ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
2年生の後輩の帰った文芸部の部室で、徐倫は千雨とライトノベルを読んでいた。
「………ねえ、千雨?」
「んー?」
ネットアイドル活動の参考にライトノベルをよく読みに来ている千雨は、『プリンセスに
「リサリサばぁちゃんから、お前の相談のってやってくれって言われたんだけど、何かあったの?」
「………」
千雨は徐倫の質問を聞きながらも、ライトノベルから目を離さないでいた。徐倫はその様子を見て「やれやれ」とため息をついた。
「付き合い長いから、何かあったのかはなんとなく分かるけどさー………辛くなったら、話してくれていいのよ?」
「………うん、あんがと。」
徐倫に、少し照れくさそうに感謝する千雨。本から目を離して徐倫の方に向き直り、口を開こうとしたその時、部室のドアが勢いよく開いた。
「長谷川、いる!?」
「アキラ?」
入って来たのは、アキラとティアナだった。息の上がった2人は千雨の顔を見ると、安堵の表情となった。
「よ、良かった……無事みたいで………」
「な、なんだ?どうかしたのか?」
自分の顔を見て安心した様子の2人に戸惑う千雨。ティアナが説明をした。
「いや、ホル・ホースが、この街に『ヤバいスタンド使い』が来たって言って………あんたを狙ってるかもって………」
「何!?」
ティアナの説明を聞いて、弾かれたように立ち上がる2人。しかし、千雨の所にいないとなると………?
「他の奴が………特に、ルル・ベルが心配ね………探すわよ!」
「うん!」
4人は頷きあうと、部室を飛び出した。
#73/セブン・カラー ②
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル………」
一方、シャランと戦うネギは、明日菜の念話で頼まれた通り、シャランの足止めを行おうとしていた。
「あらあら嘲笑~……まーだ抗おうっての~?譏笑って感じねぇ~!」
シャランは嘲笑いながら、ネギにリボルバーの銃口を向ける。しかし、ネギは構わずに詠唱を続け、叫んだ!
「
ドババァアッ
「おっと!」
シャランは、放たれた17発の魔法の矢を、『セブン・カラー』で弾いて、防御する。弾かれた魔法の射手は地面や街頭に当たってスパークを起こした。
「ハン、誹笑!この程度どうって事………!」
「どうという事ない」と言い切るよりも前に、シャランの右足に鋭い痛みが走った。見れば、右足がまるでナイフで切られたかのようにズタズタに切り裂かれていた!
「!?ッ………なん……!?」
「あなたが『銃とスタンド』の併用なら、僕は『魔法とスタンド』の併用ですよ!」
遅れて血が噴き出し、膝から崩れ落ちるシャランに、指先で爪を回転させたネギが言い放つ。
ネギは、シャランが『魔法の射手』に気を取られている間に『タスク』を発射して、シャランの足を切り裂いたのだ!
「サンキュー、ネギ!」
シャランが崩れ落ちた瞬間、明日菜は『ハマノツルギ』を振りかぶって駆け出す!
「アスナさん!そのまま真っ直ぐです!」
「OK!」
明日菜は返事をしつつ、シャランに真っ直ぐ向かって行く。
「ッ……ナメんじゃないわよ!!」
『シチャァアアアッ』
シャランが叫ぶと同時に、『セブン・カラー』が殴り掛かる!しかし、アスナは避けようとはせずに突っ切り、腕や足、わき腹に赤・青・黄色のペンキがついてしまう!
「ハンッ嘲笑!所詮はこの程度――――――!?」
明日菜に攻撃を当てたシャランはあざ笑うが、向ってくる明日菜の顔を見た瞬間、その顔は焦りに引きつった。
「な!?(ナニィイ~~~!?こ、コイツ………!?)」
「でやぁあああああッ!!」
ドギャァッ
「ベグッ!?」
「「「………!?」」」
明日菜の振るった『ハマノツルギ』が、シャランの左の頬に直撃し、シャランは回転しながら吹き飛んでうつ伏せにスライディングして倒れた!
