GIRLS und PANZER 地獄ハ謳ウ   作:文月蛇

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OVA3巻最後の方
コミック版では四巻第三話AGE OF EMPIREあたり。







最後の大隊

 

 

 

 

 

 

『戦車道』

 

それは古来から続く乙女の嗜みである。良妻賢母を育てるため世界中で行われる。「戦争の技術」から「競技の技術」へと変化した。

 

嘗てのような戦争から隔絶され、確固たる安全性が確立された今日において戦車による闘争は娯楽と成り果てた。

 

今日における戦争は高度化と安全性を考慮した無人兵器に転換され、人を乗せて運用する有人戦車はコストパフォーマンスが高く、人件費や維持費の低い発展途上国のみ限定された。そして、戦争は低程度紛争のみに限定され、先進国における軍は無人機を運用する人員のみになり、無人兵器が戦場の主役と成り代わる。

 

この時代の変化は戦車道だけではなく「空戦道」や「戦艦道」、「歩兵道」を生み出すこととなった。

 

 

 

 

 

しかし、人はそれでもなお闘争を求める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは薄暗い一室であった。行き届いた空調によって中は快適であったその部屋には1台の液晶テレビによって周囲を照らし続けている。そのテレビの前には椅子に座る小太りの男と背の高い男が2人そのテレビをじっと見据えていた。

 

 

 

それは第63回戦車道全国高校生大会1回戦の様子である。近年戦車道を復活させた県立大洗学園と戦車道の強豪校、サンダース大学付属高校との戦いであり、圧倒的な兵力差と武装の違いから当初の予測では大洗学園の惨敗であると誰もが予想した。しかし、サンダース高の一両が撃破され、予想は覆された。さらに、隠されていたサンダースのフラッグ車が大洗の車両に発見され、大洗は総力を挙げてこれを撃破せんと大挙して押し寄せたのだ。類を見ないその鬼ごっこはサンダースの救援によってさらに混沌と化し、勝負の行方が分からなくなってしまったのだ。

 

しかし、大洗の車両は次々と撃破されていき、起死回生とばかりに隊長の乗るⅣ号戦車が射撃のしやすいエリアにそれ、それをサンダースのFirefly中戦車によって狙われた。追いかけるフラッグ車がⅣ号戦車のキルゾーンに入った瞬間、そしてFireflyの射程内に入ったその時。Ⅳ号戦車の砲撃が命中する。さらに砲撃直後にFireflyの砲撃によりⅣ号戦車にも命中する。

 

 

 

試合会場は一瞬にして沈黙が支配し、戦っていた彼女らも動きが止まる。

 

 

 

 

 

 

そしてM4A1シャーマン中戦車の砲塔の上に立った白旗を見た審判が判定を下した。

 

 

(大洗学園の勝利!!!)

 

 

特設観客席の歓声と大破した大洗の学生の歓声がその大会会場を包み込み、感情の爆発がその場を支配する。ある者は歓喜し、ある者は咽び泣く。歓喜と悲哀が入り混じった試合会場はテレビ画面からでもひしひしと伝わった。

 

 

 

「ははっはっははっはっは!強いな大洗。あのシャーマンがボロ雑巾みたいじゃないか」

 

 

 

一撃でエンジンを仕留めた大洗のIV号戦車の砲手に対して小太りの男は賞賛に値すると拍手を送る。それは偶然や奇跡といったものではなく、積み重ねられた経験、技術による成果である。戦場には偶然や運と言ったものが存在しないわけではない。しかし、大半の結果は経験や積み重ねられた事項が勝敗を左右する。

 

 

椅子に座りそれを見ていた男は見事な精密射撃に歓声を送った。

 

 

 

「やっぱり強いなあいつは。べらぼうに強いな、存外に強いな!」

 

 

「も、も申し訳ありません。やはり・・・やはり私どもは・・・」

 

 

