ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#08/遠い世界(くに)から来たテロリスト

薄暗い廊下を、一人の『男』が歩いていた。

 

室内だというのにコートを着込み、顔以外を頭巾で覆い、頭頂部に開いた小さな穴から、髪を一房だけ出した、垂れ目の男だ。

 

彼は、目的の部屋の前に着くと、ノックをして、部屋に入った。部屋には、数人の男女がいた。

本を読むもの、仲間とトランプをする者、『角砂糖』を食べている者など、各々が好きなことをしていた。

 

「すいませェん奥様、オエコモバが勝手な真似をしているようですが…」

 

男に『奥様』と呼ばれた女性は、読んでいた本から男へと目を移した。他の者達も、男を見ている。

 

「全く、しょォがねェなァァっあいつもよォー!」

「何ならオレが始末するが…どうする?」

 

トランプをしていた二人が『奥様』に聞くが、彼女は『右手』をあげて、制止のポーズをとった。

 

「いいえ、『彼』の方が適任よ。送り込んできなさい『ブラックモア』」

 

男――ブラックモアに命ずると、彼は頷き、静かに部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「あれは………確かオエコモバ!」

 

『アンダー・ザ・レーダー』で様子を見ていたサルシッチャは、出てきた男に驚いた。

 

 

――確かあいつは、『あの人』の配下で、「矢」を盗んだ張本人!それが何でッ!?

 

「……オエコモバは『あの男』といるみたいね?…これは使えるわッ!『ガジェット(おもちゃ)』じゃあ、彼のスタンドはみられなかったし、あいつらを利用するのよ!」

 

ルル・ベルは興奮気味にそう言って立ち上がった。膝から猫が落ちたのも気にせずに……………

 

 

 

 

 

 

#08/遠い世界(くに)から来たテロリスト

 

 

 

 

 

「なのはぁぁぁああーーーッ!!」

 

オエコモバの攻撃を喰らい倒れるなのは。フェイトの悲痛な叫びが響く中、千雨はある事に気づいた。

 

(……あれ?あいつ……………?)

 

 

 

 

 

 

「オエコモバッ!テメェ!」

 

ヴィータが叫びながらオエコモバに向かっていく。だが、振りかぶったアイゼンが、後ろから引っ張られるような感覚を得て『止まった』。見てみると、アイゼンに「糸」が絡みつき、それにより引っ張られていた。

 

「バカッ!むやみに近づくな!!」

「徐倫!?何しやがる!!あいつは、あいつはァ!」

 

糸を持った徐倫が制止しようとするも、ヴィータは頭に血が上って、冷静な判断が出来なくなっていた。

そんな時……

 

 

 

 

『…………フム、モウ少し君ハ「落ち着く」トイウ事ヲ覚えた方ガイイナ。』

 

グロウン・キッドの声だ。なのはの方から聞こえる。

 

見てみると、なのはの体の一部が徐々に「緑色」になっていき、ちょうど腹のあたりからG・キッドが頭を出した。

 

「グロウン・キッド!?」

「な……なのはさんの………『体の色に化けて』……防御したのッ!?」

『フム、イカニモ。オカゲで、胴体ト左腕ガ犠牲ニナッタガナ……』

 

全員が驚き、なのはの近くに行く。グロウンキッドが離れると(所々少し焼け焦げていた)、承太郎がなのはの容態を見る。

 

「……グロウン・キッドのおかげで命に別状はないが、『重傷』には変わりないな。」

「じゃあ、今すぐにここから離れて………」

「させると、思うかい?」

 

ホル・ホースは言うと、右手をスバルたちに向けて伸ばす。すると、右手から奇妙な形状の『拳銃』が姿を現し、ホル・ホースの右手に収まった。

これこそ、ホル・ホースのスタンド!タロット四番目のカードの暗示!

その名は、『皇帝(エンペラー)』!

 

「オレは女は傷つけない主義なんだが、これも仕事でねぇー!」

(……!私には『スタンドは見えない』けど!あの「手の形」!そして「動作」!まさか………!)

 

スタンドが見えないティアナだが、ホル・ホースの「右手」をみて、どんな『スタンド』かを理解した!

 

「やばい!何か撃ち出すスタンドッ!」

 

ティアナが叫んだのと、ホル・ホースが『皇帝』の引き金を引いたのは、ほぼ同時だった。

 

(くっ……弾丸まで『見えない』なんて!でも、手を見れば『軌道を読める』はず!)

