ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#76/オットーは謎だ! ①

「さてと、シルバークロス………あなたにとっては、『人間の勝手な都合』だと思うでしょうけれど………私たちへ協力してほしいのよ。」

 

鳥かごに入れられて不機嫌なシルバークロスに、紅茶を片手にルル・ベルがいつもの調子で話し始めた。

 

「そもそも、あなたのその『影踏み』のスタンドはそのために授けたものという事を忘れないでほしいわ………あなただって、『縄張り』のあるこの麻帆良を、「ヨソモノ」に荒らされるのは嫌でしょう?」

「………」

 

ルル・ベルはそう言うが、シルバークロスは黙ったままだ。しばらくして、シルバークロスは渡されていた携帯電話を起用にカチカチ操作すると、画面をルル・ベルの方に見せた。

 

[織れ野メリットは?]

「そうね……エサ場と住処の安全、だけじゃあダメかしら?あなたに匹敵するスタンド使いも多いしね。」

 

シルバークロスは少し考えた後、再度携帯電話を操作してルル・ベルに向けた。

 

[飯田ろう。強力してヤル。]

「感謝するわ。」

 

交渉成立すると、ルル・ベルはシルバークロスを鳥かごから出した。シルバークロスは2、3歩跳びながら出てくると、じっとルル・ベルの方を見た。

 

「あなたなら、呼んだら飛んできてくれればいいわ。後、なるべく人様に迷惑をかけないように。」

「カァーッ!!」

 

シルバークロスは返事をするように一鳴きすると、バサバサと羽ばたいて飛んで行った。一緒にいた明日菜と徐倫が、話しかけてきた。

 

「あいつ、放しちゃって大丈夫なの?」

「ええ。彼、結構賢いみたいだしね。」

「ふーん………」

 

明日菜がシルバークロスの飛んで行った方を見ながら頷いていたら、シルバークロスがUターンして戻ってきた。

 

「あら?」

「何?何か用でもあるの?」

 

シルバークロスは携帯電話を持ってくると、操作をしてこちらに向けた。

 

[総いえば、折れのスタンドの名前葉?]

「ああ、そういえばそうね………」

「結構名前気にするのね………」

 

わざわざそれを聞きに来たらしいカラスに呆れつつ、ルル・ベルはうーん、と考えた後、浮かんだ名前を口に出した。

 

「………『ラン・イントゥ・ザ・ライト』、なんてどうかしら?影のスタンドだし。」

「無駄にカッコいいわね!?カラスのスタンドよ?」

「………カァ♪」

 

ルル・ベルの考えた名前に思わずツッコむ徐倫。しかし、当のシルバークロスは気に入ったらしく、うれしそうな声で鳴いて、今度こそ帰っていった。

 

 

 

 

 

#76/オットーは謎だ! ①

 

 

 

 

 

シルバークロスの件が片付いて迎えた月曜日の昼休み。

 

「………ウェザー先生、折り入ってお願いがあります。」

 

若干やつれて目の下に隈のできた表情の朝倉が、ウェザーに話しかける。ウェザーは怪訝な顔で、聞き返した。

 

「………何だ?」

「先生は『天候を操る』能力だと聞いています。それを見込んで、『実証実験』に協力してほしいんです………」

「実証?」

 

ウェザーの疑問に、朝倉ははい、と返事した。

 

「なんでも、『時速60㎞』の風圧は、『おっぱいと同じ感触』なんだとか………」

「さて、昼食いに行くか。」

 

呆れて踵を返し歩き出すウェザー。しかし朝倉はしがみついた。

 

「お願いですよぉ~~~!河童のショックから立ち直りたいんですよぉ~~~!」

「知らん。てか、河童ってなんのことだ?」

 

ウェザーは朝倉を引きずりながら歩くが、朝倉は全く引き下がらない。そ

 

「まったく、何やってんのよ………」

 

そんな様子を遠くで見ながら、明日菜はため息をついた。彼女の座っている丸テーブルには明日菜とネギの他、スバルに徐倫、のどかに夕映と、学園長と話をしに来ていた承太郎までいた。

 