横の白衣を着る奇妙なメガネを掛けた男は人差し指を噛みながら。苦悶の表情を浮かべながら謝罪の言葉を口にするが、小太りの男はそれを制す。

 

 

「否!馬鹿を言うな。むしろ大成功に近い」

 

 

テレビを消し、満足そうな笑みを浮かべた男はゆっくりとした動作で足を組み、指を重ね合わせて笑みを浮かべた。

 

 

「あの西住に対してあのサンダースは一定の戦果を挙げたのだ。それは驚くべき英雄の抒情詩だ。・・・西住みほ、それはもはや西住流戦車道ではない戦車道。すなわち彼女は短い間に西住流に対抗できる本懐に指を掛けたのだ。

 

乙女を構築し

乙女を兵装し

乙女を教導し

乙女を編成し

乙女を兵站し

乙女を運用し

乙女を指揮する

 

彼女らこそ大洗学園『Oarai  Panzerkorps』!!!

 

素晴らしい!科学部顧問!」

 

 

「感謝の極み!」

 

 

小太りの男が言うと、白衣の男はその目に狂気を宿しながら歓喜の返事をする。

 

 

「では諸君!」

 

 

その声とともに一室は揺れ動き、機械音が部屋を満たした。

 

 

「楽しい楽しいショーもひとまずお開きだ。そろそろ帰ろうじゃないか。愛しきホーム()へ」

 

 

暗がりの一室は巨大な昇降機と化し、機械音を立てながら上がっていく。上がった先は黒森峰の校章を床一面に描かせた巨大な艦橋だった。艦橋の窓から見える大空と遥か下に見える情景は先ほどまで戦車道と歩兵道の合同大会があった大会会場である。

 

 

「艦長!回頭の用意だ。急げよ、理事会(オペラハウス)のご老人達がお待ちかねだ。くれぐれも急げよ。きっと怒り心頭で顔を真っ赤にしているだろうからな」

 

 

黒森峰海戦道を履修者が着用する軍服を着、尉官の階級章を持つ艦長らしき男は苦笑する。周りには副艦長、航海長が控えており彼らも同様に笑み

を浮かべた。

 

 

「成程、それはまさしく一大事ですな。急行いたします。学園長(少佐殿)!」

 

 

「取舵用意!フラッペン起動!」

 

 

艦長が命令し、航海長や操舵手が動き始める。

 

 

「取り舵用意。フラッペン起動」

 

 

「全フラッペン起動確認。高度よし、取り舵20!」

 

 

命令を遂行するべく、操舵手によって方位が定まり、艦橋内に重低音のプロペラ音が響く。彼らが乗るのは巨大な飛行船。漆黒の十字を校章とする黒森峰学園艦のうちの一隻である。その大きさは従来の飛行船の大きさを遥かに超え、装甲が装備されたそれはただの飛行船ではなく、飛行巡洋艦という名前が相応しい。

 

 

「目標、黒森峰女学院。・・・行くぞご老人方。私の邪魔をする奴が何百 何千 何万 何億死のうが知ったことじゃない。否!私の前に立ちはだかるものは皆殺しだ」

 

 

小太りな男、学園長と呼ばれた男は笑みを浮かべながらとんでもないことを口にする。それに誰も気を止めることなどしない。

 

 

彼らは黒森峰女学院付属男子高等学校の生徒とその教員達。帰還する彼らは黒森峰女学院の戦車道を応援するサポーターであった。全国高校歩兵道大会において常に優勝校として威厳と尊敬の念を誇示するため活動してきた彼ら。

 

 

彼らを畏怖と嘲笑と尊敬を込め『親衛隊』と呼び、彼らは自身のことを「最後の大隊(ミレニアム)」と呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










歯切れが悪いがこんな感じです。
次はマクスウェル当たり出そうか・・・・

それともダージリンをインテグラ化するという手もありますね。

あれ?


本格的にやるしかないのかこれw


次は少佐の演説かな・・・
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