ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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あけましておめでとうございます!

新年1発目にして、田中 かなた編ラストです!


#22/田中 かなた(ハイ・ステッパー) ④

15時31分

 

校舎の見取り図を片手に校舎の屋上に立っていたサルシッチャは、田中かなたが慌しく逃げている事を察知していた。

 

(……田中 かなたを探っていた『ソルとルナ』が、何度も標的(ターゲット)を見失ったので妙だと思い来てみたが………あの双子が、見失うなどあり得ない話なのだが………何やら厄介な事態のようだな………)

 

見取り図に展開させたスタンド『アンダー・ザ・レーダー』には、逃げるかなたや仗助たちの姿が映っていた。八角形の板にそれより一回り小さい透明の球体がはめ込まれており、コンパスの針のような足が四本生えた、機械的なデザインのスタンドだ。

 

(今ならば、我がスタンドの『地図上のものを自在に転移させることができる』能力で彼らを助ける事も出来るが………今は見ているだけだ。非情かもしれないが、まだ正体を晒す時ではないための判断だ………)

 

既に、『時空管理局』が動き、自分たち『スタンド使いを増やす者』の存在に気づかれている以上、派手な行動はできなかった。同時に、田中 かなたのスタンド能力を探るのに丁度いいと思っていた。

 

(しかしあのメイド、どこかで見たような気が……?)

「おい貴様………どうやってこの場所にいる……?」

 

不意に、サルシッチャは背後から声をかけられた。振り返ると、金髪を腰まで伸ばした小柄な女子中学生が、鋭い目つきでこちらを睨んでいた。

 

「そこは私お気に入りの『サボりスポット』だ……何者であろうと、そこに無断で居座ることは許さん………」

「微妙にカッコ悪いぞ…?」

 

サルシッチャの鋭い突っ込みに少女はぐ、とたじろぐが、すぐに立ち直った。

 

「安心しろ、言われずともすぐに立ち去る。無断で入って申し訳が」

「待て。」

 

サルシッチャはすぐに去ろうとしたが、少女の放つ冷たい殺気が突き刺さり、その場に凍り付いた。

 

「ッ………!?(なんだ、この殺気は……!?ケツの穴にツララを突っ込まれた気分だ……!!)」

「ただで返してもらえると思ったか侵入者?昼間で力が弱まっているとはいえ、貴様をとっ捕まえるなど、たやすいのだぞ………?」

 

少女は静かにそう言う。内心『冷や汗』ビッショリのサルシッチャは、この少女からただならぬ雰囲気に危機を感じ取り、直ぐにその場から転移した!

 

「!?………魔力も氣も無しに転移するとは………スタンド能力か………」

 

少女は消えたサルシッチャの気配をたどるが、既に校内から出ているようであった。

 

「まったく、スタンド使いの相手までしなければいけないとは………「ナギ」も、厄介な呪いをかけてくれたモノだ………」

 

少女はけだるげにそういうと、その場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

#22/田中 かなた(ハイ・ステッパー) ④

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15時35分

 

ピリリリ、と、携帯電話の着信音が鳴り響いた。奏汰のものであった。

画面を見てみると、『美佳さん』と、発信者の名前と番号が表示されていた。

 

「メイドからか?」

「は、はい………」

「貸せ。」

 

仗助は奏汰から携帯電話を受け取ると、通話ボタンを押して電話に出る。

 

「メイドか? 」

[あら~?かなた様の携帯にかけたはずなんですけど~………さっきのリーゼントの人ですかぁ~………?]

「お前の能力と目的は割れているぜ………今どこだ?」

[皆さんのいる、教会の前ですぅ~………私は別に熱心な信者じゃないんですけどぉ、出来れば教会を傷つけるのは気が引けるのでぇ、さっさと出てきてくださ~い。]

 

美佳がそう言うと、仗助は少し考えて口を開いた。

 

「………オメーがそうやって記憶を消そうと迫ってくるってことはよぉー、オメーが消せる記憶には『限界』があるってことだよなぁー?」

[!?]

