艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語-改   作:鶴雪 吹急

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第五話「ミッドウェーを乗り越えて」

ー???????-

 

―――――遅れて出て行った偵察機が見た敵艦隊

 

―――――装備付け替え途中に遠くから迫る敵航空機

 

―――――次々と受ける攻撃に大炎上する空母三隻

 

―――――残った彼女は敵討ちと甲板にあった艦載機を次々発艦させる

 

『待って!!私を戦わせて!!まだ、戦いたい!!』

 

 攻撃され痛む(身体)に力をこめて動こうとしました。しかし、身体は動いたが右に回り続けるだけでした。

 

『私は戦います!!お願い指令を出して!!山本さん!!青木さん!!南雲さん!!』

 

 私は叫びました。私の艦長だった人を艦長を司令官を。しかし、誰も答えてはくれませんでした。

 

 ◇ ◆ ◇

 

 あれからいくら経ったのでしょうか?私の相方も、同僚も、沈んでしまったようです。私も身体全体が丸焦げでこれでは艦載機が運用できません。私はただの置物になってしまいました。

 

(もう、魚雷処分にしてもらいましょうか...)

 

 そんな事を考えていたとき、数隻の艦船がこちらに魚雷発射管を向けます。泣いているようにも見えます。

 

(もう、終わりですね。今までありがとうございました。最期がこんなんですいません...)

 

 私は迫り来る魚雷を見ながら、最期の瞬間を噛み締めました。

 

ドーーーン

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーー

 

「赤城?大丈夫か?」

「っ!!はひ、だ、大丈夫です!」

 

 赤城は声をかけられているに気付いたのか、ハッ!とした顔をして返した。

 ここは、鳳翔が営む食事処、普段はどこかの軽空母が呑んだくれていたりしているが、今は俺と赤城、加賀、蒼龍、飛龍以外、鳳翔が調理場で作業をしているだけで誰も居なかった。時間は2200を指している。

 

「何で呼び出したんですか?提督」

 

 蒼龍が唐突に聞いてくる。

 

「今日が何の日か分かっているな?」

「6月5日です」

 

 加賀が無表情のまま答える。が、その奥には悲しみに満ちた表情があった。

 

「そう、今日は君たちにとって最悪の日だろう。気分は沈み、時折脳裏にはあの情景が移り、さっきの赤城のように上の空になっていたときもあったと思う」

『・・・』

 

 四人は黙ったまま聞いている。

 

「別に過去を忘れないのは悪いことでは無い。が、いつまでもそれを引きずっているのは、いつか前に進めなくなってしまうのではないか?」

『・・・』

「何かあるのなら話してほしい。俺がどうにかできるかは分からないが、出来るだけのことはする」

『・・・』

 

 まだ、四人は黙ったままだった。

 その無言を切ったのは赤城だった。

 

「怖いんです」

「うん」

「また、あの時のように隙を衝かれて私たちはほとんど全滅。この鎮守府が守勢に立たされて、皆が沈んでいくのが時折浮かんできます」

「うん」

 

 赤城の顔には涙がこぼれる。

 

「皆も同じか?」

 

 他の三人も共感してか涙がこぼれた顔で頷く。

 

「大丈夫さ」

「大丈夫?ですか?」

 

 赤城は涙で溢れた顔をこちらに向ける。

 

「そう、大丈夫さ。あまり根拠は無いが、大丈夫。今は、当時君らが運用していない、零戦52型や天山、彗星、他新鋭機がある。ボーキサイトなどの資材も大本営から支給されて、遠征に行けばさらに集まる」

 

 俺は、四人の顔を順に見ながら続ける。

 

「いざ、君たちがどこかの海域で同じ状況に置かれたなら、俺は工廠に飛んで行き空母を建造して、残っている艦載機を載せて、鎮守府の艦娘を出来るだけつれて、君らのもとにいく。そして、君らを守って見せる」

 

