ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
グリーンドルフィンストリート・麻帆良
206号室
「「えぇーーーーーッ!!く、空条さんの『親戚』ぃいいーーーーーーーッ!?」」
部屋中に、スバルとネギの声が響いた。近くにいたリィンとティアナは、あまりの声の大きさに耳を押さえる。
「………あ…ああ。私のひいじいさんの『ジョセフ・ジョースター』が浮気して産まれたのが仗助おじさんだ。」
「複雑なのね、あんたの家族………」
(ジョセフ・ジョースター………聞いたことがあるぞ。結構有名なニューヨークの不動産王だ………)
ジョースター家の複雑な家系に哀れむティアナたち。ネギは、ジョセフの名前に聞き覚えがあるようだ。
あの後、仗助の事を簡単に紹介した千雨はその後、スバルやネギたち(ようやく復活した明日菜たち含む)に、『スタンド使い』としての仗助を紹介するため、ここへ集まっていた。
「ま、オレの紹介はこれくらいにしてよォ、次はそこのオレンジのやつ―――ティアっつったか?―――そいつの『後遺症』についてだな………」
「「後遺症」?」
「うん、実は、『アヌビス神』に操られたのが原因だと思うんだけど………」
「私、『スタンド』が見えるんです…………」
「「「「「えぇッ!?」」」」」
そう、ティアナには、「スタンド」が見えるようになっていた。
原因はアヌビス神だと、仗助たちは推測しているが、これには訳があった。
「―――『アヌビス神』の本体は、600年前に死んだ刀鍛冶『キャラバン・サライ』ということが判明していますわ。つまり、『スタンドのみが生きていて、刀を抜いた人物を本体にする』ということになりますわ。」
「つまり、ティアは一時的とはいえ、『スタンド使い』になったって事だ。だから、スタンドが見えるようになったって、オレたちは考えている。」
「なるほどーー。………って、ちょっと待って!!」
仗助たちの説明を聞いていた明日菜は、ある疑問が浮かんだ。ネギやスバルたちもだ。
それは―――
「何で『いいんちょ』が話に参加してるのよッ!?」
そう、仗助や徐倫の座る席には、『いいんちょ』こと、『雪広 あやか』も同席していたのだ。
「あ、そういえば、言っていませんでしたわね。」
「あやかのとこの「雪広財閥」は、「スピードワゴン財団」と深い関わりを持っていてな。有事にはあやかをエージェントとして派遣してくれるんだ。」
「「「「「「えぇーーッ!?」」」」」」
衝撃の事実に、スタンド使い側以外の全員が驚く。ふと、ヴィータはあることを思い出す。
「そういえば、財団のエージェントが『矢』について調べてるって聞いたけど………」
「ええ、わたくしの指揮下で働いている方々がおりますの。わたくし、スタンド使いではありませんが、みなさまのお力にはなりますわよーー。」
ホホホと優雅に笑いながら言うあやか。
そんな様子を、全員がぽかんと見ながら、全員同じことを考えていた。
『こいつが財団のエージェントをあごで使っているのか………』
#19/田中 かなた(ハイ・ステッパー) ①
翌日 午前13時35分
麻帆良学園女子中等部 職員室
「―――と言う訳で、来年度からお世話になります、東方 仗助です。まだまだ未熟者で至らぬ自分ではございますが、なにとぞご教導を賜りますようお願い申し上るッス!」
仗助が一礼すると、まばらに拍手が起こる。
広域指導員であり、絵にかいたような堅物教師の新田先生が紹介したと聞いていたのだが、いざ出てきたのが、絵にかいたような「昭和の不良」のような髪型の仗助であったため、かなり困惑しているのだ。
「いやー、よく来てくれたね、仗助君!」
「ういッス!新田先生も、お元気そうで!」
「よろしくお願いします、仗助さん!」
呼んだ本人である新田先生や、前日に会っているネギなどは別であるのだが……
仗助の隣に立つ学園長がワザとらしく咳払いをすると、教員全員が静かになった。
「さて、東方先生には、ネギ先生の受け持つA組の副担任を任せようと思っておるのじゃが、どうだろう?」
学園長の言葉に、真っ先に仗助が反論した。
「え?ちょっと、いいンすか?聞いた話じゃあ、ネギは今年から先生になったばかりらしいし………オレも去年教員になったばかりッスよ?センセーの「タマゴ」と「ヒヨコ」にひとクラス任せるって………」
「一応、ウェザー君が補佐してくれるでの。」
学園長に言われて一応は「はあ……」と返事を返したがいまいち納得していない様子の仗助であった。
☆★☆★☆★
13時50分
挨拶も終わり、仗助はネギに校舎を案内されていた。廊下を歩く中、ふとネギは、気になっていたことを聞いてみる事にした。