「『限界』………?」

 

電話口の美佳が言葉に詰まった所で、ネギが聞き返した。

 

「口調から少し焦っているようだしよぉー、急がないと、『一番消したい記憶』が消せなくなっちまうんじゃぁねーかぁー?」

[………]

「沈黙は、『肯定』とみなすぜぇー?つまりよぉー、」

 

ここで仗助は言葉を切って、奏汰とノーヴェを見た。

 

「オレたちが奏汰とノーヴェを守り切れれば、オメーの『負け』って事になるよなぁー!?」

[………勝ち負けはともかくぅ、私が任務(おしごと)を失敗しちゃうことにはなりますねぇ………]

「だったら、話は早い。」

 

仗助は口角を上げて、こう言った。

 

「教会の外に出てやるぜぇ?『ノーヴェと奏汰を置いて』なぁー………『ここを通りたければ、オレを倒すことだな!』ってやつだぜ………?」

「仗助さん!?」

[………結構な自信で………]

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時38分

 

仗助は教会の外に出て、美佳と距離を置いて立ち止まった。その様子を、ネギや徐倫たちは教会の窓から覗いていた。

 

「大丈夫かなぁ、仗助さんだけで………?」

「何か策があるみたいだったけど………」

 

仗助を心配するネギと奏汰であったが、徐倫は心配そうにしながらも励ました。

 

「安心しろ、本気の『クレイジー・ダイヤモンド』は、オヤジの『スタープラチナ』のガードを破るくらい強いんだ。あのメイドの腕は丈夫そうだがよぉー、おじさんが簡単に負けるとは思えないわ………」

 

徐倫はそう言いながら、窓の外の仗助を見た。

 

仗助はスタンドを出さないまま立ち、『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』を装着した美佳と対峙していた。

 

「………あなたはぁ~、」

「ん?」

 

すると、美佳が不意に口を開いた。

 

「先ほど、私の記憶を消せるのには「限界がある」と言っていましたねぇ………正確に説明するとぉ、指先から発射されるミサイルが『1発』当たるとぉ、当たった地点から『1分』分の記憶が『消し飛ぶ』んですがぁ、1時間以上の記憶を消し飛ばすとぉ、何も覚えていない『廃人』になる可能性があるんですぅ~………」

「1発で1分の記憶が吹き飛ぶのか………1発でも当たればアウトだな………けど、何でわざわざ教えてくれんだ?」

 

表情を変えないまま、仗助はそう聞いた。

 

「どうせ『忘れてしまう』からですよ~………それとぉ~、」

「ん?」

「ついでに教えますけれどぉ~、実は私もかなた様と同様に偽名を名乗っていましてぇ~………本名は『レプラ・ハーパー』と申しますぅ~………裏稼業で『後始末屋』としてぇ、稼がせてもらっていますぅ~」

 

美佳、いや、レプラは相変わらずおっとりと間延びした口調で話す。

 

「スタンド………『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』………!!あなたに1発当てればぁ、一連の事に関する記憶を消すのに十分なミサイルを連続で着弾させることができるでしょう………」

「………」

 

仗助とレプラはにらみ合い、じりじりと距離を近づけ―――

 

 

 

「『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』ッ!!」

「『クレイジー・ダイヤモンド』ッ!!」

 

レプラは飛び上がると、眼下の仗助に向けてミサイルを発射!仗助は素早く石畳を破壊して修復、防御壁にしてミサイルを防いだ!

 

「はっ!?」

 

しかし、レプラはスタンドの右こぶしを振りかざし、仗助に向けて振り下ろさんとしていた!

 

「ドラァッ!」

ガギッ

「!?」

 

だが、仗助は『クレイジー・ダイヤモンド』で腕を弾くと、スタンドの巨大な腕は地面に激突した。

 

「ドラララララララァアッ!!」

ドガガガガッ

「ぐふっ………!」

 

そのまま仗助はスタンドの両拳で胴体を殴る!兜の固い感触があったもののいくつかの『ヘコミ』をつくり、レプラは後方に吹き飛んだ!

