「司令官。大本営からお手紙です」
吹雪はそう言って手紙を渡してきた。
「ありがとう。どれどれ...」
俺は、手紙を受け取り、中身を机の上に広げる。
吹雪も中身が気になってか、覗き込んでいる。
中には便箋が入っていて、
『青ヶ鳥鎮守府 宮島 清鶴中佐
先ず、防衛作戦、ご苦労であった。時間が短く、大変であっただろう。
そんな、作戦の後だが、至急、大本営まで来てもらいたい。
大本営』
っと、書かれてあった。
「司令官?」
「何だ?吹雪」
「この宮島 清鶴って司令官のことですか?」
「そうだよ。清く長生きしてほしいから、清鶴」
「そうなんですね」
吹雪は納得すると手紙に視線を戻す。
「吹雪」
「何ですか?」
「手紙にも書いてある通り、俺大本営に呼び出しくらったみたいだから、ちょっと本土まで行きたいんだ」
「はい」
「吹雪の艦に乗せていってくれないか?」
「はい!」
俺と吹雪は大淀に『大本営に行く』と伝えて、埠頭から艦に乗り、本土を目指した。
ー本土・大本営、会議室前ー
「ふぅ」
俺は、本土に艦から降りた後、吹雪に沖に居るように言って、大本営に来ていた。
「失礼します」
「どうぞ」
俺は、会議室の中に入った。
会議室の中には、大本営と海軍の幹部が数人が面接官のように座っていた。
「あの、今回の用件は?」
「うむ、わしから説明しよう」
そう言って、真ん中に座っていた一番偉そうな幹部が立ち上がった。
「今回の作戦、ご苦労だった。こちらの指定した艦娘を使ってよく戦ってくれた」
そう言って幹部は拍手をした。
「あ、ありがとうございます」
「だが...」
そう言って、幹部は顔色を変えた。
「君が、余っていた艤装を使って出撃したのはいただけないな」
「え?」
「それに、最後のとどめを刺したのも君が零戦に乗って刺したそうじゃないか」
「あの、何故それを?」
「何故って、偵察機を飛ばして観ていたからだよ」
幹部は、笑った。
「現代兵器は深海棲艦には効かないが、偵察などには便利だ。敵も君の艦隊に気が行っててこちらには気付かなかったみたいだから、良く観れたよ。しかし、何故、あそこで君は出撃したんだ?君が出撃せずとも横鎮の防衛部隊で倒したしわし達は、偵察機の映像を使って、世間には青鎮が完全勝利したと報道するから問題なかったぞ?それに、赤城達が沈んでもまた建造すれば良いじゃないか」
そう言って、今度は幹部全員が笑った。『艦娘は沈んでも建造すればまた出てくるではないか』っと言って。
艦娘は人としては各鎮守府に一人しか居ない。例として、赤城を出そう。もし、その鎮守府の赤城が沈んだら、建造で新しい赤城が生まれてくる。それが、この世界のシステムのようなものだった。
自然と握りこぶしが出来る。目の前の幹部たちは、艦娘を良い道具にしか思っていないのだった。
ドンッ
『?!』
「お前ら、ふz」
ガチャ
「あなた方は、艦娘を、提督と艦娘の関係をそのようにお考えなのですか?」
ふざけた幹部に怒鳴ろうとしたとき、一人の少女が入ってきた。
身体には艤装らしきものが纏われている。
「君はd」
「先に私の質問に答えていただけます?」
そう言って、少女の艤装にある艦砲と白熱電球のようなものが幹部に向く。
「ああ、その通りさ!艦娘なんて、深海棲艦に対抗するための道具さ」
幹部の一人が開き直ったように言った。
「それより、君は一体誰だ!俺たちにそんなものを向けるなんて、君の艦ごと、魚雷処分にするぞ!」
「出来るのならやってみてください。ジャマーで妨害してみましょう」
幹部が笑い始めた。
「艦娘にそんなものついている訳無いだろう?」
「いいえ、載っていますよ。少なくとも私には」
「君は誰だい?」
俺は、その少女に聞いた。
「私は、あきづき型護衛艦、一番艦のあきづきです。対空、対潜、対艦、どれでもお任せください。提督」
そう言って、少女―――あきづきは微笑んだ。
「あきづきだぁ?何で、護衛艦が艦娘になんてなっているんだよ」
「提督」
あきづきは幹部を無視して大きな声で話した
「こんな方たちと話しても意味がありません。鎮守府に戻って、資材補給の遠征案を練っていたほうが良いかと思います」
「そうだな。あきづきはこれからどうするんだ?」
「私は、今付けで青ヶ鳥鎮守府に所属し、定係港とします」
「ふざけるな!」
俺が、さっき言いかけたことを幹部が言った。
「護衛艦は海軍のぶk」
「私は護衛艦ですが、艦娘です。艦娘の私は、そんな考えの方の下では働きたくありません」
それでも食い下がろうとする幹部に、チャフを発射、煙幕を作りながら、俺とあきづきは大本営を出た。
「あきづきの艦はどこにある?」
「私の艦も吹雪さんと同じく沖合いに泊めてあります」
「そうか。なら、横浜の港に移動させてくれ、吹雪も向かわせるから」
「分かりました」
ー横浜港ー
俺とあきづきは横浜港の一角まで来た。
桟橋では吹雪が待っていた。
「司令官!って、その子は?」
「よう吹雪。この子は」
「あきづき型護衛艦あきづきです」
「何で護衛艦が艦娘に?」
「説明は後でしますから、とりあえず今はここを離れましょう」
「そうだな」
そう言って、俺たちは出港した。
ー海上ー
あきづきは自分の艦を妖精に操作を任せ、吹雪の艦橋に来ていた。
「さて、私が艦娘になったわけですが...」
そう言って、あきづきは理由を言い始めた。
「私は、本土防衛作戦直前に艦娘となりました」
「どうして、そんな時期に?」
「提督はそのとき何か自衛艦に関係のあることをしたはずです」
「関係のあるって、模型を組み立てたぐらいだけど...」
「それです」
あきづきは俺を指差した。
「その模型を組み立てられたときに、何かしらの力で、私は艦娘になったんだと思います」
「思います?」
吹雪が首を傾げた。
「実は、私も良く分かっていません。が、艦娘の存在は以前から知っていましたし、艦娘になったときにあなたの下で戦うと決めましたから」
「そうか。これからもよろしく、あきづき」
そう言って、俺は手を差し出した。
「はい!」
あきづきもその手を喜んで握る。
「鎮守府に帰った後にも皆に説明してもらえるか?」
「分かりました」
吹雪とあきづきは鎮守府に向けて並んで海を進んでいった。
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