「ふぁ~」
今朝、早く起きてしまった俺は自分の部屋を出て、鎮守府内を散歩していた。
「今日もいい天気だ」
「提督さん!」
「提督!」
「ん?」
欠伸をしながら、ちょうど空母艦娘の寮の前を通りかかったそのとき、空母寮から二人の艦娘がこちらに駆け寄ってきた。
「瑞鶴と瑞鳳?どうしたの?」
「提督さん助けて」
そう言って二人が俺の背中に隠れたのと同時に、空母寮から加賀が出てきた。加賀は俺の後ろに居る二人を見つけると、
「提督、その二人をこちらに差し出してください」
そう言って加賀は弓をこちらに構える。
「とりあえず、その弓を下ろせ。何があった?」
「その二人は私の睡眠を邪魔しました」
「邪魔?」
俺は、顔だけを二人に向ける。瑞鳳は苦笑いを浮かべ、瑞鶴は頬を膨らませている。
「だって、加賀さんが先に昨日、夕飯後に残したプリンを食べたんだもん」
「加賀...」
加賀の方へ顔を向けると加賀から放たれた艦載機が十機、こちらに向かっている。そのうち五機は演習爆弾を積んでいる。加賀の零戦はきれいに瑞鶴のみに攻撃をして加賀に戻っていった。
瑞鶴は加賀の攻撃を避けきり、弓を構えて艦載機を発艦させる。加賀も艦載機を出し二人は戦闘を始める。
俺と瑞鳳はその場を少し離れて様子をみていた。
「なあ、瑞鳳」
「何ですか?」
「とりあえず、翔鶴と赤城を呼んで仲裁に入ってもらってくれ」
「分かりました」
そう言って、瑞鳳は空母寮に戻って行った。俺は、とりあえず直掩機を数機飛ばしてその場を後にした。
◇ ◆ ◇
空母寮を離れて今度は桟橋に来ていた。桟橋には一隻の艦艇が泊まっており、わきには蒼龍が居た。
「提督、おはようございます」
「おはよう。朝早くにここで、何してたの?」
「自分の艤装の点検していたんですよ」
そう言って蒼龍は艤装を―――――航空母艦「蒼龍」―――――を見上げた。
「異常は有ったか?」
「いえ、燃料とか被害箇所は帰投したらすぐに補給、修復してもらえるので、何も異常はありません」
「そうか、艦載機は?」
「今乗っているもので十分です」
「分かった」
そう言って俺も蒼龍の艤装を見上げる。
「そう言えば...」
蒼龍は思い出したように聞いてきた。
「提督も艤装を身体に纏えるんですよね?」
「そうだが?」
「じゃあ、何故、私たちのようにこういう艤装は無いんですか?」
そう言って蒼龍は自分の艤装を指差した。
「んー。何故、無いと言われてもな~。見たことが無いからな」
「見たことが無い?」
「そう、見たことが無いから有るかもしれないし、無いかもしれない。だから、分からない」
「そうですか。分かりました」
蒼龍は納得すると『それでは、私はもう少し点検しますので』と言って、艤装の中に消えて行った。俺は、桟橋を離れ、執務室への帰路についた。
(自分の艤装ね...)
歩きながらさっきことを思い出す。
(自分の艤装があれば、俺も一緒に戦えるのかな...)
そんな事を考えながら俺は執務室へ向かった。
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