チキンハート・レボリューション   作:モクロウ

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戦闘?いいえ銭湯です。

場所は都内の病院にある休憩室。

本日の授業を終えた鳥羽は、菖蒲の元へ見舞いに行っていた。

 

「う~ん・・・。その感じだと、相手の使ってたデッキは、墓地ソースって呼ばれるタイプのデッキだね」

「墓地ソース?」

「うん。墓地に落としたカードを利用して色んなコンボを仕掛けるの。だから墓地ソース」

「なるほどなるほど・・・」

 

鳥羽はまだデュエマを始めたばかり。

先日の対戦で知識不足を痛感した鳥羽は、デュエマの模様を菖蒲に話し、助言を求めていた。

 

「それにしても驚いたなぁ。まさか、ついこの間デッキをあげたばかりの鳥羽くんが、もう大会に出て、しかも勝っちゃうなんて」

「いやぁ、えっと・・・。あはは・・・」

「近所のカードショップの大会なんだったよね。頑張ってね」

 

と言っても、もちろんありのまますべてを話した訳ではなく、近所のカードショップのちょっとした大会だと話している。

当たり前である。異空間で、実在するクリーチャーたちと一緒にあなたの為に戦っています、などと言えるわけがない。

 

「それじゃあ・・・。二回戦も勝てる様に、私がしっかりデッキを強化してあげる!さ、デッキを出して?」

「う、うん」

 

菖蒲は、鳥羽からデッキを受け取ると、机一面にカードを並べ始めた。元々自分のデッキであっただけあって、かなり手慣れている。

 

「まず基本的な流れからだね。《コッコ・ルピア》から《ドラッケン》に繋ぐ流れも強力だけど、中にはこんなカードも使えば・・・・・・」

 

自分の考えたデッキについて語る菖蒲は本当に嬉しそうで、一層輝いて見えた。

 

「(・・・やっぱり、仙川さんを失うのだけは絶対にヤだ)」

 

そんな彼女を見て、鳥羽は改めて決意を固めたのであった。

 

 

「はぁ・・・・・・」

 

病院からの帰り道。

先程までの充実感の余韻に浸る様に、満足げにため息をついた。

 

『なに惚けてんだッチ・・・。愛しの菖蒲チャンとお話出来て、そんなに嬉しかったッチか~?』

「う、うるさいなぁ!ほっといてよ!」

 

つい油断して表情を緩めてしまっていると、すかさずドラッチがからかって来た。

 

「お前見た感じウブっぽいからなッチ。フッ・・・!ここはいっちょ、オイラがオンナを落とす二十四の必殺テクを伝授してやるッチ・・・!」

「鳥類に恋愛指南されるほど自暴自棄になってないよ・・・。どうせ自分だって言うほどモテてないんでしょ?」

「・・・・・・」

 

鳥羽の突然の反論に対して、ドラッチが返してきたのは沈黙だった。・・・どうやら図星らしい。

 

「う、うるせーッチ!!周りの見る目が無いだけだッチ!オイラはこれでも、革命軍のエースだッチよ!?進化してる時は、カッコイー(裏声)とか、抱いてー(裏声)とか、黄色い声援が絶えなくて・・・」

「デフォルトがこんなチンチクリンのオタク鳥じゃねぇ・・・」

「な、なんだとー!?」

 

先程の仕返しのつもりなのか、ここぞとばかりにドラッチをディスり返した。

そんな鳥羽にドラッチは、元々赤い顔を更に真っ赤にして飛び掛ってきた。

 

「チキンの癖に生意気だッチ!このバカ!アホ!マヌケ!」

「悪口のボキャブラリー低っ!?」

 

ドラッチ の つつく 攻撃!

