息抜きを兼ねて何番煎じのポケモンで書いてみました。ただでさえ投稿遅いのに恋姫優先だから、次話は114514日後になるかもしれないけどお兄さんゆるして。
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「ジラルダンだ」
そんな言葉が口をついて出た。
はて、なんで俺はこんなところにいるんだろう。俺は確かに自分の部屋で寝て、明日の会社への幸福な奉仕に備えていたと言うのに。目を開けば見慣れた我が家の天井はどこにもなく、昔見た映画のキャラクターが目の前に立っていた。
起き抜けのうまく回らない頭で考えても、この状況が全く理解できない。せめて解ることから整理すると、まず俺の今居るのはポケットモンスター映画第二作、『ルギア爆誕』に登場した飛行船の内部。飛行船と言ってもヘリウムで飛ぶアレではなく、まるで二つの独楽の尖った方同士をくっつけたような形をして、土星の輪よろしく接続されたリング(それも二本も!)に無数に取り付けられたプロペラで飛行する謎設計である。上部に展望台、中央に大広間、船体最下部にはなんと大砲まであるという実にステキな船だ。
次に、目の前にいるこのお方。この船の主にして、映画における悪役。世界中の珍しいものを収集し、最後には世界の破滅をも顧みずルギアをコレクションに加えようとした男。コレクター・ジラルダン。
彼は映画で見たとおりに、大広間……コレクションルーム中央の玉座に泰然として座っている。
「勘違いしているようだが、私はジラルダンなどという人間ではない」
目を合わせたら、ジラルダンが自分はジラルダンではないと言う。しかし、目の前の彼はどう見てもあのジラルダンである。声もまた然り。このジラルダンそのままの姿でジラルダンの船にいる彼は、ジラルダンでなければ一体何ラルダンだというのだろう。
「私はジラルダンではないと言ったように、彼も私ではないと言っているだろう。『私は空から見下ろしはしない』とね」
誰ルダンはジラルダンに似て博識なようだ。映画を見た人の過半数は知らないだろうキャラソンまでご存知とは、やっぱり歌ったジラルダン本人じゃないのだろうか。もしくは鹿○丈史かもしれない。
「私は彼と違って、如何なる時をも天上より世界を見下ろしている。分かりやすく言うならば──神。それも、彼の欲した海の神よりも、全てを創造したとされる超克の神よりも遥か高みに在る、ね」
まさかのダレルダン神様説。しかも今の所ポケモン世界の最高神ア、アルセ……アルセルタスだっけ?よりずっと高位とかこれもう分かんねえな。でも周り見渡してみると映画でファイヤーとか入れてた檻にルギアもアルセルタス(仮)も、他にもレックウザとか色々展示してあるから本当に神様なんだろう。
「そこのポケモン達は私に刃向かってくれたものでね。今はお灸を据えてやっている」
カミルダンは額に手を当て、やれやれとばかりにそう言った。
「私は君をポケモンの世界に落とし込もうと思っている。君が望むあらゆるものを与えた上でね。それを彼等は快く思わなかったらしい」
「はぁ。それは願ってもないお話ですが、何故俺なんかを……」
「端的に言えば『偶然』。だが私にとっては『必然』。私は君に何かを求めはしない。しかし君には目的以外の全てを与えよう。……君にとっては幸運な偶然でも、私が望んだからこれは『必然』なのだよ」
カミルダンの話は分かりづらい。ジラルダンみたいに浮き世離れした話し方だ。
まあ要約すると、よくある神様転生ってやつか。行き先が決まっているとは言え、チート付け放題は恵まれてるにも程があるな。それに、これであのイカレた格差社会から抜け出せるとは。stay alert trust no one keep your laser handy.胸の中にはいつもレーザーガン。
