ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
今年もよろしくお願いします。
「にゃ……にゃっ!?(何よこれ………何で私、ネコになってんのよ……!?)」
「きゅ………(こ、これはいったい………!?)」
「ピヨ………(カラーひよこって………普通にひよこじゃダメだったの……?)」
自分が動物に変化してしまった事にショックを受けるティアナ、チンク、ルーテシア。女性はその様子を見て、ニタニタと嗤っていた。
「んぷヒヒヒヒ♪いい
「にゃ、フシャー!!(あ、アンタ!本当に何なのよ!?)」
「……ああ、何を言っているかわからないので、勝手に自己紹介しますね。
名前は『
うすら笑いを浮かべる蓮華のぼっちエピソードに若干引く3人。
「どうしてもムカついた時とかは、小動物いじめたりして発散してます………誰にもばれないように、こっそりと………」
「シャー!(最低ね!?)」
おまけに陰湿な性格まで暴露されドン引く。蓮華は構わず3人、というか2羽と1匹に背を向けると、部屋の奥に向かっていった。
「正直、就活とか面倒だったんですけどぉ、私にスタンドをくれた人から結構なお金もらえるんですよ………」
ごそごそと、何かを用意する蓮華。ティアナたちの位置からでは何をしているのかは見えなかったが、顔をこちらに向けた蓮華の笑みを見て、背筋が凍るかのように震え上がった。
「ちょっと待ってて………小動物にしたとは言え、人間をいじめるのは初めてだし………」
蓮華は、手にした黒光りする
「前金でもらった30万円………半分くらいつぎ込んだから………
その手には、黒光りする『ボウガン』が握られていた。
#81/ディアボリック・シークエンスとパワー・ゲート ②
「ジェイド……やはりスタンド使いだったか………」
ジェイドと対峙したジョルノがつぶやく。ジェイドはフン、と鼻を鳴らすと、背後で拘束されたヴァナゴンを見た。
「……まったく、手間かけさせんなよ………」
「ジェ、ジェイドのダンナ………」
ジェイドは気怠そうに言うと刀を頭上に向けて放り投げ、鎖の先端を掴んだ。
「
ビュン
「「!?」」
ズババッ
そのままヴァナゴンに向けて鎖を振るうと、『グロウン・キッド』ごとヴァナゴンを数回斬りつけた!ヴァナゴンは血を大量に吹き出すほどの重傷であったが、『グロウン・キッド』の拘束から解放された!
「ぎ、ぎゃぁああああッ!!」
「あいつ、ヴァナゴンごと………!?」
ジョルノはジェイドの行動に驚く。ヴァナゴンの能力があればダメージは回復できるであろうが、それにしても躊躇いなく切り裂くこの男は、間違いなく『裏の人間』であった。
「あの刀………それに今の技は………」
一方の千雨は、ジェイドの技に見覚えがあった。しかし、その技を使える流派であるという事は、ジェイドは………
『KRRRRRRRR………』
「あ!」
その時、ヴァナゴンの背後から『ディアボリック・シークエンス』が出現し、その大口を開いた。その間にヴァナゴンの刀傷はみるみるうちに治ってしまった。
「ま、まただ!また『砲弾』を撃つ気だぞーーー!!」
千雨が叫んだ瞬間、『ディアボリック・シークエンス』が狙いを定めて―――
ガンッ
「ぶぎっ」
「あ………」
砲弾を撃つ前に、ヴァナゴンのコメカミを『銃弾』が貫通し、頭から血を噴出させた。
「動くなっつったろーが、マヌケが。」
着弾したヴァナゴンがゆっくり倒れるのを見ながら、硝煙を燻らせる銃を構えるミスタが静かに告げた。
「オメーのスタンドよォー、砲弾撃つ瞬間に本体のオメーが『無防備』になるんだよなァー………そん時に攻撃すれば、スタンドが反応できずに倒せると踏んだが、その通りだったみてーだなぁー!」
ミスタが倒れたヴァナゴンに言う。もう聞こえていないだろうとミスタが判断していると、いきなり殺したミスタに明日菜やまき絵がドン引きしていた。
「あー……悪かったな、脅かしちまって………けど、コレが「ギャング」のやり方なモンでよー………」
「あ、うん、ダイジョウブ………『そーゆーやり方』の人って理解はあるから………」
まき絵はミスタにそう言うと、ジョルノと対峙するジェイドを見た。
「ミスタ………」
「ワリーなボス、勝手に殺しちまってよォー………」
「違う!後ろだ!!」
「「!?」」
ミスタが振り返ると、そこにはいまだに健在する『ディアボリック・シークエンス』が大口を開いてこちらを狙っていた!
