IS x 龍騎〜インフィニットストラトス:鏡の戦士達   作:i-pod男

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お待たせしました。学校の張る学期が再び始まったので更新が不定期に移行します。今回はセカンドシフトと千冬&束の会話を一気に入れました。多々見苦しい所がおありでしょうが、よろしくお願いします。


Vent 22: 策と紅椿

司令室に集合した専用機持ち達は、大量の空中投影されたスクリーンを目の当たりにする。

 

「数時間前、ハワイ沖でテスト稼働中の軍用第三世代機、シルバリオ・ゴスペルだ。以後、福音と呼称する。アメリカとイスラエルの共同作業により作られたこのISが原因不明の暴走を始めた。現在超高速でここら一帯をを飛行している。海域一帯は既に教師達に封鎖させた。パイロットと福音の回収が今回の任務だ。意見が有る物は手を挙げろ。」

 

「はい、では、目標の詳細スペックを要求します。」

 

「それは構わないが、これは両国の機密だ、もし漏らせば制約の為約二年間の監視が付けられる。充分注意する様に。」

 

「やっぱりこの三十六門ある射撃武器、シルバーベルが厄介だね。こんな弾幕まともに食らったら僕の防御パッケージでも防ぎ切れないよ。」

 

開示されたスペックデータを見ながらシャルロットが渋い顔をする。

 

「確かにな。それに、俺と同じ高機動を重視している。俺以上のスピードが出るぞ。」

 

一夏も舌打ちをした。

 

「不確定要素が多過ぎる・・・・偵察は行えないのですか?」

 

「無理だ。アプローチは一回が限度だ。一撃必殺で落とさなければ行けない。」

 

千冬はあっさりとラウラの質問を斬り捨てた。

 

「つまり、一番高い攻撃力( 零落白夜)を持つ俺が行かなきゃならないって事か。良いぜ。そのパイロットには何度か会ってる、アメリカとの取引も幾つかあったし、俺もそれに参加していた。」

 

「でも、エネルギーはどうするのよ?アンタ一人じゃ、零落白夜を使う前にガス欠起こすわよ、燃費悪いんだから。」

 

鈴音が指摘する。

 

「それなら問題は無い。セイレーン・ゼフィルスはウィングナイトと互換性がある。当然ながら高機動もエネルギーの受け渡しも出来る。この中でもスピードはかなり上だ。それにテストパッケージと超高感度ハイパーセンサーもインストールされているから直ぐにでも出動出来るぞ。」

 

「俺も行こう。アメリカとイスラエルにこの事を一任されたからな。IS犯罪対策室に。で、学園の専用機持ち達とも協力する様に、とさ。委員会からも許可が降りた。それに、俺達はまだ使ってない隠し球がある。俺達の勝利は、揺るがない。」

 

鈴音の言葉にマドカが静かに志願し、司狼も自信たっぷりに言い切った。

 

「・・・・・束、いるのは分かっている、下りて来い。」

 

「もー・・・・ちーちゃんてば酷いなー、束さんはタイミングを計ってたのにー♪」

 

屋根裏から束の頭が降りて来たが、千冬が電光石火の早業で引き摺り下ろす。

 

「何か言いたい事があるならば早く言え、時間も惜しい。」

 

「んー、いっくんやシロちゃんが出るのに異存はないんだけどー聞いて、聞いて!ここは紅椿も出して欲しいなーと思って!みてみて、この展開装甲をちょこっと調整すれば最高速度が倍プッシュになるのだ!」

 

「これ・・・・零落白夜を使う時にダークバイザーが変形するのと同じだ。」

 

一夏が目ざとくそれを見抜いた。

 

「試しに私が突っ込みましたー!」

 

「・・・・・この作戦は織斑、御鏡、白鳥の三人で向かえ。」 

 

「え?!」

 

静かにそう結論を出した千冬に一番驚いたのは束だった。

 

「何で何で?!」

 

「篠ノ之は実戦経験が皆無だ。そんな小娘をワザワザ危険に晒す訳にも行かん。それに比べてIS犯罪対策室に所属しているコイツらの方が、実力は圧倒的に上だ。成功率はこちらの方が遥かに高い。何故生徒にこの件が負かされたのかは分からんが。(何より、親友の妹を死なせる訳にはいかん。死んでしまってはコイツが何をしでかすか分かった物ではない。)」

 

