艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語-改   作:鶴雪 吹急

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第三十八話「艦隊、敵地(青ヶ鳥)へ」

 作戦決行当日。晴天の下、複数の艦隊が其々陣形を組み、外洋へ進出して行った。

 先陣を切るのは青葉が旗艦を勤める第六艦隊、一個戦隊と水雷戦隊で形成され、後方から続くおおすみ旗艦の艦隊――第七艦隊を間接的に護衛する。その第七艦隊が形成する輪形陣後方では鳳翔と龍驤が甲板に艦載機を展開し、発艦準備を整えている。二つは揃って輸送艦隊と呼称され、おおすみによる青ヶ鳥への戦車上陸の任を与えている。

 

「輸送艦隊は青湾を出た後に青ヶ鳥より北西200km地点へ進出。後方から来る鎮守府防衛艦隊、第二艦隊から抽出した第一、第二戦隊と合流した後に、転移を待ち、転移後に青ヶ鳥へ攻勢をかけろ」

 

 俺は空母「天城」に乗り込み無線を送っていた。無線の向こうからは青葉が元気な了解の応答をする。青葉は第六戦隊の他に護衛艦隊の旗艦も勤めている。

 

「青葉、向こうに着いてからはお前の指示で青ヶ鳥を奪還してくれ」

 

「分かっています、司令官。司令官が吹雪ちゃんを手にしたように、青葉も青ヶ鳥を手にして見せましょう!」

 

「あまりからかいを混ぜるもんじゃないぞ…。それじゃあ、頼んだ」

 

「はい!」

 

 無線を切り、窓の向こうを眺める。水平線の向こうへ消える輸送艦隊の手前には大淀旗艦の鎮守府防衛艦隊、一時的に第二艦隊から抜け、長門旗艦の二つ戦隊で艦隊を編成している遊撃艦隊が輸送艦隊の後を追うように青湾を出て行こうとしていた。その上空を青ヶ鳥の飛行場から離陸し、転移前まで艦隊の護衛に当たる戦闘機たちが上空を通過する。

 

「大丈夫でしょうか」

 

 隣で様子を見ていた吹雪が不安そうに声を上げる。「天城」も「吹雪」も出撃までの間、埠頭に接岸しているため吹雪はこちらに立ち寄っていた。

 

「青ヶ鳥に居座る深海棲艦が全艦で襲い掛かってくるなら、あの艦隊にでかい損害が出るだろう。遊撃艦隊もそのうちではなく、最悪第二艦隊に復帰できるかどうかも怪しくなるだろう。ただ、相手が複数艦隊に別れるなら、勝算はある」

 

「相手の出方を次第、ですね」

 

 吹雪は心配する視線を水平線に消える艦隊に向けた。

 

「さ、俺らも行くぞ、いくら青ヶ鳥を奪い返せても、硫黄島への攻勢に出れなければ、あいつらが危険だからな」

 

「はい、必ず鶴さんを守って見せます」

 

 吹雪は笑顔で敬礼した後に、艦橋を後にしようとした。

 

「…っあ、あと吹雪」

 

「はい?」

 

「もう一つ話が…」

 

 引き止められた吹雪は不思議そうに首を傾げた。

 

 

 

「話ってなんでしょう」

 

 俺と吹雪は一度艦橋を出て、格納庫を抜け、天城の右舷側艦首に来ていた。接岸しているため、左舷側には陸が見えるが、右舷側は青々とした海が船縁の先には広がっている。

 

「俺は吹雪に呉に行ったときに告白して、OKをもらったよな」

 

「は、はい、い、言いましたね」

 

 俺の確認の言葉に顔を赤くしながら答える吹雪。何だろう、そうされると聞いたこっちも恥ずかしくなってくる。

 

「そこからは、ソロモン海域奪還や生駒とかの件もあって、しっかりとその…二人での時間ってのは取れてなかったな」

 

「そう言えば、そうですね」

 

 顔を赤くしながらも今までの出来事を思い出すように、視線を上に向けながら吹雪は応えた。

 夏祭りのときなどに少しそういう時間はあったものの、そのくらいで本当に時間がプライベートで二人で過ごす時間は無かったような気がする。

 