「一応お前たちにも話しておくが、『シャラン』のやつは情報を吐かなかった。まあやつもプロだ。そう簡単に口を割るとは、思ってなかったがな。」

「だろうな………」

 

承太郎の報告に頷く徐倫。結構な死線をくぐってきたであろうあの女が、簡単に口を割るとは思わなかった。

 

『あ、そう言えば………』

「うわ!?」

「い、いたの、相坂さん………」

『ええ、ずっと………♪』

 

ふと、スバルの背後にいたさよが思い出したように話しかけた。

 

『千雨さんのお父さんの事でずっと千雨さんを守っているようですけれど………千雨さんの『お母さん』は、大丈夫なんでしょうか?』

 

さよの疑問に一同があ、と気づいた。今までは(ヴィオレッタ)が千雨を狙っているために考えていなかったが千雨の母、つまりはJ・P・ポルナレフの妻の命も狙われている可能性があった。

 

「確かに、千雨ちゃんのお母さんの事、聞いたことないわね………」

「千雨のママか………葬式の時に泣き崩れてた印象しかないな………何しているのかわかんないけど、世界中回ってるらしいし………」

「どうなんですか、承太郎さん?」

 

徐倫が千雨の母について思い出していると、ネギが承太郎に聞いた。しかし、承太郎は微妙な表情になっていた。

 

「………千雨の母・百香(ももか)は、『SPW(スピードワゴン)財団』の調査チームに所属していてな………今は太平洋の『パララケルス島』にある『カメ文明遺跡』で石仮面が発見された為に調査に向かっているそうだ………」

 

承太郎は千雨の母、百香について話し始めた。

 

「百香は今となっては数少ない『波紋戦士』の1人だが、リサリサおばあちゃんが『現代最強』と太鼓判を押す程の実力者だ。あいつとは何度か会っているが………正直、俺も『スタープラチナ』で時を止められるとしても、正面から戦いたくはないな………」

「そ、そんなに強いんですか!?」

 

思わず聞き返すのどか。承太郎にそこまで言わしめる百香とは一体………?

 

千雨(こちら)の方にスタンド使いを投入しているところを見るに、ポルナレフの娘を優先させているか、あるいは百香が強すぎて諦めたかのどっちかだな………」

「何者なのよ、千雨ちゃんのお母さん………」

 

冷や汗をかきながら、明日菜は謎すぎる百香の存在に少し興味がわいた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

その頃

 

「すいませェん奥様………パララケルス島にいる『長谷川 百香』に送り込んだ傭兵一個小隊が、壊滅したそうです………」

 

ブラックモアがヴィオレッタに報告すると、ヴィオレッタはティーカップを置いてため息をついた。

 

「………このひと月で彼女に倒された刺客は、これで何人かしら?」

「ええと、殺し屋15人、スナイパー8人、傭兵二個小隊32名、仕込み杖の居合名人2人、暗殺拳法家6人、殺人ジャグリングピエロ1人、毒吹き矢使い2人です………」

「途中からダッカーの一員みたいになってないか?」

 

一緒に聞いていたリゾットがツッコミを入れる。というか、最初の殺し屋に含めていい気がする。

 

「そう………けれど、あの女も流石に連戦で消耗しているはず。南のパララケルスに『足止め』する事には成功しているわね。」

 

しかし、ヴィオレッタはほくそ笑んでいた。

『現代最強の波紋使い』である百香は自分の最大の『障害』になるであろうと考え、刺客を送り込んで南のパララケル島に止めることにしたのだ。

スタンド使いではないといえかなりの実力者である百香との戦いで、貴重なスタンド使いを消耗したくはなかった。

 

「引き続き刺客を送り込みなさい。今度は鎖鎌使い集団よ。」

「はい。」

「だから、何でそんな連中送り込むんだよ。」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

―――今回の事件の切っ掛けは、ほんの些細な疑問からであった。

 

 

 

 

 

放課後、のどかとハルナ、夕映の3人は、木乃香や刹那と共に下校中、偶然ティアナやチンク、ルーテシアと会った。

 

「あ、チンク。ティアナさんも。」

「こんにちはー」

「あら、今帰り?」

「ええ。ランスターさんたちは?」

 

