ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

22 / 99
今回が、たぶん年内最後の投稿になります。


#21/田中 かなた(ハイ・ステッパー) ③

15時10分

 

「おい美空(みそら)!ココネと遊んでねーでさっさと掃除終わらせろ!」

 

礼拝堂を掃除していた、赤毛を肩で切りそろえた修道女(シスター)は、同じく赤毛をショートカットにしたシスター・春日 美空に怒鳴る。後ろでは、黒い肌に大きな目の少女ココネが「怒らレタ……」と呟いていた。

 

「へーい。まったく、パンツ姐さんは口調キツイのにお堅いんだから………」

「誰がパンツ姐さんだ!苗字で呼ぶなっつったろ!」

 

気のない返事をする美空に、パンツ姐さんこと『ホット・パンツ』は再び怒鳴った。名前の事で言われることが多いらしく、なんでこんな変な苗字を名乗るようになったのか、先祖に小一時間問い詰めたいとは彼女の弁である。

 

「別にそんなに怒鳴んなくても………」

「シャークティが留守の間は、オレがお前ら見てろって言われてんだよ。ったく、『プッチ神父様』いた時は、そこまでフマジメじゃなかったろお前………」

「いやー、プッチ神父って何考えてるか分かんなくてコワイ人だったし………解放されたってゆーか………」

「……神父サマ、どこいっちゃったんダロ………」

 

ココネのつぶやきに、2人ははっとした。プッチ神父は2年前までこの教会に務めていたのだが、ある日突然、行方不明となってしまっていた。

 

「あー、ココネは神父に妙に懐いていたッスからねー………」

「あの人なら大丈夫だろ。ちょっと故郷に里帰りするって言ってたし、きっと帰ってくるって。」

「………ウン。」

 

ホット・パンツに諭されたココネは、小さく頷いた。その時だ。

 

 

 

グワッシャァアンッ

 

 

 

「うえぇ!?」

「何だ!?」

 

突然、礼拝堂の大きなステンドグラスが割れて、2人の少女が飛び込んできた!3人のシスターが唖然とする中、赤い髪の少女がうーんと唸った。

 

「………あー、すんません、懺悔したい事あるんですけど………懺悔室ってどっちですか?」

「まずはオレたちに謝れ。」

 

赤毛の少女・ノーヴェに、ホット・パンツがツッコミを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

#21/田中 かなた(ハイ・ステッパー)③

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15時11分

 

「結構飛んでいきましたねぇ~………30m位は行ったんじゃぁないですか~?」

 

跳んで行ったかなたたちが教会のステンドグラスを突き破ったのを見た美佳は、感心したように呟いた。仕方なく、かなたは後回しにして仗助たちの方から『消す』ことにしようと振り返ったが、

 

「………あれ?」

 

いつの間にか、仗助や千雨たちの姿がなかった。慌てて周囲を見渡すと、宙を飛ぶ仗助と徐倫、そして杖で飛ぶネギ、チンク、木乃香の姿があった。

 

「くっ………ダメですね~、既にミサイルの射程距離外です………」

 

美佳は『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』の指先を構えるが、仗助たちとの距離が遠く、ミサイルが届かないことを知った。仕方なくスタンドを戻すと、かなたたちのいる教会まで走り出した。

 

 

 

 

 

「………行ったか?」

『フム、モウ大丈夫ダロウ。』

 

美佳が去って数秒後、石畳の一部が盛り上がったかと思うと『緑色に変わっていき』、その下から千雨たち3人が出てきた。『グロウン・キッド』の能力で隠れていたようであった。

 

「咄嗟に隠れちゃったけど、徐倫たちは大丈夫かなぁー?」

「まあ、大丈夫だろ。」

『フム、シカシ、毎度ノコト思うノダガ、私ト楓ノ『能力』ハ、相性ガ良イナ。』

 

やれやれと肩を下す千雨に対し、布と一体化していた『グロウン・キッド』が感心したように言った。

 

「一応、承太郎殿に伝えるべきでござろう。学園長室へ向かおう。」

「だな。」

 

3人は、学園長室へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時12分

 

「おーい、ノーヴェー!」

「あ、チンク姉たち………」

「げ、ネギ先生………」

 

