ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#89 ミリオン・モンスターズ・アタック! ②

#89 ミリオン・モンスターズ・アタック! ②

 

 

 

 

 

ミリオン・モンスターズ・アタック!の軍勢を一時的に退けた頃、ルル・ベルと裕奈は徐倫たちと合流すべく動いていた。

 

「まさか、あの忍者さん達を味方にするなんてね。」

「信用はしない方がいいわ。所詮金で繋がっただけの関係よ。いつ裏切られるか分からないわ………」

「あー、うん。それは肝に銘じとく。」

 

ルル・ベルが裕奈に注意をしながら走っていると、目の前にまき絵と楓がいる事に気付いた。

 

「あ、ゆーなにルル・ベル!」

「まき絵ー!」

「2人とも、無事でござったか………」

 

まき絵と楓と無事を喜び合っていた。ルル・ベルも安心した様子を見せていると、裕奈は周りを見てまき絵に聞いた。

 

「ところで、亜子とアキラは?一緒じゃなかったの?」

「あー………」

「2人なら………」

 

まき絵と楓は引きつった笑みを浮かべながら右の方を指さした。不思議そうにしながら指された方をみると、そこには『鈍色の蒸気』で包まれた場所があった。

 

「あの中でござる………」

「メ、『メガロポリス・アリス』………」

「拒絶しちゃったのね………」

 

何が起こったのか大体察した2人は、苦笑を浮かべ呆れていた。すると、蒸気の中から声が聞こえて来た。

 

「あ、ゆーなー!」

「亜子ーー!大丈夫ーーー!?」

「私たちは大丈夫だよ!スタンドが近づいてくる傍から、倒されていったし………ただ、ちょっと別の問題が発生してて………」

「問題………?」

 

メガロポリス・アリスが警備のために歩き回る中心にいる亜子とアキラ、オットーの無事を確認できたのはいいが、2人は少し困った様子であった。

 

「こ、これ………どうやって解除すればええのー!?」

「あー………」

「どうやってって………」

 

自身で目覚めた訳ではないせいか、『メガロポリス・アリス』の解除方法が分からない亜子が困った様子で聞いてきた。正直、そのスタンドはスタンド使い本人にしか分からないため、ルル・ベルも裕奈も答える事は出来なかった。

 

「とりあえず、その蒸気の中ならまたあの『ミリオン・モンスターズ・アタック』が攻めて来ても安心でしょうね。『拒絶の意思』を無くせば解除されると思うけれど、しばらくその中で動かないでちょうだいね?」

「あ、うん………」

「アキラ、オットーさん、亜子の事お願いねー」

 

まき絵がそう言うと、ルル・ベルたちはその場から立ち去った。

 

「改めて、亜子のスタンドって割と厄介ねー………」

「戻ったら制御する特訓をした方がいいわね。あの調子じゃあ、満員電車で痴漢に会おうものなら、大惨事になりかねないわ………」

「「怖っ!?」」

 

ルル・ベルの『最悪な予測』を聞いたまき絵と裕奈は戦慄し、楓も顔を引きつらせていた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ミリオン・モンスターズ・アタック!の第1陣を退けて数十分後、一同は安全のためにコテージの一室に集まって休息と治療を行っていた。

 

「どうだ?」

「うーん、隠れられそうな場所を探してはいますけど………」

「今のところ、それらしき人物は見つかりませんね………」

「こっちも収穫なしねー……」

 

のどかと朝倉は「イノセント・スターター」と「ハロウィン」でそれぞれコテージ周辺を捜索していたが、収穫はなさそうだ。同じく「ドロウ・ザ・ライン」で捜索用のスタンドを描いて探っていたハルナも、申し訳なさそうに首を横に振った。

 

「ホルマジオ、X・ジオの顔は見ていないのか?」

「すまねえ、ヤツに会うために島に上陸した途端、あのスタンドに襲われてな………声は聴いたが、顔を拝む前に逃げる羽目になってよぉ………」

「そうか………」

 

ホルマジオの返答を聞いたミスタがため息を付くと、コテージのドアが開いてジョルノが入って来た。

 