 

「イダダダダダ!!やめてぇ!?」

 

ドラッチの猛攻から逃れようと、思わず駆け出そうとしたその時、

 

「ーーっうわ!?」

 

直後、激しい水を打ったような音が鳴り響く。

脚がもつれ、先日の雨で出来た水溜りに頭から突っ込んだのであった。

 

「あぁ・・・、ビショビショだ・・・」

「ギャハハハハ!オイラをバカにしたバチが当たったんだッチ!いい気味だッチ!」

「ハァ・・・。こんなカッコで家帰ったら、また叔父さんに嫌味言われちゃうよ・・・」

 

なんとも運が悪い事に、それなりに大きな水溜りにダイブしてしまったようで、全身は余すことなく水浸しになっていた。

 

「・・・そんなに困っとるなら、うちに来い」

「・・・え」

 

突如聞こえた声の方へ振り返ると、そこにいたのは一人の老人だった。

涼し気な甚平を着こなし、手ぬぐいをバンダナの様に巻いている。

 

「えっと・・・、あなたは・・・」

「ボサっと突っ立ってないで、さっさと来い。風邪ひいても知らんぞ」

 

そう言って老人が向かった先にあったのは、大きな一本の煙突。

全体的に和テイストな外観に、色褪せたのれん。

少し寂れた、でもどこか懐かしさのようなものを感じさせる、一件の銭湯だった。

 

 

案内された銭湯で体を洗い、用意してもらった簡易の浴衣に袖を通す。

番頭の元へ向かうと、先程の老人が鳥羽の汚れていた服を洗濯機に放り込んでいた。

 

「おう。どうじゃった、湯加減は」

「あ・・・、とても気持ち良かったです」

「そうか。そいつは良かったわい」

 

そう言って老人は一本の牛乳瓶を差し出してきた。

おっかなびっくり受け取ると、ニッと笑った。

 

「ワシのおごりじゃ、ビビることは無い。湯上りの締めはそいつに限るからのぉ」

「あ、ありがとう、ございます」

 

その気前の良さそうな笑顔に、かつて共に暮らしていた祖父の顔を思い出す。

日頃はコミュニケーションに対して消極的な鳥羽も、珍しく世間話を切り出した。

 

「あの、僕、鳥羽です。鳥羽アラタ。中学一年です。・・・今日は、ほんとに助かりました」

「ほう、最近では珍しく躾の行き届いたヤツじゃのう。ワシの名は温水 湯治(ぬくみず とうじ)じゃ。見ての通り、ここで湯屋を構えておる。・・・もっとも、殆ど潰れかけの有様じゃがの」

 

湯治の言うとおり客足はかなり少なく、と言うよりは鳥羽を覗き、誰一人見かけなかった。

 

「まさしく閑古鳥が哭いてる、って感じだッチねぇ。こりゃいつ潰れてもおかしくなさそーだッチ」

「って、うわ!いきなり出てこないでよ!」

 

湯治とのやり取りを伺っていたのか、懐に収めたデッキからドラッチが飛び出してきた。

すると、間髪入れず、ドラッチの頭を鷲掴みにし、デッキに押し付ける。

 

「ていうか、人前で普通に出てくるなよ!おじいさん腰ぬかちゃうじゃん!」

「イデデデ!それなら問題ねーッチ!」

 

恐る恐る湯治の方をのぞき込むと、特に驚いた様子はなく、むしろあきれたように眺めていた。

 

「なんじゃ、突然一人で騒ぎ出して。・・・転んだ時に頭でも打ったか?」

「(・・・ちょっと、これどういう事?)」

「そりゃお前。オイラたちクリーチャーの声や姿は、大会の関係者じゃなけりゃ認識出来ないんだッチよ」

「(そういう大事なことはもっと速く言ってよ!)」

 

コソコソと喧嘩を始める鳥羽を見て、湯治は辟易した様にため息を着いた。

 

「やれやれ。最近の子どもの間では変な独り言でも流行っとるのか?」

「・・・え?」

「いや何、ワシにもお前さんと年の近い孫がおるんじゃが、時々同じ様にぶつぶつ呟いとってのぉ・・・。噂をすれば、そろそろ顔を出す時間じゃ」

 

湯治が入口へ振り返った丁度その時、ガラガラと引き戸の開く音が響く。

そこに立っていたのは、青白く長い髪の毛が特徴的な、少し幼げな雰囲気を持った少女。

しかし表情はどことなく無愛想で、何となく取っ付きづらい印象を感じさせる。

 

「・・・あなたは・・・」

「えっと・・・、なに・・・?」

「い、いえ。・・・何でもありません」

 

一瞬鳥羽と目が合うと、すぐに目を離してしまった。

 

「嫌われるような事でもしたんじゃないかッチ?」

「(今会ったばっかだぞ。何もしてないよ・・・)」

「・・・・・・」

 