「うーーー・・・・・お願いお願いお願い!」

 

千冬の拳と束の頭が接触し、鈍い打撃音と共に束が床に激突した。

 

「これは決定事項だ。今更変える気は無い。」

 

「ま、待って下さい織斑先生!私はやれます!やってみせます!」

 

「お前には無理だ。」

 

折角到来したチャンスが零れ落ちてしまう事に慌てる箒を、マドカがぴしゃりと突っ撥ねた。

 

「何だと貴様!私が力不足だと言うのか!?」

 

箒がマドカに詰め寄って睨み付ける。

 

「その通りだ。良く分かっている様で助かる。ならば聞こう、」

 

そう言ってマドカは銃を引っ張りだして箒の額に銃口を押し当てた。

 

「その自信はどこから来る?お前は人を殺した事があるのか?その手で銃を持ち、弾丸をマガジンに入れ、スライドを引き、セーフティーを外し、撃鉄を起こし、引き金を引いた事があるのか?殺される事を前提に挑めもしない奴は、この作戦には必要無い。慢心は死への特急片道切符と同義だと言う事を覚えておけ。」

 

「そう言う事だ。箒、焦る事は無い。ここでラウラやセシリア達と皆を守ってくれ。万一の時は、俺達は戦えないからな。」

 

一夏はマドカに銃を下ろさせ、彼女の肩をポンと叩いてそれだけ言うと、司狼、マドカと共に去った。司狼は去り際に束だけに見える様にポケットから万が一の『保険』を引っ張りだし、起動した。

 

 

 

 

 

「ヴォルフ、暴れるぜ!」

 

「頼むぞ、ウィングナイト。」

 

「羽搏け、セイレーン・ゼフィルス。」

 

三人のISが起動され、一夏は二人の肩に乗る。

 

「さてと、一夏、準備は良いな?」

 

「いつでもどうぞ。」

 

ブースターを点火し、三人は空の彼方に消えて行った。

 

「二人共、超高感度ハイパーセンサーはどうだ?」

 

「異常なしです。」

 

「こちらもだ。目標到達まで二十秒。」

 

空の彼方に一瞬光る物が見えた。一夏は右手にウィングランサー、左腕はリボルウィングを展開する。息を大きくゆっくりと吐き出した。

 

「到達まで後・・・四、三、二、一、兄さん!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

一夏は獣の様な叫び声を上げてウィングランサーを福音に振り下ろしたが、間一髪の所で避けられた。

 

「流石に動きが速い。マドカ、奴の動きをスターブレイカーとブルーピアスで制限しろ。必要ならばスターダストシューターを使っても構わない。兎に角ぶちかませ。俺も行く。」

 

「了解!」

 

『『Sword Vent』』

 

フェザードファングを連結させた三日月剣を右手に持ち、左手にデュアルバイザーを連結、変形させた大型マシンガンを装備して攻撃を始めた。だがやはり軍用は伊達ではなかった。

 

「糞・・・・」

 

「一夏!あれを使え!セカンドシフトの鍵だ!」

 

(よし・・・)

 

デッキから引き抜いたのはサバイブのカードだった。それをダークバイザーに装填する。

 

『Survive Mode』

 

「サバイブを・・・・ISの状態でも使えるのか・・・!?

 

「その通りだ、マドカ。行け、一夏。今のお前なら、奴を倒せる!」

 

一夏の姿は、変わっていた。黒と銀の色がダークブルーと金に変わり、左腕は形が変わっていた。背中のウィングスラスターもマントの様な形状に変わり、右手のウィングランサーが無くなって、代わりに青い握りに金色の刃を持つ巨大な剣、ダークブレードが現れる。

 

「闇の刃に飲まれて消えろ。」

 

だが、その直後、司狼に向かってビームが放たれ、直撃した。

 

「ちっ・・・・予測はしていたが・・・・一夏、マドカ!そいつの相手してろ!俺はちょっと厄介な奴を敵に回してしまったらしい。おい、千冬!どう言う事だ!?何故コイツがここにいる!?」

 

「目を離している隙に無断発進した。あのスピードでは代表校の小娘共は誰も追い付けん!」

 

司狼の目の前に現れたのは・・・・紅椿を纏った箒だった。

 

「お前はIS乗りとしても、ライダーとしても中途半端だ。(あの『保険』はやはりフェイクか・・・・)」

 