「所で、仗助さんは新田先生とどういうご関係なんですか?」
「ああ、オレのおふくろが、新田先生の元教え子でよォ、その『ツテ』で紹介されたんだよ。」
右手で後頭部を掻きながら説明する仗助に、ネギは納得したように頷いた。
「前の学校、生徒と校長をボコボコにしたせいで
「………え?」
しかし、仗助が詳しい経緯を話すと、目が点になった。見た目は不良っぽいけれど、話してみて優しそうな人だなー、と思っていただけに、結構な衝撃だ。
どうしてそんな事を?と聞きたそうな顔をネギがしていたからだろうか、仗助は「だってよぉー、」と、自慢のリーゼントヘアーをビシッと指さした。
「アイツら、オレのこの髪に『ケチ』つけるんだぜー?髪型けなすヤローは、誰だろーと許せねぇータチなんだよ、オレ。」
「そ、そうなんですか…!で、でも!個性的でカッコいいと思いますよ僕は!はい!」
慌ててネギが褒めると、そーかぁ?と機嫌がよくなった様子の仗助。ネギは今の話を聞いて、仗助の髪型には触れないでおこうと、心に誓った。
ふと見ると、前の階段から3人の女子生徒が上がってくるのが見えた。
内2人は仗助の大姪である空条徐倫と学園長の孫である近衛木乃香、もう一人は、仗助の知らない生徒であった。
身長は徐倫と頭半分ほど低く、肩まであるアッシュグレーのくせっ毛の右側3か所を短い三つ編みにした個性的なヘアースタイルをした、中性的な顔立ちの生徒であった。
「お、ネギに、仗助おじさん。」
「ネギくん♪それと東方先生やね。おじいちゃんから聞いとるよー」
「コンニチハ、ネギ先生。」
「あ、空条さんに田中さん。」
ネギが「田中」と呼んだ女子生徒は、やや高めの声であいさつをした。
「ああ、仗助さん、こちら、2年C組の「田中かなた」さんです。田中さん、こちら4月から数学を教える東方仗助先生です。」
「どうもッス………と?」
「こんちにはぁ~」
挨拶をする仗助は、かなたの後ろに控えるメイドが挨拶をした。見たところ20代後半だろうか、黒いワンピースに白いエプロンとヘッドドレスというメイドの記号ともいえる服装に黒いショートボブに丸眼鏡をかけたメイドが、仗助たちに微笑んで挨拶をした。
「ああ、田中さんの付き人の、
「よろしくお願いしますねぇ~」
美佳と呼ばれたメイドは、おっとりと間延びをした口調でお辞儀をした。
「じゃあうちら、新入生向けの部活紹介の打合せがあるんでー」
「文芸部と占い研究会は、部員少ないんですよ~」
「はい、気を付けて。」
徐倫たちはそう言って2人の後方に歩いていくのを見届けると、仗助はネギに聞いた。
「なあネギよォー、なんであの生徒、メイドさんなんて連れてるんだ?」
「なんでも、田中さんのお父さんが身の回りのお世話のために雇ったそうですよ。僕も最初は驚いたけど、特に授業等には干渉しないようなので。」
「ふぅ~ん………『田中』なんてヘーボンな苗字と思ったが、結構なお嬢さまなのかぁ?………
メイド喫茶なんて行くの間田くらいだけど、と呟いた仗助は、3人の方を振り返った。
「………」
「?」
その時、丁度同じようにこちらを見るかなたと目が合った。しかし彼方は、こちらを睨むように目を細めていた。徐倫と木乃香に呼ばれて慌てて合流するかなたを見て、仗助は首を傾げた。
「………?」
「どうしたんですか仗助さん?」
『チュミ~』
後ろでネギが声をかけてきた。仗助は不思議に思いながらも、彼に着いていった。
☆★☆★☆★
14時15分 学園長室
「君たちも本当に忙しいのぉ………」
「はい、………私たちも、まさかこんな事態になるなんて………」
書類に目を通した学園長は、目の前のフェイトと承太郎を見た。承太郎は普段通りに無表情であるが、フェイトは少し申し訳ないような顔であった。
「今回の件、『矢』の調査と並行して「SPW財団」も調査を行う。あながち無関係とも言い切れんからな。」
「すまんのぉ……所で、「彼女たち」は……?」
「今は、スバルたちと一緒にいます……まだ、少し困惑しているようでしたが………」
☆★☆★☆★
14時55分
「結構話したなー、どっかでお茶のまへんー?」
「そうですねー、じゃあ、STARBOOKSCAFEにでも………」
打ち合わせをしていた徐倫たちは、内容を一通り終えたらちょうど15時前であったので、今日はこれで解散にすることにした。
(………今のところ、目立ったことはしてないな………桜咲の話が本当なら、
目の前で木乃香や美佳と話すかなたを見ながら、徐倫は考えていた。
今回の「打合せ」はいわば口実であり、(部員増やしたいのは本当だけど)実際はかなたの動向を探り、スタンド使いかどうかを調べるためであった。
今のところは怪しい動きはなく、木乃香と仲良く話している。
(もうしばらく様子を見るか………ん?)