 

そう思ったティアナは、弾丸の軌道と思われる所の「正面」に、シールドを張る。だが、

 

「ティア!!」

ボゴォ

「ッ!?」

 

ティアナは、「右側から」足を被弾した!!

 

「そ……………そんな……!ぐうッ!」

「悪いなぁ~~お嬢ちゃん、スタンドってのは、そんなに甘くない訳よォ!『弾丸もスタンド』って事は、「軌道を変えてもおかしくない」って考えなきゃなぁ~~!」

(そ………そうよ……『スタンドはスタンド使いにしか見えない』ってことは、スタンド使い以外は倒せないって意味じゃないッ………!)

 

ホル・ホースの言葉に、ティアナは唇をかむ。初めて、スタンドの恐ろしさを思い知った瞬間だった。

 

「………やつの言うとおり、甘く考えない方がいい。…………このなかで、『こいつが』見えるヤツはいるか?」

 

承太郎は、自分の背後を親指で指しながら聞いた。手を挙げたのは、スバル、明日菜、ヴィータ、そしてネギの4人だ。

 

「よし、今手を挙げたヤツは残れ!後の奴らはまき絵たちと怪我人を運び出せ!」

 

徐倫は、全員に指示をする。

 

「は、はい!」

「くっ……情けないけど、後はあんたらに任せるわ……」

 

ティアナは、悔しそうにそう言う。

まき絵は『グロウン・キッド』のパーツを分解して、布に戻すと、なのはとティアナを乗せる。このまま病院まで運ぶようだ。

 

「逃がしはしねえ!」

 

ホル・ホースは再び弾丸を放つ。今度は三発だ。

 

「ストォオーーン・フリィイイーーー!!」

シュババァ

「何ぃい!?」

 

だが、弾丸は徐倫のスタンド――『ストーン・フリー』が体の一部を「ほどいて」、それを何重にも編み込んだ『防弾チョッキ』ではばかれる。

 

 

 

『糸』――――これが『ストーン・フリー』の能力らしい。

 

 

 

徐倫に逃がされたまき絵たちは、グロウン・キッドの『魔法の絨毯』で戦線から離脱する。護衛に千雨とアキラも着いていった。

 

「ちぃ!逃がしたか!!」

「仕方ねぇ……行くぜホル・ホース!」

 

オエコモバが、杖型デバイスを構えてそう言うと、周りにいくつもの魔法陣が現れ、ガジェットが転送されてきた。中には大型ガジェットのⅢ型が8機もいた。

 

「Ⅲ型まで!?」

「ちぃッ!まずは私が…」

 

ヴィータが向かおうとするが、承太郎が制した。

 

「俺が行く。離れていろ。」

「承太郎さん!?」

 

承太郎にⅢ型が1機迫ってくる。承太郎は背後を親指で指さし、自分のスタンドを『呼んだ』。

 

星の白金(スタープラチナ)!!オラァアッ!!」

 

承太郎の背後から現れた『スタープラチナ』は、Ⅲ型をぶん殴った!だが、

 

ピンッピピンッ

「!!」

ドグオォオン

 

殴った反動で、ガジェットから『部品(ピン)』が飛び出し、爆発した。

 

「承太郎さん!?」

「『ヘルズ・マリア』……ガジェットにピンをつけた!まずは一人!」

 

オエコモバは、勝ち誇ってそう言った。彼の側には、ボロ切れをまとったカラスのようなスタンドが立っていた。

 

「やれやれだわ。あんた、親父のこと、何も知らないみたいね?」

「……?」

 

だが、徐倫が余裕そうなのをみて、疑問が浮かんだ。なぜ、そんなに余裕なのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほど、てめぇの能力は、『ピンをつけて、外れたら爆発する』って訳か………」

 

不意に、背後から声がして振り向くオエコモバ。彼の後ろには、承太郎が『無傷で立っていた!!』

 

「吉良を思い出す、胸くそ悪い能力だ………やれやれだぜ。ま、無傷ってわけじゃないがな。4万円もするコートが破けちまったぜ。」

 

見ると、確かにコートの袖が一部破けていた。

 

「な……今、何をしたの?」

「!!?アスナさん!」

 

驚く明日菜だが、ネギの叫びに我に返った。彼女の背後から、Ⅲ型が2機、迫っていた。ネギは明日菜を守るように前に立つ。だが、AMFに慣れていないネギには、ガジェットを相手するのは危険だ。

 

しかし、ネギには考えがあった。魔法が使えなくても、勝てるかもしれない考えが。

 

(僕には、奴らを倒す魔法は持ち合わせていない……だけど、君なら!君が、僕の能力なら!………だから頼む!力を貸してくれ!僕の『生徒たちを守る』力を!!)

