艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語-改   作:鶴雪 吹急

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 どうも、鶴雪 吹急です。

 結局、最初の一人称のお話に戻しました。

 さて、場所は執務室。白い提督服に身を包んだその男は机で書類仕事をいました。


第一章
第一話「提督と指輪」


「よしっと」

 

 目を通し終えた書類に印を押し、欠伸をする。

 

「司令官、そろそろ桟橋に向かわないと」

 

 そう言って、読んでいた雑誌から目を離し、応接用のソファからこちらに視線を向けて言うのは俺の鎮守府着任当初からの秘書艦である吹雪だ。

 

「おっと、いけない。行くか吹雪」

「はい」

 

 席を立ちながら書類の机の端によせる。吹雪は雑誌を机に置きソファから立って駆け寄る。

 

「さあ、行きましょ」

「おう」

 

 

 桟橋に向かう道を歩きながら吹雪が話しかけてきた。

 

「何で、他の空母の方に頼まないんですか?」

「この位は自分がやってもいいだろう、俺は()()()()んだから」

「それもそうですね。そう言えば、夕立ちゃんが()()に誘っていましたよ」

「またか、まあいいが。吹雪も付き合ってくれるか?」

「いいですよ」

「頼む」

 

 そんなことを話していると、桟橋が見えてきた。上空に目をやれば、手のひらサイズの零戦が飛んでいる。

 桟橋に着き、俺は意識を集中させる。身体に光が纏われ、武器―――艤装が現れる。肩には飛行板、背には矢筒、左手には弓、そして『アマ』と書かれた前掛けが現れた。

 吹雪はそんな俺の姿を見て言った、

 

「いつ見ても違和感がありますね」

「まあ、これは俺が受けた()()のようなものだから、有効に使わないと。さて、交代させなければな」

 

 俺は、吹雪にそう言いながら飛行板を水平にする。上空を飛んでいた零戦は飛行板に順に降りてくる。着艦した零戦は数機集まると矢に変わる。俺はそれを矢筒に戻すだけだ。

 

(俺にとってはこれのほうが違和感だがな)

 

 そんな事を考えながら俺は違う矢を取り出し構える。矢を放つと矢は炎とともに零戦十機に姿を変え、上昇する。後は三本、矢を放つだけだ。

 空へ飛んでいった零戦は四機づつ編隊を組み、等間隔に並ぶ。後は、鎮守府周辺と警備を艦載機妖精に頼み、任せるだけだ。

 

「よし、終ったぞ。帰るか」

「はい」

 

 俺と吹雪は零戦たちが離れていくのを見てから執務室に戻るための道を歩き出す。

 吹雪は先ほどの様子を思い出しながら、

 

「それにしても雲龍型ではない『航空母艦「天城」』ですか」

「ああ」

 

『航空母艦「天城」』

 ワシントン軍縮条約により、巡洋戦艦より空母に改造中に地震に遭いそのまま解体されてしまった艦だ。その後、変わりに加賀型戦艦だった加賀が変わりに空母になり、天城はそのとき空母にならなかった。

 

 俺が()()として使えるようになったのは巡洋戦艦改造の天城だった。艤装としては赤城が参考にされ、赤城との違いは前掛けの『ア』が『アマ』になっているのみに近い。

 

「まあ、「天城」で良いと思うよ」

「でも、うちにはいないですが雲龍型の天城さんもいますし」

「雲龍型の天城とは俺は『提督』とか『司令官』って呼ばれてるから間違えないと思うよ」

「そうですね」

 

 吹雪と俺は執務室に戻っていった。

 

 

 

 執務室に戻ると、俺は机端の書類を手に取り、

 

「吹雪、書類出来たから大淀に届けてきてもらえる?」

「分かりました」

 

 吹雪は書類を受け取ると執務室を出て行った。

 俺は吹雪が出て行き、一人になったことを確認すると鍵付きの引き出しの中の箱を眺める。

 

「はぁ~」

 

 知らぬ間にため息が出る。

 

『ケッコンカッコカリ』

 そう呼ばれた戦力向上方法は錬度が上限に達した艦娘に不思議な力のこめられた指輪を送ることにより、さらに錬度を上げられるものである。

 

(どうすっかね。これ)

 

 俺は箱を机の上に上げ、見つめる。

 

「じゅうこんもか。ですよ?」

「そうです。だれにわたすのかまよっているのなら、じゅうこんですよ」

 

 置いた箱の先で俺の妖精たちがニヤニヤしながらそんな事を言っている。

 

「それ、艦娘には言うなよ?特に金剛とかには。嫌な予感しかしないからな」

「わかってますよ。そんなことをすれば」

「わたしたちのおやつがなくなります」

 

 俺は箱を仕舞いながら妖精に注意を促す。

 妖精たちはさっきのニヤニヤ顔から一転、苦笑い気味の顔になる。

 

「それに、誰に渡すかはもう決まっているからな」

「「だれです?」」

 

 今度は、興味津々と言う顔で見てくる。

 

「教えないよ。それもそれでめんどくさいことになるからな」

「「えー」」

 

 今度は、しょんぼりとした顔になる。

 

「まあ、そう落ち込むな。これあげるから」

 

 そう言って俺は、妖精用の間宮券を渡す。

 

「「わー」」

 

 顔がパァっと明るくなる

 

「それで他のやつも誘って休憩して来い」

「「ありがとです!!」

 

 二人の妖精は『パフェたべましょ』『ここは餡蜜です』などと話しながら食堂へ向かっていった。

 入れ違いで吹雪が戻ってきた。

 

「届けてきましたよ」

「有難う」

 

 俺は、吹雪にお礼を言いながら時計に目をやる。

 

「吹雪、そろそろお昼にしよう」

「はい!」

 

 吹雪はお腹が減っていたのか少しうれしそうに言った。




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