「ス、スタンドが消えてねえ………という事は…!」
『KRRRRRRRR………』
『ディアボリック・シークエンス』が甲高い鳴き声を上げたその時、呆然とするミスタに向けて発射した!
「!?」
『マズい!!』
砲弾を避ける間もないと察したミスタとまき絵だが、その間に全身をそろえた『グロウン・キッド』が割って入り砲弾を受けた!
ズババババッ
『グゥウ………ッ!!』
「『グロウン・キッド』!!」
砲弾を受けて全身に刀傷とコメカミに弾痕を受ける『G・キッド』!まき絵は思わず叫ぶが、ボロボロの状態でも『グロウン・キッド』は健在であった。
『………フム、大丈夫ダ……喰ラッタノガ私デナケレバ、死ンデイタが………』
「お前もなかなか不死身なのな。」
「や、やってくれたなテメーらぁあっ!!」
回復したヴァナゴンが叫ぶと突っ込んできた。咄嗟に『G・キッド』が前に出て彼のタックルを受け止める。
『フ、フムッ………流石ニボロボロノ状態デハ、長クハ持タナイ………』
「クッ………!」
ミスタがヴァナゴンに銃口を向けるが、先ほどの事があって迂闊に攻撃をできない。
「さっきみてーに身動き封じられりゃいいんだが………」
そう言って、チラリとジェイドの方を見た。先ほどのようにジェイドがヴァナゴンを開放させてしまう可能性は大いにあった。おそらくは、いや、確実にジェイドは『
「ど、どーしよー………今日に限って予備の布持ってきてないし………傷つけずに攻撃するなんて………」
「えーと………縛り付けて閉じ込めて餓死させる、とか……?」
「何ヵ月かかるんだそれ?」
隣で慌てた様子で話すまき絵とウェンディに冷静にツッコむミスタ。すると、
『あのー………』
「うぉおおおッ!?」ビグゥッ
「いたの!?」
『ええ、ずっと………♪』
いつの間にかミスタの背後に来ていたさよに話しかけられ、驚いてビクつくミスタ。さよはそんなことよりも、と話をつづけた。
『あの人のスタンド、私なら対抗できると思うんです………』
「何?」
『準備があるので5分……いえ、3分待ってもらえますか?』
ミスタはさよの申し出に対して怪訝な顔になるが、さよの真剣な眼差しに『自信』を感じ取り、信じてみることにした。
「……分かった。オレもアイツ(グロウン・キッド)も長くは足止めできねーから、急げよ!」
『はい!』
さよは返事をすると、どこかへと飛んで行った。ミスタたちはそれを最後まで見送ることなく、ヴァナゴンの足止めを開始した。
一方、ジェイドと対峙する徐倫たち。
「オラオラオラオラオラァアッ!!」
「おっと。」
ジェイドは徐倫のラッシュを避けながらバックに進んでいく。次の瞬間、ジェイドは一瞬のスキを突いて袈裟懸けに斬りかかる!
「くっ……!」
徐倫は咄嗟にのけ反ってそれを避けるが、数本髪の毛がはらりと舞う。徐倫が小さく舌打ちをしたその時、明日菜とジョルノが左右から攻撃を仕掛けた!
「ふん!」
しかしジェイドは、明日菜の『ハマノツルギ』を刀で受け止め、ジョルノの腕に鎖を巻き付けて封じてしまった。ジョルノはそのまま鎖に引っ張られて地面に伏してしまった!
「ジョルノさん!」
「おいおい、何だお前さんはぁッ!」
ガキンッ
「きゃあッ!?」
明日菜はそのまま押し込まれて仰向けに倒れてしまう。その時、ジェイドの背後からスバルが拳を振りかぶって接近、刀を振り切ったジェイドに殴りかかった!
「ウリィイヤァアアアアア!!」
「しまった!!………なんてなァ!!」
グアパァッ
「え!?」
しかしジェイドはスタンドを出現させると、スタンドはカギ爪で空間を切り裂き、空間に『穴』をあけてしまった!スバルの繰り出した拳は、紺と紫のマーブル模様が広がる『穴』に入ってしまい、防がれてしまった!
「オレのスタンド『パワー・ゲート』は、空間を切り裂いて『亜空間』を作り出す能力………その中は言わばオレの『庭』よ………」
「やっかいな………え?」
亜空間の穴から腕を引き抜こうとしたスバルだが、何故か抜こうとする右腕が『重い』。さながら、泥沼に腕を入れたようだ。
「おっと、言い忘れていたが………というか言うヒマがなかったんだが………亜空間の中はオレと、オレの触れている物以外の時間の流れが通常の10分の一の速度になっちまうんだ………」
「ええ!?」
「くっ………!」
ジェイドの告げた能力に驚くスバル。腕が抜けず身動きが取れなくなっていると、ジョルノが『ゴールド・エクスペリエンス』で自分を縛る鎖を殴りつけた!