「その、だから、いきなり見たいな感じになってしまったが…」

 

 我ながら歯切れの悪さに少しむず痒さを感じたが、ズボンのポケットから、()()()()を取り出すと、吹雪の前に差し出した。

 

「そ、それって…」

 

 紺碧の手の平サイズの箱を見た吹雪は、両手で口元を押さえ、何か感情を抑えながら、声を発した。

 その様子は、箱のふたを開けることで、目じりに涙を追加した。

 

「ゆ、指輪…ですか」

 

「ああ」

 

 箱の中に入っていたのは、シンプルな指輪だった。宝石だとか、そんなものはついていないただの指輪。前に支給されてから、ずっと執務机の引き出しで肥やしになっていたもの。

 

「本当だったら、もっといい場所でって決めてたんだが……吹雪の決意を聞いたら、もうすぐにでも渡すしかないと思ってな。こんな場所で渡すのもなんだが、よかったら…」

 

 片膝を折り、箱を差し出す。

 

「受け取ってくれ」

 

 

 

 

 

 

 しばらくの沈黙の後に、両手に乗っていたものが無くなる感触が伝わる。

 顔を上げると、そこには

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 涙を流しながらも笑顔の吹雪が居た。左手の薬指は光に反射して輝いている。

 

「ありがとう」

 

「それより、鶴さんも」

 

 そう言って、吹雪は俺の左薬指を手にとって、もう一つの指輪をはめる。

 

「あの、あのぉ……私、鶴さんのこと……大す……い、いえっ信ら……いえ…」

 

 それから一歩下がって、吹雪が何かを言いかけたとき、大きな霧笛が響いた。

 霧笛の主は「天城」「吹雪」のようで、両艦から出港準備のラッパが鳴る。

 

「い、行きましょう。私、これがあればもっと頑張れる気がします」

 

 吹雪は言いかけたことをいうのを止め、代わりの言葉を残すと、去り際に笑顔を見せ、急ぎ足で艦首を後にしていった。

 吹雪の言いかけた言葉は気になったが、そのことは頭の片隅に置いておき、艦橋へ向かった。

 

 

 

「準備は大丈夫か?」

 

 俺らの率いる第一艦隊と第二艦隊は青ヶ鳥を出撃後、輪形陣で西方方向へ進んでいた。

 無線で生駒に確認を取ると、無線の向こうから真面目な声音が聞こえてきた。

 

「こっちは大丈夫よ、そっちから艦隊の現在位置が送られてきているし、未来予測するのに情報は足りているわ」

 

「了解。転移頼んだぞ」

 

「任せて」

 

 生駒との無線を切ると伝達妖精を呼び寄せ、艦隊全体に指示を送る。

 

「艦隊、前進半速。転移完了まで、その状態を維持」

 

 数分で各艦から了解の応答を受け、艦は速力を下げる。

 

「転移完了まであとどれくらい?」

 

「そうね、あと一分は待って。転移範囲設定は完了してるから、とりあえず、その範囲内での回頭などは自由にして大丈夫よ」

 

 俺の問いに生駒が答える。それに応じて妖精に指示を出す。

 

「了解。艦隊反転、180度」

 

 反転を開始した艦隊は輪形陣の外郭前後左右が変わり、後方へ展開していた第一防空戦隊が前方へに展開する事になった。艦橋からも、あきづきやたかなみを中心に輪形陣を取っている様子が見える。

 反転終了と同時に、生駒から無線が入る。

 

「転移完了。青ヶ鳥は敵地になったわ。現在輸送艦隊から分離した第六艦隊と鎮守府防衛艦隊が主となって戦闘中。近海に展開していた艦隊を突破。今は敵の輸送部隊と支援部隊へ交戦を開始しているわ」

 

「了解。第一防空戦隊、レーダー・ピケット展開始め。あきづき、たかなみは駆逐艦二隻を随伴して艦隊両翼に展開。艦隊最大戦速、本艦隊は港湾棲姫が率いていると思われる艦隊を叩く」

