カルデアにおけるマスターとサーヴァントの日常   作:猫の手書房

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初めまして、猫の手書房というものです。
Fate/GOのほのぼのとしたお話を見てみたい……あんまりない……なら書こうという次第で書き始めてみました。
物書きとしては初心者ですので、拙い部分は多いかと思いますがお暇つぶしとなれば幸いです。

また、こういったシチュが見たいとうございましたら感想に意見を頂ければと思います。

では、どうぞよしなに


カルデアでの何気ない1日
とある休日の始まり


「先輩おはようございます! さっそくですが、トランプしましょう! トランプ!」

とある特異点の修正が完了した翌日、僕を先輩と慕うかわいい後輩の声で目が覚めた。

何事かと辺りを見回して見ると、お祭り事(イベント)以外では殺風景な自室の扉の前に、右手を前に翳して嬉しそうな表情の眼鏡っ娘(後輩)がいた。

ベッドの横に置かれている目覚まし時計を見ると、時刻は11時。

どうやら、おはようと言うには少し遅い時間のようである。

「おはよう、マシュ。随分とご機嫌のようだけど、もう疲れは取れたのかな?」

「あ……。申し訳ありません先輩。お疲れなのに起こしてしまって……」

「気にしないで大丈夫だよ。マシュが来なかったら貴重な休日を寝て終わらせてしまったかもしれないからね」

扉の前、しゅんと申し訳無さそうな表情をするマシュに対し、僕はそう答えた。

――マシュ。マシュ・キリエライト。

僕がここ、人理継続保障機関、通称カルデアへ訪れた際に最初に出会った人物。

そして、僕が世界最後のマスターとなり、最初に契約をしたサーヴァント。

正確にはデミ・サーヴァントだが、そこに触れる必要は今はないだろう。

今気にするべきことは、飼猫が捉えた獲物を嬉しそうに飼い主へ見せに来るように、右手にもったトランプをマシュがこちらへ翳していることである。

 

