第三十二話「宮島の昔話」
「ん~」
「ブッキー?どうしまシタ?」
生駒訪問の数日後、吹雪は何時かと同じように食堂で唸りを上げていた。
「あ、金剛さん。その、悩み事があって......」
「提督と付き合えて、その他に何かあったのですカ?」
吹雪は悩み事を話した。
「前に鎮守府内に侵入者が出たって話しましたよね?」
「確か、提督の昔の友達?って人ですカ?」
「はい、その人女性なんですけど今考えてみれば、すごく綺麗で、」
「もしかして、昔付き合ってて、再開してまた好意が戻ったとか考えてるんですか?」
「え?何で分かるんですか?!」
吹雪の驚いた顔に、金剛はさも当然のように答える。
「提督は会うたび空を見てボーっとしている事が、最近多くなったネ。その侵入者が女性だったなら、その人のことを考えていると考えるのが自然だと思っただけネ」
吹雪は正解といわんばかりにコクコクと頷く。
「だから、鶴さんに聞きたいのですが、なかなか勇気が出なくて......」
「そうネ~」提督のこと鶴さんって読んでるんだ。
金剛は少し腕を組んで考えた後、ぽんと手を叩き、吹雪の手を引いて食堂を出た。
「私に良い考えがありマース!」
「え、あ、ちょっと!」
◇ ◆ ◇
(ボヘェー)
軽すぎて、執務ともいえるか考えたくなるような執務を終らせた後、ソファで静かに空を眺めていると、菅野の紫電改二が飛んできて、滑走路と化している応接テーブルに着陸した。
「おーい、宮島、またボーっとしているのか?」
「いや、別にボーっとしてるつもりは無いんだが」
「はたから見れば、ボーっとしてるようにしか見えないが」
「そういうお前は、また紫電改二で移動しているのか」
菅野は紫電改二を一旦見ると翼をなでながら言った。
「まあな、こんな小さい身体だし、こっちの方が楽なんだよ。っと、それより」
菅野は急に真剣な顔になって、こちらを見てきた。
「金剛達が向かってるぞ?何か考えがあるかもしれないから、少し注意しとけ?」
ガチャッ
菅野の注意に返事をする間もなく、金剛達が入ってきた。
「ヘーイ、提督ぅ!ブッキーが提督の昔話を聞きたいそうね!」
「えっ、あ、はいっ」
吹雪の挙動を見るに、今初めて聞いたのだろうが、興味はあるのか、すぐに返事をした。
「あのっ、太平洋戦は瑞鶴さんや翔鶴さんの鶴さんと関わりがあった艦娘に聞いて、いくらか知っているので、『瑞鶴』が沈んだ後ぐらいの話をお願いします」
「・・・分かった。話そう、ちょうど俺も思い出して居たところだったしな」
「ワタシは、今から用事があるからこれで失礼しマースが、興味があるから今度話してネ!」
金剛はそう言い残し出て行った。
それを見送った後、お茶を出し、吹雪と応接間で対面になる。
俺は、昔の事を思い出しながらその口を開いた。
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