ノーヴェが振り返ると、割れたステンドグラスの向こうから仗助たちがこちらに向かってくるのが見えた。仗助とネギが着地をして杖から降りると、仗助はクレイジー・ダイヤモンドでステンドグラスを修復した。

 

「!?ス、ステンドグラスが………!?」

「あんたたち、杖に乗ってなかったみたいだけど、どうやって………?」

 

ホット・パンツがステンドグラスが直った事に驚く中、ノーヴェが疑問に思ったことを聞いた。すると徐倫が、ノーヴェのジーンズから伸びる2mほどのロープを指さした。

 

「あれ、このロープ、いつの間に………?」

「こんな事もあろうかと、アンタのジーンズにロープの切れ端を結び付けておいたのよ。切れ端はクレイジー・ダイヤモンドで直すことができるわ………見失っても、追いつけるようにね。」

 

成程、と納得をするノーヴェ。

 

「あのー、このかサン?一体全体なにがどーなってんスかこれ?」

「う、うんー、それが、うちにもさっぱり………?」

 

何が起きているのか理解できない美空と木乃香がひそひそと話す。後ろでココネが「魔力は感じナカッタ………」と小さく呟いたが、だれも聞こえていない。その時、携帯電話の着信音が鳴った。徐倫が懐から携帯電話を取り出してみると、相手はスバルからであった。

 

「もしもし、スバル?」

[あ、空条さん?セインから聞いたんだけど、そっちにチンクとノーヴェいる!?]

「ああ、ちょいと厄介な事に巻き込まれてな………さっきの2人、大丈夫か?」

 

心配そうなスバルに答える徐倫。すると、電話口から不思議そうなスバルの声がした。

 

[セインもウェンディもケガとかはないけど………何か変なんだ………]

「変?」

[うん………セインの話だと、『スタンド使いに襲われた』らしいんだけど―――]

 

 

 

「………何だと………ッ!?」

 

スバルからの電話を聞いた徐倫は、思わず聞き返した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時14分

 

()()()()()()()()………?」

 

麻帆良学園の学園長室でウェンディを診ていたセインとフェイトは、目覚めたウェンディの言った事に耳を疑った。

 

「ほ、本当に、何も覚えていないの………!?」

「うん、セインと一緒にいなくなったノーヴェとチンク姉を探してて、気づいたらここで寝てたッス。メイドさんなんて、()()()()()()()………?」

 

きょとんとして、フェイトたちに答えるウェンディ。フェイトとセインは、顔を見合わせて首を傾げていた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時16分

 

「何だと………!?」

 

電話を切った徐倫が、ウェンディが何も覚えていないことを知らせると、仗助とチンクが息を呑んだ。かなたが声を出す。

 

「も、もしかして……さっき倒れた時に、頭を打ったせいなんじゃあ……?」

「いや、()()()()はそんな『ヤワ』なつくりはしてねえ………ウェンディはアホな奴だけど、あんな目にあってそんな冗談を言うようなバカじゃあねー………いったい何があったんだ……?」

「何気にヒドイ言いようですね?」

 

なかなかヒドイ事を言うノーヴェにネギがツッコミを入れる。

 

「まさか………そういう事なのか………?」

 

その時、少し考えていた徐倫がある仮説を立てた。

 

「そのウェンディってヤツの状況と、私の知っている『情報』を合わせると………あのメイドのスタンド能力に、見当がついた………」

「何だと?」

 

全員の視線が、徐倫に集まった。

 

「あのスタンドのミサイルは、最初に思った通り、『人体にのみ』作用するんだ………ただし、()()()()()()()()()()()()()()………『記憶』だ………『記憶を()()()()()スタンド』なんだ………!」

「!」

「き、記憶を………!?」

「吹き飛ばす………!?」

 

息を呑むネギとかなた、そしてノーヴェ。しかし、仗助は納得したように頷いた。

 

「………なるほどな、あのメイドが「消す」って言っていたのは、オレたちの記憶を消すって意味だったのか………自分がスタンド使いだって知られたくなかったって事か………」

 

ネギやチンクは仗助の推測を聞いて、なんとなく納得をした。すると、今まで何のことか分かっていなかった木乃香が、おずおずと手を挙げた。

 