プライベートチャネルを通してそう言う。

 

「黙れ!!何故・・・・・何故お前なんかが一夏の隣にいる!?何故お前なんだ?!」

 

「お前の他人の気持ちを分かろうともしないその心の所為さ。」

 

振り回される二本の刀を避け、フェザードファングでいなしながらそう答える。

 

「何故一夏をライダーにした!?」

 

「一つはあいつはこの世界を変える鍵である事と、もう一つはそれは本人が望んで俺の元に来たと言う事がある。 俺を責めるのは筋違いだぞ。 二者択一のその時、伝えるべき事は全て伝えた。あいつは躊躇いも無くライダーの道を選んだ。」

 

そして箒にタックルをかますと、そのままイグニッションブーストで戦闘空域近くの小島に叩き付けた。その衝撃で砂がもうもうと舞い上がる。

 

「かはっ・・・!?」

 

肺から空気を押し出されて呼吸困難に陥る箒。その間に数メートル上空に舞い上がり、カードを引き抜いた。

 

「エネルギー残量、気をつけろよ?」

 

「しまった!」

 

「終わりだ。」

 

『Shoot Vent』

 

フルムーンバスターから放たれ四方八方に湾曲する『ファントム・ルナ・バースト』をまともに食らった箒はISを解除されてしまう。その時、丁度水の中からオーディンが現れる。

 

「オーディン・・・・」

 

『手こずっている様だな?』

 

「まあ、ね。でも、何でこいつにデッキ渡したんだ?今まで学園で俺達を監視していたんならコイツの性格がどれだけ不安定か分からなかった訳じゃないだろう?」

 

『お前風に言うならば、面白そうだったから、だ。』

 

「成る程ね。あんたも気まぐれ起こす事もあるんだ?しっかし、筋金入りのシスコンも困り者だな。お陰で計画が狂っちまったよ。まさか、フェイクのキルスイッチを渡されるとは。」

 

懐からそれを引っ張りだして海の中に放り込んだ。

 

「司令室、御鏡だ。無断発進した篠ノ之を確保した。」

 

『すまないな。こちらの監視不行き届きで。』

 

「まったくだ。ちゃんと後で釘刺しといてくれ。一夏、マドカ、無断発進して来たお前の阿呆な幼馴染みを島で見張ってる。悪いけど、二人でどうにか出来ないか?」

 

「どうにか、って、いわれ、ても!おっと!?無理が、あります!」

 

一夏は飛んで来るシルバーベルのエネルギー弾を左腕のダークシールドとそれから放たれる緑色のエネルギーで出来た楯によって防ぎながらも話していた。

 

「試作機でも軍用だ、踏ん張る事は出来なくはない!だが、早々に決着をつけなければこちらが落とされる!」

 

その後ろからマドカはスターダストシューターやスターブレイカー、更にはビットを使った援護射撃で一夏をカバーしていた。銃撃と爆発が引き起こす轟音に負けじと叫ぶ。一夏はもう一度デッキからカードを引き抜いた。

 

「勝てるかもしれない・・・・!」

 

『Blast Vent』

 

ダークブレードにカードを装填すると、ダークレイダーが現れた。翼のタービンから竜巻( ダークトルネード)を放ち、その中に福音を閉じ込める。乱気流に飲まれて思う様に操縦が出来ない福音は独楽の用にグルグルと回るばかりだ。

 

「これなら行ける!」

 

「終わりだ。」

 

『Shoot Vent』

 

ダークブレードを収納し、左腕のダークシールドからリボルウィングの弓パーツが開くと、大出力の零落白夜のエネルギー弾が放たれた。直撃を食らった福音は強制解除され、マドカがパイロットを受け止めた。

 

「織斑です。福音の鎮圧に成功、これより帰還します。」 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャキン!

