艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語-改   作:鶴雪 吹急

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第七話「提督とお出掛け-吹雪・瑞鶴編-」

 朝の執務室。室内の壁に設置された時計は1000を指している。

 今日は鎮守府が休みになっており、働いているのは、近海警備のための艦娘だけだった。

 執務室の窓からは昨日、近海警備艦隊として編成された、瑞鳳、祥鳳、神通、川内、夕立、時雨、雪風、白雪、初雪、深雪、の艦船が埠頭から桟橋にかけて並んでいる様子が見えていた。

 朝の心地よい日差しが差し込み、休暇中の執務室は誰も居ないと思いきや、人影が一つあった。

 

「ふぁ~」

 

 今日は休暇であるにもかかわらず、俺はいつもの癖で執務室に来ていた。

 とりあえず、暇なのでいつもの椅子に座り、辺りを見渡すが、見えるのは、机に置かれた1/72ダイキャストモデルの紫電改と台座に置かれた1/2000スケールの五隻の軍艦模型以外、これといって面白みのあるものは無かった。

 

「おはようございます!司令官!先ず何かr」

 

 そんな時、吹雪がいつもの調子で執務室に入ってきた。が、俺に挨拶している途中で今日は休暇だったことに気付いたのか、固まっている。

 

「すみません、司令官。いつもの癖で...。今日は休暇でしたね」

「まあ、いい。気にするな。俺もいつもの癖でここに来ちまったから」

「そうだったんですか。あ、とりあえず、お茶でも入れますね!」

 

 吹雪は、給湯室に向かった。

 

(さて、吹雪がお茶を入れてくれるから、俺は...)

 

 ◇ ◆ ◇

 

「司令官!お茶が入りましたよ」

「お、来た来た」

 

 吹雪は、お盆に湯飲みを机に置いて、ソファに腰を掛けた。

 

「吹雪、これ前言ってた、お菓子だ」

「うわぁ~♪」

 

 俺は、お菓子の入った箱を持ってソファに座る。

 

「これ、何てお菓子ですか?」

「これは、紅芋タルトだ。沖縄のお土産で有名(?)なんだけど、今回は取り寄せしてもらった。口に入れたときの芋の感じとその食感がいいと思うんだ」

「そうなんですか。じゃあ、早速...」

 

 そう言って吹雪は、タルトを一つ口に運んだ。

 

「どうだ?」

「ん~♪美味しいですね!!」

「そうか!なら良かった」

 

 ◇ ◆ ◇

 

「それにしても、暇ですね~」

「そうだな」

 

 お菓子も食べ終わり、俺と吹雪はソファでまったりしていた。

 

「そうだ、そこら辺をちょっと散歩するか」

「いいですね!行きましょう」

 

 俺と吹雪は立ち上がり、出掛けるための準備を始めた。

 

ー鎮守府・正門ー

 

 準備と言っても、特にやることは無く、すぐに正門まで着いた。

 

「さ、行くか」

「はい、いきまsy」

「提督さん、吹雪ちゃん、どこか行くの?」

 

 突然、瑞鶴がひょこっと現れた。

 

「うぉ!瑞鶴?どうした?」

「いやー。提督さんと吹雪ちゃんが居るのが見えたから...。で、どこか行くの?」

「ああ、街に行くんだ」

「そう。なら、私も連れて行って!」

「「えっ?」」

 

 吹雪と俺は、驚いたが、瑞鶴はそっちのけで正門へ向かう

 

「さあ、行こ!」

「ああ、ちょっと!瑞鶴さん!待ってください!」

 

 俺は吹雪と瑞鶴を追いかけながら正門をでた。

 

ー鎮守府近辺・街中ー

 

 ここの鎮守府は日本とは少し離れた島にあり、深海棲艦との戦闘圏では前線に位置しているが、街中は特に変化は無くユ○クロや○Uなどの洋服屋やサ○ゼ○アやガ○トなどのレストランなどが立ち並び賑やかだった。

 とりあえず、俺たちは街外れの公園に来ていた。

 

「いつ見ても、にぎわっていますね」

「そうだな。とりあえず見て回る前に、何か飲み物でも買ってくるよ」

「「分かりました」」

 

 俺は、飲み物を買いに、自販機に向かった。

 

 ◇ ◆ ◇

 

「ん~と、これと、吹雪と瑞鶴は...」

「やめてください!」

 

 自販機に売られている飲み物を吟味していたそのとき、吹雪たちが居る方向から悲鳴が聞こえた。

 

「吹雪!?瑞鶴!?」

 

 振り向くと吹雪と瑞鶴が5人組の男たちに絡まれていた。吹雪に至っては手を引っ張られて、連れて行かれそうだった。瑞鶴は何とか連れて行かれないようにがんばっている。吹雪も艦娘であるため、何とか連れて行かれないように耐えているが、それも時間の問題だった。

 

「良いじゃんかよ~」

「姉ちゃんたち、少し俺らと遊ぼうぜ」

「嫌です!」

「やめてよ!」

「ちっ!俺としたことが二人だけにするんじゃなかった!」

 

 走って吹雪たちのもとに向かうが、吹雪は力の限界なのかずるずると引きずられ始めている。瑞鶴も腕を掴まれ、引っ張られそうだった。

 

(クソっ!何とかして吹雪たちとあの男たちを引き離さなければ!でも、どうすれば...)

