艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語-改   作:鶴雪 吹急

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第十五話「提督の過去」

「転移した...ってどう言うことですか?」

 

 あきづきは疑問をそのままぶつけた。

 

「転移したってのは、そのままだ。もといた世界からこの世界に来たというだけのこと」

「そのもといた世界ってのはどこなんですか?」

「んー。話すと長くなるが良いか?」

「はい。構いません」

「そうか。では、話そう」

 

 俺は、ソファに座りなおして話し始めた。

 

「俺は、この世界に来る前にまた別の世界に居た。そこは不思議なところで、科学的なんて言葉はありえない様なところだったな」

「そうなんですか」

「ああ、おそらく俺が艤装を纏えたりする特典はそこから来たからだろう。そして、あきづきを艦娘化させた何かしらの力もそこから来たからだと、俺は思う」

「それは如何してですか?」

「その世界は、不思議な力がごろごろと転がっているようなところだったからだ。魔法が使える奴が居たりしたからな」

「なるほど」

 

 俺はいったん、お茶を飲んだ。

 

「まあ、その世界にも転移して行ったんだけどな」

「と言う事は、その世界の前にも居た世界があると?」

「そうだ。そこが俺が()()にもと居た世界だ」

「その世界とは?」

「大東亜戦争。後に太平洋戦争とも呼ばれる大戦中の日本だ」

「えっ?」

 

 あかづきはコップを置く動きを止めた。

 

「太平洋戦って...どう言うこと?」

「ここからが難しいのだが...ついてこれるか?」

「はい」

「じゃあ、先ず...太平洋戦争はこの世界で起こったものでは無い」

「はい?」

 

 あきづきは思わず聞き返してしまった。

 

「簡単に言うと、この世界に平行にある世界での太平洋戦争に参加していた」

「と言うことは、この世界であった太平洋戦には...」

「俺は参加して無い」

「じゃあ、その平行世界の太平洋戦争では、提督どんな事をしていたんですか?」

 

 俺は無言でソファから立ち艤装を展開させる。

 

「俺のこの艤装から連想できるものは?」

「んー。空母の艤装ですよね...。艦載機のパイロットがすぐに思い浮かびますが」

「そうそれ」

「えっ?」

「俺は、その戦争では艦載機乗りとして、ずっと最前線で戦っていた。そして、死んだ」

「死んだ?!」

「ああ」

 

 俺は艤装を仕舞い、またソファに座った。

 

「俺は、『瑞鶴』艦載機乗りとしてずっと最前で戦った。真珠湾にも行ったし、その後の海戦も『瑞鶴』と共にいろいろ行ったな。岩本さんと一緒に直掩をしたこともあったかな。まあ、それも『瑞鶴』が囮としてエンガノ岬に行ったときまでだったがな」

 

 脳裏に昔の光景が浮かんできた。

 

「俺は、あいつから軍艦旗が降ろされるのを見た。あの光景は今でも忘れられないよ。その後、他の乗組員が降りていく中、俺は格納庫に仕舞われた俺の愛機の横に行ったんだ。そして、最期はその横で沈んだんだ」

「・・・」

 

 あきづきは静かにそれを聴いていた。

 

「まあ、そこから何故か転移を繰り返して、今に至るんだがな。すこし重かったかな?」

「あ、いいえ大丈夫です。ありがとうございました」

 

 あきづきは俺に一礼して執務室を出て行った。

 

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ーーーー

 

 あきづきの出て行った執務室。

 提督は、執務机引き出しから二枚の写真を取り出した。

 一枚は、提督が家族と写っている写真。

 もう一枚は、ある軍艦を写した写真。

 どちらも古びて焼けている。

 提督は、その写真を少し眺めた後、仕舞った。

 そして、机の上に置いてある。製作途中の模型の最後の部品を取り付け、展示ケースに仕舞い、執務室から出て行った。

 執務室から見える空は赤く染まり、海には夕日が沈みかけていた。

 

 ◇ ◆ ◇

 

ー???????ー

 

 夜に静まり返った港から一隻の船が動き出した。

 当直で居たはずの乗組員は全員、埠頭へ降ろされている。

 船内は、小さな人らしきものがうろちょろと動き回り、艦橋の中心では一人の少女が指示を飛ばしている。

 

 

 

「両舷最微速!目標!青ヶ鳥鎮守府!」

 




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