 

「どう言うつもりだ、篠ノ之?」

 

ヴォルフの待機状態である剣を引き抜き、箒にその刃先を向けた。

 

「何故無断発進した?答えろ。お前の所為で俺達は危うく殺される所だったんだぞ?それもお前に。作戦が狂った所為で当初の予定よりも遅く帰投しちまったじゃねーか。」

 

「わ、私はただ・・・・サポートを」

 

「サポート?お前自分が何したか忘れたのか?妨害の間違いだろう?お陰で一夏の援護も満足に出来なかったしな。まあ、結果的にウィングナイトもウィングナイトS( サバイブ)にセカンドシフトして倒したから問題は無かったけど、少しひやっとしたぞ。」

 

「本来ならば拘束の上に委員会に報告する所だけだが、御鏡の意思も汲み取って今回は不問とする。だが篠ノ之、お前がやった事は組織の輪を乱す以外の何でも無かった。学園に戻り次第懲罰トレーニングと謹慎を覚悟しておけ。」

 

千冬も恐ろしい形相を浮かべながら冷ややかに言い放つ。箒の懇願の眼差しは、彼女には届かない。

 

「ただし、次に同じ事をされた場合は敵として全勢力を持って叩き潰す。それだけ警告しておこう。ナターシャ・ファイルス女史の事はこちらが介護に当たる。さてと、風呂入って飯食ったら寝るか、一夏。明日も早い。」

 

「はい。マドカ、行くぞ。」

 

マドカは軽く頷き、警告を投げ掛けた司狼と一夏について行ってその場を後にした。

 

 

 

「あーあ、残念だな~。まさかちーちゃんも反対するなんてさ。・・・・稼働率は今で二割弱か・・・・ま、あんだけ戦闘が短ければ当然と言えば当然なんだけどねー。美味しい所いっくんが持って行っちゃったし。」

 

「束。お前、何を考えている?御鏡から聞いたぞ、偽のキルスイッチを渡されたと。また何か事件を引き起こすつもりか?!これ以上手を汚してどうなると言うのだ?!」

 

千冬は海岸で足をぱたぱたさせている束に怒声を浴びせる。だが、束は振り返らずにデータを閲覧し続けた。

 

「ちーちゃん。私はね、箒ちゃんには何もしてあげられなかった。私が・・・・私の存在が、箒ちゃんを変えちゃった。昔はもっと甘えてくれたのに。だから、これは箒ちゃんへのお詫び。でも、シロちゃんが言ってる事が正しいって事も分かってる。」

 

「だったら・・・・」

 

「よう、随分と辛気臭ぇ話してるな。通夜じゃあるまいし。」

 

いつの間にそこに現れたのか、束が座っている場所から一メートル弱離れた木の梢から司狼がひょっこりと頭を出した。偽のキルスイッチを持って。

 

「御鏡・・・・!!何をしに来た?」

 

「アドバイス。ま、確かに篠ノ之は性格に色々と問題がある。お前も当然ある。だが、それはこれから直して行けば良いだろう?」

 

「でも・・・・どうすれば良いの?」

 

「さあな。俺は兄弟なんていないから何とも言えんが、手始めにいつでも側にいるって事をアピールしたらどうだ?家族とも引き離されて、碌に会えない。寂しいと思うぞぉ?」

 

「うん・・・・・そうだよね。ごめんね、シロちゃん。偽物渡しちゃって。」

 

「良いよ。看破出来なかった俺にも責任はある。だが、これで分かったろ?お前が専用機を渡した事で、一夏が傷つきそうになった。暫くの間で良い。篠ノ之が紅椿を使えない様にしてくれないか?」

 

「束、私からも頼む。同門として、見過ごすわけにはいかない。」

 

「おい、千冬よお、教師が私情を挟むもんじゃないぞ?」

 

だが千冬は司狼の言葉を無視して続ける。

 

「弟は大事だが、篠ノ之やお前にも、傷ついて欲しくない。だから頼む。御鏡に従ってはくれないか?」

 

「分かった。ちーちゃんがそう言うなら、そうするよ。はい。」

 

束は司狼に偽物の切るスイッチと瓜二つの物を渡した。

 

「今度こそ本物だよ。紅椿を管理者( マスター)権限でシャットダウン出来るから。」

 

「ありがとう、束。この礼は、何時か必ず。」

 

「うん。ねえ、ちーちゃん、シロちゃん。この世界は、楽しい?」

 

「ああ。まあ、な。」

 

「面白い世界だ。」

 

「そう。」

 

二人が答えた直後に風が吹き、束の姿は掻き消えていた。

 

「千冬。俺達も、もしかしたら敵対関係になるかもしれない。その時は、恨みっこ無しだぞ?」

 

「望む所だ。」

 

フっと笑った二人はそのまま肩を並べて旅館の方へと足を向けた。




色んな感想をお待ちしております。後、モッピーは救済ルートにしようかどうしようかまだ迷っております。
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