『今、ご主人がキャットを呼んだ気がするワン』

『呼んでいませんから、あなたはさっさとそこのゴミを片付けて下さいまし』

一瞬幻聴が聞こえた気もするが、恐らく気のせいだろう。

軽く頭を振って、思考を元に戻す。今日は休日。せっかくの時間を無駄にする必要はない。

「先輩? やはりまだお疲れのようで――」

「いや、大丈夫大丈夫。ちょっとぼーっとしてただけだから。それよりも、さっきから気になっているそれについて聞いてもいいかな?」

「……はい! では先輩、少し机をお借りしますね!」

そう言って、自室に備え付けられている机にカードを並べていくマシュ。

マシュにとっても久々の休日なのだ。心配させて心労を増やすなんてのはもってのほか。

僕よりも年下で、それでいて戦えない僕をいつもいつも守ってくれている。たまの休日くらいは、なるべく彼女のやりたいことをやらせてあげたい。

なんてことを考えながら、楽しそうにカードを並べるマシュを眺めていると、座っているベッドで何かがもぞもぞと動く気配を感じる。

「……フォウ?」

「あれ、フォウさん? 寝る前はいなかったのにいつの間に」

「? あ、フォウさんもおはようございます。 今朝は見当たらないと思ったら先輩のベッドで寝ていたんですね」

――フォウ。フォウさん。フォウくん。

真っ白い毛並みに、毛先に向けて色鮮やかに蒼くグラデーションしている耳が特徴の不思議な生物。

猫のような犬のような狐のような、ここカルデアに住んでいる種族不明の住人?の一人だ。

カルデアにいる関係者全てが、フォウさんがどのような生物なのか知らないというのだから驚きである。

「なんか暖かいと思ったらフォウさんだったのか。おはよう、調子はどうだい?」

「フォウ!フォフォーウ!」

「ははっ。久々にベッドで寝れてフォウさんも満足みたいだね」

「はい。とても満足だ、とおっしゃっております」

不思議なことに、マシュはフォウさんの言っていることがなんとなくわかるらしい。

最近では、僕も少しなら理解出来るようになってきたとは思うけど、マシュには敵わないだろう。

と、そんなやり取りをしているうちに準備が出来たのかマシュがこちらを見ていた。

伸びをしていたフォウさんへと腕を向けると、軽やかに肩へ乗ってくる。そのまま、フォウさんを連れて机のほう向かった。

さてさて、一体どのようなものが出てくるのやら。

「お待たせしました先輩。さっそくですが、こちらを御覧ください」

机の目の前までいくと、マシュにそう促される。

目を向けてみれば、そこには随分とかわいらしい(おもしろい)ものが広がっていた。

「……これは、デフォルメされたサーヴァント?」

「その通りです! 昨日の特異点修正のちょっとしたご褒美ということでダ・ヴィンチちゃんから頂きました!」

キラキラと眩しい表情で、そう説明をするマシュ。

目の前に広がっているトランプを見てみると、トランプの表側、一般的に数字が書かれている面には、今まで出会ってきたサーヴァント達がデフォルメされた姿で描かれていた。

適当に一枚、手にとって見る。スペードのクイーン。そこには、黒いジャンヌが得意げにドヤ顔をしている絵があった。

かわいい。だが、少し気になることもある。

「えっと……これは、みんなに許可は取ったのかどうかは聞いてるの?」

「いえ、ダ・ヴィンチちゃんからはプレゼントだ、としか聞いていません。……何かまずかったでしょうか?」

きょとんとした表情で首を傾げながらこちらを見るマシュ。

なるほど、とても癒される。じゃなく、これは一部のサーヴァントにバレると少々厄介な代物かもしれないなんて思う。

ダ・ヴィンチちゃんも中々どうして愉快犯的な部分もあるから、その可能性については理解しながらも嬉々としてやっているのだろう。

とはいえ、ここまで嬉しそうなマシュに対して、それを返してきなさいと言えるほど僕は強くはなかった。

そんなことを考えながら、手元のカードを机へと戻す。

まぁ、なるようになるか。所詮トランプ、これくらいで大事になるようなサーヴァントなんていないだろう。

――これが、盛大な慢心(フラグ)だったと後悔するのは、もうしばらく後のことである。

「いや、気にしないで。それよりも、トランプってことは、それを見せに来ただけじゃないよね?」

そう言葉をかけると、とても楽しそうな表情になるマシュ。そして、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに大きく頷く。その際、一緒に揺れるましゅまろ。やわらかそう。

なんてことを思いながらマシュを見ていると、昨日までの命を掛けた日常が嘘だったかのような気持ちになってくる。

人里の継続を守る戦い。史上最大規模の聖杯戦争。何の因果か、マスター適正があるとの勅命を受け、参加し、そして今に至る。

きっと、僕一人では途中で折れていた。この世界は失くなっていた。そして――

「さすがは先輩です。……お恥ずかしながら、私はトランプで遊んだことがないのです。ですので、経験豊富であろう先輩に遊び方を教えてもらいたいのですが、いかがでしょうか?」

ふっと、マシュの言葉に意識を元に戻す。

今日、今の場においてはこんな考えは忘れるべきだろう。

――フォウ?

――大丈夫だよ。ありがとうフォウ。

こちらを気遣うように、耳元で鳴くフォウさんに、僕も小声で返す。

そう、大丈夫。だから顔には出さないように、マシュへ目線を合わせた。

「……ふむ、なるほどね」

少し不安そうに、こちらにそう尋ねるマシュを見つめながら考える。

経験豊富って言い方が少し気になったのは僕の心が汚れているのかもしれない。

ではなく、トランプでの遊びのお誘いだ。ここ暫く、こういったゲームはやっていなかったし、いい気分転換にもなるだろう。

そう考えながら、僕は二つ返事で了承の言葉を返した。

「いいよ、やろうか」

「! 本当ですか!? 嘘じゃないですね!?」

「あはは、大げさだなぁ。ようは一緒に遊びたいってことだよね? それならぜひともこちらからお願いしたいくらいだよ」

そう、笑いかけながらマシュへ答える。

逆にこれくらいだったら、こちらからお願いしたいというのは本当の気持ちだった。

「あ……はい、ありがとうございます」

「いいよいいよ。じゃあやりたいゲームとかは――」

――きゅるるる。

「――の前に、まずはご飯にしようか」

「…………あぅ、はい」

赤い顔を隠すように俯いてしまったマシュに笑いかけながら、僕はそう促すのだった。

なんだか今日は、とても楽しい日になる予感を感じながら。

 

 

 




次回、食堂でのひととき【前編】

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