夕映が聞くと、ティアナが答えた。

 

「うん、今ノーヴェ達の検査終わるから、どっか行こうと思って。」

「特にディードは、麻帆良に来たばかりだからねー。」

「なるほどねー………」

「あれ、そういえば、アギトちゃんは…?」

「うん、学校に用があるって言って………」

 

ふーん、と頷くハルナ。すると、夕映が思い出したかのように聞いた。

 

「そういえば、ノーヴェさんに憑依したという『ロストロギア』の詳細は、判明したのですか?」

「………ううん、左腕に何らかの力場があることは判明したんだけど、それ以上は………」

「ノーヴェも結構不安みたいだし………なるべく早く究明したいんだけどねー………ま、今日はその『気晴らし』もかねて、ね。」

「そうですか………」

 

歩きながら心配そうにする夕映とのどか。すると、向かい側から釘宮と亜子が話しかけてきた。

 

「おーい宮崎ー!」

「ちょうどよかったー!」

「あ、釘宮さんに、和泉さん?何か用ですかー?」

 

2人に話しかけられて首をかしげるスバル。

 

「あ、あんなー………聞きたいことあんねんけど………」

「スバルのトコに来てるっていう、『オットー』っていう人の事、聞きたいんだけどさー?」

「え、オットー?」

 

オットーの事を聞かれてきょとんとするのどかたち。魔法とスタンドに関わっていないA組とは接点のないナンバーズであるために理由が分からなかった。

 

「い、いやなー………京都でちょっとお世話になったというか………そんでこの間、麻帆良(こっち)に来とること聞いて………」

「あ、あー、そうなんだ………」

 

亜子から事情を聴いて納得するのどか。すると、向かいの道からギンガに連れられたノーヴェ、オットー、ディードが歩いてきた。

 

「あ、ティアー!」

「おや、この間の………?」

「あ………」

 

ギンガが手を振っていると、亜子に気づいたらしいオットーが声をかけた。

亜子はオットーを前にして顔を真っ赤になって固まってしまった。

 

「え、あ、あの………この間は、ほんまに………」

「いえ、ボクの方こそ、いきなり帰ってしまってすいませんでした………」

 

少しぎこちない感じの亜子の様子を見ていたハルナは、ほほう、と目を光らせた。

 

「なるほどねー………亜子ってば隅に置けない………」

 

そう言いかけたハルナは、すぐにオットーの後ろでディードが亜子をにらんでいるのに気が付いた。当の亜子は、オットーに夢中で気づいていないようだが。

 

「………なーんか、ディード(妹さん)がキッツく睨んでるわねー…?」

「よほどオットーさんの事が大事なのでしょうか……?」

 

ノーヴェ達を加え、後ろの方でこそこそと話すハルナたち。すると木乃香が頬に手を当てて笑った。

 

「まあディードちゃん攫われてめっちゃ心配しとったみたいやしなー………」

 

 

 

 

 

「知らん人が『()()()()』とお話しとったら、そら妬いてまうわなー♪」

 

 

 

 

 

「「「「え?」」」」

「「「「………え?」」」」

 

木乃香の発した『お兄さん』というフレーズに、思わず声を出してしまうのどかやナンバーズ一同。木乃香たちはその反応に首を傾げた。

 

「……え?あの………オットーさんって、『男性』なんじゃあ………?」

 

刹那がノーヴェ達に聞くが、一斉に目を反らしてしまう。

 

「え、ええ………?」

「あの、お2人とも『姉妹』のはずでは………?」

「だ、だって、アイツ絶対誰かと風呂入んないし………着替えも誰にも見せないし………」

 

申し訳ないように言うノーヴェ。チンクも困り顔だ。

 

「てか、のどかは私らより付き合い長いでしょ!?そういう話、しなかったの!?」

「い、いやー………オットーさんって最初来た時から、ディードさんの事でピリピリしてて話しかけ辛かったし………それに………エヴァンジェリンさんとかスタンド使いとか立て続けにあったしー………」

 

のどかから話を聞いて、夕映は若干呆れ顔になる。

 