 

 あきづき、たかなみを中心に了解の応答後、前方で輪形陣を取っていた艦隊は陣形を解体し展開を開始。あきづき、たかなみは駆逐艦を二隻伴って、あきづきが右、たかなみが左へ、駆逐艦二隻が後方へ、摩耶と残りの艦が前方に展開する。

 

「あきづき、たかなみはレーダーで得た情報を各艦に逐次共有。敵の航空機、水上部隊に注意せよ」

 

「了解。レーダー展開、敵の航空機、水上部隊に注意せよ」

 

「直掩機発艦始め、攻撃隊は発艦準備を整えよ」

 

 

 

 海上を進む事、数時間。ここに来るまでに数回の戦闘を航空攻撃や自衛艦によるミサイル攻撃で突破し、艦隊は青ヶ鳥近海――敵の青ヶ鳥で展開している本隊がいるであろうと予測されている付近――に到達しようとしていた。そのとき、あきづきから報告が入る。

 

「レーダーに感アリ、複数の水雷戦隊に、一個の航空戦隊と水上戦隊を発見。敵の本隊と見られます」

 

「港湾棲姫の状態はどうだ?」

 

「そのほか、イレギュラーな存在は確認されていないため、おそらく港湾棲姫は陸上型。艦隊にいないものと思われます」

 

「では陸上の様子はどうだ」

 

「敵によって配置されたであろう航空基地に、複数の航空機と思われる反応はありますが、それと同時に、破壊されたと思われる反応も確認されています。陸上要塞砲も同様で、複数基が破壊されています。ヘリを飛ばしてもう少し詳しい情報を集めますか?」

 

「そうしてくれ。こちらは輸送艦隊と連絡を取ってみる」

 

「分かりました」

 

 あきづきとの通信を終了した後、今度は輸送部隊の旗艦である青葉と通信を繋ぐ。

 

「こちら第一艦隊旗艦天城。そちらの艦隊の状況は?」

 

「こちら輸送艦隊旗艦の青葉です。現在我が艦隊は輸送部隊と支援部隊を壊滅に追い込み、撤退させる事に成功。輸送艦おおすみより戦車隊を青ヶ鳥島に送り込んだ後、海域掃海を行いつつ。青ヶ鳥島を北方より右回りで青湾へ向けて進行しています」

 

「戦車体の方の戦果はどうだ?」

 

「敵の戦車部隊三つを撃破、他の戦車部隊に警戒しつつ、青ヶ鳥鎮守府へ到着、基地付近で展開していた敵の基地航空隊と要塞砲へ強襲を掛けた後、いつでも第二次強襲を行える位置で待機中だそうです」

 

 ということは、敵の航空基地に発生していた損害は、こちらの戦車隊によるもの。あきづきには引き続いて情報収集をしてもらうとして、本体をどう対処するか…。

 

「そちらの艦隊は後どれくらいでこちらに到着できる?」

 

「道中で敵に遭遇しなければ、早くて一時間ほどで到着すると思います」

 

「分かった。そちらの艦隊は、第七艦隊の護衛として最小の部隊を残して再編成を行い、こちらに合流してくれ。あと、戦車隊へは第二次強襲始め、敵航空機を最優先に撃破するように指示してくれ」

 

「了解!」

 

 青葉との通信が終了した後、艦隊へ指示を出す。

 

「戦闘用意!第三次攻撃隊発艦始め、目標敵航空戦隊」

 

 号令と共に艦内が慌しくなり、それは徐々に艦隊でも見られるようになる。空母は艦首を風上に向けて加速、艦載機が次々に発艦していく。戦艦や空母を囲む護衛の艦は高角砲を上空に向けて、相手から来るであろう航空隊の攻撃へ備える。

 

「あきづき、敵の航空隊の反応などはあるか?」

 

 敵艦隊の居るであろう方向へ飛んでいく攻撃隊を見ながらあきづきへ通信を繋ぐ。

 

