大淀の一報を聞いて俺は、すぐさま執務室を飛び出していた。
向かうは工廠。前に赤城達とした約束を果たすために...。
ー工廠ー
「おい!明石!」
「はい!」
明石はすぐに出てきた。
「今朝の建造では何が完成した?!」
「え。えーと、確か、空母レシピを回して、愛宕さんの艤装と赤城さんの艦船がd」
「その赤城の艦船はどこだ?!」
「まだ、建造ドックに泊めっぱですけど...どうしました?」
明石はまだ知らせが届いてないのか、不思議そうにしている。
「赤城達がピンチになっているんだ!」
「えっ!」
明石は驚いて固まってしまった。
「提、督、待ってください!」ハアハア
大淀が後ろから息を切らしながら追いついてきた。
「大淀、疲れているところすまないが、頼みごとを聞いてくれないか?」
「何ですか」
「鳳翔を呼んできてくれ、あと護衛に駆逐艦娘を数隻」
大淀は急いで、戻って行った。
「それで、明石」
「はい」
「その赤城の艦船を使いたい」
「え?」
明石はまた固まった。
ー工廠・建造ドックー
「いいですか?提督は艦長の役割として、艦船に乗り込みます」
「ふむ」
俺は、明石に艦船の扱いについて教えてもらっていた。
その後ろで、赤城の艦船に手入れがされていた。
『ア』と書かれていた部分が『アマ』に変更され、艦首側の飛行甲板に大きな日の丸が描かれていた。
そんな中、格納庫には俺に所属している、第一航空隊『菅野隊』、第二航空隊の爆撃隊、第三航空隊の雷撃隊、第四航空隊の索敵・直掩隊の艦載機が乗せられ始めていた。
「ということです。分かりました?」
「OK。ありがとう、明石」
俺は、赤城―――――天城に乗り込んだ。
◇ ◆ ◇
曳航船によってドックを出渠した。俺は、鳳翔や護衛の駆逐艦と合流した。
通信妖精に頼んで、全艦と艦隊司令部に繋げる。
「空母『天城』より全艦へ。これより、第一機動部隊の支援のために、出撃します!」
『了解!』
他の艦からの通信の後、俺たちは出撃した。
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ー戦闘海域ー
「復旧状態は!」
「さんせきともまだ、ふっきゅうできていません!」
妖精の報告を聞いて、赤城は絶望していた。
今現在、赤城、加賀、蒼龍は一時戦闘不能になっており、何とか退避運動だけは出来るだけの状態だった。
(このままでは、あのときの...)
赤城の頭にはそんな事が過ぎっていた。
準備期間に問題があったものの、索敵、作戦に問題は無かった。
だが、現状はあの時に見た風景を彷彿とさせるようなものだった。
被害は、赤城が船首付近の飛行板をやられ、加賀は船尾の飛行板をやられ、蒼龍は真ん中のエレベーターが途中で止まってしまっていた。
長門や陸奥、飛龍や他の駆逐艦、直掩機による対空防御のおかげで、それ以上の被害を受けることは無かった。
赤城は着艦は可能だったため、加賀の分も着艦させて、修理を行っていた。
『赤城さん!雷跡!』
そのとき、赤城に迫る無数の雷跡。
赤城は諦めたように目を瞑り、衝撃に備えた。
(もう、ここで終わりですね。提督、すみません)
赤城は静かにそのときを待った。
しかし、いつまで待っても衝撃は来なかった。
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ー第三機動部隊・戦闘海域目前ー
赤城達の居る海域を目前にして、天城と鳳翔から、爆装した爆撃機と雷装した攻撃機、そしてそれらの直掩機からなる、第一次攻撃隊が飛び立っていった。
報告によると、敵の支援艦隊と前衛部隊は倒しきったものの第一機動部隊の支援までは時間がかかるらしい。
◇ ◆ ◇
第一次攻撃隊は戦闘海域に進入後、赤城に迫る雷跡を発見した。
『ていとくのしじどおりにいくぞ!』
『『はい!』』
攻撃隊は雷跡の先端に向けて、先ず、爆撃機による絨毯爆撃を開始。そこで爆弾とあたった魚雷が爆発する。
次に、それを抜けた魚雷一本ずつに向けて正面から雷撃隊が複数の魚雷を放つ。これで、赤城へ向かう魚雷はなくなった。直掩機はこれを邪魔する敵機と戦っていた。
◇ ◆ ◇
「頼むぞ!」
「おうよ!」
天城飛行板で菅野は紫電改に乗り、俺にVサインをして見せた。
第一次攻撃隊の一報を受け、第二次攻撃隊は発艦準備を進めていた。
天城から出る第二次攻撃隊は菅野隊と残りの攻撃隊で編成されていた。
攻撃隊は30kg爆弾を装着、紫電改も60kg爆弾を装着し、敵空母への爆撃を第一に考えた編成になっている。
「第二次攻撃隊、発艦始め!」
号令の下、菅野隊、攻撃隊の順に発艦していく、鳳翔からも攻撃隊が発艦、こちらは爆装しておらず、直掩の役割をになう。
第二次攻撃隊は敵艦隊へ向かっていった。
◇ ◆ ◇
俺たち、第三機動部隊は赤城達と合流した。
赤城達の状態を見て俺は驚いた。
赤城、加賀が順に縦に飛行板を繋げるようにぶつかっていたのだ。そして、加賀の飛行板から赤城の飛行板にかけて、艦載機が加速し発艦している。
赤城から通信が来た。
『提督!その艦は!?』
「鎮守府に余っていたものを持ってきた。何とか間に合ってよかった」
『約束を守ってくれましたね』
加賀が通信に入ってきた。
「ああ、『君らを守って見せる』と言ったからな」
通信機越しににも泣いているのが分かった。
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一時間後、第二次攻撃隊の菅野から通信が入った。
『提督、とりあえず空母二隻と他は沈めたぞ』
「そうか!」
『だがな...』
「ん?どうした?」
『あと一隻がどうしても倒せ無くてな、爆弾も機銃の弾も切れちまった。どうする?』
「分かった。それはこちらで対応する。菅野隊以外は帰って来てくれ」
『了解』
「あと、特攻はさせるなよ」
『分かってるよ』
俺は菅野との通信を切った後、艦橋を出た。
「あ、ていとくさん」
格納庫で作業をしていた妖精は俺を見つけると敬礼をした。
「お疲れ様」
「ありがとうございます。ところでそのかっこうは?」
「これか?ちょっとな。余った機体はあるか?」
「ええ、ありますよ。にいいちがたでよろしければ」
そう言って、他の妖精に機体を持ってくるように指示した。
「あまりの爆弾は?」
「にいちがたいっきにのせられるぐらいはあります。のせます?」
「頼む」
爆弾を積んだ二一型に俺は乗り込んだ。
◇ ◆ ◇
ー敵空母上空ー
提空母上空では菅野隊が空母の様子を監視していた。
赤い光を放つその空母――ヲ級エリートは大破して、艦載機を飛ばせず、漂っていた。
甲板からは艦長が睨んでいる。
「おっ!来たな...」
菅野が見つけたのは、白い胴体に日の丸と二本の帯を輝かせた、零戦二一型だった。
ヲ級はその零戦を見つけると対空砲を放ち始めた。
零戦は対空砲を避けながら急降下し始める。
そしてヲ級へ積んでいた爆弾を落とした。
ドカーン
ヲ級はゆっくりと海へ沈んでいった。その様子はこの作戦の終了を表していた。
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