「リゾート(アイランド)のスタッフの無事を確認しました。今回の事情を知っているスタッフ数名が色々用意してくれるそうです。」

「分かった。」

「一旦休憩するか……前にいいんちょに貰った、リラックスできる香りのアロマを持ってきてるから、それ焚いてもいいか?」

「別にいいぞー」

 

一同は一旦休息を取る事にした。千雨はさっそく、荷物の中から取り出したアロマを焚き始めた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「今んとこ、連中の残党はいないみたいだな………」

「そうねー」

 

コテージ周囲の見回りをしていた徐倫、明日菜、スバル、ティアナが話していた。

 

「隠れられそうな場所にいないってなると………もしかして、スタッフの誰かに変装してるとか?」

「その可能性もありえるわね。」

 

明日菜とティアナがそう話していると、徐倫は振り返って話しかけた。

 

「ま、スタッフの中にいるんなら、炙り出す策はある。千雨も()()を知ってるし、問題ねえだろう。」

「そうなの?」

「まあな。前に親父に聞いた手段()を使う時が来たみたいね。」

「ふーん……」

 

徐倫の言葉に、明日菜とスバルは納得した様子で頷いた。

 

「まあ、そこは()()()()()にお願いすることにするよ~」

「………?」

 

スバルが呑気にそう言うと、徐倫は少し驚いた様子で振り返った。

 

「?あれ、どうしたの?」

「い、いや………スバルに名前で呼ばれたの、初めてだったから………」

「あ、そーいえば………」

「今まで苗字呼びだったな………」

 

徐倫の言葉に、明日菜とティアナも思い出したかのように言った。スバルは後頭部を掻きながら、笑って答えた。

 

「あー、うん………いつまでも苗字で呼ぶのもなんだったし……それに、他人とも言えない『関係』なわけだしさー……ダメだった?」

「いや、ダメって訳じゃあないけど………ちょっと驚いただけよ。」

「そっか……」

 

徐倫はスバルの言葉に、少し照れ臭そうにしながら答えた。

 

「さて、とりあえず、見回りを続けましょう?」

「そうね。」

 

明日菜がそう言うと、ティアナは返事をする。徐倫とスバルもそれに続いた。

 

「うわあああああああっ!?」

「「「「!?」」」」

 

しかしその直後、コテージの陰から悲鳴が聞こえた。

 

「今の声って………」

「ネギ!!」

 

声の主がネギであるとすぐに気づいた明日菜が走り出した。遅れて徐倫たちも駆け出すと、コテージの陰に尻餅をついたネギの姿があった。

 

「ネギ!!」

「大丈夫か!?」

 

明日菜と徐倫がネギに駆け寄ると、ネギは尻餅をついたまま少し怯えた様子で答えた。

 

「あ、アスナさん……徐倫さん……」

「どうしたのよ?」

「何かいたのか!?」

 

徐倫たちが駆けつけて尋ねると、ネギはゆっくりとコテージの方を指さした。するとそこには、

 

「グルル………」

「………うぉおッ!?」

 

全長2mほどもあるワニが、コテージの陰からゆっくりと這い出して来た。ワニの姿を見た徐倫は身体をビクッとさせて、明日菜たちもギョッと驚いていた。

 

「ビ、ビックリしたぁ………何でワニがこんな所に……」

「な、何か動いたと思ってのぞいたら、このワニがいて………」

「そりゃ驚くわね………どっから入って来たのよコイツ………」

 

いきなりワニが出てきたことに驚いてはいたものの、冷静になってワニを観察した。

 

「意外とおとなしいワニねー」

「海上コテージに現れるって………ワニって、海水大丈夫なモンなの?」

「さあ?種類によっては海でも生きられるって聞いたことはあるけど……」

「見たところ、『ミシシッピーワニ』って種類みたいだな。おとなしい品種って、前に図鑑で見た記憶があるわ。」

 

徐倫たちがワニについて話し合っていると、おもむろにワニが大きく口を開けた。

 

「わ、口でっか………?」

 

口を開いたワニに思わず見入ってしまっていたが、その時、ネギは気が付いた。ワニの口の中に、『無数の小さな黒い球体』がびっしりと敷き詰められていたのだ。

 

「何、あれ……?」

 

徐倫や明日菜もそれに気づいた瞬間、ワニの口の中から球体が1つ、「ピョンッ」と飛び出してきた!