「あ、あの!この間近くのボウリング場の割引券もらって………」

「ボウリングですか?ボクやったことないなぁ………」

「そ、そうなんですか!?よ、よかったら一緒にどうですか!?」

 

一方、オットーは亜子からボウリングの誘いを受けていた。少し困った様子であったが、ギンガの方を見ると「いいんじゃないか」といった風に頷いていた。

 

「………じゃ、じゃあ………お言葉に甘えて………」

「あ、ありがとうございます!」

 

亜子は深々と頭を下げる一方、オットーはこうやって誰かに誘われたことがなかったので若干不安そうではあったが、2人に着いて行こうとした。

 

ガシッ

「え?」

 

が、両脇をハルナとノーヴェに左右から掴まれて阻まれた。

 

「あれ、ハルナ?」

「ご、ごめーん!ちょっとこの人のお姉さんが話あるっていうからー!!」

「ほんの5分くらいで済むと思うんでーーー!」

バッヒューーーン!

「ちょ、ちょっとーーー!?」

 

釘宮が止めるもむなしく、2人はオットーを連れて走り去ってしまった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「な、何ですか一体………!?」

 

2人に路地裏に連れてこられたオットーは、ハルナとノーヴェに詰め寄られていた。

 

「オットー!アンタ男なの?女なの?ハッキリ教えなさいよ!」

「え?な、何で………?」

「いいから教えろ!」

 

いきなり自分の性別を聞かれて戸惑うオットー。鬼気迫る表情であるためにかなり引いていた。

 

「え、あの………秘密です。」

「いや、何でよ!?」

「いえ、そうやって無理に聞かれると、教えたところで何されるかわからないし………」

「いい加減にしろよ!?今そんな場合じゃないんだよ!」

 

この期に及んで秘密にするオットーに怒鳴る2人。何が何でも聞き出そうとするが、

 

ジャキッ

「「ッ………!?」」

「そのくらいにして放してください………オットーが困っているじゃあないですか………」

「ディード………!」

 

いつの間にかディードが後ろに立っており、『エターナル・ブレイズ』の剣を2人の首元に突き付ける。仕方なくオットーを放すと、2人はそのまま亜子たちの元に向かっていった。

 

「あれ?ディードも来るの?」

「ええ。というか、ギンガさんたちも来るわ。」

 

「おのれ~………スタンド使いこなしてるし………」

「どうするチンク姉?性別ちゃんとハッキリさせないと『間違い』が起きかねないぞ………」

 

2人の背中を見ながら歯噛みするハルナ。ノーヴェはチンクに聞くが、チンクはうーむとうなってばかりだ。すると、

 

ガコンッ

「話は聞かせてもらったわ。」

「「「わぁああ!?」」」

 

足元のマンホールの蓋が開いたかと思うと、中からルル・ベルが出てきた。

 

「いや、どっから出てきてんだお前!?」

(神出鬼没だなーこの()………)

「私の事より、今はオットーの事よ。仮に女性だとしたら、和泉 亜子の心に傷を負わせる事になるわ。」

 

ルル・ベルはノーヴェのツッコミを受け流すとそう言った。しかし、のどかたちは意外そうな顔で「え?」と聞き返してしまった。

 

「?どうかしたの?」

「いや、あんたの事だし、「仲間が増えるー」とか喜びそうなモンだとばっかり………」

 

ノーヴェがそう言うと、ルル・ベルは心外だとばかりにため息をついた。

 

「………何を言っているのかしら?確かに私は、恋愛に『性別』は関係ないと思うし、同じ恋愛観を持った人がいたらうれしいわよ?でもねえ………」

 

ルル・ベルは髪をかき上げ、向き直った。

 

「『()()()()()()』なのと、『()()()()()()()()()()()()()』は、全くの別物でしょう!」

「「「………まあ、確かに………」」」

「その辺の線引きは、ちゃんとしているんですね………」

 

ルル・ベルなりの恋愛観に、思わず頷く一同であった………

 

「まあ、それでも好きだって気持ちが変わらないのであれば、歓迎するけど。」

「そうですか………」

「とにかく、急ぐわよ。オットーの『被害者』が出る前に!」

 