「あのー、さっきから、スタンドとかなんとかよー分らんのやけど………さっき徐倫ちゃん、『かなたちゃんじゃなくてメイドさんの方がスタンド使いだった』って言うてなかった?」

「え?」

 

木乃香の指摘に、全員が「あ!」と声を上げた。

 

「もしかして徐倫ちゃん、かなたちゃんがスタンド使いやって、知っとったん?」

「………まあな。実は、かなたがスタンド使いかどうか、調べてほしいと頼まれてな………」

 

徐倫の告白に、かなたはえ、と戸惑った。

 

「も、もしかして空条さん………『あの事』も知ってるの………?」

「……ああ。がっつり聞いている………」

「あぅう………」

 

ひきつった顔の徐倫に肯定されて、かなたは涙目でうつむいた。何故か、隣のノーヴェも、顔を赤くしている。

 

「あの事?」

「あの事って、どの事?」

 

聞いてくるネギと木乃香に対し、徐倫は話そうかどうか迷い、かなたと目を合わせた。かなたが小さく頷いたのをみて、徐倫は「やれやれ」とため息をついた。

 

「ま、木乃香も無関係ってわけじゃないし、こんだけ巻き込んじゃったからね………いいわ、話してあげる………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時20分

 

「かなた様………直ぐに記憶を消してあげますからね~………」

 

教会が目視できる距離となり、美佳は走る速度を速めた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時20分

 

「………なん、だと………!?」

 

礼拝堂は、静まり返っていた。ネギや木乃香は目が点になり、チンクと仗助は訳が分からないとばかりにわなわなと困惑する。告げた徐倫はやれやれと呆れ気味でかなたは耳まで真っ赤になり、ノーヴェも微妙な表情だ。

 

「お、おいネギ!今の聞いたかよ!?スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃…!今、オレの大姪っ子が、とんでもねー事を言ったぞ!?」

「い、言いましたね……とんでもない事を言いました……!」

 

混乱しながら話す2人。おずおずと美空が手を挙げた。

 

「あのー、徐倫サン?よく聞こえなかったんスけどもう1回言ってもらっていいっスか?」

 

美空に賛同するように木乃香とチンクがうんうんと頷く。徐倫はふう、とため息を付いた。

 

「………やれやれだわ。良いわ。何度も言ってあげる………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「田中かなた、コイツは『()』だって言ったのよ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………………えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!??!?!?』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「『竹取物語』……って、ありますよね?」

 

徐倫と対面した刹那は、そう切り出した。

 

「竹取物語です。あの話で、かぐや姫は自分に求婚してきた5人の男性に、自分の言った品物を持ってこれた人と結婚すると、条件を出しました………」

 

その話は徐倫も知っていた。中学1年生の『国語』で習った内容だ。

品物はそれぞれ「仏の御石の鉢」、「蓬莱の玉の枝」、「火鼠の裘」、「龍の首の珠」、「燕の産んだ子安貝」、だったはずだ。

 

「ある者は偽物をつかまされ、ある者はわざわざ偽物を作り、またある者は大けがを負いました。かぐや姫は5人の誰とも結婚したくないので、無理難題を押し付けたのでしょうね………」

「………あー、そうだな。その気がないのに、その気にさせる『悪女』………って感じだよなぁ~~~………つーか、」

 

何故かイキナリ「竹取物語」の話をし始めた刹那に、徐倫が待ったをかけ、見せられた『田中かなた』の写真を突き付けた。

 

「私は!「何でこいつが女装して女子校通ってんだ?」って聞いてんのよ!かぐや姫の話なんか、この際どーでもいいのよ!」

「いえ、ですから………この生徒も「無理難題を押し付けられた男性」、という事なんです………」

「………何?」

 

刹那がそう言うと、徐倫は怪訝な顔になった。

 

「実は彼、木乃香お嬢様の「婚約者候補」の1人でして………本名は『篤緒 奏汰(あつお そうた)』さんというのですが………それなりに名の知れた魔法使いの家系の人でして………」

「婚約者って………そーいやーこのかのヤツ、学園長がお見合いを無理やり進めてくるーって、よく愚痴ってたなぁ………」

 

明日菜やのどか達に話しているのを聞いたのを思い出して、徐倫が言った。

 

「他にも何人か魔法使いの家系の人が自分の息子を、と申し込んできたので、学園長はある『条件』を突き付けたのです。」

「条件?」

「それは………」

 

