのまま残るから転生した場合心臓が二つっていう事になるかもね、まぁ実際は一つだけど、命は二つ?みたいな」
「そう....」
私は考える、確かに神?の誘いは魅力的であるが、腐っても親であった人たちになんの別れも告げず死ぬのはどうにも心が引けた...が縛られるだけの日常はもううんざり、ならばこの誘いを受け自分の道を作ろうではないか、私は答える
「分かったわ貴方の誘いに乗りましょう」
「そっか、悔いはない?」
「ええ」
「じゃあ付いてきてね」
「...」
少年について来た先には扉があった
「これは?」
「君の望んだ世界への入り口、入ったら後戻りは出来ない、もう一度言うよ悔いは?」
「無いわ」
「そっか!じゃあいってらっしゃい!その世界の説明書は書いておくから」
「随分優しいのね」
「まぁ、神だからね!」
「じゃあ行ってくるわ、ありがとう」
私は扉を開ける、そして中へと入っていく
「いってらっしゃい....君の本当に望む世界はそこにある、でも安心は出来ない君には多くの運命が立ちはだかるのだから....」
神の小さな声は、扉に入り意識が薄れていく私には聞こえなかった
プロローグ終了
次回はプロフィールかも、感想、評価待っています