 自分の頬にも涙がこぼれているのが分かる。

 

「さっき言ったとおり根拠は無いけど、大丈夫」

『提督...』

 

 四人はもう大泣き寸前だ。

 

「だから、今はいっぱい泣いて、その恐怖を晴らせ。俺に抱き付きたいのなら抱きつけ、気が済むまで付き合ってあげるよ」

『うわぁーん』

 

 四人は糸が切れたように泣きわめき、俺に抱きついてきた。

 

 ◇ ◆ ◇

 

 あれから30分経ち、四人は安らかな寝息を立てて眠ってしまった。四人は今、お座敷で川の字になって寝ている。

 

「寝てしまいましたね」

「ああ、そうだな」

 

 カウンターに移動していた俺の隣に鳳翔が座った。

 

「それにしてもいい顔しているな」

「それは、変な意味ですか?」

「そんなわけ無いだろう?」

「そうですね」

 

 四人はどんな夢を見ているのだろうか?時折、笑みを浮かべる。

 

「さっき言っていた言葉は本当ですか?」

「ん?ピンチになったら助けるってことか?」

「はい」

「本当さ。何せ俺の大切な仲間なんだからな」

「そうですか」

「鳳翔だって同じだろう?」

「はい!だって、娘のような子たちですから」

 

 そこには、世界初の空母の意気込みのようなものがあった。

 

 ◇ ◆ ◇

 

 翌日、俺はそのまま寝てしまったようで、カウンターに座ったままだった。

 

「おはようございます!提督」

 

 お座敷に目をやると四人がこちらに向かって敬礼をしていた。

 

「ああ、おはよう。気分はどうだ?」

「はい!おかげさまですっきりしました」

「そうか...」

「提督!」

「ん?」

 

 四人は敬礼の形を崩さずに続ける。

 

『我ら、空母機動部隊はミッドウェーを乗り越えて、これからも戦います!!』

 

 その言葉には気合が込められていた。

 

「了解!」

 

 俺も敬礼を返して、その気合に答えた。

 

 ー執務室ー

 

 執務室に入ると吹雪が一枚の紙を持って、立っていた。

 

「おはよう吹雪」

「おはようございます、司令官。早速ですが大本営より電報です」

 

 そう言って吹雪はその紙を渡してきた。

 

「ありがとう。どれどれ...」

 

 電報にはこう書かれてあった。

 

『先月、日本本土の千葉県、房総半島沖にて空母ヲ級二隻より、敵、陸上機が飛び立つ姿が確認された。飛び立った航空機は横須賀鎮守府所属の赤城、加賀ら艦載機で迎撃、返り討ちに成功した。しかし、ヲ級は大破させるも、沈めることは出来なかった』

 

 その下に、敵兵力が記されていた。

 

「なるほど...」

「どうでしたか?」

 

 吹雪は心配そうに聞いてくる。

 

「ん?そうだな...。とりあえず」

「とりあえず?」

 

 吹雪はその先の答えを待つ

 

「とりあえず、大丈夫だ」

「そうですか。良かった」

 

 吹雪は安堵の息を漏らす。

 

「そう、大丈夫。だから他の子と朝食でもとってきなさい」

「はい!」

 

 吹雪は執務室を出て行った。

 

ガッチャン

 

 吹雪が出て行ったのを確認すると窓の外へ目をやる。

 

(これが、アレだとすると、今後は...)

 

 俺は、嫌な予感がした。

 




 誤字脱字等ありましたらご報告くださると有り難いです。
 ご意見ご感想等もありましたらお気軽にどうぞ。

――変更前に書いてあった雑学――
 ちなみに話に出てきた。青木さんもとい青木艦長は赤城の復旧のために残って奮闘していたそうです。山本さんは青木艦長の赤城の雷撃処分をに待ったをかけて遅らせたそうですね。が、結局、飛龍の沈没で負けを悟り、雷撃処分を命令したそうです。
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