ルル・ベルにそう言われて、チンクはうん、と頷いた。

 

かくして、オットーの性別調査と亜子の告白阻止作戦が、並行して開始された。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

ボウリング場に来た亜子は、釘宮の計らいでオットーと隣同士になった。

 

「わ、やったっ、スペアだ!」

 

オットーとディードは戸惑いながらも初めてのボウリングを楽しんでいた。元々、戦闘のみを学んできたために、このような娯楽は新鮮であった。

 

「へぇー!ボウリング初めてだって言ってたのに、結構うまいじゃないですかー!」

「いえ、狙いを付けるのは得意なので。」

 

釘宮が褒めるのを照れるオットー。確かにオットーの能力(IS)なら得意そうだ。

 

「……で、来たのはいいんだけど………」

「どうやって調べるです?」

 

ルーテシアとチンクの2人がティアナと一緒にトイレに行っている頃、2つ隣のレーンでひそひそと話すハルナと夕映。するとルル・ベルは懐から透明な液体の入った小瓶を取り出した。

 

「そうねえ………手っ取り早く、『コレ』で済ませちゃいましょうか。」

「それは?」

「『無味』『無臭』『無色』の三拍子がそろった『下剤』よ。」

「げざっ!?なんでそんなもの持ち歩いてるのよ……!?」

 

ハルナが思わず聞くが、ルル・ベルはお構いなしに小瓶をハルナに手渡した。

 

「これの中身を、オットーの飲み物に混ぜてちょうだい。あなたが適任よ。あ、安心して。1回『出せ』ば、すっきりする程度の弱いタイプだから。」

「なるほど。トイレに行くところを確認するのね………」

 

微妙に安心できないような気がしなくもないが、受け取ったハルナは手早く『ドロウ・ザ・ライン』で腹が注射器のようになったミツバチのようなデザインのスタンドを描くと、紙から出てきたスタンドに下剤を吸い込ませた。

吸い込んだスタンドはこそこそと低空飛行でオットーたちのいるレーンまで行き、こっそりとテーブルに上がった。

 

「へぇー、じゃあ、お姉さんが多いんですねー………」

「ええ、皆やさしい人たちです。」

 

オットーが亜子たちと他愛のない話―――念のために、ギンガによる念話のサポート付き―――をしている間に、オットーの飲んでいた烏龍茶にこっそりと下剤を混入

 

ザシュッ

「な…!?」

 

 

しようとしたその時、ディードが『エターナル・ブレイズ』の刀身がスタンドを斬り裂いた!

 

「?どうかしたのディード?」

「ううん、なんでもないわ。」

 

「しまった、ディードに気づかれてたか………」

「達人級の剣技だったわね………」

「ていうか、のどかの(アーティファクト)使えば早いんやけどねー………」

「それはそれで、難しいからねぇ………」

 

アヌビス神の影響か、達人並みの剣技を取得していたディードに戦慄する一同。

ディードが一緒では、オットーに質問することも難しいだろうと考え、ルル・ベルはため息を1つ。

 

「仕方がないわね………この手段だけは使いたくなかったけれど………」

「え?な、何をする気なん………?」

 

戸惑う木乃香に対し、ルル・ベルは携帯電話を取り出しながら答える。

 

()()()()!」

『ひん!?』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

用をたそうとトイレに向かったオットーとディード。すると、前の方から見知った顔が歩いてくるのが見えた。

 

「あ、オットーさんにディードさん。」

「おや、ネギ先生。」

「どうしてここに?」

 

ネギは2人に挨拶をすると、少し不思議そうな顔で首を傾げた。

 

「はい、僕ルル・ベルさんに呼ばれたんですけど………?」

「ルル・ベルさんに……?」

 

意外な人物の呼び出しに2人も不思議そうにしていたその時、

 

しゅたっ

「?」

「「!?」」

 

ネギの背後にルル・ベルが現れ、手から何やら白い粉をパッとネギの顔に向けて撒いた!