 

『ァアアッ、クァアアアアアアッ!!』

 

飛び出したことで、球体だと思っていた()()の全体が明らかとなった。それは黒い爆弾のような形をしており、虫の(のみ)を思わせる長い後ろ脚と短い針のような爪の生えた前脚、前面には時計のような丸い計器がついていた。

 

「『スタンド!!』しまった!このワニは『スタンド使い』だッ!!」

『『『クァアアアアアアッ!!』』』

 

徐倫が叫んだ瞬間、ワニの口から小さなスタンドが次々にピョンピョンと飛び出してきた!

 

「うわわ!?」

「ヤツに近づかれたらマズそうね………!!」

 

スバルが飛んできたスタンドに慌てるが、徐倫は直ぐに判断をしてネギたちに指示を出そうとするが、すばしっこくジャンプする無数のスタンドたちの動きは捉えることができず、あっという間に包囲されてしまった!

 

「囲まれた!?」

「すばしっこいわねコイツら………!!」

 

ティアナがスタンドの動きに毒づいたその時、スタンドの内1匹が明日菜の右足にしがみついてきた!

 

「あ!ちょっと、ドコ触ってるのよ!!」

「アスナ!!」

 

明日菜が振りほどこうと足を振るが、スタンドは離れない。ネギとスバルが助けに入ろうとした時、スタンドの計器が赤く点滅をしたかと思うと、

 

プチッ

「へ………?」

 

スタンドは、まるで緩衝材のエアクッションを潰したかのような小さな音を立てて破裂した。明日菜はスタンドが自爆した事よりも、爆発の規模があまりにも小さい事に呆気に取られていたが、直ぐにその顔が強張った。

 

「!?あ、足が……動かない………!?」

「え!?」

 

明日菜の右足は金縛りにあったように動かせなくなってしまった!明日菜の状況を聞いたスバルが慌てて駆け寄ろうとしたが、スタンドたちはスバルの両足と左手に1匹ずつ飛びついてきて、同じように自爆!その瞬間、スバルの手足が動かなくなってしまい、その場に倒れてしまった!

 

「ぐぅッ!?こ、これって………!?」

「飛びついて自爆したら、その場所を金縛りにするスタンド!?……あ、もう足動く………」

「金縛りは『数秒のみ』みたいね………は!?」

 

徐倫はスタンドの特性に気づいて、本体であるワニの方を見た。その時、ワニの背後にミリオン・モンスターズ・アタック!の姿がある事に気が付いた!

 

Fuoooooaaaaaaaa(フオアアアアアアアアアア)………』

「アイツ、あのスタンドに取りつかれて………!」

「そうか!あのワニ、ティアナと同じで『ミリオン・モンスターズ・アタック!』に取りつかれて、自分のスタンドに目覚めたのか!!」

 

ワニがスタンドに目覚めた経緯を察することはできた。だとすれば、あのワニはミリオン・モンスターズ・アタック!に操られ、無理やりスタンドで攻撃をさせられていることになる。

 

「X・ジオの奴は、自分が良ければそれで良いってタイプみたいね………!」

「ワニのスタンドはしばらく待てば動けるようになるけど、その隙にヤツに攻撃されたらたまったモンじゃあない………!!」

 

明日菜がそう言っている間に、ワニのスタンドは徐倫たちに迫ってくる!

 

「『ストーン・フリー!』!!」

 

徐倫はすかさずストーン・フリーが体の一部を解くと、それを編み込んでネットを作る。飛んできたスタンドはネットに阻まれて弾かれてしまった。

 

「ナイスよ徐倫!」

「いや、流石に長くは持たないわ……ティア!」

「ええ!」

 

徐倫が合図を送ると、ティアナは『ミュステリオン』を出して舌を伸ばすと円を描くように一同を囲う。次の瞬間、徐倫たちはワニの目の前から消え失せてしまった!