 

「良し!」

「やはり腕がデカい分、動きが大ぶりだな………あのミサイルに気を付ければ、近接パワー型の『クレイジー・ダイヤモンド』で負けはしない!」

 

教会で様子を見ていた徐倫が、吹っ飛んだレプラを見て言う。スタンドを視認できない木乃香たちも、仗助が優勢であることは分かった。

吹き飛んだレプラは地面に倒れていたが、仗助が追撃してくるのを見て、再度指先を伸ばそうとした。

 

「!?ぐっ…………」

 

しかし、いつの間にか『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』の両手首に『ヒモ』が結ばれており、それはレプラの首に巻き付いていた!

 

「さ、さっきのラッシュの間にヒモを…!?か、構えたら首が絞まる………!!」

「よかったなー、自分で自分の首を絞めないでよぉー!!」

 

仗助はクレイジー・ダイヤモンドを出したまま走り、レプラにトドメを誘うとする!

 

「ま、マズい!負ける――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――なんていうと、思いましたかぁ~?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レプラが不敵な笑みを浮かべると、『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』の両手甲が左右にガシュン、とスライドし、ビール缶を思わせる形状の大型ミサイルが左右5発ずつ、計10発発射された!

 

「何!?」

ズドドォオオオン

『!?』

 

不意を突かれた仗助は10発全てをその身に喰らってしまい、吹き飛んで倒れてしまった………!

 

「じょ、仗助さん………!」

 

ネギが悲痛な声を上げる中、レプラはスタンドを解除して巻かれたヒモを切り、教会に向けて歩き出す。

 

「大型のミサイルはぁ、1発で『5分間』の記憶を吹き飛ばす………つまりぃ、10発で「50分」分………記憶が消えていますぅ………追撃はぁ、もうできません………」

「くっ………」

 

徐倫は教会の外に出て、代わりに攻撃せんと構えた。レプラがスタンドを構えると同時に戦闘は始まるだろうと、すでに察していた。

 

「ん?50分………?」

 

ふと、ネギはレプラの言った『50分』という言葉が気になった。何か、50分前に何かあったような気がする………そう思って時計を確認しようとした、その時である。

 

「………」

「はっ!」

「あらぁ?」

 

仗助が立ち上がっていた。しかし、その目つきは鋭く、ただならぬ空気を発していた。

 

「お、おじさ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドグシャァッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブギャ!! ??」

「!?」

「え………?」

 

 

 

 

 

徐倫が声をかけるよりも早く、仗助はレプラの顔面に『クレイジー・ダイヤモンド』の拳を叩き込んだ!

レプラは訳が分からないまま、破壊されたメガネの破片も刺さった顔から血を吹き出したが、仗助の攻撃は止まらない!

 

「ドラララララララァアーーーッ!!」

ドゴドゴドゴバキドガッ

「ぶぎっ!?ぎ、ぐぎゃ………!?」

 

そのままラッシュを叩き込まれ、レプラは衝撃で吹き飛んでしまう!

 

「うおっ!?………っとお………」

「あーれーーー!?」

ドグシャァッ

 

ちょうど教会のドアの方に飛んできてしまったため、徐倫がレプラを避けると、レプラは教会の椅子につっこんで破壊した。

 

「ど………どうなって、るんですぅ………!?た、確かに、記憶を、消した、のにぃい………!? ?!」

 

レプラは顔面がぼこぼこになり、よろけながら起き上がると、疑問の声を出す。だが、教会の外の仗助は、まだ止まっていなかった。

 

ドガァッ

「きゃぁあ!?」

「どこ行きやがったァーーーッ!出てきやがれガキコラァーーーッ!!」

 

叫びながらドアを蹴破り、手当たり次第に周囲の家具を破壊し始める仗助。

 

「が、ガキ?いったい………、何の事だ…?」

「隠れてんじゃぁねーぞぉーッ!!」

 

その様子をみたホット・パンツは、首を傾げた。暴れまわる仗助に木乃香と美空が怯えているその時、時計を見たネギが、声を上げた。

 

「ああ!」

「どうしたん、ネギ君……?」

「い、今の時間は………『15時40分』過ぎ………つまり………その50分前は、『14時50分』………!」

「?それが一体どうした……?」

「「あ………」」

 