湯治は少女の元へ近づいてゆき、クシャっと頭をなでながら紹介してくれた。

 

「こやつはワシの孫娘の温水 泉美(ぬくみず いずみ)じゃ。お前の一つ下、今年で小学六年生になる。・・・ほれ泉美。ちゃんと挨拶せんか」

「・・・宜しくお願いします」

「こ、こちらこそ、よろしく・・・」

「・・・ではおじいさん。脱衣所のバスタオル、交換しておきますね」

「う、うむ・・・。頼んだぞ!」

 

軽く挨拶を済ませた後、泉美は特に表情も変えず、脱衣所の方へと向かって行った。

 

「・・・見ての通り、少々無愛想なのがたまにキズじゃがな。しかし、とても優しい子じゃ。息子夫婦にすら見離されたこんな頑固ジジイを気にかけて、毎日足を運んでくれておる・・・」

 

優しい眼差しで、のれんの向こうの孫娘を見つめながら微笑む。

 

「おっと、余計な話をしてしまったな。まぁよければ仲良くしてやってくれい。あの娘は友だちも少ない様じゃからのう・・・」

 

仲の良い祖父と孫。そんな二人の関係性を見て、鳥羽はかつて幸せだった自分の姿と重ねていた。

だからこそ、湯治の頼みを快く引き受ける事にしたのだった。

 

「はい。・・・僕なんかで、よければ」

 

 

のれんをくぐった先では、泉美が脱衣場周りの整頓を行っていた。

山積みになった大小のタオルを、所定の位置に設置している。

 

「ねぇ、あの、何か手伝おうか?」

 

泉美と友達になると約束した手前、元々友達の少なかった鳥羽は、正直どうすれば良いのかわからなかった。

そこで、風呂代をマケて貰ったという事もあるので、少し彼女の仕事を手伝う事にしたのだが・・・。

 

「いえ、大丈夫です。簡単な作業ですので。お構い無く」

「え・・・?」

 

しかし、彼女の対応はつれないものであった。

それだけ言うと、再びバスタオルを持ち上げ、次の棚へ向かって行った。

 

「(あ、あれーー!?)」

「やっぱお前嫌われるような事したんじゃねーのかッチ?警戒心バリバリだったッチよ」

「これでも無害さだけは相当自負してるんだけど・・・」

 

それでもめげずに彼女元へついてゆく。

鳥羽が真後ろを歩いていても、泉美が話し掛けてくる気配はなかった。

 

「・・・しつこいです。先程も言いましたがこの程度のお手伝い、私一人で充分・・・」

 

泉美が作業を進めながらそこまで言ったところで、ピタッと動きが止まる。

かと思うと、やってきた棚の上方を眺め、バスタオルを抱えたままその場でぴょんぴょん飛び跳ねだした。

見ると、今度の棚は先程のものよりも高く、どうやら一番高い引き出しに手が届かない様だった。

 

「・・・・・・・・・」

「あの、やっぱり手伝うよ・・・」

「・・・お願いします」

「うん・・・。なんか、ごめん・・・」

 

泉美は、悔しさと恥ずかしさが混同した様な、なんだかよくわからない顔をしながら、小刻みに震えていた。

 

 

作業を分断したお陰か、整頓作業も滞り無く進み、ある程度の作業は終わらせることが出来た。

手持ち無沙汰にになり、休憩室の椅子に腰掛けていると、二人分のお茶とお茶請けを持った泉美がやって来た。

 

「・・・よければどうぞ。お手伝いしていただいたお礼です」

「うん、ありがとう」

「・・・いえ。どうやら、付け入ろうとしている訳ではなさそうなので」

「(僕そんなに不審者扱いされてたのー!?)」

 

そう言うと泉美は、若干顔が引きつった鳥羽の向かいの席に座った。

持ってきてくれたお茶請けを頂きながら、何となしに会話を切り出してみる。

 

「そ、それにしても、泉美ちゃんも偉いよね。毎日おじいさんのお手伝いしてるんでしょ?」

「大した事ではないです。私が好きでしていることですから」

 

泉美は愛おしそうに周りを眺めながら続ける。

 

「私にとっても、大切な場所なんです。おじいさんとの、家族みんなの思い出がたくさん詰まった、大切な場所です」

 