(『ゴールド・エクスペリエンス』で鎖に「生命」を与える!ヘビやアサガオなんかに変えて
バギンッ
「!?」
しかし、ジョルノが生命エネルギーを流した瞬間、まるで電流のような衝撃が全身に走り、弾かれてしまった!
「グッ……今のは………!?」
「来ると思ったぜ………オタクさんの能力で、鎖に「生命エネルギー」流すってなぁ………」
ジェイドはジョルノをあざ笑うと、「コオオオオ………」という奇妙な呼吸をし始めた。
「え!?」
「この呼吸って………」
「
ジェイドの呼吸は、間違いなく『
「『
ドッ
「がッ………!!」
「ジョル兄!!」
口から血を吐いたジョルノを見たスバルが思わず叫ぶ。一方の千雨は、先ほどの波紋の呼吸でジェイドの繰り出す『技』の正体を確信した。
「まさかと思ったが………やはり、あれは『
「知っているの千雨ちゃん!?」
「私も実家の文献で見ただけだが、間違いない………やつの流派は『
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打刀と鎖分銅を組み合わせたこの武器は、近・中距離への攻撃に適している。
鎖鎌に比べると刀身が長い分使い手を選ぶ武器であるが、使いこなすことが出来れば鎖鎌以上の戦力となる。
この刀の開発者である『蛇蝎縛刀流仙道剣術』は刀身だけではなく鎖にも波紋を流すことで、束縛した敵にも波紋を流し、奇抜な技を繰り出す流派であるが、同時に非常に卑しい戦法を取る事が多いために文字通り『蛇蝎の如く』嫌われているらしい。
民明書房刊『鎖に縛られた人生』
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「は、波紋使いって………何で千雨ちゃんと同じ波紋使いが!?」
信じられない表情で叫ぶ明日菜。ジョルノに巻き付けていた鎖を振り解いたジェイドはフンと鼻を鳴らした。
「吸血鬼も
ジェイドがそう言った瞬間、左右から徐倫とジョルノが殴りにかかった!
「おっと。」
「「!?」」
しかしジェイドは一瞬で飛び上がり回避した。よく見ると鎖がまっすぐに直立しているではないか!
「く、鎖が鉄棒みたいに!?」
「鎖に波紋を流したか………リサリサばぁちゃんもマフラーで似たような事出来たな………」
よく見れば鎖には植物油が塗られているらしく、微妙にテカっていた。これで波紋が流れやすくなっているのだろう。その時、ようやく亜空間から腕が抜けたスバルが腕の感触を確認していた。そして意を決したように拳を握ると、瞳を金色に光らせて地面を殴りつけた!
「みんな避けて!」
「!?」
スバルが叫び、徐倫たちが飛び退いたその瞬間、ジェイドの鎖の先端に向けて崩壊の衝撃が『走る』!慌てたジェイドが鎖を回収し空中に逃げるが、先ほどまでいた場所は石畳が砕け散り陥没していた。冷や汗をかきながら着地したジェイドであったが、先ほどと同様の衝撃波が迫る!
「何!?」
「波紋も剣も使わせない気か!ならば!」
スバルの企みに気づいたジェイドは『パワー・ゲート』で空中に穴をあけると、亜空間の中へと入ってしまった。
「ああ!?」
「いったはずだ。
「逃がさない!」
スバルはリボルバーシュートを放つが、ジェイドは穴を閉じて消えてしまい、放たれた魔法弾は空を切ってしまう。
「しまった!」
「全員一か所に固まれ!背中合わせになるんだ!」
ジョルノが咄嗟に指示を飛ばすと、徐倫たちは背中合わせに円陣を組んで亜空間からの攻撃にそなえた。十数秒、周囲に気配を配るが、ジェイドが出てくる気配がない。
(どこだ?どこから攻めてくる?前後か左右か、上か………?)
どこから来るかわからないジェイドに警戒をする一同。しかし、次の瞬間、
[
「!?」
マッハ・キャリバーが警告を発した次の瞬間、ローラーの先端に
「し、下から………!?」
「
下から出現したジェイドが不敵な笑みを浮かべるが、スバルはマッハ・キャリバーのローラーの破損で機動力が割かれてしまった。
「このぉおおッ!!」
それに激昂したのか、明日菜が『ハマノツルギ』でジェイドに斬りかかるも、ジェイドは難なく、パシン!と腕で払いのけてしまった。
「うえ!?」
「素人が…!きさまの腕前が一番…なまっちょろいぞッ!」
ドガッ
「きゃぁッ!?」
ジェイドは明日菜を蹴り飛ばすと、次の瞬間に彼の左右から千雨と徐倫が攻撃にかかる!しかし、ジェイドは千雨の刀を刀身で、徐倫の拳を波紋で鉄棒状にした鎖で受け止めてしまった!