ネギの言っている事がわからない徐倫たちであったが、意味が分かった者が『2人いた』。ノーヴェとチンクだ。

 

()()()()()()()()()()()~~~()()()()()()()()()()()()()()()ッ!」

 

「ちょ、ちょうどその時間………ノーヴェさんが、仗助さんの髪形を『けなして』しまい……仗助さんが、激怒してしまったんです………」

『え?』

「………あー、そーいうこと………」

 

あっけにとられる一同であったが、徐倫には理解ができた。あのリーゼントヘアーに『誇り』を持っている仗助は、髪形をけなされると烈火のごとく怒り出すのだ。

 

「つまり、ちょうどその時の『ブチ切れ状態』のおじさんの時間にまで記憶が戻っちまったから、怒りのままに暴れている訳か………」

「何………ですってぇ………!?」

「ドララァアッ!!」

ドガァーンッ

 

それを聞いたレプラは、まさかの事態に信じられないという声を上げると、そのまま倒れた。

 

「だ……ダメですぅ………起き上がれそうに、ありません………あの人が起きた時にぃ、誤魔化せるようにと、『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』を解除していたのが、『アダ』となりましたかぁ………」

 

力なく倒れたレプラを見て、奏汰とノーヴェはほっ、と安心をした。

 

「とりあえず、これで一件落着ですね………」

「せやなー………」

「あー、教会の備品どーしよコレ………」

「も、もとはといえば、ボクたちの責任ですし、後で家に言ってみますね………」

 

仗助により破壊されていく教会の家具に嘆く美空に、奏汰が言う。すると、徐倫が口を開いた。

 

「………いや、まだ終わってねぇ……」

「え?」

 

徐倫は、ノーヴェの肩をたたいた。

 

「ノーヴェ、お前のおかげで助かったけど、おじさんの髪をけなしたのはお前なんだから、ケジメはちゃんとつけろよ?」

「へ?」

「そこにいやがったなあ!!」

 

ノーヴェが気づいた時には、仗助は拳を振りかざしてこちらにまっすぐ走ってきていた!

 

「とっととブチのめされやがれぇーッ!!」

「きゃぁあーーー!?」

「悪いがノーヴェ、今回はお前の責任だ……」

「まあ、せいぜい逃げ切れるように祈ってるから!」

 

ノーヴェを置いて退散したチンクと徐倫がそういうと、ノーヴェは悲鳴を上げて仗助から逃げる。教会内を駆け回るため、さらに家具が破壊され、懺悔室のボックスも粉みじんだ!

 

「何でこんな目にーーー!?」

「さてと、学園長に報告しに行くか。」

「あ、じゃあうちも行くわー」

「ひとでなしーーー!?」

「あの………誰か、救急車を………」

 

 

 

 

 

ノーヴェ―――10分後、駆け付けた承太郎に仗助が取り押さえられるまで走り回った。

神矢 美佳(本名:レプラ・ハーパー)―――全治1ヶ月

田中 かなた(本名:篤緒 奏汰)―――徐倫の報告から素直に退学届を提出。女装生活から解放されて喜ぶ。

近衛 木乃香―――宣言通り、学園長にローキックを入れた。

         スタンドの事はバレたが、魔法の事はまだ知らない。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

その日の夜

 

「………ねえ、ホット・パンツに美空?うちの教会の家具って、こんなに『前衛的』だったかしら?」

「「えーと………」」

 

グネグネと曲がって絡み合ったり、棘が生えたようだったり、融合したような椅子やテーブルを見て呆然とするシャークティに、美空とホット・パンツは説明に困ったのであった。

 

 

 

 

 

←to be continued…




22話です。
・冒頭はサルシッチャVSエヴァンジェリン。直ぐに逃げちゃいましたけど、エヴァ相手では割と分が悪いかと………

・美佳さんの本名は『レプラ・ハーパー』。元ネタは荒木先生のデビュー作「武装ポーカー」のマイク・ハーパーから。

・ブチ切れた状態の仗助がレプラを撃破。実は今回、このオチのために各場面で時間が表示されていました。ノーヴェはちょっと災難だったけど、ドタバタした締めは結構好き(笑)

では、次回をお楽しみに!
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