「な………何が起きたの……!?何故、明日菜にペンキが付いたのに、何も起きないの……!?」
ルル・ベルが困惑して呟く。ふとネギは、振り切った状態から立ち上がった明日菜の様子を見て、ある事に気が付いた。
「!?あ、アスナさん………!」
明日菜は、
「め、目をつぶっている……?」
「「「「え?」」」」
訳が分からず、キョトンとネギ。すると、シャランが起き上がって、明日菜に向けて叫んだ。
「!?な、何よアンタ……!?目を閉じる、なんて………!?」
「やっぱりそうだわ。あんたのそのスタンドの能力………その『正体』と「弱点」が、これでハッキリしたわ………」
「………なん、ですって………?」
困惑したシャランに、明日菜は目をつぶったまま得物の切っ先を向けた。
「アンタの能力は、「ペンキを塗って、
『!?』
明日菜の告げた事に息を呑む一同。しかし、ネギは少し困ったように伝える。
「………あの、アスナさん、シャランさん、もっと右の方です。」
「あ、こっち?」
「ちょっと行き過ぎです………」
切っ先が全然違う方を向いていたので、微妙に決まらなかった。少し混乱していたルル・ベルが、明日菜に聞いた。
「ぬ、塗られた色から、連想するダメージって………」
「人って、同じ『色』を見てもそれぞれで連想するものって違うでしょ?その連想から『思い込ませて』、ダメージに置き換える能力なのよ。」
その証拠に、と、明日菜は続けた。
「アーニャちゃんは赤い色から『炎』のダメージを受けたけど、本屋ちゃんは同じ赤色から『血』を連想して、血が噴き出した………」
「ああ!」
「そうか………さっき『子亀』にペンキが付いても何も起きなかったのは、『子亀』自体には『連想する脳』が無いから………!」
説明を聞いていたのどかが気づいたように言う。
シャランの殺しの方法に統一感がない理由も、これで分かった。色を見て感じるものが違うため、統一がされる訳がないのだ。
「だから、こうやって『見ないように』すれば、アンタの能力は無力化できるわけよ!」
「『目をつぶる!』単純だけど、結構効果的だ……!」
目をつぶったまま言い放つ明日菜。シャランは冷や汗をかきながら悔し気にしていたが、直ぐに冷静になって笑みを浮かべた。
「失笑………、やっぱ時間をかけた上に、同じ色使ったのはマズったなぁ………けど憫笑、目を閉じたままで、私を倒せるとでも?」
シャランは立ち上がろうとするが、直ぐに切り裂かれ出血する足の痛みに顔をゆがませた。
しかし、明日菜は直ぐに駆け出した!
「倒せるわよ!アンタの声とネギの指示で場所は分かるし、それにその『足』じゃあ、素早く動けないでしょう!!」
「!そのために足を!?」
明日菜の言う通り、シャランは足の傷でうまく動けないでいた!
「アスナさん!今です!振り下ろして!!」
「!?し、しまっ………」
「どりゃぁあああッ!!」
ゴシャァッ
「ッ!?わ、笑え……ない………」どさっ
明日菜はネギの指示で『ハマノツルギ』を振り下ろすと、逃げる間もなくシャランの脳天に直撃!シャランは白目を向いて気絶してしまった。
シュゥウン………
「あ………」
シャランが気絶して『セブン・カラー』が解除されたため、ルル・ベルの足の凍結とスバルの石化が解かれ、のどかの腕の出血も止まった。
「ありがとうアスナー、助かったよぉー………」
「けど、よく気づきましたねー?」
手足の感覚を確かめながら、スバルたちが集まる。のどかに聞かれた明日菜は目を開けると頬を指でかきながら答えた。
「いやぁー、最近美術の本で『暖色』と『寒色』の事読んだから、その事思い出して……」
「そういえば『美術部』でしたね、アスナさん。」
ネギが思い出したように言う。すると、未だ混乱した様子のアーニャが近づいて来た。
「な、何なのよネギ………さっきの爪も……あの女の人も………」
「あ、うん、アーニャ、説明はするけど………」
ネギは少し困ったように、気絶するシャランが「ううん…」と唸るのを見た。
「また、起きるといけませんね………」
「どうする?」
「………とりあえず、『敗北感』を刻むためにも、1人「1発ずつ」ぶん殴るって事でどう?」
「「異議なし。」」
「へ?」
バギッ!ボガッ!