 

 

 

 

「『女装して3年間女子中等部に通い、『男』とバレなかったら結婚していいよ』、と………」

「何考えてんだ、あのジジイ………」

 

思わず突っ込む徐倫。刹那も、遠い目をしていた。

 

「案の定、大半の立候補者は辞退をしたのですが、」

「コイツの親はその条件をのんだ、って訳か………けど、普通スグにバレちまうもんじゃねーのか?」

「そうなんですよ。学園長は「魔法の使用は禁止」と条件したにも関わらず、彼は2年間もの間、誰にもバレずに学園生活を送っているんです………何度か魔法を使っていないかの調査も行われたのですが、魔法の使用は確認されていません………」

 

そこまで聞いた徐倫は、刹那が何故、奏汰がスタンド使いであるかを疑った理由を察した。

 

「なるほどね、魔法を使っていないのなら、スタンド能力の可能性が高い、って言いたい訳ね……」

「はい。残念ながら、魔法先生や生徒の中にスタンド使いはいませんので………」

 

少し申し訳ない様子の刹那。徐倫は田中かなたこと篤緒奏汰の写真を持ってひらひらとさせた。

 

「………やれやれ、わかったわ、調べてあげる。」

「ありがとうございます。あ、あくまで今回の事は、秘密裏にお願いします。」

 

はいはい、と徐倫は返事をして部屋を後にした。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時25分

 

「―――とまあ、そんな訳だ。」

『………』

「お前も苦労してんだな………」

 

徐倫の話を聞いて、ぽかんとする一同。仗助はかなた、もとい奏汰に同情した。

 

「あー、………とりあえず、学園長(おじいちゃん)には後でローキック入れるとして………」

「ローキック!?」

「結構アグレッシブだなお前………」

「その事とあのメイドさんが追ってくるのとで、何で記憶を消す能力やて、分かったん?」

 

木乃香が徐倫に聞くと、徐倫は答えた。

 

「考えてもみて?たとえ男だってバレたとしてもよー、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()』なのよ?」

「「「あ!」」」

「なるほど………それであいつは、オレたちの記憶を消そうと躍起になってる訳か………」

 

説明を受けて納得をする一同。すると、奏汰はある事に気が付いた。

 

「………え?ちょっと待って………という事は………ボク何回も男ってバレたのに、忘れさせられていたっていう事ーーーーーーーーーー!?」

 

奏汰の叫びに、言われてみれば、と全員が気づいた。そうでなければ、2年間も女装して女子校になんて通えないだろう。

ついに奏汰は、おいおいと泣き崩れてしまった。

 

「もうヤダよ………母さんが無理やり決めちゃうし………父さんは父さんで婿養子だからそこまでの権限ないから謝るだけだし………この2年間でどれだけ心が折れそうになったか………」

「あーもー、そんなに泣くなって………」

 

泣き出した奏汰を慰める仗助。ふと、木乃香はノーヴェに聞きたいことがあった。

 

「ほんで、ノーヴェちゃん、やったっけ?えーと、かなたちゃん、いや、奏汰くん?が、その、男の子やって知ったのって、やっぱりさっきスカートの下、見たときなん………?」

 

木乃香に聞かれたノーヴェは、微妙な表情となり、

 

「いや、見たって言うか………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「顔面に、こう、『むにゅ』っと………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神よ(ジーザス)………

 

涙目になったノーヴェをチンクと木乃香が慰める中、ホット・パンツは天を仰いだ………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時30分

 

教会の前にたどり着いた美佳は、『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』を装備した。

 

「さーてと、さっさと記憶を消さないとぉ………お給料、減っちゃいますからねぇ~………」

 

 

 

 

 

←to be continued…




21話です。
・ホット・パンツ登場。宗教繋がりで美空たちと絡めたいなーって思っていました。SBRの終盤では女らしくなってたけど、今作では初登場時からの男っぽい性格です。

・『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』は、記憶を消し飛ばすスタンド。最初思いついた時には、かなり凶悪な能力だなぁ、と思いましたね。

・かなたは男の娘でした、というオチ。竹取物語の話しはじめる刹那は、ジョジョリオンの絵柄なイメージw

では、次回をお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。