Fate/zero another after   作:李夏さん

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クーさんははぐれとしてこっそり生活してるだけです。
現在、弓枠のみ空席となっておりますので、出てきて欲しいサーヴァントが居ればどうぞ。


曇天。

何事もない平穏な日々は続く。

ある者は社会の歯車として世界を回し、ある者は学問に励み、ある者はまた新しい命を産み、ある者は命を絶っていく。

 

そう、この世界で人が死に、産まれる事は当然で、既に浸透してしまっている。

なのに、人々は名も無き命が消えてゆく事には目を向けず、名を馳せた命が消えていく事だけを拾い上げる。

なんと悲しい事か。

確かに、一々隅から隅まで拾い上げていては1日は終わる。

しかし、だからと言ってそれで無碍にしてよいのだろうか。

 

その答えは、誰も知りえない。

 

 

「はぁ……珍しく今日は釣れねぇな…金属の類を身につけちゃいけねぇのは、面倒臭いもんだ…」

 

「じゃあオマエ、いつもどうやって釣ってるんだよ…」

 

「あん?見せたことなかったか?ほれ、骨だよ骨」

 

「………骨?にしては、ちゃんと釣り針になってるじゃないか…」

 

「そりゃ無理矢理作ったに決まってんだろ、竿だって自作したんだぞ?」

 

「…不便な生活してるんだな、オマエ…」

 

「ま、多少はな。そんな釣具でもお前よりは釣れてるけどよ?」

 

海。 似たような髪の色をした2人はくだらない、地味にどうでもいい会話をしながら釣り糸を垂らす。

 

「う、うるさいな!今日はクーさんこそ釣れてないじゃないか!?」

 

「俺のはたまたまだっつの、毎日アジ1匹くらいしか釣れない慎二とはちげぇんだよ!」

 

「コイツ……いつも釣れてるからって…!!」

 

今にも喧嘩が始まりそうだが、なんだかんだでいつも喧嘩はしない2人組。

べたつくような海風に吹かれながら、昼前になればお互い呆れたように釣具を回収し、何事も無かったかのように自身の次の予定地へと帰るのだ。

 

片方は家へ、片方は別の釣り場へ。

なぜだかこの2人はなんだかんだで最初だけよく惹かれ合うらしく、本屋に行けば本屋で、海へ行けば海で。

食事を取ろうとしたら店で、何故か遭遇する。

 

彼等は、よく分からない運命に導かれているのかもしれない。

 

そんな奇妙な運命の裏側では、ファストフードを慎ましく摂取しているOLとも呼べる女性がいる。

その眉目秀麗な姿を一目見れた男共に比べれば、男同士何故か惹かれ合う彼らは飛んでもなく不運なのかもしれない。

 

冬木は今日も平和だった。

しかし、天気予報が予想していなかった、午後からの急な分厚い雲が、平和を掻き乱すような、そんな雰囲気を撒き散らしていた。

 

「っと、今日は曇りだったか…?あーあ、一匹も釣れねぇで帰るのなんざ何時ぶりかねぇ……悪いことでも起こらなきゃ良いんだが」

 

フードを深くかぶり直し、色素が失われていくかのような灰色一色な空を見上げながら、彼はそっと消えてゆく。

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