しかし、語るにつれ、次第にその表情は寂しげなものに変わっていった。

 

「なにかあったの・・・?」

「・・・近年の銭湯の需要低下もあって、稼ぎがあまり良くないんです・・・。全くのゼロという訳ではありませんが、うちの客足も年々下がっていて、昔からのお得意様達のお陰で、なんとか続けられている状態です」

 

確かに、日が沈み始めたあたりで、僅かではあるが客が訪れ始めていた。

どの客もみな、湯治とは親しげに会話している。

 

「おじいさんは潰れかけなんて言ってましたが、経営出来ているだけまだマシな方なんですよ。・・・確かに、赤字も出てますけど。・・・そのせいか、私のお父さんが、一度お店を畳まないかと提案したんです」

「そんな・・・」

「それで、ケンカになってしまって・・・。昔は、本当に仲が良かったんですよ?ケンカも、お互いにお互いを思いあっての事なんです」

 

寂しげに視線をしたに落とし、昔を懐かしむようにゆっくりと語る。

 

「でも、おじいさんにとっては、死んだおばあさんとの思い出がたくさん詰まったこの銭湯を失う訳には行かないんです。お父さんも、その事は解ってるはずなのに・・・」

「泉美ちゃんのお父さんはなんて・・・?」

 

鳥羽の問に対して、泉美は黙って首を横に振った後答えた。

 

「どういう訳か、お父さんもあれ以来、朝から晩まで働き詰めで、まともに話し合いも出来ていません」

「・・・・・・そっか」

 

こういう時、何か気の利いた事でも言えれば良かったのに。

自分の口下手さが、嫌になる。

一通り話し終えた後、泉美は立ち上がり出口へと向かって行く。

途中、立ち止まりこちらに振り向いた。

 

「・・・すみません。長々と、つまらない話しをしてしまって。初対面だったから、返って話しやすかったのかも知れませんね。・・・話したら少しスッキリしました。・・・解決策にも"アテ"があるので、お構い無く」

 

振り向いた泉美の顔は、いつもの無表情に戻っていた。本当は辛いはずなのに。

そんな気丈に振る舞う彼女を見て、鳥羽は素直に、力になってあげたいと思った。

 

「ううん、構わないよ。それに、僕に手伝える事があれば何でもーー」

「それは無理ですよ」

 

しかし泉美は、鳥羽の言葉を遮る様に言い放った。

 

「え・・・?」

「あなたにも、叶えたい望みがあるんでしょう?」

 

踵を返し、泉美は出口へと向かって行った。

 

「願いが叶えられるのは、たった一人だけだけ、ですから・・・」

 

 

「あ”あ”あ”あ”あ"あ”」

 

汚れた服もすっかり綺麗になり、暇を持て余した鳥羽は、休憩室のマッサージチェアに身を委ねていた。

体中を心地よい振動がつつみ、ついつい声を出して遊んでしまった。

 

「(泉美ちゃんのさっきの言葉・・・。何だったんだろ・・・)」

 

先程の泉美とのやり取りが、どうにも引っかる。

彼女の表情から、どこか違和感を感じ取っていた。

 

「(望みがどうとか言ってたけど、よくわかんないな・・・。何かのジンクス(?)かとも思ったけど、それにしてはなんか意味深だったような・・・)」

 

いくら考えても、結局答えらしい答えは見つからなかった。

 

「・・・ふぁあ」

 

下手に頭を使ったからか、はたまたマッサージが気持ち良かったからか、強烈な眠気が襲う。

心地よい微睡みに身を任せ、鳥羽はゆっくりとまぶたを降ろした。

 

 

「・・・・・・・・・っ!!」

 

目を覚ました鳥羽が目にしたのは、銭湯の休憩室・・・、ではなく、ベッドと机以外何も置かれていない無機質な一室。

 

「・・・ここって」

 

鳥羽はこの部屋に見覚えがあった。と言うより、数日前、自分はここに訪れている。

 

「そ。選手控え室だッチ」

 

混乱する鳥羽をよそに、デッキから出てきたドラッチがなんて事もないように言った。

 

「いやいやいや!!いくら何でも脈絡なさ過ぎるよ!!こちとらリラクゼーションタイム真っ盛りだったのに!まだ心の準備出来てないって!」

「じゃあ今しろッチ」

「んな殺生な!?」

 

