逆廻先生の居る暗殺教室 作:ソウル
それは五月の初めの日の事だった。逆廻十六夜は太陽を見上げてふっと呟いた。
「あ、黒点発見。やっぱり太陽が氷河期に入り始めてるってのは本当なのかね」
“天は俺の上に人を作らず”が座右の銘の彼。
「何か面白い事ねぇかなぁ……」
ヘッドホンを首に掛け川辺の向こうで背中に刺繍と気合いの入った長ランを着た、不良の集団の声が聞こえた。中心には彼らが集団で暴行を加えた少年が泣き寝入りで土下座させられている。
「おいヤベえって。コイツマジ泣きしてるぜ。汚ねえから川に突っ込んで洗濯すっか?」
「どうせなら全裸で飛び込ませようぜ。両手両足縛ってよ」
「ひっ………!」
少年はガクガクと震えながら達磨のようにしゃがみこむ。逆廻十六夜はゆっくりと上体を起こし、少し先で殴る蹴るを続けていた彼らへ話しかけた。
「………あー暇。超暇。暇が売れたら一稼ぎできる自信があるね。」
だが、彼らは逆廻十六夜に対する反応はない、
当然だろう。叫んだわけでは無く、まるで隣にいるかのような声音で話しかけたのだ。
「……………」
十六夜は無言で立ち上がる。川辺で手頃な石を二、三個拾い上げると、今度は盛大に叫び声を上げて石を投げ、
「俺も混ぜろやゴラァァァァ!!」
川辺ごと吹き飛ばした。読んで字の如く、石は第三宇宙速度に匹敵する馬鹿げた速度を叩き出し、轟音と共に粉塵を巻き上げて不良と少年を川辺ごと吹き飛ばしたのだ。
「ぎゃあああ!!」
「さ、逆廻十六夜だ!!全員逃げろッ!!」
「た、助けーーー」
「オラオラ、ドンドン投げ込むぞ!」
ヤハハと豪快な笑い声と共に打ち込まれる投石がクレーターを生み出す様は、さながら爆撃である。その一方的な光景に苛めていた不良も苛められていた少年も、同様に恐怖して逃げ出した。
誤解があるようだが、逆廻十六夜は少年を助けるために一石投じたわけではない。“強きを挫き、弱きも挫く”というのもまた、逆廻十六夜の座右の銘の一つというだけだ。
「ハハ、だらしねぇだらしねぇ!気合いが入ってるのは格好だけかよ!」
逆廻十六夜は腹を抱えて全員の逃げる様子を笑い飛ばした。
「………。つまんね」
本音を、心の底から吐き捨てるように吐露した。
その時、自前の携帯電話が鳴る。
気が立っている十六夜は危うく携帯電話を破壊しかける。
「おっと、電話か...」
ヘッドホンは既に首に掛けてアクセサリーのようである。音の鳴る携帯電話耳に当てる。
『ヤッホー!イザ兄!』
「なんだ...鈴華か」
『なんだ...って!?以外とショック!?』
電話越だろうと焔に対して鈴華はテンションが高く子供らしく焔が異常に大人しい。
「何もねぇなら切るぞ?」
『え?ちょ、待っ!?イザ兄に会いたい人がうちに来てるんだ。しかも防衛省からで今イザ兄と話したいらしいの』
「防衛省?防衛省だと!?厄介で快楽を持ち込んだな、あのハバアは!鈴華?その防衛省と電話変われ!」
『わ、分かった。ちょっと待ってて』
そう言って数秒後。
『電話を変わる。電話越ですまないが防衛省の烏間だ。君には我々の最終兵器として椚ヶ丘中学3-1へ転入生徒として入学して欲しい』
転入。生徒。の言葉に十六夜の考えは変わる。
上記の言葉に余り良い思い出が...椚ヶ丘中学だと!?
それなら...と一つの提案を持ちかける。
「生徒ではなく教師としてなら乗ってやるよってな。今からソッチヘ行くから考えとけよ」
っと電話を切り寝転がる十六夜。
十六夜のスピードなら考える間のなく到着するからだ。
第三宇宙速度で物を投げ自身はそれ以上の速度で動ける。
マッハに直すなら__
軽くマッハ50以上と規格外にも程がある。
「ふーん防衛省ねー。今動く防衛省と言ったら」
すっと、見上げるは空。
遠い目をして見つめるは空に浮かびし“三日月”。
次の瞬間に空から舞い落ちる手紙を取るが手紙をポケットに入れ放置。
逆廻十六夜は鞄を拾って川辺を後にし、“カナリアファミリーホーム”に善は急げと戻る。