10月4日の早朝、青々鳥島鎮守府の埠頭には、作戦へ参加する艦艇が湾内沖まで全て停泊していた。
その数なんと117隻。
さすがにそんな数の大艦隊を見ることはあまり無いので、誰もが目を見張っている。
そんな埠頭に集合した116名の艦娘と宮島。
宮島は艦娘達の正面に立ち、指揮を執り始める。
「これより、明日の作戦開始に向けて、ソロモン海域に向けて、出撃する」
艦娘達の表情がその言葉でより一層引き締まる。
「第一、二、三艦隊と第一補給隊は作戦海域正面まで、一個艦隊として、輪形陣で進行する。第一輸送艦隊は昨日の時点で出撃しており、今日の夜、作戦海域に突入、陸戦隊を上陸させる。質問は?」
宮島の言葉の後には誰も言葉を発さない。
つまり、異議なしである。
「よしっ、全艦出撃準備!出来次第、出撃を開始する」
『『了解!』』
あっと言う間に、全員が各艦に分散していく。
錨が揚げられ、妖精たちが慌しく動き出す。
『全艦に通達。青ヶ鳥連合艦隊出撃!』
◇ ◆ ◇ ◇ ◆ ◇
早朝の出撃から数時間後のお昼過ぎ。
艦隊は巨大な輪形陣をとり、ソロモン海域へ向かっている。
宮島は天城の艦橋へ立ち、水平線を睨みつけている。
その時、前衛のあきづき、きりしまから通信が来た。
『みやじまさん、あきづきときりしまからつうしんです』
「何だ?」
『"水平線上二敵艦隊ヲ発見"だそうです』
「了解」
『全艦、戦闘態勢。敵艦隊の状態を編成が確認出来次第、報告!』
『了解』
その後、次々と通信が来て、敵編成が戦艦2、空母1、重巡3、軽巡4、駆逐10と判明した。
宮島は、前衛に砲撃準備、空母には攻撃隊の発艦準備を指示する。
その間にも敵艦隊は形を現し始めた。
『全空母、攻撃隊、発艦始め。空母を優先的に叩け!』
宮島の指示で、全空母から零戦、流星が次々と飛び立ち、空中で複数の編隊を作り始める。
「さて、俺も行くかな」
次々と飛び立つ中、宮島は艦橋を離れようとする。
「どちらへいくのですか?」
一人の妖精が聞いてきた。
「ちょっと腕慣らしだ。指揮は吹雪に任せてくれ」
「は、はぁ。わかりました」
そう言って宮島は艦橋を後にした。
宮島は戦闘機発艦中の飛行板にやってきた。
戦闘機服を着込み、艦橋で指示を出している妖精に近づく。
「菅野隊は?」
「いま、はっかんちゅうです」
「零戦二一型が一機積んであったはずだ」
「あ、ありますよ」
「それを出してくれ」
「?わかりました」
数分かかって、零戦がエレベーターから甲板上に現れる。
零戦は事前にエレベーター付近に配置しており、すぐに出てきた。
宮島はそのまま零戦に乗り込み、エンジンをかける。
「みやじまさん!でるんですか!」
「ああ。発艦指示を」
「わ、わかりました」
旗を振り、発艦の指示が出る。
零戦は加速し、発艦する。そして、そのまま上空の菅野機に合流する。
紫電改に零戦二一型という不思議な編隊が完成した。
菅野は始めは驚いていたものの、察したのか、面白いものを見るような顔になった。
ー戦闘空域ー
天城の攻撃隊は一番初めに、敵機と交戦する役を請け負っている。
前衛の菅野隊は雲のすれすれを通り、敵機を探した。
しばらくして、左翼側に敵機を発見。
(12機か)
宮島は翼を左右に振り、左へ旋回し始める。
それに複数機が続き、敵機上空へ向かう。
宮島の接近に敵機も気付き、数機が旋回するものの
宮島はそれをひらりとかわし、敵編隊に突っ込む。
(今こっちに向かったのは、護衛の機だから、そこに居るのが攻撃本体!)
宮島はそのまま敵の機体後方に20mmを打ち込む。
零戦から放たれた20mm弾は敵の後部中央に吸い込まれ、敵機は煙を上げながら降下していく。
それに続くように零戦は海面へ降下、敵機一機も零戦の後ろに張り付く。
宮島はその存在に気付くと操縦桿を手前に倒し、機首を上に向ける。
敵機はそれに続き、20mmチェーンガンを放つ。
宮島は、右のフットレバーと操縦桿を器用に動かしひねりを加える。
敵機の放った20mm弾は零戦の回転している真ん中を通り抜け、
零戦正面に居た爆装した敵機に吸い込まれる。
墜落していく敵機を尻目に、宮島はその高度で零戦を水平に戻す。
もちろん敵機も後ろに付きっぱなしである。
(さて、さっさと片付けよう)
零戦はいきなり速度を落とし、敵機へ近づく。
敵機はその行動に不意を突かれたのか。
飛行が不安定になり、速度を落とす。
宮島はその隙をつき、出力を上げ、速度を上げる。
深海棲艦の主力である機体は
F6Fヘルキャット、TBFアベンジャー、SBDドーントレスを足した性能と言われている。
今回は護衛に使用されているので、
F6Fの特徴が出ていると宮島は感じていた。
(零戦がヘルキャットに勝る点は...)
敵機も零戦の加速に追いつこうとするが、
加速が零戦に比べ遅いため、差は大きく開いてしまう。
ある程度の差が開いた後、宮島は操縦桿を左に傾け、キャノピー網目状の骨組みから、敵機を睨む。
あっという間に、敵機後方に付けてしまう。
(ここっ!)
機銃を掃射する零戦、煙を上げて落ちる敵機。
そんな事を気にも留めず、宮島は左フットレバーを蹴り、操縦桿を左へ傾ける。
後方から飛んできた20mmは海面へ落ち、小さな水柱をあげる。
宮島はそのまま低空で直進し、敵機を後ろに付けさせる。
正面には、そのまま闇に引き込まれそうな位、黒々した空母と戦艦が並走し、こちらに向かって来る。
『カンタイショウメンテキキ!』
『センカントクウボデハサメ!』
零戦は機体を縦にし、並走する戦艦と空母の間へ突っ込む。
間一髪、零戦は挟まれずに済んだが、後方の敵機は戦艦と空母に阻まれ、離脱を図る。
宮島は低空で敵艦隊群を抜けて、その敵機を追撃し、艦隊群から離脱した。
それととき同じくして、敵艦隊群を包む多数の水柱、雷跡。
流星の雷撃隊が魚雷を放ち、次々に敵艦に当たる。
衝突で身動きが取れない戦艦と空母が爆発を起こし、沈没。
敵前衛はとっくに崩壊しており、残る艦艇も数少ない。
そこに、生じる大きな水柱。
味方前衛による砲撃により残りの艦艇も沈み始める。
最後の辺りは宮島も上空で観戦していた。
「よしっ。殲滅完了」
宮島は満足したように、天城へ帰って行った。
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