「それで、どうする。君が望むなら、ポケモンと話せる能力でも、あらゆるポケモンを必ずゲットできる能力でも、或いは超能力でも思いの儘だ。一つと言わずいくらでもね。……ああ、なんならそこのポケモン達を連れて行っても構わないよ」
指し示される伝説のポケモン達。いや、連れて行ってもいいって言われても何かめっちゃ睨まれてるし嫌なんですが。それに俺は毒ポケ厨だから毒ポケモンのいない伝説・幻ポケモンはいらん。
しかし、なんでもか。なんでもいくらでもとは大盤振る舞い。取り敢えずテレポートとか透視とか念動力とか、そういう超能力は欲しいよね、ポケモン関係無く。ポケモンと話せる力は……いらんな。100%ゲットも。伝説幻以外はポケモンが話すのに抵抗有る方です。それにバトルもゲットも、勝ち負けがあるから面白いんだと思います(キリッ)。
他には何が良いかな……あ、この船欲しいな。設計とか物理学とか凄まじく不安だけど、映画のCG格好良かったんだよなー。内装とか不明なところも多いけど、あれだけ大きれば豪華な居住スペースとか隠し部屋とかありそうだし、神たるポケモンを捕獲できる戦力は寄る辺の無い俺には魅力的。
「構わないとも。しかしそのままでは君の手に余りそうだ。整備要らずで弾薬や捕獲器具の残量を無限にしておこう」
カミルダンマジ天使。神だけど。
住むところ兼移動手段は確保したから、次は衣食と金だな。これが無いと空から大砲と超能力で物資を強奪する空賊ルートしか見えん。一般ポケモントレーナーってどうやって生きてるんだろうね。
「超能力が有れば手品師として生きてはいけるだろうがね。ふむ、なら彼のコレクションにあるような古代の貨幣や装飾品を支給しよう。基本は毎月、前借りも返納も可能だ」
返納可能で良かった。一つ売ればそこそこの金額になるようなもの、毎月必ず受け取ってちゃ船が重みで沈む。
あとは……そうだな。病気とか怪我とか嫌だし、基本不老不死で体調も操作可能、生きるのに飽きたら好きなときに死ねる能力があるといいな。俺はスーパーマサラ人じゃないから今のまま十万ボルトとか食らったら普通に死ぬ。
「いいだろう。君は私の神使も同然、天上人ぐらいの美貌にして、ついでに他人への治癒能力もあげよう」
エンジェルダンの天使化が止まらない。
じゃあそろそろ最後にしよう。もう生きるのに何の苦労もないし、これ以上頼むとキリがない。やっぱ最後は、パートナーポケモンが必要だろう。
さて、どうしよう。飛行船もあるしどこへでも行けるから、どのポケモンを選んでもいずれゲットはできる。だから、好きに決めればいいんだけれども。旅立ちとするならやっぱ御三家、か?あるいは序盤の
うんうん唸って考えた末、決めた。俺の最初のポケモンは、ズバットにする。第四世代まで皆勤賞で、最終進化形のクロバットの優秀な性能には今までずっとお世話になってきた。それに俺は、初プレイの青バージョンの、あの青のゴルバットからの付き合いだ。考えてみると全ポケモン中一番馴染み深いポケモンになる。
「そうか。なら6V相当の個体をあてがおう。性格はどうする」
性格はなんでも。ガチガチのガチパは好きじゃないし、ゲームと違う現実の世界なら性格はステータスではなく大切な個性なわけで。特性も夢特性じゃなくていいや。
「もういいのかね。ではもう行くといい、何かあれば船のAIに聞けば大抵は何とかなるだろう」
色々ありがとうございます神様。それじゃ最大限ポケモン世界を満喫してきます。
俺の体が光に包まれていく。最初から最後まで悠然としていた神様が、ほんの少し頬を緩めて手を振ってくれる。
「──ああ、そう言えば。世界を破滅させないために、ここのポケモン達はいずれ解き放つ。そうしたら真っ先に君を排除しにいくだろうから気をつけたまえ。ポケモンと言えど神の端くれ、君を殺すこともできるからね」
フザケルダン。
アルセウスに恨みはありません。ジラルダンはポケモンキャラの中で一番好きです。