 

「!?」

Fuoooo(フオオオオ)………!?』

 

目の前から消えた一同にワニも『ミリオン・モンスターズ・アタック!』も戸惑って周囲を見渡すが、その姿を見つけることは出来なかった。

 

「―――ぷはっ」

「よし、今の内にみんなと合流するぞ!」

「はいっ!」

 

ティアナが息継ぎをした瞬間、ミュステリオンの能力でワニたちに気付かれないまま十数m離れた位置に出現した徐倫たちは、走り出した。ふと、ネギが口を開いた。

 

「X・ジオに操られたスタンド使いの動物が、あのワニだけとは考えられませんね……」

「確かに………早くみんなに伝えて警戒しないと………!!」

 

徐倫はそう言って走る速度を速めた。

 

 

 

 

 

スタンド使いのワニ(名前は『ハンター』)

スタンド名は『ガソリン』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「は!?ワニが!?」

 

念話で状況を聞いたノーヴェが声を上げる。傍にいたディエチとチンク、ディードたちも驚いているが、仗助やジョルノ、千雨たちは念話の内容が分からないためか少し困惑をしている様子であった。

 

「スタンド使いの動物………しかも、あのゾンビスタンドに取りつかれ操られているだなんて………!」

「ここまでの事をするなんて………X・ジオ……何を企んでるんだ……?」

 

スタンド使いのワニの出現を聞いて驚くノーヴェとチンクたち。ノーヴェたちから大体の事情を聴いた千雨はX・ジオの狙いがいまいち分からず首を傾げていると、コテージのドアが開いてスタッフの1人が入ってきた。

 

「みなさん、妙な連中がここに向かって来ているようです!直ぐにここは危険になります!」

「やっぱ、ワニの他にもスタンド使いがいたのか……?」

 

仗助がそう呟くと、一同は立ち上がって移動をしようとした。しかし、それを千雨が呼び止めた。

 

「待ちな!アンタ、スタッフじゃあないだろ?」

「!?」

 

千雨の指摘に仗助たちが驚いていると、スタッフはキョトンとした様子で徐倫に聞いた。

 

「な、何の事ですか?」

「とぼけてんじゃあないよ。あんた、X・ジオとやらだろ?変装するなら、もっと上手くやりな。」

「はあ……?」

「千雨、それはさすがにありえないんじゃあないですか?」

「そうですわ。ここのスタッフの身元はしっかりと調査をした結果、安全だと分かったはずですわ。」

 

千雨の発言にジョルノとあやかが反論するが、千雨は確信をしたようにスタッフを睨みながら、さっき焚いたアロマを右手で指さした。

 

「あのアロマ、実は特別性でね。スタンド使いを炙り出すための特殊な成分が混ぜられているんだよ。」

「えっ!?」

 

千雨の発言に一同は声を上げる。千雨は続けた。

 

「スタンド使いがあのアロマの香りを少しでも吸うとだな…鼻の頭に、血管が浮き出る。」

「えっ!」

 

それを聞いたのどかやミスタたちスタンド使いたちは自分の鼻を指で触り確認をする。夕映たちがそれを見ていると、スタッフも鼻を触って、というよりは隠すように手で覆っていた。

 

「うそだろ千雨!」

 

ノーヴェが千雨にそう聞くと、千雨はスタッフに鋭い眼光を向けた。

 

「ああ、うそだぜ!()()………()()()()()()()()()ようだな!!」

「アッ!」

『あっ!!』

 

千雨が明かした瞬間、スタッフに視線が集中する。

スタッフは冷や汗を浮かべていたが、バレては仕方がないとばかりに服を翻すように変装を解き、大戦時のドイツ軍を彷彿とさせる黒い軍服と軍帽を被り、小さな四角い口髭を生やした険しい男、X・ジオの姿を現した!

