艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語-改   作:鶴雪 吹急

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夏(残暑)の番外編「夏祭りだよ!青ヶ鳥祭り-青ヶ鳥祭り編-」

「あっついな」

 

 蝉がまだ鳴く青ヶ鳥島。

 俺はその島の裏路地的なところを島唯一の神社へ向けて歩いていた。

 

「確かこの角を右に、その先を左だったっけか」

 

 そう言いながら右に曲がる。

 するといっそうに蝉の鳴き声が増し、暑さも比例するように増す。

 

「うわ。これじゃまるで東京か神奈川だな」

 

 俺はこの夏に一度だけ神奈川へ出掛けた。

 何と無く故郷を見たかっただけだが。

 

タッタッタ

 

「はぁはぁはぁ」

「ん?」

 

 すると正面から男が走ってきた。

 スーツ姿の俺と同い年くらいのそいつは息を切らしながらあたりを見渡している。

 

「おい、あんた」

「へ...何ですか」

 

 男は少しあせりながらもこちらを向いた。

 

「誰か探してんのか?」

「...だぶん」

 

 男は確信があるようでないような顔をした。

 

「んー。何なら、ここを真っ直ぐ進んで、右に曲がりな。そしたら何かあるかも知れないよ」

「え、あ、ありがとうございます」

 

 男は素直に礼を言って走り去ってしまった。

 教えた方向は勘だが、おそらく何かには出会えるだろう。

 それが探してた誰かかもしれないし、そうじゃないかも知れない。

 俺は、彼の幸運を願い、神社へ向けてまた歩き出した。

 

ー神社ー

 

 神社は小高い丘の上にある。

 それを難なく上り終え、俺は神社に作られた模擬店のうちの一店に声をかける。

 

「どうだ?吹雪」

「あ!司令官!」

 

 その声に周りに居た艦娘達も集まる。

 

「カキ氷は準備OKっぽい」

「後は、カレーだけですね」

 

 ここに居るのは吹雪達、雪型とも分類される四姉妹と夕立と時雨だ。

 皆、法被でカレーの準備に追われている。

 

「どれ、手伝おうか?」

「そんな、大丈夫ですよ」

「遠慮しないで、男手があったほうがいいだろ?」

 

 そう言ってテントの中に入る。

 

「で、何か手伝えるものは?」

「じゃあ、カレーまわすの代わってくれないか?腕が疲れて...」

 

 深雪が疲れたそぶりを見せながら言った。

 

「よっしゃ、まかせろ」

 

 俺は深雪に代わって、大鍋のカレーをまわし始める。

 

「それが、完成したら、カキ氷削るの手伝ってっぽい!」

「了解!」

「良いんですか!司令官!」

 

 その時、吹雪が言ってきた。

 

「良いんだよ。こういうのは皆でやった方が楽しいんだから」

 

 そう言うと吹雪は笑顔になって『そうですね!それじゃあ、お手伝いお願いします♪』と言って奥に行ってしまった。

 

 ◇ ◆ ◇ ◇ ◆ ◇

 

 夜になり、客がちらほらとやって来た。

 浴衣姿の女性や甚平姿の男性などお祭りは盛り上がりを見せた。

 俺らの出したカレーの模擬店も売り上げ良好だった。

 海軍カレーだからというのもあるのだろうが、美少女ぞろいってのもあるんだろうな。

 

「ありがとうございました~っぽい!」

 

 夕立が接客を終えて、こちらにやって来た。

 

「提督さん。そろそろ、休憩しても良いっぽい!」

「あ、大丈夫だよ」

 

 そう言うと夕立がプーっと頬を膨らました。

 

「ダメっ!ちゃんと休んでもらわないと困るっぽい!」

「わ、分かったよ...」

 

 そう言って、俺はテントから出ようとした。

 

「吹雪ちゃんも休んでいいっぽい」

「いや、わたしまd...」

 

 言いかけた吹雪に夕立は頬を膨らまそうとする。

 

「わ、分かりました。休ますね!」

 

 こうして俺と吹雪はテントを離れて二人で歩く事にした。

 

「楽しそうですね~」

「そうだな」

「こんな姿のままでも大丈夫でしょうか」

 

 吹雪は自分の法被姿と俺を見ながら聞いてきた。

 

「ううん、そんな事ないよ。その、法被も良く似合ってるし...///」

 

 そう言うと吹雪はパアァっと笑顔になり、『ありがとうございます』っと言った。

 

ー神社・外れのベンチー

 

 他の焼きそばや射的の模擬店を一通り楽しんだ後、神社の外れにあるベンチへやって来た。

 ちなみに吹雪の手には射的で落とした、クマのぬいぐるみがある。何故か腕つりをしてたりフルボッコされたような後があるが、店のおっちゃんの話だと『たまたま見つけた、唯一つだけのぬいぐるみ』らしい。後で調べたがそんなもの検索で引っかからなかったしそうなのだろう。

 まあ、吹雪が喜んでいるのなら良いが...。

 ちなみに、もう一つ「國鉄一日自由乗車券」なる物をもらった。

 私鉄しか通っていないこの島でどう使えと...。

 

「あの、鶴さん!」

「ん!な、何だ」

 

 久しぶりにその名で呼ばれで少し驚いて吹雪のほうを見る。

 吹雪は少し頬を赤く染め、もじもじしている。

 

「あの、周り、誰もいませんし...その...///」

 

 ぼそぼそっとそう言うと、目を閉じ、唇をこちらに向けてきた。

 俺も、流されて同じように目を閉じ、吹雪の唇を受け止めようとする。

 

「・・・」ドキドキ

「・・・」ドキドキ

 

 短いはずなのに長いような感じがする。

 双方共にまだ、相手にたどりつけていない。

 もう少しでっと言うその時、

 

「あ!提督さん!吹雪!おーい!」

 

『!?』ビクッ

 

 声の方向を見ると浴衣姿の瑞鶴が手を振りながら、まるで二人の空気に割り込みましたよ~というような感じでやって来た。

 吹雪はというとまた逃がした。見たいな顔をしている。

 

「提督さん!どう?この浴衣!」

 

 瑞鶴はクルクルと回って見せてくる。

 

「...渋いな」

「何よそれ!」

 

 瑞鶴はプクーっと頬を膨らませ、講義してくる。

 

「いやいや、その色合いは渋いなっと思っただけだ。似合ってるぞ」

「そう。ありがと♪それじゃ、翔鶴姉が待ってるから...」

 

 そう言うと瑞鶴は祭りの喧騒の中へ消えていった。

 吹雪の方を見ると

 

「鶴さん...」

 

 さびしそうな目でこちらを見ていた。

 

「...はぁ」

「?!」ナデラレ

 

 俺は少しのため息のあと吹雪の頭をやさしく撫でた。

 

「これで良いか?」

「...はい」

 

 吹雪は少し不満げだが何とか納得したようだ。

 

「よしっじゃあ、手伝いに戻るか」

「そうですね!」

 

 俺達はベンチを立ち、夕立たちのいるカレーの匂い漂うテントへ戻って行った。




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