チキンハート・レボリューション   作:モクロウ

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墓地ソ怖いです…。


VS.青赤墓地ソ

「「デュエマ・スタート!!」」

 

開戦のゴングが鳴り響き、歓声が巻き起こる。

「(...よしっ!!)」

 

ゴングは鳴った。恐らく、闘いはもう始まっている。

鳥羽がセットしたデッキに手を伸ばそうとしたその時ーー

 

「待ちなっ!!」

 

対戦相手の十文字 篝が、鳥羽に待ったをかける。

 

「対戦前にやっておく事があるだろう」

「...や、やっておく事...?」

「...あぁ。それは」

 

拳を鳴らしながら、十文字がゆっくりと鳥羽に歩み寄る。

にたりと、不敵に笑い拳を突き出して言った。

 

「ジャンケンだっ!!」

「ええぇぇぇぇぇぇ...」

 

殺伐としたコロシアムには似合わない、割合可愛らしい提案だった

 

「...あ、おまっ、なんだその顔は!」

「...え、だって、さっきまですごいシリアスだったのに。...ジャンケンって...。なんだかなぁ...」

「仕方ねえだろ!”先攻後攻はジャンケンで決める”ってのが、公式レギュレーションで定められた正式なルールなんだからよ!俺だって出来ればコイントスとかルーレットとかでカッコよく決めてぇよ!!」

「う〜ん...」

「あーもう!!いいからほら!じゃーんけーん...」

 

つい割とどうでもいい願望を漏らしてしまった十文字は、誤魔化すように半ば強引にジャンケンを開始した。

 

「ホイ」(チョキ)

「ポォン!!」(グー)

 

『ジャンケンを制したのは、十文字選手だぁーーー!!』

「うおおおおおおおぉぉっ!!」

 

ジャンケンに勝利した十文字が、会場全体に勝鬨をあげる。

それに答えるように、会場に歓声が湧き上がった。

 

「(ジャンケン一つにこの騒ぎ様って...)」

 

ひょっとしたら、わりかし頭の程度は低い大会なのかもしれないな、と鳥羽は思うばかりであった。

 

 

「まずは俺のターン!!...マナをチャージして終了だ」

 

十文字の先攻。マナゾーンにカードを1枚置き、終了を宣言する。

 

「マナに置いたのは青いカード...、水文明か...。確か先攻は、先に動ける代わりにドローは出来ないんだっけ...」

「あ?何ぶつくさ言ってんだ。お前のターンだぞ!早くしろ!」

「あ、う、うん...。ド、ドロー...。えぇっと、マナをチャージして、ターンエンド」

 

なれない手つきでマナゾーンにカードを置く。

先攻1ターン目は、お互いに動きはない様だ。

 

 

続いて2ターン目。

先に動きを見せたのは十文字だった。

 

「じゃあまずはオレから行かせてもらう!呪文、《エマージェンシー・タイフーン》」

 

呪文の効果で2枚ドローし、1枚捨てる。

 

「(捨てたカードは赤いカード...。って事は、火と水の混色デッキか...。うーん...)」

「俺はこれでターンエンドだ。...ほらどうした。まだデュエルは始まったばかりだぜ?」

「.........僕のターン。ドロー。マナを一枚置いて終了」

 

続く鳥羽のターン。

マナをチャージするのみで、これといった動きは特にない。

ターンは十文字へと移り、しばし思考する

 

「(相手のマナは...。《メガ・ブレード》に《バクアドルガン》、ドラゴンが多いな。ま、中坊の使いそうなデッキだぜ)」

 

カードをドローし、マナをチャージする。

 

「召喚!《フェイト・カーペンター》!」

 

十文字がカードをかざした瞬間、洋画で出てくるマーマンの様な風貌のモンスターが姿を現した。

 

「うわぁ!?クリーチャーがホントに出てきた!?」

「その効果で、2枚引いて2枚捨てる!」

「...また手札交換…?」

 

召喚したクリーチャーの効果で、また手札を入れ替える十文字。

 

「...これで"3枚"。ターンエンドだ」

「(...なんだろう。手札よりも、仕切りに墓地の方を気にしてる。墓地はただ、使えなくなったカードを置いておく場所ではないのかな...)」

 

ターンが鳥羽に移行し、デッキに手をかける。

 

「ていうか、そんな事言ってる場合じゃない...」

 

恐る恐るカードを捲り、ゆっくりと確認する。

 

「...また重いカードだぁぁ!!!」

 

引いたカードのコストは8。そう、現在鳥羽の手札には、召喚出来るカードが一枚もないのである。

 

「一枚マナを貯めて、終了...」

『おおーっと!!これは、鳥羽選手まさかの手札事故かー!!?』

 

ただマナを貯めるのみの鳥羽の状況を見て、十文字は大きな笑い声を上げた。

 

「ハハハ!!この局面で事故るとは、敵ながら同情するぜ!!」

 

余裕の表情のまま、ドロー、チャージとステップを踏み、カードをかざす。

 

「まぁこっちは、いたってかなり順調だがなぁ!」

 

十文字のカードから現れたのは、さっきのいかつい人魚とは打って変わって、黒い服に鎖鉄球を纏った可憐な少女だった。

 

「《日曜日よりの使者 メーテル》を召喚!...ターンエンドだ」

「うぅっ...!!」

 

置いて行かれていくプレッシャーから同様を隠せない。

そんな鳥羽に対して、余裕を崩さす十文字は挑発をかける。

 

「...前もって言っておくぜ。次の俺のターンで、お前は終わりだ」

「...な!?」

『十文字選手!!ここに来ての勝利宣告だー!!』

 