 

「千雨、なぜこの人があやしいとわかった?」

「いや、ぜんぜん思わなかった。だが………スタッフ全員にこの手をためすつもりでいただけのことだ。」

 

千雨は仗助に答えると、ノーヴェたちは呆気に捕らわれながらもその手段に納得していた。X・ジオはフン、と鼻を鳴らして乗馬用の鞭を左手に当てた。

 

「やってくれるではないか………貴様があの女が躍起になっている『長谷川 千雨』だな?貴様の命などどうでも良いのだが、私の軍勢の障害となるならば、ここで排除させてもらうぞ………!!」

「軍勢だと?他の生き物を利用してるやつが、何言ってるんだか………」

 

仗助が小馬鹿にするように鼻で笑うと、X・ジオはギロッと睨んできた。しかし、彼の周囲では臨戦態勢になったミスタたちが睨みを利かせており、下手に動けばタダでは済まないだろうことは一目瞭然であった。

 

(とはいえ、だ。『ミリオン・モンスターズ・アタック!』が遠隔操作型スタンドであるにも関わらず、本体であるコイツが自ら姿を現したって事は、何の考えもないなんて事はないはずだ………何を企んでやがる………?)

「どうしたおっさん?いい歳してコスプレなんかしてさー………それもしかして、()()()()か!?」

「………」

 

ミスタが拳銃を構えながら考えていると、千雨が挑発するかのように言う。X・ジオは無言で睨みを効かせてきた。

 

「……口の減らんガキだな。よかろう!『痛めつけられる』のが好みであれば、望み通りにしてやる!!」

 

X・ジオは鼻を鳴らしてそう言うと、鞭を振るった。その時、X・ジオが脱ぎ捨てた制服がもぞもぞと動き出した。

 

「な、なに………?」

 

のどかがそれに気づいて小さく呟いた瞬間、制服の下から何かが勢いよく飛び出してきた!

 

「きゃあ!?」

「何だ!?」

 

飛んできたものは真っ直ぐにのどかに向かってくる!それが金属の光沢を持った球体であるとノーヴェが認識した一瞬後には、のどかは「イノセント・スターター」の両手でそれを弾き、球体は放物線を描いてディードの方に飛んで行くと、それをディードは「エターナル・ブレイズ」の腕で捕らえた。

 

「これは……?」

 

ディードが掴んだ球体を見て首を傾げると、球体は金属のような銀色から段々と薄茶色に変わると、開くように形を変えた。

 

「クー………」

「へっ!?」

 

それは、少し尖った顔と丸い甲羅のような丸い胴体と爪を持った、体長約30㎝の動物、アルマジロだった。

 

「ア、アルマジロ……?」

「これは、南米に生息する「ミツオビアルマジロ」ですね。昆虫類や果実等を食べる雑食性です。」

「よく知ってますね、ディードさん………」

「ちなみに、丸くなる事で有名なアルマジロですが、実際に丸くなる種類はこのミツオビアルマジロだけです。」

「へー、そうなんだ………」

 

何故か得意げにアルマジロの知識を語るディードに呆れる一同。アルマジロは「エターナル・ブレイズ」の腕の中でもぞもぞと動いて再び体を丸めたかと思うと再び銀色の金属のような姿になった。それと同時に体重も数倍になったのか、ディードはスタンドの腕でずっしりとした重さを感じ取った。

 

「!?この子、スタンド使い!!」

「体を金属に変える能力か!!」

 

ノーヴェがアルマジロの能力を理解したが、アルマジロの甲羅の一部が『バネ』のように飛び出すと、バネの反動でディードの手を離れた。

 

「あっ!?」

「体の変化もできるのか!!」

 

アルマジロが体の一部を変化させた事に驚く一同。アルマジロは飛んで行った先の壁にバネで跳ね返ると、千雨に向かって飛んでくる!

 

「千雨さん!!」

「チィッ!!」

 

千雨は瞬時に『アニバーサリー・オブ・エンゼル』を装着すると、背中の翼で飛んできたアルマジロの軌道を逸らし回避した。アルマジロは床を破壊して『着弾』して停止すると、身体を元に戻して千雨たちの足元を素早く走って抜けて行った。

 

「あっ、結構速い!」

「クー………」

「………?」

 

千雨はアルマジロの意外な素早さに驚くが、通り抜ける瞬間にアルマジロが苦しそうな声を出したことに気付く。アルマジロはX・ジオの足元まで行くと、その背中から『ミリオン・モンスターズ・アタック!』を浮かび上がらせた。