「今のところありません。敵偵察機と思われるものがこちらに飛んできていますが、それに発見されたところで、こちらの方が先に発見しているため、攻撃隊が飛来するまでは時間が思われます」

 

「了解。その偵察機は発見次第撃墜、敵への情報を少しでも減らせ」

 

「了解」

 

 その後に、天城の右舷側輪形陣外郭からミサイルの発射される音が響いた。

 

 

 

 第三次攻撃隊に随伴している観測機からの報告は良好であった。相手がこちらの攻撃隊の襲来に対応しきれない間に、艦攻、艦爆隊は輪形陣を突破、敵のヲ級flagshipとヲ級eliteの飛行甲板に破壊ないし一時使用不可の状態に陥れ、敵の(報告ではル級と見られている)戦艦を一隻轟沈、輪形陣外郭の一部を機能停止に陥れるという戦果を報告している。

 攻撃隊がそんな戦果を出している頃、第一艦隊と第二艦隊上空には敵の攻撃隊が姿を現していた。

 

「敵攻撃隊、南東方向に確認。こちらの艦隊へ向けて、二つの分隊に分かれて飛行していると思われます」

 

「対空戦闘用意!方位角右四〇度!」

 

 ばらばらに周囲を警戒していた戦艦の主砲や艦の対空砲が一斉に指示された方向へ向きを変える。上空に展開していた直掩隊も、数小隊がそちらの方向へ向かった。

 

「あきづき、たかなみは対空ミサイル発射、敵航空隊がこちらの戦艦の対空射程内に達し次第、発射を開始」

 

「「了解」」

 

 あきづき達の応答の後、艦橋内、艦隊内に静けさが訪れる。この静けさは艦橋に立つようになってから何回か感じる事はあったが、何回繰り返そうとも慣れる事は無いだろうといつも思う。

 

「敵航空隊、戦艦対空射程内に入りました!」

 

「対空ミサイル発射始め!対空戦闘開始!」

 

 あきづきの通信と俺の号令から始まり、先ほどの静けさが嘘のように、輪形陣の外郭からはミサイルの発射音が、近くに展開していた戦艦は主砲を発射する。それらは数秒後に、水平線付近で爆発を伴い空に咲き、敵航空隊の編隊を乱した。

 

「敵航空隊来ます」

 

「対空戦闘継続!敵攻撃機、爆撃機を優先して落とせ!」

 

 編隊が乱れても尚、敵の航空機は攻撃を突破したもの同士で小隊に別れ、今度は輪形陣の突破に取り掛かる。今度はそこへ上空から機銃音と共に、濃緑色の機体が小隊へ襲い掛かる。更なる奇襲に小隊も乱れ、敵の攻撃は完全に統率を失った。そこへ艦艇から機銃が放たれ被害は拡大、最終的に攻撃を与えられたのは数十機にも満たず、他は攻撃もせずに、その場に爆弾を捨てて帰還を図った。

 艦隊は数少ない攻撃を簡単に回避して、攻撃隊の帰還に備えて準備をし始めた。

 

 

 

「第四次攻撃隊発艦始め!」

 

 号令と共に作戦開始から四度目になる攻撃隊が発艦していく。

 その数は減ってはいるものの、目立って戦力低下を示すほどのものではなかった。

 攻撃隊は空中で二つの塊に集合すると、一つは青ヶ鳥方向へ、もう一つはそれとは九十度違う方向へ飛んでいく。

 

「敵基地航空隊の様子はどうだ」

 

 二つの編隊が飛んでいくのを見送りながら傍にいる妖精に聞いた。

 

「我が方の戦車隊が複数回の強襲を行い、航空機の減滅に成功。現在は正規空母一隻の戦力ほどだそうです」

 

「敵の主力の様子は」

 

「二度にわたる攻撃の中で、敵空母は航空運用能力をほとんど失いました。現在は硫黄島方向へ撤退をしていますが、第四次攻撃隊の攻撃で空母二隻のうち一隻は撃沈できる見込みがあるそうです」

 

