チキンハート・レボリューション   作:モクロウ

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予告通り、ここから説明会兼日常回が少し、ほんの少し続きます。


え、上げるのがいつもより速いって?

入院中で他にやる事ねぇからだよ!


三章幕間 〜《王位争奪戦》〜

「んー...」

 

鳥羽が久朗にボコボコのボコにされたその日。天司家にて。

あてがわれた居候用の比較的狭い一室で、鳥羽は自身のカードを広げ、それらとにらめっこしていた。

 

「何を難しい顔をしているのだ。小さき者よ」

 

「え?あぁ...新しいデッキレシピを考えてたんだ。貰った新しい《ドラッケン》、効果は強力なんだけど使い所が難しくて...。ていうかさ...」

 

落としていた目線を上げ、語りかけてきた者へと移す。

堂々たる立ち居振る舞い。凛とした言葉遣いが王たる才覚を漂わせている、...様な気がするその存在。

 

「今は君の方が"小さい"と思うんだけど...」

 

目の前でふんぞり返る一羽の炎鳥、《燃えるメラッチ》に抗議の念を込めたジト目を送る。

 

「ふん。図体の大きさで器を測るなど、愚か者のする事だッチ。この姿は、無用な力の浪費を抑える為の仮の姿に過ぎん。私の真の姿は、間近で見ていたお前が一番分かっている筈だッチ」

 

鳥羽の不遜な態度に、不服そうに答えるメラッチ。

そう、姿こそ違えど、彼こそが泉美との二回戦において劇的な逆転をもたらした革命の王、《燃える革命 ドギラゴン》本人だ。

本人曰く、非戦闘時における通常状態との事だが...。

 

「見た目が可愛いだけに、《ドギラゴン》とのギャップがなぁ...。おぉ、頬ずりすると凄いモフモフ...。羽毛がぁ...」

 

「ええい!王たる私をして可愛いなどと形容するなッチ!そして愛でるなッチ!」

 

自身をモフり始める鳥羽にメラッチは抗議の声を上げるが、いかんせん、小鳥のさえずりの様な可愛らしい声と、ファンシーな語尾のお陰で静止力は無いに等しい。

 

「王...。そう言えばさ、メラッチはランド大陸の元王様なんだよね?」

 

「...あぁ。相違ないッチ」

 

「じゃあ、どうしてクビになっちゃったの?

 

「...突拍子もなく失礼な質問をするなッチ。もっとも、疑問に思うのも不思議はないが」

 

メラッチの幾度となく発される王族アピールに、引っ掛かりを覚える鳥羽。

現在行われている大会が《王位争奪戦》という事は、少なくとも前任の王はその王座から降りるということだ。

 

「仕方ない。当事者である私が、説明してやるッチ」

 

国のトップがコロコロ変わる政治家不信国で育った鳥羽にしてみれば、王位交代の理由として信用の低下やスキャンダルを真っ先に思い浮かべるが。

 

「ふむ。自分で言うのも妙な話だが、私はきちんと国民の支持を得ていたと自負しているッチ。此度の《王位争奪戦》、...長いな。以降は《王位戦》と呼ぶ。...此度の《王位戦》は、ランド大陸における三国の統合による所が大きいッチ」

 

鳥羽の両腕から強引に脱出すると、名残惜しそうにこちらを見つめる鳥羽の視線を一蹴し、話を続ける。

 

「元々、我らがランド大陸は『火の国』『光の国』『闇の国』の三国に別れ、それぞれの国王によって統治されていたのだッチ」

 

「つまり...、君はその内の『火の国』の王様だったって事?」

 

「うむ。三国はそれぞれの領域を犯すことなく、且つ友好的にその関係を保っていたッチ。...加えて、他二国の国王も優秀な者達だったからな。...だが」

 

かつての祖国を懐かしむ様に、遠くに目線をやるメラッチ。

しかし、快活に昔語りをしていた彼の表情が少しの陰りを見せた。

 

「平穏だった我が国は、突如として現れた"侵略者"、そしてそれらを裏から操っていた"ある科学者"によって脅かされたのだッチ」

 

先程まで穏やかだった表情はなりを潜め、メラッチは苦しげな表情で続きを語る。

 