 

Fuoooooaaaaaaaa(フオアアアアアアアアアア)………』

「アイツ、やっぱネギたちを襲ったワニと同じように!」

「そのワニには『ハンター』、スタンドには『ガソリン』と名付けた。このアルマジロの名前はまだだが、彼らは我が軍勢の中でも選りすぐった「親衛隊」の一員だ。我が『ミリオン・モンスターズ・アタック!』に取りつかれたのがきっかけでスタンドに目覚めた動物故に、ここに連れ込めた。」

「無理やり操っといて親衛隊って………」

「どこまでも身勝手なヤローだな………!?」

 

X・ジオの行動に心底軽蔑した顔になるノーヴェとチンク。仗助は今にも殴りかかろうと拳を鳴らすが、その時、背後に気配を感じて振り返ってみれば、苦しそうな顔で冷や汗を垂らすホルマジオの姿がいた。

 

「ホルマジオ……!?」

「お、お前ら………に、逃げ………!!」

 

苦し気な声でホルマジオがそう言った時、彼の背後から歯を食いしばったロボットのような外見で人差し指が長いナイフのようになったスタンドが現れた。瞬間、スタンドは振り上げた腕を下ろして、人差し指のナイフで仗助に切りかかってきた!

 

ズァアッ

「何ぃ!?」

「!?」

 

仗助は右手で防御すると、右腕にナイフの切り傷がついて、血が噴き出した!

 

「ホルマジオ!お前………!?」

「や、やられた……今の今まで気付かなかった………あの野郎、()()()()()………!!」

「はっ!!」

 

苦しそうなホルマジオの顔を見た仗助は、その時、ホルマジオのスタンドの背後に『ミリオン・モンスターズ・アタック!』の姿を見た!

 

「ま、まさかコイツ!?」

「ああ、そうそう。そこの彼、えーと……ホルマジオ、と言ったな。彼も我が軍勢の一員だ。親衛隊の特殊工作員として、この島に先行してもらっていたのだ。」

「何だと!?」

 

X・ジオがなんてこと無いように言った言葉を聞いて、一同は気付いた。ホルマジオは『命からがらに逃げおおせた』のではなく、『()()()()()()()()』のだと!

 

「クソッ……!!」

「!?仗助さん……!!」

「ン?……!?」

 

ホルマジオに睨みを利かせる仗助であったが、千雨が慌てたように声をかけてきた。仗助が千雨の方に振り向くと、身長190㎝近いのはずの仗助の目線が、162㎝の千雨と目線が同じほどにまでなっている事に気付いた!

 

「まさか………」

「ち、『()()()()』………!?」

「オ、オレの『リトル・フィート』は、人差し指の刃で傷つけたものを、小さくする能力………!お、お前は、これから無限に小さくなっていくぞ……!!」

「マジかよ………!?」

 

ホルマジオから告げられた『リトル・フィート』の能力に、仗助は冷や汗を垂らす。そうこうしている内に仗助の身長は更に小さくなり、千雨よりも小さくなってしまった!

 

「や、ヤバくねーか!?」

「ぐぅッ、うぉおおおおおおおおッ!!てめーらオレから離れろおおおおッ!!」

シュババババババババ

「うわああああ!?」

 

ホルマジオが苦しそうに叫ぶと『リトル・フィート』が切りつけようと刃を我武者羅に振り回す!仗助たちは慌ててホルマジオから離れるが、その時、アルマジロがスタンドで鋼鉄化して飛びかかってきた!

 

「ひええっ!?」

「人間にも取りつく事が出来たとは!!」

 

飛びまわるアルマジロと『リトル・フィート』の刃を避けながら、チンクが困惑と驚愕が入り混じった声を上げる。飛んできたアルマジロをジョルノが『ゴールド・エクスペリエンス』で受け止めて床に放り投げると、そこにミスタが銃弾を撃ち込んだ!