ふと、階段の前を通りかかったとき、上の方が騒がしい事に気が付いた。木乃香たちも気づいたらしく、上の方を見上げると………
「うおおおお!?」
「待てコラぁアッ!!」
「「「な!?」」」
赤い短髪の少女が、リーゼントヘアーの大男に追いかけられていた。少女は踊り場から階段を飛び降りるが、着地しようとした時になって目の前に人がいる事に気が付いて驚きの顔になっていた。しかし、空中では軌道修正ができず、そのまま3人に突っ込んでくる!
「えっ」「あ!」
ドンガラガッシャァアーーン
少女は驚くかなたとぶつかってしまい、そのまま階段の向かいにあった空き教室に転がり込んでしまった。
「かなたさまーーー!?」
「え、えええええ!?ちょ、かなたちゃん、だいじょうぶー!?」
転がっていったかなたの心配をして、教室に駆け込んでいく美佳と木乃香。徐倫も突然の事に言葉を失っていたが、慌てて駆け寄った。
「いてて………」
「うーん………ん!?」
が、徐倫たちはその光景を目の当たりにして絶句した。尻もちをついたかなたのスカートの『中に』、「赤毛の少女が顔を突っ込んでいた」のだから。
「どんな状況!?」
あり得ない状況に、思わず叫ぶ徐倫。
同じころ、ハルナが「ラブコメの波動を感じる」と言って夕映を呆れさせたとかなんとか………
「うわわ!?」
「わーーー!?ご、ごめんなさい………!」
状況を認識したかなたは飛びのいて赤毛の少女の後ろに回り、少女は振り返ってかなたに謝った。
「………あ、あの………もしかしてその、み、『見ちゃいました』か………?」
「え、ええと………(て言うか今のって……こいつの『スカートの下』……)」
かなたの質問に少女がどもっている。しかし、
「はっ!?」
かなたの背後に立つ影を見て、驚愕した。かなたの後ろには、巨大な影が立っていたのだ!
頭巾をかぶったかのような頭部に丸いレンズ型の一つ目を持ち、巨大な左右の腕の指先が真っすぐに伸びていた。
「何!?(コイツ、す、スタンド使い……!!)」
そこで少女は初めて気が付いたのだが、その影の指先は『銃口』になっており、少女を狙っていた!
次の瞬間、スタンドの指先から『ミサイル』が1発、発射された!
ズドォオオオンッ
「!?」
「え?」
発射されたミサイルは教室の隅に着弾し、爆発を起こした。てっきり自分が狙われていると思っていた少女は何が起こったのか分らず、かなたも不思議そうにしていた。
「―――グレート!テメエ、スタンド使いだったのか………」
「―――やれやれだわ、いきなりミサイルなんて使う、普通?」
その疑問は、直ぐに解決した。リーゼントヘアーの大男・東方仗助と、空条徐倫が、スタンドの腕を押さえつけ、狙いをそらしていたからだ。
「『バッド・カンパニー』と違って威力はないようだがよォー!テメエ、教室でミサイルぶっ放すたぁーどーゆー了見だぁーーー!?」
ここでかなたは振り返り、少女も立ち上がって彼女の背後を見た。そして、スタンドの全体像が明らかとなる。
「『
「「!?」」
そこには、頭巾のような兜をかぶり、両腕に巨大な機械の籠手のスタンドを装備した、メイド―――神矢 美佳の姿があった………
「………あらあら、バレてしまいましたわね~………」
←to be continued…
19話です。
・いつまでも戦力外なのは可哀想なので、ティアナにスタンドが見えるようにしました。ちなみに見えるようになる過程は『シャーマンキング』の木刀の竜が元ネタ。
・『財団』のエージェント『いいんちょ』。雪広財閥くらいでかかったら、SPW財団と繋がってても何の不思議もないはず…と思ったのがきっかけ。
・オリジナルキャラのかなたと美佳さん。かなたがスタンド使い、と見せかけて実はメイドさんの方が、というオチ。美佳さんは最初もっとクールなメイドの予定でしたが、天然っぽい人の方がいいかなー、と思って変更しました。
では、次回をお楽しみに!