相手が言っている事がハッタリでなければ、ここで引かなければ負ける。

その事実が、先にも増してプレッシャーを感じさせる。

 

「お願い...!!」

 

勢いよく引いたそのカードは。

 

「...来た!マナを貯めて、《コッコ・ルピア》を召喚!!」

 

鳥羽のカードから現れたのは、以前菖蒲も使用していた《コッコ・ルピア》。

場に留まる限り、ドラゴンの召喚コストを2つ下げるクリーチャーだ。

 

「(...これで次のターンにはドラゴンを出していける!まだチャンスは...)」

 

「…次で終わりだっつったろ」

 

次の瞬間、鳥羽のバトルゾーンに居た《コッコ》が、突如現れた渦に巻き込まれ手札に弾き返される。

 

「なんだ!?何が起きたの!?」

「《メーテル》の効果発動。こいつがいる限り、俺はカードを一枚引く時代わりに二枚引き、一枚捨てる。...俺が捨てたカードはーー」

 

墓地から一枚のカードを取り出し、ひらひらと弄びながら鳥羽に見せつける。

 

「《疾風怒涛 キューブリック》。こいつが墓地に置かれた時、水のカードがマナに3枚あれば、クリーチャーを一体手札に戻せんだよ!」

「そ、そんな...!!」

「大体、このターンで終わるお前に、んなもん関係ねぇんだよぉ!!!」

 

叩き付けるようにマナゾーンにカードを起き、手札から一枚の呪文を唱えた。

 

「《スクランブル・タイフーン》発動!!カードを5枚引き、3枚捨てる呪文だ!」

 

突如、巨大な竜巻が会場内を覆い、十文字の山札から大量のカードが舞う。

 

「更にここから《メーテル》の効果を発動!!つまり!!カードを10枚引き、8枚捨てる!!」

「そ、そんなに...!?」

「...これにより、G・ゼロォッ!!!」

 

巻き起こる巨大な竜巻から二つの火柱が上がる。

蒸発した水の中から、豪炎を撒き散らし二体のドラゴンが姿を現した。

 

「《百万超邪 クロスファイア》!!《天災超邪 クロスファイア2nd》!!」

「そんな!?使えるマナはもう残ってないはずなのに...!?」

「はぁ!?G・ゼロも知らねえのかよ。こいつらはそれぞれ、墓地にクリーチャーが6体以上いる時と、カードを6枚以上引いた時に、タダで場に出るんだよ!!」

 

獰猛な笑みを浮かべながら、2枚のカードを鳥羽に見せびらかす。

 

「更にこいつらはスピード・アタッカーのW・ブレイカー!無知なてめえにわかり易く言やぁ、出たターンにはアタック出来んのさ!分かったらとっととくらいな!!」

 

十文字がカードをタップした次の瞬間、相手のドラゴンがこっちらに向かって猛スピードで突っ込んできた。

 

「《百万超邪》でW・ブレイク!!」

「...そんな...」

「《天災超邪》でW・ブレイク!!」

「たった1ターンで...」

「《フェイト・カーペンター》でーー」

「僕のシールドが...!!」

 

「最後のシールドをブレイクだっ!!!」

 

最後のシールドが、無情にも破られた。

 

 

「...そんな、こんな事って...」

 

シールド0、クリーチャー0、圧倒的な絶望感が鳥羽を苛む。

 

「結局守れなかった...。何一つ出来ず...このまま負けてしまうの...!?...ちくしょう...!ちくしょうっ!!!!」

 

自分が情けなくて、悔しくて、堪らなかった。

何も出来ない自分が許せなかった。

 

『なんだ?ここで諦めんのか?』

 

堪らず涙を流す鳥羽に、先程の声が問いかける。

 

「だって、どうしようもないじゃないか!!クリーチャーもいない!シールドもない!今まさに止めを刺されるところなんだよ!?僕にどうしろって言うんだよ!!」

『...おまえ、ほんとしょうがねぇやつだなぁ...』

 

 

『何もないって?仲間(クリーチャー)なら、そこにいるじゃねぇか!』

 

 

そして、”奇跡”が起こった。

かち割られたシールドがより集まり、1匹の炎鳥と化す。

《ピアラ・ハート》。

逆転を呼ぶ奇跡の力、S・トリガーだ。

しかし、このクリーチャーの効果では、現状を打開する事は出来ない。

 

「《メーテル》でダイレクトアタックだあああああ!!」

 

『諦めんなよ』

 

しかし、ここに来てなお、”声”は少年に諦めない事を示し続ける。

 

『シールドゼロ?...上等だぜ!』

 

むしろ、勝利を確信した様な声で。

 

『テメェが諦めない限り、オイラ達は何度だって、力貸してやるぜ!!』

「…あ、ありがとう…………っ!!」

 

先程の鳥羽からは一変。不安な顔色はなりを潜めている。

瞳にめいっぱいの涙を貯め、しかし、彼は笑っていた。

 

「革命0・トリガー!!《革命の鉄拳》ッ!!」

 

直後、会場の天井を突き破り、炎を纏った巨大な鉄拳が《メーテル》を打ち砕いた。

 

「この...っ!!無駄な足掻きをぉぉぉっ!!」

『鳥羽選手まさかの革命0・トリガー!!十文字選手の勝利宣告を、見事に防ぎきりました!!』

「クソがっ!!よくも俺の顔に泥を塗ってくれたな、この死に損ないがぁ!!」

 

しかし、大声で騒ぎ立てる十文字に、迷いのない瞳で返す。

 

「...前もって言っておくよ」

 

もはや恐怖も、絶望も感じない。

確かな自信と、仲間を持ってして、宣言する。

 

「次の僕のターンで、あなたは終わりだっ!!」

 

 

 

 

〜つづく~

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