ドグシャァッ
「ぎゃん!?」
☆★☆★☆★
「……参ったぜ、まさかあのシャランをブチのめしちまうなんてよぉ………」
麻帆良総合病院の診断室前で、ホル・ホースが呆れたように言う。
シャランのヤバさを聞いていた彼が慌てて千雨やルル・ベルを探していたのだが、到着した頃には、既にシャランはリタイアしていた。その後、アーニャの火傷やルル・ベルの凍傷等の治療を行い、大量に出血したのどかも血の量に反してあまりダメージはなかったらしいので、その日のうちに寮に帰れるようだ。
「シャランは、SPW財団が連行したわ。案外ラクに倒せたみたいで、拍子抜けね……」
「ま、手品の
ティアナが肩を落として言うと、ホル・ホースはにやりと笑いながらそう言った。
「いいからー!さっさと帰るわよネギー!」
「お、落ち着いてよアーニャ………」
一方、火傷の治療を受けたアーニャは、ネギの手を引っ張り叫んでいた。
ネギたちからこれまでの経緯を聞いたアーニャは信じられないとばかりに騒ぎ、ネギを無理やりウェールズへと連れ帰ろうとしているのだ。
「こんな危険な場所にいたら、心配になるでしょう!いや、私じゃなくて、ネカネさんがだけど………とにかく!帰るわよ!!」
「いや、そういう訳にも………」
強情に連れ帰ろうとするアーニャに困るネギ。すると、アーニャの後ろから徐倫が現れてひょいと、ネコか何かをつまみ上げるかのようにアーニャを持ち上げてしまった。
「落ち着きなよー、他の患者さんにメーワクでしょ?」
「な、何よイキナリ!?」
いきなり持ち上げられて驚くアーニャ。すると、徐倫の後ろにいたルル・ベルがこう告げた。
「………シャランを差し向けてきたのは、私の『
「え?」
「『
ルル・ベルが冷静に言うと、アーニャは押し黙った。
「……自分の娘の死も気にしない………『どこに逃げても、刺客を差し向けてくる』………!」
「そう。むしろ、麻帆良から出ない方が安全よ。」
ルル・ベルにそういわれ、アーニャはショックを受ける。落ち着いたらしい彼女を徐倫が下すと、ネギが話しかけてきた。
「アーニャ。確かに
「ネギ………」
ネギの真剣なまなざしに、アーニャはつい見入ってしまった。すると、それを聞いていたホル・ホースとルル・ベルが口を開いた。
「おうおう、
「アーニャ、彼を巻き込んだのは私の責任でもあるわ………そんな私が言うのもなんだけど、彼の『覚悟』は相当固いものよ?」
「う、うううー………」
アーニャはそこまで言われて、しばし唸った。そして、観念したのか肩を落とした。
「分かったわよ………まったく、昔からガンコなんだから………」
アーニャが納得したのを見て、ほっと胸を撫でおろす一同。
「さてと、納得してもらった事だし………最後に『ひと仕事』しますか………」
「そうですねー………」
「え?」
「な、何かありましたっけ………?」
明日菜とのどかがそう切り出したので、ネギが少し困惑する。2人に加えて、ルル・ベルとスバルもそうね、と頷いた。
「………シャランから『クリーニング代』
「「「あー………」」」
4人の制服や顔には、ペンキがべったり付いたままであった………
☆★☆★☆★
「やあネギ君、大変だったみたいだね。」
「あ、タカミチ。」
ネギたちが病院から出ると、タカミチがタバコをふかしていた。明日菜はこんな格好で…と照れていると、タカミチは笑いかけながらネギとルル・ベルに話しかけた。
「さて、君たちに『いい知らせ』と『悪い知らせ』があるんだけど………」
「………何かしら?」
「まずは『いい知らせ』から………ルル・ベル君たちが『矢』で射抜いたという「スタンド使いのカラス」が見つかった。麻帆良学園南にある、雑木林だ。」
タカミチがそう伝えると、ネギたちはおお、と驚く。
「思ったよりも早かったわね……それで、悪い知らせと言うのは?」
ルル・ベルがそう聞くと、タカミチは真剣な顔になって、こう告げた。
「………そのカラスに、魔法先生3名が『倒された』………」
←to be continued…
73話です。
・千雨が読んでいたラノベは、カーレンジャーのサブタイトルが元ネタです。何となくラノベにありそうな感じだと自分では思ってますw
・シャランのスタンドは、色でダメージが決まっている訳じゃないちょっと変則的な能力。明日菜の美術部設定って、原作だと学園祭編でしか活かされていなかった気がしたので、今回、活路の為にちょっと出してみました。
・次回はカラス編になると思います。ある面々が再登場する予定なので、お楽しみに。
では、次回をお楽しみに!