「侵略者達との攻防、そして、蘇った禁断の存在との命懸けの戦い。...この話は語り出すと長いので割愛するが、...そして我らは辛うじて国を守り通すことが出来たんだッチ」

 

「凄い。...まるで神話みたい」

 

「いずれは、そう語り継がれる日も来るやもしれないなッチ」

 

自分達の功績を笑いなが話すメラッチ。暗い歴史ではあるが、彼の中ではもう踏ん切りが付いているようだ。

 

「えっと...。敵対していた連中はどうなったの...?」

 

「昨日の敵は今日の友。かつての侵略者や禁断とその配下たちも、今は落ち着いて自分達の在り処を探しているようだッチ。...前置きが長くなったな。本題はここからだッチ」

 

「そう言えば、肝心の《王位戦》の発端についてはまだ聞いてないね...」

 

「先の大戦により国境すら失い、多くの命が潰えた。崩壊寸前のランド大陸には、全体をまとめ導く、絶対的な王が必要だと悟ったのだッチ。...そして三国王会議の末、此度の《王位戦》が決まったのだッチ」

 

「じゃあ、《王位戦》を決めたのは君自身って事?...でも、それっておかしくないかな?」

 

メラッチの口から語られる自分達の世界とはスケールが違いすぎる歴史。

伝え聞いた情報を己の中でわかりやすく噛み砕いている内、鳥羽の中で一つの疑念が生じた。

 

「君の後継を探す為に開いた大会なんだよね?じゃあ、その大会に君自身が出てるのはおかしくないかな?」

 

「ふむ。《王位戦》の目的を履き違えているなッチ。いいか?これは私達の後継を探す為のものではない。"新たな王に相応しい力を示す為”のものだッチ」

 

重要視する様に、そこだけ言葉を強調して語るメラッチ。

 

「同じ大陸とはいえ、元は別々の三国。更には行き場を無くした、敵対"していた"者達もいるからなッチ。どいつもこいつも癖者揃い。納得指せるには、直接的な手段が一番だッチ」

 

「なるほど!」

 

メラッチの説明に納得がいったのか、思わず手のひらを打つ。

しかし、何かに付けてネガティブ思考の鳥羽は、また新たな懸念を口にする。

 

「...でもそれだと、強い力を持った悪いヤツが優勝しちゃう事もあるんじゃ...」

 

「それは問題ないッチ」

 

しかし、鳥羽のそんな不安も、メラッチの真っ直ぐな視線が吹き飛ばした。

 

「いつの時代も、正義は必ず勝って来た。...まして、その様な輩は我が革命の力で滅ぼしてくれるッチ」

 

「本当に自身満々だね...。うん!...なんだが僕も勇気出て来たかも!そうと決まれば、新しいデッキ作り頑張らなくちゃ!」

 

一言で言うのなら、カリスマ。

メラッチの一言一句には、王という立場に相応しいその器の大きさが垣間見えた。

そんな彼の言葉に奮い立ち、決意新たに意気込む鳥羽だったが。

 

「...とはいえ、その半分をお前が背負っているという事も忘れるなッチ」

 

「おぅふ...。更なるプレッシャーががが...」

 

そんな屈強な精神の彼に、自分も置いていかれない様に頑張ろう、と思う鳥羽だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?そう言えばドラッチ達は?」

 

 

一方、所変わって、東京都は秋葉原。

 

「うおぉぉぉぉっ!!ルミちゃぁぁぁん!!オイラだー!結婚してくれッチぃぃぃ!!」

 

「まったく、何故ワタクシまで...」

 

「ゴラァ!モタモタすんなッチ!ちゃんとサイリウム振れッチ!ボケェ!」

 

「いたた!?どうせ彼女達には見えないでしょうが!ッチ!」

 

ラブ・ドラッチ。ドラゴン一筋幾数年。

 

最近、人間のアイドルに興味が出て来たとか、ないとか。

 

 




いつもより少し短めですが、説明回でもあるので小出しにした方がいいかなと思った次第です。

後、この世界の超獣世界は、基本的に背景ストーリーのものに準じておりますが、「最終的には仲直りして何だかんだ良くやってる」ってな具合です。

やれストーリーではあいつは死んだ、こいつはもういないってなるとややこしいですし。
よく似てるけどまったく別の世界、という認識でオナシャス。

せっかくだし、色んなカードを出したいですからね。

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