 

 そのとき、瑞鶴が、

 

「このっ!放さないと爆撃するわよ!」

「へっ!やれるもんならやってみな!」

 

(そうだ!)

 

 俺は、いったん走るのをやめて艤装を展開する。

 

(こんなとこ、大本営に言われたら、大本営から何て言われるか分からないけど...)

 

 吹雪も瑞鶴もずるずる引かれている。

 

(あいつらを守るためなら...!)

 

 矢筒から、矢を一本出し、上空へ向かって構える。

 

「いっけー!」

 

 矢は勢い良く飛び、一瞬にして零戦二一型、八機に変わる。

 八機の零戦は俺が走るよりも早く、男たちに向かう。

 

「おい!てめぇらぁ!」

「あん?!」

「何だおめぇ」

 

 俺が叫んだのに気付いた男たちに俺は、上を見るように指す。

 

「ん?」

 

 男たちが上を向いた先には、急降下をして男たちに迫る零戦が八機いた。

 

「うわぁ!」

 

 男たちは咄嗟に屈む、俺はその隙に吹雪と瑞鶴の手を引き男たちから離す。

 

「っ!てめぇ!よくも!」

 

 男たちは上空からの襲撃が去ったのを確認しこちらに向かって来る。

 零戦は旋回して、急降下で再び男たちに向かう。

 

「同じ手は食わんぞ!」

 

 男たちは、零戦を迎撃しようと上へ身構える。

 

「そうやってると、腹ががら空きなんだよ!」

 

 上に身構えていた男たちの腹に、()()()()()()()()()()が一発ずつ当たる。

 

『ぐはぁ!』

 

 男たちは、その場から後ろへ吹き飛ばされる。

 

「クソっ!」

「覚えてろ!」

 

 吹き飛ばされて懲りたのか、男たちは逃げていった。

 俺は、男たちが逃げて行ったのを確認して、零戦を収容し始める。

 

「司令官」

「提督さん」

「吹雪、瑞鶴...。今回はすまない!!」

 

 俺は艦載機収容で、腕を平行にさせているので、頭だけを深々と下げた。

 

「俺の不注意で、怖い目に遭わせてしまったな。すまない」

「あ、あ、そんなに頭を下げないでください!」

「いや、でも」

「いいんです。確かに怖かったけど...」ゴニョゴニョ

「ん?怖かったけど?何?」

 

 吹雪の声が小さくなり、最後のほうが聞こえなかった。聞こうと思って吹雪に言うが、吹雪は顔がカァっと赤くなってしまった。可愛い

 

「えっ、あ、///」

「何?なんていったの?」

「だから、怖かったk」

「そうそう!怖かったのよ!提督さん」

「ふぇ?!」

 

 吹雪が言おうとしたとき、瑞鶴が割って入ってきた。

 

「怖かったんだから、お詫びに何か私たちに買って!」

「えっ」

「『えっ』じゃないの!早く行こ!」

 

 瑞鶴は艤装を仕舞い終えた俺の腕を引きながらずんずんと歩く。

 

「ほーらー。吹雪ちゃんも!」

 

 吹雪もハッとして、二人の後をついて行った。

 

 ◇ ◆ ◇

 

 その日、お詫びとして、俺が買ったものの総額は、二人で6万ほどだった。

 ただし、ほとんどが瑞鶴だったがな!だって、上目遣いで見られたらNOとは言えないじゃん?吹雪が瑞鶴にやらされて、それをした時はそのままひっくり返るかと思ったよ。

 

「へ~。だから、お前はここで、ボヘーっとしていると...」

「ああ、そうさ」

 

 その日の夜の執務室には、ボヘーとした提督と、額に指を当てて呆れている。妖精の姿があったとか。

 

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『怖かったけど、私たちを守るために立ち向かった司令官はかっこ良かったです』

 

 同日、同じ鎮守府の駆逐艦寮の一室の布団の中、今日言った自分の言葉を思い出しては、顔を真っ赤にしてはうずくまる、特型駆逐艦の一番艦の様子があったとか。

 




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