 

「ふぇ!?………ふぁ、ふぁッ………」

「!?」

「な…(何、この冗談のような魔力は………!?)」

 

粉が鼻に入ったのかクシャミが出そうなネギ。しかし、クシャミで魔力のコントロールが緩んだのか、ネギの周囲に膨大な魔力が渦巻いている事に気が付いた。そしてルル・ベルが退散した瞬間、

 

「ハックション!!」

ブワアァァァッ

「「!?」」

 

クシャミと同時に『風の魔法』が暴発し、周囲に突風が巻き起こる!

 

「ふふふ、ネギ君がクシャミで魔力を『暴発』させてしまうのは、既に調査済み!『武装解除魔法』でオットーをひん剥くのよ!」

「いや、やる事が大げさすぎだろこれ!?」「ネギ君なんも知らんし……」

 

離れた所でノーヴェと木乃香が隠れながら、ドヤ顔のルル・ベルに突っ込む。後ろで見ていた夕映たちも、ややあきれ顔だ。

 

一方、ネギのクシャミによる魔法の暴発がおきた地点では………

 

「………ふぅ、気を付けてくださいねネギ先生。咄嗟に『障壁』を張っちゃいましたよ………」

「あ、はい、すみません………」

 

そこには、障壁で防御したらしいオットーとディードに謝るネギの姿があった。

 

「失敗してんじゃん!?」

「そりゃそうだろ…あんだけ馬鹿でかい『魔力』渦巻いてたらいやでも気づくだろ………」

 

作戦の失敗に呆れる一同。すると、隠れていたルル・ベルたちの方に向いた。

 

「まったく、なんのつもりですか……ノーヴェ姉様まで…………」

「「「ああ!?」」」

「?」

 

しかし、のどかたちが驚いた声を出した。どうしたのだろうと考えていると、視線が自分の下半身に集中している事に気づいて見下ろしてみると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()、あまり毛の生えていない己の下半身が見えた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………え?」

「「ええーーーーー!?」」

 

あまりの状況にきょとんとするオットーと声を上げるネギとディード。驚く一同を余所に、ルル・ベルは「してやったり!」と笑う。

 

「ふふ、分かっていたわよ………オットーたちであれば、ネギ君の『魔力』を感知できることくらいはねぇー………」

 

すると、ルル・ベルのそばの床からセインと静が、すーっ、浮かんできた。

 

「あ、2人とも………」

「そうか、ネギ君の魔力に気を取られている隙に『アクトン・ベイビー』で………」

「「そーいう事♪」」

 

サムズアップで答えるセインと静。まさかの二段構えの作戦に舌を巻く一同。そしてルル・ベルは、オットーの下半身に『()()()()()()()()()()()』事を確認した。

 

「そしてオットー、あなた『()()()』だったのね。」

「え?ええ、まあ………」

「てか、ちったぁ恥ずかしがるなり隠すなりしろよ!?とにかく前を隠せ!」

 

隠すこともせず、下半身丸出しのオットーに逆に恥ずかしがるノーヴェがツッコむ。ディードはネギの目を塞いでいるが、感心と呆れの混じった顔になっていた。

 

「女ってわかったのはいいけど………」

「問題は、どうやって和泉さんにこの事を伝えるか、ですね………」

 

ハルナとのどかが話す。オットーに惚れているらしき亜子にこの事実を告げるには、少々気を遣う。どうしようかと考えていたその時、

 

「……………え……?」

「へ?………あっ!?」

「「「あ!?」」」

 

小さな声がしたかと思い振り向くと、そこには顔を真っ青にした亜子の姿があった。

 

「い、和泉さん!?な、なんで………!?」

「い、いや……急に強い風がふいて………何かなーって思ったら………」

 

のどかが思わず聞くと、亜子が困惑しながらも答える。どうやら、ネギの『武装解除』で発生した突風が気になって来たらしかった。

 

「あ、あの………」

「そ、そっかぁ~……女のひとやったんですねー………あはは………」

 

亜子は涙目になりながら乾いた笑いを浮かべる。オットーや木乃香が弁解しようとした瞬間、亜子は踵を返して走り出してしまった。

 

「あ!」

「ま、待って……!」

「あ、オットー!?」「静ちゃん、能力解除して………」

 