「蛇蝎縛刀流『
言い終えると同時に刀と鎖を振るい、2人を弾き飛ばしてしまった。
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この戦いの様子を、校舎から見ている者がいた。
「ありゃー、アスナたちピンチっぽいなぁ………」
『ドースルンスカ?今ナラアッシの能力デ助ケラレルッスケド?』
自分の『本体』に話しかける『スーパー・スナイプ』。
本体である少女は悩む。ルル・ベルには自分の正体はまだ秘密にしておくように言われているが、今、明日菜たちを助けるには『スーパー・スナイプ』の「
うーん、としばらく考えている内に、徐倫たちも圧されている。悩んでいる暇はないと、少女は決心した。
「仕方ないね………お嬢には後でとやかく言われるだろうけど………私が行くしかないよね!」
少女は廊下を走り、明日菜たちの元へ急いだ。
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「やっぱりシンプルにムチかなぁ………いや、実銃と変わらない威力に改造したモデルガンも捨てがたいし………」
ガチャガチャと、武器の吟味をする蓮華。その後ろ姿に無力な動物の姿にされたティアナ達は震えていた。
「ミ~………(ど、どーすんのよこの状況………)」
デバイスも携帯電話もなく、念話も使えない。というか、念話が例え使えたとしても、ネコの鳴き声にしか聞こえない可能性が高い。ティアナがあれこれ考えていると、ケージを前足で触っていたチンクが、ティアナとルーテシアに話しかけてきた。
「……きゅう(……ティアナ、ルーテシアお嬢、檻から離れてくれ……)」
「にゃ?(え?)」
「ピヨ?(へ?)」
チンクに言われた事が一瞬分からなかったが、しかし、チンクの
そして、2匹が檻から離れた数秒後―――
バッグオオオォォォン
「!?ぅえッ!?な、なになに?!!?」
突然爆発が起き、パニックになる蓮華。何事かと思って振り返れば、ティアナ達を閉じ込めていた檻から煙が出ており、大きな穴が開いていた!
「ま、まさか!?」
蓮華が何が起こったのか理解した瞬間、檻から2羽と1匹が飛び出した!
「あ!!」
「にゃー!(まさかその姿でもISが使えたなんてね!)」
「きゅ!(ダメもとだったが、成功してよかった!)」
「ピヨー!(さっさと外に出て、助けを!)」
「ちょ、ちょっと………逃げないで………!」
慌てて動物たちを追うも、焦っている上にすばしっこい動物たちに追いつけない。あわあわしている内に動物たちは器用に窓を開けて外に出て行ってしまった。
「ああ、ちょ、ちょっと………もう!」
蓮華はイラついたように地団太を踏む。大きく舌打ちをすると、得物を追うべく準備をし始めた。
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「波羅蜜さーん!大きな音がしましたが、大丈夫ですかー!?」
マンションの蓮華の部屋の前で、管理人の大柄で大仏のようなパーマをかけた中年女性(陰で「怪獣ババゴン」と呼ばれている事を彼女は知らない)が、ドアを激しく叩きながら中の蓮華に呼びかけた。しかし爆発音の直後から部屋の中から返事はなく、管理人も不安になって来た。
警察に連絡をしようと考えていたその時、ドアが開いた。
「ああ波羅蜜さん、何があったの………!?」
出てきた蓮華に声をかける管理人であったが、蓮華の姿にギョっとした。
蓮華は黒いライダースーツにブーツを履き、背中にライフル、右手にボウガン、腰にモデルガンを装備し、異様な雰囲気を放っていた。
管理人が恐れおののいて尻もちをつくのも気に留めず、蓮華はその場を去ってしまった。
「………あ、あんな子だったかしら、波羅蜜さんって………」
←to be continued…
81話です。
・波羅蜜 蓮華は根暗なサイコキャラっぽく。ジョジョだとこういうキャラよくいるなぁって。若干『SSSS.GRIDMAN』観てた影響が出てるかも(笑)
・ジェイドが波紋使いなのは、原作だと波紋使いが敵になったことってなかったよなぁと思ったからです。ダイアーさんは腕試しだし、スト様は吸血鬼だったし。
蛇蝎縛刀流は、『蛇』と『蠍』という字を入れた駄洒落という命名規則で付けています。
・久しぶりにグロウン・キッドが全身出したり民明書房ネタ出てきたりと、今回はネタも多いかな?
・次回は色々と発覚すると思います。お楽しみに。
では、また次回!