突然の招集に困惑しつつも、深呼吸を繰り返し、自らをなんとか無理やり落ち着ける。

ある程度落ち着いてきたところで、改めて素朴な疑問をドラッチにぶつけた。

 

「ところで、日時とかってあらかじめ知らされたりとかしないの・・・?」

「ん?スケジュールなんかは、パートナーのクリーチャーから知らせる決まりになってるッチよ」

「あぁ、そうなの・・・」

 

一瞬、思考停止。

 

「ってお前の職務怠慢かぁあああ!!?」

「ギエチーーー!!?」

 

考えが至ったところで、怒りの首絞め攻撃が炸裂した。

程なくして、部屋全体にブザーの音が鳴り響くと、ドアから鍵の開くような音が聞こえてきた。

 

「ほ、ほら・・・。試合開始だッチよ・・・」

「うん・・・!」

 

菖蒲の未来がかかった二回戦。力強くドアノブを握り、勢いよく開く。

 

「(絶対・・・、絶対勝ってやる!)」

 

決意を固め、光の中へ一歩を踏み出した。

 

一方、ドラッチはというと、酸欠でフラフラだった。

 

 

『さ~あさあさあ始まりましたぁ!《ランド大陸王位争奪戦》第二回戦!本日も絶好のデュエマ日和ですねぇ!!』

 

空間を覆い尽くす大喝采。中世風の闘技場の様な会場。そして、無駄に元気な実況。

会場全体のプレッシャーをビリビリ感じる。

 

『なんだか今日は大会屈指の名場面が拝めそうな気がしますよ私はぁ!!・・・ま、毎回そんな感じの事をいってますがねー。ってな訳で、実況は私、《炎舌実況 DJショー》が努めさせて頂きますっ!!!宜しくぅ!!』

 

唯一、能天気な実況だけが、何となく気を紛らわせてくれた。

 

「よし・・・!」

 

自分の頬をバシッと叩き、気合をいれて一歩を踏み出した。

すると、眩いスポットライトが鳥羽を照らし出す。

 

『赤~コー↑ナー↓!!・・・一回戦でまさかの大番狂わせ!!奇跡の逆転劇を披露してくれたぞぉ!!無名のダークホースは、此度も革命を起こしてくれるのかぁ!?《小心の革命児(チキンハート・レボリューション)》!!鳥羽 革 選手ーーっ!!!!』

 

「・・・・・・ねえ。さっきの不名誉極まりない通り名みたいなの何?なんか凄く恥ずかしいんだけど」

「お前のリングネームだッチ。一回戦の後、投票で決まったんだッチ」

「えぇ・・・」

 

知らず知らずに決まった自分のリングネームに若干げんなりしつつも、所定の位置にデッキを置く。

 

「(対戦相手はどんな人なんだろう・・・。僕なんかで勝てるかな・・・)」

 

しかし迷いを振切るように強く拳を握る。

 

「(何弱気になってるんだ僕は!デッキも強化したし、大丈夫!どんなやつが出てきたって、絶対に負けないぞ・・・!!)」

 

程なくして自分の対局にいる対戦相手が照らされた。

 

「・・・・・・あ、れ・・・?」

 

鳥羽は、その対戦相手に見覚えが合った。それもそのはずである。

なぜなら、さっきまで一緒にいて、親しく話していたのだから。

 

「おやおや。奴さん、完全にブルっちまってるぜェ。ま、そりゃそうだ。さっきまでオトモダチだと思ってたんだからなァ」

「・・・別に、友達なった覚えなんかありません」

「おやおや、こいつァ手厳しいねェ・・・!」

 

『続きまして!!青コー↑ナー↓!!そのクールな表情に秘めたるは、灼熱の闘志!!その熱さに相手はなすすべなく倒される!!火の熱さと水の冷たさを併せ持つ女ーー』

 

「・・・泉美、ちゃん・・・?」

 

 

「《静かなる情熱(コールド・パッション)》!温水 泉美 選手ーーっ!!!!』

 

 

「・・・申し訳ありませんが、手加減は出来ませんよ」

 

 

対面のデュエル台から、"敵"を見る目でこちらを睨みつける。

 

 

「・・・私は決して、ヌルくはありませんから・・・!!」

 

 

 

 

 

~つづく~

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