亜子を追うオットーを追いかけるノーヴェ。のどかは静に一言言ってから後を追った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ボウリング場の入り口付近まで走ってきた亜子は、急に後ろから腕をつかまれて立ち止まる。

 

「い、イズミさん………」

「あ、や………」

 

振り返れば、そこにはオットーがいた。亜子はオットーが女性であるという事実を突き付けられた直後で頭がこんがらがってしまっていた。

 

「こ、来ないでぇえッ!!」

「あ………」

 

そんな状況であったためか、亜子はオットーに向かって叫んでしまっていた。亜子に強く拒絶されたオットーは一瞬頭が真っ白になってしまい、2人の間に気まずい雰囲気が流れた。

 

「おいオットー!今お前が行っても逆効果だろ………」

 

その時、ノーヴェとのどか、ルル・ベルが追いついた。しかし、同時にルル・ベルは、『異変』に気付いていた。

 

「………?何…?」

 

周囲にいつの間にか、鈍色の『霧』のようなものが漂っているのだ。どこかで機械の故障でも起きたのかと思ったが、他の利用客が気づいていないのを見て、確信した。

 

「!?(他の客は気づいていない………まさかこの『霧は!?』)

「なんだ……?はッ!?」

 

ノーヴェやオットーも異変に気付いたその時、オットーのそばに大きな影がズンッ、と音を立てて現れた!

 

カーリングのストーンのような形状の、丸っこいボイラーを思わせるボディの四方から多関節のアームが伸び、先端は十字に伸びる先の尖った4本指となっている。ボディ上部の円筒型の頭部には望遠レンズが伸び、左右には裸電球がチカチカと光っていた。ボディのあちこちにはむき出しの歯車やシャフトがせわしなく動き、蒸気機関のパイプから蒸気が絶え間なく噴き出していた。

 

〈―――侵入者、確認。〉

「何!?」

「ひえっ!?あ………」

 

突然出現したスタンドに驚くオットーであったが、亜子がついに気絶をしてしまったために抱きかかえた。しかし、スタンドはアームの1本を上げると、オットーに向けて振り下ろした!

 

〈排除!〉

「!?くっ………」

 

オットーは咄嗟に飛びのく。スタンドのアームは床に当たると、床板を砕いて大きなクレーターを作った!

 

「な、なんだこいつ!?急に現れたぞ………!?」

「しかも、こんな他に人のいる時に………」

 

ルル・ベルと合流したオットーがスタンドを見ながら毒づく。スタンドは首をこちらに向けると、望遠レンズを伸び縮みさせた。

 

〈排除!排除!排除!〉

 

スタンドは連呼させながら多関節アームを動かしながら、オットーたちに迫った!

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ティアナたちがなかなか戻ってこないのを心配したギンガは、トイレまで探しに来ていた。途中、地味目の眼鏡の女性とすれ違いながらトイレに入るが、どの個室も空いている状態であった。

 

「ティアたちったら、どうしたのかしら………?」

 

首を傾げていたギンガであったが、ふと、右足が何かを踏んだ感触がした。見下ろしてみれば、それは黒い『眼帯』であった。

 

「………!?チ、チンク………!?」

 

それがチンクのものであると確信したギンガはあわててそれを拾い、トイレから飛び出した。

 

 

 

 

 

←to be continued…




76話です。
・サブタイトルは『エニグマは謎だ!』から。

・シルバークロスの事後処理。スタンド名は名前と同様に無駄にカッコいい感じにしてみました。

・最初の方で話の出てた千雨の母・百香さんの話がチラリ。波紋の使い手は少なくなりましたが、それでも強い部類、という立ち位置になりました。
 パララケルス島は『ラブひな』から。

・今回はオットーと亜子のお話。実は今回の話の為に、初登場時から仕込んでいました。
 今作の2人は互いに大好きすぎるので、ディードも若干ヤンデレ気味ですね。

・ルル・ベルはなんか書いている内に面白い人と化していますが、彼女は彼女なりに真面目に恋愛をしています。

・オットーの性別確認作戦。ずっとバトルが続いたので、割とバカっぽい話をと思ってやってみました。

・最後の事件発生です。スタンドの能力などは次回以降で。

では、次回をお楽しみに!
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