「敵空母を戦力外に出来たとしても、戦艦が残っている。もうすぐ夕暮れだし、夜間に突撃してこないとも限らない。現在は青ヶ鳥の奪還を主目的に、港湾棲姫の撃滅に注力しつつ、主力艦隊を一旦硫黄島付近まで追い返そう」

 

「了解しました」

 

 会話が終ると、艦隊の様子へと視線を移した。

 敵の攻撃が途絶え静けさが戻ったものの、各火砲や対空機銃はあちこちの向きを変え、常に上空や水上を警戒している。それは、敵の主力艦隊から飛来してくる攻撃隊や敵艦隊そのものではなく、港湾棲姫へ向けてのものだった。

 

 港湾棲姫はイレギュラーな存在だ。陸上形の深海棲艦はソロモン海域奪還作戦で飛行場姫に遭遇しているものの、それは飛行場を統率した存在であり、今回の港湾棲姫は名前上は理解できても、どのような存在なのか掴みきれていなかった。作戦内で呼ばれている基地航空隊や要塞砲などもそれは港湾棲姫の武器であるのか、青ヶ鳥に設置された基地であるのかもはっきりしていないでそう呼ばれている。

 未知数の敵であるが故の恐怖が、艦隊内の行動に現れていた。

 

「艦隊後方に反応アリ。敵の航空隊です!」

 

 あきづきの声に合わせ、あちこちに向いていた火砲は敵の反応のあった方向へ向きをそろえる。

 

「おそらく、これは青ヶ鳥にある敵の基地航空隊からの攻撃だ。これを迎撃し撃滅すれば、敵はほぼ無力になったであろう港湾棲姫だけになる。気を引き締めて臨め!」

 

 了解の応答後、空母からはさらに直掩隊が発艦し、ほとんどが敵航空隊の方向へ向かっていく。

 其々が輝かす赤や白、黄色の帯を俺は天城艦橋から見るだけだった。

 

 

 

 

「とりあえず、損傷を受けている艦から優先して入渠を開始、他の艦についても補給を済まして、格納を格納を進めています」

 

 執務室で吹雪から報告を受け、俺は首を縦に振って応じた。

 敵の基地航空隊の攻撃を今までと同様の方法で迎撃した艦隊は輸送艦隊から分離してきた艦と合流しそのまま青ヶ鳥に接近。港湾棲姫の撃滅に臨んだ。しかし、その頃には青ヶ鳥に港湾棲姫の姿は見られず、存在が消滅した後だった。残っていたのは砲身を無力に下げた要塞砲と、所々で黒煙を吹き上げる航空基地だけだった。

 

「航空基地に残っていた敵の航空機などは鹵獲用に残っているもの以外は全て破壊、要塞砲も解析用に残っているもの以外は解体が進んでいます」

 

「建物への損害は?」

 

「グラウンドに数発、着弾の後が見られましたが、他に目立った被害は確認されませんでした」

 

 鎮守府への被害がほとんど見受けられないのは気がかりだったが、こうして問題なく機能回復へ迎えられるのだから、良しとして、別のことに集中する事にする。

 

「潜水偵察部隊の方はどうだ」

 

「沖縄付近でこちらに転移後、防衛線の内側を潜航状態でこちらに向かっているようです」

 

「航空偵察部隊の方は」

 

「先ほど青ヶ鳥飛行場より離陸した部隊は硫黄島付近を偵察、迎撃を受け数機が撃墜されましたが敵の情報を多く持ち帰り、帰還しました。今はその情報を整理している途中です」

 

「了解。引き続き整理の方を進めてもらってくれ」

 

「了解しました」

 

 吹雪は敬礼すると、部屋を後にしようとして

 

「鶴さん」

 

「なんだ?」

 

「後で少しお茶にしましょう」

 

「ああ、少しだけな」

 

「はい!」

 

 そう言って微笑んだ。

 

 外に目をやると、飛行場から離陸した戦闘機が哨戒を行うため赤く染まる上空から、少し暗さを覗かせる水平線へ飛んでいった。




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 ご感想ご意見等ありましたら、お気軽にどうぞ。

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