 

ガキンッ

「何!?」

 

しかし、銃弾はアルマジロの体表で弾かれて床に着弾し、床に穴を開けた。

 

「銃弾が通じない!やっぱり堅いな!!」

「堅さもそうだが、アルマジロ特有のあの丸い体表では銃弾が滑って受け流されてしまう………自然界の英知とスタンド能力によって、最強の『盾』と『矛』を得たのか!!」

 

ジョルノがアルマジロのスタンドに戦慄していると、『リトル・フィート』が刃を振るってきたので、飛び退いて回避をした。

 

「ホルマジオ!スタンドの解除は!?」

「それができないから、こうしてかきたくもない『冷や汗』をかいてんだよ!!」

「ダメか………!!」

 

ならば、とミスタは銃口をX・ジオに向ける。『ミリオン・モンスターズ・アタック!』の本体であるX・ジオを再起不能にすれば、ホルマジオたちは解放されると判断したからだ。

ミスタの思惑を察したのか、X・ジオは不敵な笑みを浮かべると背後に『ミリオン・モンスターズ・アタック!』が現れた。しかし、その姿は他の者とは異なり、長く鋭い牙を持った口とアンバランスな程太い手に幾重にも絡んだコードを持ち、腕には太く鋭い爪が生えていた。

 

「そのスタンドは!?」

「これぞ、『ミリオン・モンスターズ・アタック!』の将軍!我が右腕である!」

Fuoooooaaaaaaaa(フオアアアアアアアアアア)!!』

「あれは……オ、オレがあの島で出会った………?」

「チッ!!」

 

将軍と呼ばれたスタンドが咆哮を上げた瞬間、ミスタがX・ジオに向けて引き金を引き、銃声と共に弾丸が放たれた。

 

Fuoooooaaaaaaaa(フオアアアアアアアアアア)!!』

 

しかし、『ミリオン・モンスターズ・アタック!』は両拳で弾丸をあっさり弾き飛ばすと、ミスタに向かって突進してきた。ミスタは再度狙うが、X・ジオは余裕の表情で言った。

 

「無駄な事だ。将軍は他の兵隊と違い近接型に近いパワーと精密な動きができる。たとえ()()4()()とも同時に発射されたとしても、容易く弾き返してくれようぞ!」

「ッ!!」

Fuoooooaaaaaaaa(フオアアアアアアアアアア)!!』

ドギャッ

「ぐあッ!!」

 

X・ジオに「残り4発」と指摘された瞬間、ミスタは顔を強張らせて一瞬動きを鈍らせた。その一瞬を見逃さず、『ミリオン・モンスターズ・アタック!』がミスタの横っ面を引っ叩くように殴りかかった!殴られたミスタが吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。

 

「ミスタ!!」

「ぐぅ………ッ!」

「……?なんだ?てっきり撃ってくると思ったが………?まあ良い。我が『ミリオン・モンスターズ・アタック!』の本領は、()()()()()。」

「何!?」

 

X・ジオの言葉を千雨が聞き返したその時、ミスタがふらふらと立ち上がった。ジョルノがその様子を見て訝しむが、次の瞬間、ミスタは手にした拳銃をジョルノに向けた。

 

「ミスタ?まさか!?」

「ジョ、ジョルノ………避けろぉッ!!」

ガァーンッ

 

ミスタが叫んだ瞬間、引き金が引かれてジョルノに向けて銃弾が発射された!ジョルノは咄嗟に『ゴールド・エクスペリエンス」の拳で天井に向けて弾くが、ミスタは拳銃を連射してジョルノに銃弾を浴びせ続ける!

 

「ミスタさん!?」

「マズいぞ、ミスタはあのスタンドに取りつかれた!」

「何だと!?」

Fuoooooaaaaaaaa(フオアアアアアアアアアア)………』

 

ジョルノが言った瞬間、ミスタの背後に『ミリオン・モンスターズ・アタック!』が現れて唸り声を上げた。ミスタがぎこちない様子でリボルバーから薬きょうを捨てて弾丸を再装填させていると、『ミリオン・モンスターズ・アタック!』の将軍をのどかが見た。

 

「まさか、あのスタンドに触れられると取りつかれるってこと………!?」

「あれだけの数に取りつくって考えたら、妥当な『制約』ではあるが………」

 

