艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語-改   作:鶴雪 吹急

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第二十九話「東南の海と二人の思い-ガダルカナル方面-」

『飛龍、蒼龍、祥鳳を中心に輪形陣!扶桑ねぇさんと私は前衛に立ちます!重巡は後衛に、軽巡側面に駆逐艦の皆さんは、円を描くように陣形を作ってください!』

『了解!』

 

 第二艦隊は単独で陣形を組み立て、サンタイサベル島の太平洋側に消えていった。

 

「よし、こっちも行くか」

 

 宮島はそう言いながら隣を進む「吹雪」の船体に目をやった。

 

(大丈夫だろうか。赤城達のように近づいて悪夢にうなされたりしてないかな)

 

 宮島の今の気がかりはそれだけだった。

 過去に赤城達がミッドウェーの悪夢にうなされたように、吹雪もまた、サボ島沖夜戦の悪夢にうなされているのではないかと心配であった。

 

(いざとなったら、守ってやるからな)

 

 宮島は懐の写真に一度目をやり、無線を手にする。

 

『天城、瑞鶴、翔鶴、瑞鳳を中心に輪形陣!前衛はむt』

『私が行きます!』

 

 その時、吹雪が指示に口を挟んだ。

 

『古鷹さん、青葉さん、衣笠さん、初雪!ついて来て下さい!』

『おい!まt』

 

 その指示と同時に、吹雪と初雪、古鷹、青葉、衣笠は30knの速度を出し、前衛に向かった。

 

『おい!吹雪!なにをk』

『宮島さん。大丈夫です。今度は成功させます』

 

 吹雪はその指示を残し、艦隊全体の前方へ立った。

 

『...』

『ちょっと、鶴さん!どうすんの!吹雪達、どんどん離れて行ってるけど!』

『分かってるっ!』

 

 確かに吹雪達は離れていっていた。

 青葉、古鷹、衣笠が単縦陣を構成。

 青葉前方左に初雪、右に吹雪が立っている。

 

『あきづき、吹雪達を追えるか?!』

『追えます。ぎりぎりになりますが、他の艦艇とあの艦隊の間で連絡を取り合えます』

 

 宮島はその言葉を聞いて決意を固めた表情になる。

 

『じゃあ、あきづきはそのまま最大戦速で吹雪を追ってくれ、神通、朝潮、大潮、霰、荒潮はあきづきを護衛してくれ、霧島、伊勢、大井、能代、早霜、清霜はあきづき達の後方でいつでも援護体制を整えてくれ、残りは空母護衛!』

『『了解!』』

『私達は?』

 

 全体に指示を出した後、瑞鶴がまた無線を飛ばしてきた。

 

『瑞鶴、翔鶴、天城は()()発艦体制を進めるように、いつでも出せるようにしてくれ!』

『了解!』

 

 無線を元に戻し、宮島は近くに居た妖精に指示を出す。

 

「格納庫の妖精達に指示、30kg爆弾を搭載するように」

「分かりました」

 

 ◇ ◆ ◇

 

 宮島を無視して前衛へと立った吹雪率いる艦隊(第六戦隊)

 青葉の妖精はレーダーに探知した艦隊を報告に来る。

 

「10時の方向に艦隊発見、第二艦隊の可能性もあり」

「確認信号をお願いします。違う場合は回避行動と攻撃を」

「分かりました」

『10時の方向に艦隊発見!敵味方の判別後に味方なら合流、敵の場合、回避行動と攻撃を行います!』

『了解!』

 

 そして、青葉は探照灯で確認信号を送る。

 

ワレアオバ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 重巡リ級Flagshipは不気味な笑みを浮かべて砲撃指示を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドン!

ドン!

ドン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『11時方向!砲撃確認!』

『我、炎上!炎上!』

『右旋回!青葉に続け!』

 

「う、うそっ...」

 

 吹雪は艦橋で絶望の表情を浮かべていた。

 

 吹雪達の艦隊と敵の艦隊はT字の状態で交戦を開始したのだ。

 しかも吹雪達が劣勢の立ち位置での開始だった。

 青葉は煙幕を張りながら右へ転進しており、吹雪もそれに続いた。

 

 しかし、敵の攻撃は止まず

 古鷹が場しのびに探照灯を放ちながら二隻の間に入る。

 

「ダメ!そんなことしたらっ!」

 

 古鷹へ敵艦の砲身が向いたその時。

 

ドン!ドン!

ダダダッダダダッダダダッ

 

 敵艦に次々と上がる水柱、機関砲の砲声、レシプロ機特有の音。

 リ級は奇襲に驚いたが、被害の少なさに反撃の命令をあげようとする。

 しかし、そこにまた奇襲が起こる。

 レシプロ機のそれによく似た音を立てながら、闇の中にその姿はあった。

 

「あれはあきづきさんのヘリ?!」

 

 あきづきのヘリ――SH-60kはAGM-114へルファイヤを放ち上空へ緊急退避を行う。

 

シュー シュー シュー

ドカン!ドカン!ドカン!

 

 リ級に次々と当たるヘルファイヤ。

 リ級は爆発を伴って沈んでいった。

 旗艦のリ級が沈んだ事により乱れる敵艦隊。

 そこへ多数の魚雷が迫る。

 

「選り取りみどりっぽい?」

「鬼神の強さ、見せましょう!」

 

 第二艦隊の前衛から抜け、先に第一艦隊に合流した、夕立と綾波は魚雷を皮切りに攻撃を開始する。

 

『勝手に行かないでくれよ。吹雪』

『鶴さん...』

 

 その時、宮島から無線が入った。

 

『勝手に行かれたら俺はまた、お前を守る事が出来なくなるじゃないか』

『すみません...私...』

 

 吹雪はいつの間にか泣き出していた。

 

『今度からは離れるなよ。ちゃちゃっとこいつらを片付けよう』

『...はい!』

『私達が、飛行場への攻撃を行います!敵戦艦二隻がそちらへ向かいました!それ以外はそちらにいるので全てのようです!』

『了解!これより反撃に移行する!全艦攻撃始め!』

 

 宮島の号令の下、反撃が始まった。

 

「零夜戦改、発艦始め!」

 

 天城の甲板から零夜戦が飛び立つ。

 明石はどうにか正規空母三隻、三飛行隊分の零夜戦を作り上げたのである。

 零夜戦はレーダーを元に敵艦への攻撃を開始する。

 

 残党の駆逐艦へ落とされた30kg爆弾は弾薬庫へ引火し、爆発を伴って、轟沈して行った。

 

「霧島、突撃します!」

「援護しますね!」

「悪夢をみせるっぽい!」

 

 霧島、夕立、綾波の三隻は戦艦へ突撃をする。

 

「全砲門砲撃始め!」

 

 霧島の主砲は敵戦艦二隻へ向けて勢い良く放たれ、直撃。

 直後に魚雷が追い討ちを掛ける。

 

『こっちは片付いたッぽい!』

『こちら山城、こちらも破壊を確認しました』

『吹雪、後はお前が沈めるだけだ』

 

 吹雪の正面には沈没寸前の重巡リ級があった。

 

「魚雷、8門!放て!」

 

 吹雪は船体を横にし、魚雷を放つ。

 何も出来ないリ級はそれをただ単に見つめていた。

 

 リ級へ当たった魚雷の爆発は、ソロモン攻略の終了を表していた。




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