「鶴さん、もうすぐ着きますよ」
吹雪は双眼鏡を下ろすと、そう言った。
前方には懐かしの青ヶ鳥島が見える。
ただし、違うのは、軽巡、駆逐で編成された哨戒艦隊が埠頭を出ようとしているのと、大和と長門、きりしま、らしき艦艇が埠頭の少し沖で上空を警戒している事だった。
「あきづきちゃんの言った通りですね」
「ああ」
現在、青ヶ鳥鎮守府は近くに現れた謎の人工島を警戒して、この体制をとっている。
俺は、通信妖精を呼び止め指示を出す。
「全艦に通達。我が艦隊はこれより母港に帰投する。帰投後は各自部屋で待機、艦艇は格納する事」
妖精はこちらに敬礼すると、通信室に入っていった。
艦隊の各艦が埠頭へ接岸した後、艦娘達は地上へ降りる。
艦艇は妖精の操縦でドックへ向かって行った。
俺と吹雪はとりあえず、執務室へ向かった。
ー執務室ー
「ふぅ~」
俺は執務椅子に座り一息つく。
吹雪も苦笑いをしながら、秘書艦の執務椅子に腰を掛ける。
ちょうどその時、ドアをノックする音がする。
コンコン
「どうぞ~」
「失礼します」
すると、四人の艦娘が姿を現す。
その内の二人はあきづきとたかなみだ。
他の二人はというと
「はじめまして!こんごう型護衛艦の二番艦、きりしまです」
そう言って、きりしまと名乗る艦娘は頭を下げた。
「私は、おおすみ型輸送艦、一番艦のおおすみです。戦車などの海上輸送ならお任せください」
そう言って、おおすみも頭を下げた。
「よろしく。俺はここの鎮守府の提督だ」
二人と握手を交わす。
「それでは、これからはここが君達の定係港であり、所属だ」
二人は『はい!』という返事と共に、敬礼をした。
「さて、あきづき」
「はい?」
後ろに居たあきづきは呼びかけに答え前に出る。
「現在この体制を指揮してる艦娘は誰だ?」
「えっと...確か、大淀さんだったかと...」
「そうか、なら、大淀を呼んできてくれ」
「分かりました」
そう言うと、あきづきは足早に執務室を出て行った。
「君達には先に伝えて置こう。きりしまは現在の警戒を解き艦艇を格納して、待機。他の子達も待機しといてくれ」
三人は『了解』という声と共に、執務室を出て行った。
すると、入れ違いで大淀が入ってきた。
「失礼します」
「ああ。大淀、留守の間ありがとな」
「いえ」
大淀は手を横に振って見せた。
「とりあえず。この警戒態勢は終了。現在出て行った。哨戒艦隊が帰投後、通常の体制を取らせてくれ」
「分かりました」
「あと、俺は少し本土に用事がある。だから、その間も変わりに指揮を執ってくれないか?」
「了解です」
大淀は敬礼をして、執務室を出て行った。
俺も立ち上がり、部屋を出ようとする。
「鶴さん!」
「ん?何だ?」
「良ければ、私もついて行きますよ?」
吹雪は心配そうな顔で言ってきた。
「一人で大丈夫さ。それに、向こうに何言われるか分からないし、そんなところにまた吹雪を連れて行きたくは無いからな」
そう言うと吹雪は納得した表情を見せた。
「吹雪は睦月や夕立たちと間宮のところにでも行くといいよ。俺のつけで」
「いいんですか?」
「ああ。それと、お土産も渡しときなよ」
そう言って、俺は埠頭を目指して、執務室を出た。
ー埠頭ー
埠頭は先ほどの緊張が消え静かに俺の艦である『天城』が泊まっているだけだった。
俺はタラップを上がり、艦橋の司令部までやってくる。
「両舷微速!」
『天城』は静かに動き出し、埠頭を離れる。
そして、本土へ向けて出航して行った。
目的は連合海軍へ独立運営の意思を伝えるためである。
ー食堂ー
私は夕立ちゃんや睦月ちゃんと食堂までやってきました。
間宮さんにパフェを三人分頼んで席に座ります。
「はぁ~疲れたっぽい!」
「確かに疲れましたね」
「二人ともお疲れ様」
夕立ちゃんは席に着くなり机に身体を預けダラ~っとしました。
ちょうどその時、妖精さんがパフェを持ってきました。
やっぱり、数人でエッホエッホっと運んでくる姿は可愛いです!
「「「いただきます!」」」
パフェを食べ初めてから少したった後、夕立ちゃんが思い出したように聞いてきました。
「そう言えば、吹雪ちゃんなんで、提督さんと二人で同じ部屋に泊まってたの?」
「ふぇ?!」///
身体が熱くなっていくのが分かります。
たぶん顔も真っ赤かでしょう。
「そうなの、吹雪ちゃん」
「そうなんですか?吹雪さん」
「そうなの!吹雪ちゃん!」
睦月ちゃんの他に食堂に居た、加賀さんと瑞鶴さんも寄ってきます。
「え、あ、それは、ほんとですけど...////」
ほんとですけど、そんなに詰め寄らないでくださいぃ~。
「何でっぽい?」
「え、あ、その...」
夕立ちゃんの疑問に言葉が詰まります。
他の三人も何故か知りたいのか真剣な表情でこっちを見ています。
「秘書艦だから、そう!秘書艦だからです!///」
そう言って、身体の熱を冷ますようにパフェを食べます。
食べすぎて、キーンっと頭が痛くなって、もう踏んだり蹴ったりです!!
その時、金剛さんが食堂に入ってきて、真っ先に私のところにやって来ました。
「ブッキー?提督が帰ってきたネ!迎えに行ったら?秘書艦でしょ?」
その言葉にここから離れるチャンスと思った私ははじかれるように埠頭へ向かいました。
後ろでは、金剛さんが付いていこうとした加賀さんと瑞鶴さんを引き止めています。
ー埠頭ー
連合海軍から帰って来て、鎮守府に戻った俺を迎えたのは、吹雪だった。
「お帰りなさい!鶴さん」
そう言って吹雪は笑顔を見せた。
「ああ。ただいま」
「あと、その資材、どうしたんですか?」
吹雪はそう言うと俺の後ろから、工廠へ向けて運ばれる資材を指して聞いてきた。
俺は真剣な顔をして、吹雪に伝えた。
「吹雪、今すぐ全艦娘を食堂へ集合させてくれ、緊急の会議だ」
吹雪も真剣な顔になると敬礼をした。
「分かりました!」
吹雪は足早に指令室へ向かった。
俺はその姿を見送った後に手元の書類を見た。
「はぁ」
そこに書かれた文字を見ると自然とため息が出る。
俺はそのあしで食堂へと向かった。
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