 

ネギがそう願っている間にも、ガジェットは迫る。ネギは、一か八か、呪文を詠唱する。

 

「魔法の射手!」

 

だが、魔法の射手は出ない。しかし!

 

 

 

 

 

 

スパァ

「「!?」」

 

 

 

ネギが『右手を』上げた瞬間、Ⅲ型のアームが『斬り裂かれた』!!ネギと明日菜だけでなく、徐倫たちも驚いている。

 

 

ふと、ネギは右手からシルシルという音を聞いた。手の『指先』からだ。不思議に思い、手をひっくり返すと………

 

 

 

 

 

爪が『回転』していた。

 

まるで、フリスビーや円ノコのように!指から離れて、回転していた!

 

「ぼ……僕の手………爪が……………何だこれ…………!?爪が回転している!!」

「これは……まさか…………これがネギ君の!」

「スタンドか!!」

 

驚く一同だが、ネギは理解した。これが、あの『精霊』の力だと!

 

ネギは依然と迫るガジェットに向けて、右手を振り下ろすと、回転する爪が、カッターのようにガジェットを斬り裂く!

だが、もう1機も迫る。ネギは、今度は左手を向けて弾丸のように爪を5発『発射』した!着弾した爪は、ガジェットを貫通し、そのまま5m後ろにいたオエコモバにまで迫った。

 

「何ィ!?」

ズドドォ

「グゥウ!」

 

オエコモバは、何発か避けるが、2発腕に喰らった。他のガジェットを差し向けようとしたが………

 

「デヤァアアッ!!」

ゴシャァアッ

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」

ドゴッバァアアア

 

ヴィータと承太郎により粉々、あるいはボコボコにされて破壊されていた!

 

「くそっ!」

 

オエコモバはナイフを数本取り出すと、投げる体制に入る。ピンを付けて爆弾に変えようという魂胆だが、

 

ブワワワワワ

「………え?」

ガシィ

 

いきなり周りを『ロープ』が囲い、そのまま近くの木に縛り付けられてしまう。ロープを握っているのは……徐倫!

 

「よし!ジョセフじいちゃん直伝のロープマジック成功!………悪いな、ネギに気をとられているうちに、ロープを張らせてもらった!後は頼むぞ、スバル!」

 

徐倫が言い放ったと同時に、スバルは円を描くような構えを取った。円の中心には、空色の魔力が『溜まる』!

 

「この一撃はッ!なのはさんとティアの分だ!!ディバイィイイーーン!!」

「うわぁああああ……」

 

オエコモバが悲鳴を上げるが、スバルはお構いなしに、解き放つ!!

 

「バスタァァアアアーー!!」

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

徐倫たちから300m離れたあたり

 

 

ドグオォオン

 

「わっ!なにあれ!?」

 

いきなり後方が爆発したため、まき絵は振り向いた。だが、ティアナは呆れたように言った。

 

「あー、多分スバルね……あの様子だと、勝ったみたいだけど………」

「ガジェットも追ってこないし、任務完了かな?」

「後は、この人だな…」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「……スバルよぉ、確かに私は『頼んだ』って言ったわよ……でも………」

 

徐倫は、スバルの『ディバインバスター』の破壊跡を見て、呆れたように言った。

 

「明らかにやりすぎでしょ……」

「い、いやぁ〜………ちょっと気合い入りすぎちゃって………てへっ」

「『てへっ』って何『てへっ』って!?こんだけ破壊しといて『てへっ』ですませちゃったよこの子!?」

「というか、これだけの威力を喰らって大丈夫なのか、あいつは………?」

 

明日菜が叫び、承太郎はオエコモバの安否を気にした。

 

「……まあ、『非殺傷設定』だから大丈夫だろ。つーかこれ、あいつのスタンドの『暴発』が原因なんじゃないか?」

 

