艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語-改   作:鶴雪 吹急

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 さて、夏の番外編第一弾は終戦の日です。
 時系列的には、呉から帰ってきた後です。


夏の番外編「終戦の日」

ピピッ

 

 時計の6:00を示すアラームが鳴り、目が覚める。

 後から蝉の声が聞こえてくる。

 

(ん~。今日は...)

 

 そんな事を考えながら壁にかけられたカレンダーに目をやる。

 カレンダーにはその日は過ぎたことを示す×印が8月14日まで付けられ、今日が8月15日であることを表していた。

 

「終戦の日か...」

 

 一人、そんな事を喋りながらいつもの海軍二種軍服ではなく、着慣れた戦闘服に身を包み俺は桟橋へ向かった。

 

 8月15日。終戦の日がやって来た。

 

ー桟橋ー

 

「おはようございます!司令官!」

「おはよう。吹雪」

 

 桟橋から埠頭にかけて天城、吹雪、赤城、加賀、夕立、大潮、神通、川内、阿武隈、愛宕、高雄の艦が泊まっている。

 全艦、マストにはUとWの信号旗が上げられている。

 

「全員乗ったか?」

「はい。全員、駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦の艦を中心に乗り込みました」

「了解。じゃあ、沖に出よう」

 

 そう言って、吹雪は自分の艦へ、俺は天城に乗り込む。

 艦橋へ付くと無線をとり、命令を出す。

 

「空母天城以下十一隻、これより、鎮守府正面海域へ向かう!」

 

ー鎮守府正面海域ー

 

 海域に着いた俺達はそれぞれ内火艇を下ろす。

 内火艇にはそれぞれの艦に乗っていた艦娘が乗り込み、艤装を展開しそこから海上へ立つ。

 艦娘達は普段は自分の艦艇を使用し、戦闘を行うが艤装を纏っているときは自らが海上へ立つことが出来る。

 海上へ立った艦娘は小さな花束を持ち、海上をスケートをするように進み、その場で泊まっている艦を追い抜き、先頭に居る吹雪と天城の艦の前に集まる。

 俺艤装を展開しそこへ向かう。

 

「全員そろったな」

 

 艦娘達は内側に軽巡、重巡。その外側に駆逐艦、空母の艦娘が来るように並んでいた。

 

「今日は8月15日。終戦の日だ。まあ、深海棲艦との戦争が始まってるがな」

 

 俺は手に持っている花束を胸の辺りに持ってくる。

 

「これは、太平洋戦争の終結。今まで国のため、大切な人のために戦った方たちへの慰霊だ。花束を海に贈り、手を合わせるように」

 

 皆も手の花束を落とすように構える。

 

「では、始め」

 

 手から花束を離す。花束は海上を漂い、流れ始める。艦からも妖精達が花を落とした。

 そして皆手を合わせる。

 

 

「よし、止め。後は慰霊の意味をこめて艦載機を使った曲芸飛行でも」

 

 そう言うと空母から艦載機が次々と飛び立つ。赤帯や白帯、青帯を空に輝かせ空を自由に艦載機は舞う。

 途中からは弓から発艦した艦載機や軽巡、重巡の水上機も混じり、最後にはあきづき、たかなみのSH60も混じった大編隊での飛行になった。

 

 俺はその場から離れ、天城に戻る。

 天城の格納庫奥には、零戦二一型が三機、止まっている。

 

「まもなく、ほかのきがかえってきますよ」

「分かった。菅野?準備は?」

「おう。大丈夫だ」

 

 エレベーター付近では菅野が紫電改の横で親指を立てている。

 

 曲芸飛行を見た艦娘達はわいわいと騒いでいた。

 そこにまたレシプロ戦闘機のプロペラ音が響く。

 上空には零戦三機を中心に紫電改八機があとに続いた。

 

 零戦は白帯二本を締める宮島機と白帯三本を締める天城所属機で構成され、紫電改は菅野機と黄帯を白帯に変更し三本締めた天城所属紫電改機で構成されている。

 この十一機の機体による曲芸飛行で今年の鎮守府での慰霊は終了した。

 

ー執務室ー

 

 今朝の慰霊も終わり、お昼になった鎮守府。

 執務室には俺と菅野の二人だけだった。

 

「今年も終ったな」

「そうだな」

「なあ、宮島」

「ん?」

「日本はあの戦争に勝利できただろうか」

「んー。どうだろう。真珠湾攻撃が奇襲になった時点で負けてたかも知れないな」

「じゃあ、戦争自体を避けることはできただろうか」

「どうかな。避けられるのかも知れないが、無理に近いのかもな」

「そうか...」

 

 そう言って菅野は外に向かおうとした。

 

「どこか行くのか?」

「今日は、終戦の日だが、その前に俺のオヤジの命日だからな。ちゃんと顔を見せに行かないとな!」

 

 そう言って応接間の机に止められた紫電改に乗り込み窓から飛んでいった。

 俺はその窓から飛んでいく紫電改を眺めた。

 その時、

 

「司令官!」

「ん?」

「今日は雷の竣工日よ!」

 

 雷が執務室に入ってきた。

 

「あら、五十鈴のことも忘れないでよ?」

 

 五十鈴も後から入ってくる。

 

「そうか、そうか。二人とも竣工日か。ならお祝いに間宮のとこのパフェでも奢ってあげよう」

「「わーい」」

「さ、行こうか」

 

 三人は執務室を出て行った。

 




 番外編なので、少し短めにしました。
 日本は71回目の終戦の日を迎えました。
 忘れてはならない太平洋戦争の記憶。
 特攻、原爆などの悪い部分も
 日本艦などが国のためと奮闘した部分も
 全てを忘れてはいけません。

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