ノーヴェや千雨も『ミリオン・モンスターズ・アタック』の能力を察していたが、その時、すでにチンクと頭1つしか変わらないまでに小さくなっていた仗助が、ある事に気が付いた。

 

「………まてよ?(さっきまでアイツは、スタッフの格好になっていた。それは、潜入するため()()か?いや、ヤツの能力を考えたら、潜んでいた無人島にずっと隠れていた方が『安全』のはずだ。それなのにこの島にまで来た理由は………?)!!ま、()()()ッ!!」

「東方?」

 

仗助が『ある事』に気がついて声をあげたその時、部屋のドアが吹き飛ぶかのように勢いよく開くと、あやかを筆頭にスタッフたちがなだれ込んできた!

 

「ひぃいいいッ!か、身体が勝手にぃ!?」

「助けてくれぇえええ!!」

「いいんちょさん!?」

『『『Fuoooooaaaaaaaa(フオアアアアアアアアアア)………』』』

 

恐怖の表情でこちらに迫ってくるあやかたちにのどかが驚くが、その背後の『ミリオン・モンスターズ・アタック!』の姿を見て、現状が直ぐに分かった。

 

「なッ!?そんな………!!」

「やっぱりか!てめえ、他のスタッフにもさっきみたいにスタンドで操るために!!」

「何!?」

「そうだ。野生の動物だけでは私の軍勢にも『限界』を感じてな。兵士を調達するために、この島に潜入したのだ。」

「なんて事を……!!」

 

X・ジオの所業を聞いたのどかが困惑と恐怖に顔を歪める。現状を打開するためには、一度この場から離れるべきではあるのだが目の前の出入り口のドアは操られたスタッフたちで塞がれており、後ろの窓からでは、先ほどと同様に取りつかれた魚や鳥がいないとも限らない。どうするべきか千雨が考えていると、スタッフたちの後ろに隠れたX・ジオが勝ち誇ったように笑みを浮かべて言った。

 

「さあ、貴様らも我が軍勢の一員となるがいい!!」

 

その宣言の瞬間、『ミリオン・モンスターズ・アタック!』の軍勢が一気に迫って来た!千雨やのどかが焦る中、ジョルノが腰に手を当てて言った。

 

「みんな、この場から一度離脱しましょう。」

「え?」

 

ズドドメギメギッ

「「「!?」」」

「何!?」

 

ジョルノがそう言ったその時、目の前に木の根が伸びて行く手を阻んだ!スタッフたちが動きを止めると、ミスタが察したように口を開いた。

 

「ゴ、『ゴールド・エクスペリエンス』………弾丸に生命を与えて木に変えたのか………!!」

「さっき弾丸を弾いた時に………!!」

「ええい!は、早くその木を……」

 

X・ジオが命令を下そうとするが、木は『樹木』となりまるで『壁』のようになってジョルノたちとX・ジオを隔て、天井を突き破った!

 

良し(ベネ)!ちょうどいい逃走経路が出来上がったな。」

 

ジョルノは天井に開いた穴を見てそう言うと、千雨は木の根の向こうにいるであろうミスタとあやかたちの方を見た。

 

「………すまない、必ず助けるから………!」

 

それだけ小さく呟くと、ジョルノたちと共に天井の穴から飛び出して行った。

 

「くっ、逃げたか………だが、この島からは出られないだろう………」

 

X・ジオはそう言うと、『ミリオン・モンスターズ・アタック!』を引きつれて部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

←to be continued…




89話です。
・亜子の『メガロポリス・アリス』の厄介さを再確認。原作でもそうだったけど、自動操縦タイプってスタンドの中でも制御が難しいタイプだと思います。

・スバルの徐倫呼び。今までずっと空条さん呼びだったので、今回から名前で呼ぶようにしようと思います。

・ワニとアルマジロのスタンド使い登場。動物の中でもスタンド使いにするならこの2匹かなって。アルマジロ解説するディードは『Vivid』で動物好きと判明したので。

・X・ジオの炙り出しはおなじみのあれ。そして、実はホルマジオも『ミリオン・モンスターズ・アタック!』に取りつかれていたっていうオチ。ゾンビものでは割とお約束ですよね。

では、また次回。
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