ヴィータはオエコモバがナイフを投げようとしていた事から、『ヘルズ・マリア』のピンがスバルの攻撃のはずみで飛んだのでは、と予想する。

 

「さて、後はてめぇだけだぜ!」

 

ヴィータはホル・ホースに向かってそういうが………

 

 

 

 

 

ダッダー

「「「「って逃げてるしッ!?」」」」

 

脇目も振らず、すたこらさっさと逃げていた。ホル・ホースは走りながら振り返り、

 

「悪いなぁーお嬢ちゃんたちッ!ここは出直させてもらうぜ!オレは誰かとコンビを組んで実力を発揮するタイプだからなぁー!『一番よりもNo.2!』これがホル・ホースの人生哲学!文句あっかー!!」

 

言い訳みたいな捨てぜりふを残して逃げていった………

 

「ほっておけ。どうせあいつ一人じゃあかかってこないしな。今はオエコモバってヤツが先だ。あいつには、『矢』をどこに隠したのか聞かにゃあならないからな。」

 

承太郎はやれやれとかぶりを振ってそう言うと、近くの噴水まで飛ばされてピクピクしているオエコモバに近づいていった。

 

「!!」

 

だが、ネギは気づいた。噴水の水面から、『サメの背鰭』が出ていることに!

 

「承太郎さん!スタンドです!噴水に『サメがいます』!」

「「「「「!!」」」」」

 

承太郎たちも気づいたが、一手遅かった。サメは、オエコモバに襲いかかり、のどを喰い破った!!

 

「ぐえッ………」

「な………なんだとぉぉおーー!?」

「くっ!『爪弾』!!」

 

ネギがサメに爪弾を放つが、サメは噴水にすでにおらず、爪は噴水に沈んだだけに終わった。

 

「消えた!?」

「くっ、恐らく『水から水へ移動する』遠隔操作スタンド!オエコモバは『捨て駒』か!」

 

徐倫は理解した。オエコモバなど、単なる下っ端という事に。

承太郎はオエコモバの様子を見るが…

 

「…死んでいる……即死だな。」

 

承太郎の言葉に、全員が戦慄した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

逃げるため街道を走っていたホル・ホースは、いきなり『ビルの床』に倒れ込んだ。

 

「いったぁあ〜ッ!おいおいサルシッチャさんよぉ〜〜、呼び出すんなら、もう少しタイミングを考えてくれよぉ〜!」

 

ホル・ホースは、自分を『連れてきた』男に目をやる。

 

腰まで伸ばした銀髪に、鋭い青い瞳、藍色のスーツに、黒いコートを着込んだ男――サルシッチャだ。

 

「……ホル・ホース、君が動き回るから我が『アンダー・ザ・レーダー』で捉えにくかったんだ。文句を言うな。」

「……はっ相変わらず冷たいねぇー」

「二人とも、話はすんだ?さっさと行くわよ。」

 

声がした方を見ると、銀髪というよりも、白髪に近い色の髪を縦ロールにした、勝ち気そうな翠色の目の、ゴシックロリータ服を着た14歳位の少女――ルル・ベルがいた。足元には、ロシアンブルー種の猫もいる。

 

「はい、ルル・ベル様。」

「仰せのままに、お嬢様。」

 

三人は、先ほどまでいた部屋から、静かに出ていった。

 

 

 

 

 

オエコモバ――スタンド名:ヘルズ・マリア―――死亡 再起不能

ホル・ホース――スタンド名:皇帝――再起可能

高町 なのは――デバイス名:レイジングハート・エクセリオン――重傷 全治2ヶ月半

ティアナ・ランスター――デバイス名:クロス・ミラージュ――全治2週間

 

 

 

←to be continued...

 




8話です。
・サブタイトルは「遠い国から来たテロリスト」から。読みは一緒なのに違う意味になっています。

・これを『にじファン』で連載していたころはオエコモバのスタンド名は不明だったので、ALI PROJECTの楽曲から取ってあります。今は判明しているけれどオエコモバの名前そのままなので、このままにしてあります。

・今回、爆発が大げさだったので、オエコモバの能力が暴発したことにしましたw自分のスタンドで死ぬ間抜けはいないでしょうけど、割と制御難しそうなので、あのスタンド。

では、次回をお楽しみに!
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