三輪、奈良坂がでてきます。迅、米屋、出水が話に出てきます。
たくさんしゃべる三輪が想像できなかったので短くなってしまいました。三輪の駄話としては妥当かなとは思ったのでこれであげました。
ご指摘、アドバイスを頂けると幸いです。
三輪秀次でも
「三輪何か飲むか?」
「え?あぁ。牛乳を取ってくれ。ありがとう。」
三輪隊の隊室にて、自身のデスクにて報告書の作成を行っている三輪に奈良坂がコップに注いだ牛乳を渡す。
「三輪。少し休憩しないか?」
「すまない奈良坂。気を使わせたな。」
常々、任務も書類作成もコンスタントにこなす三輪だが、最近、奈良坂や他の隊員達には少し様子が違って見えた。仕事のペースに変化は無いのだが、以前より集中しているように見える割りには、ただ壁を睨み付けている時間が増えていたり。
「無理はしていないと思うが、何か俺が手伝えることが合ったら言ってくれ。」
「ああ。今月はもうこれで終わりだ。心配ない。」
数週間前、アフトクラトルによる大規模侵攻では三輪は単独でブラックトリガー使いに応戦し、風刃を用いて敵の退却せしめた、侵攻における大きな功績を上げた。奈良坂は、それ以後から三輪の様子が変わったような気がしていた。大規模侵攻で様子が変わったのはなにも三輪だけでなくボーダー全体もそうなのだが。なにせ過去最大の侵攻で人的被害も少なくなかった。まだ何人もアフトクラトルへ拉致されたままだ。
「なぁ。三輪。これは興味があるだけなんだが、風刃を使ってみた感じはどうだったんだ?」
「奈良坂も俺が風刃を手放したことが納得できないか?」
三輪は城戸司令直々に風刃を支給され(迅の口添えがあったようだが)そして侵攻の後それを返した。確かに奈良坂からしてもなぜ返したのか。疑問が無いこともない。
「まぁ確かにその理由は気になるが、単純にブラックトリガーはどういう感じなのかというのも気になるな。」
これは奈良坂の正直な意見だ。ブラックトリガーを使えるトリガー使いは極々限られる。ブラックトリガー自体の少なさと、相性の問題からだ。恐らくは奈良坂がブラックトリガーを使うことは一生無いだろう。
「そうか。俺が風刃を本部に返した理由にも繋がるんだが、やはりあれは白兵戦に使う道具じゃない。同時かつ他方向に援護を行ったり奇襲を仕掛けたり、どちらにしても攻撃に特化しすぎているんだ。弾数の問題もあるしな。」
「そうか。だが、大規模侵攻の様にノーマルトリガーと使い分けることも出来るんじゃないか?」
現状でも冷静な判断力と身体能力で多彩な戦術を使いこなす三輪だ。その戦術に風刃が加わるのなら鬼に金棒ともとれる。
「それはその通りだが、やはり俺には使いこなせない。そもそも弾数が限られた風刃は戦場全体を掴んでいる者が要所で使わないと意味がない。だからやつが持っている意味があった。」
風刃の元の所有者である迅悠一は、未来予知という破格のサイドエフェクトを持っておりそのため常に未来を先見し、全ての要素を計算して行動をとる。だからこそ三輪は迅が苦手なのだが……
「使うべきタイミングで最も有効に使われるべきなんだ。あのブラックトリガーは。だからこそ本部で保管し戦局で最も有効に使える者に持たすべきだと俺は思った。」
「なるほど。」
使い心地と返した理由二つの疑問にはっきりとした答えを返されて奈良坂は納得する。
「三輪の迅さんに対する、苦手意識がそうさせたのかとも俺は思っていたんだかな。」
「そんなことはっ……ない。と思っている……」
予想より端切れの悪い三輪の返答に奈良坂は意外だと感じた。いつもなら噛みつくように否定する三輪だが……
「迅さんのことが苦手なのはなにも、三輪だけじゃないと思うぞ。というか大体の人は苦手なんじゃないのか。」
「そうかもな……」
その能力と性格ゆえに、迅は暗躍することが本分だ。「なぜ?」「なんのために?」考えてもそれはわからない。迅の行動の結果を知っているのは迅だけだ。そうして迅と周囲の人間には壁が出来ていくのだ。
「それにしても牛乳なんて冷蔵庫にあったんだな。誰が飲むんだ?」
「たぶん俺だ。」
「たぶん?たぶんってどういうことだ?」
「出水と米屋が『三輪にはカルシウムが足りてない!』とか言いながら置いていった。」
「な、なるほど。」
三輪がイライラしているというジョークなのだろうが、案外と素直に牛乳を飲んでいる三輪である。そのジョークは三輪の琴線には触れなかったようである。気心知れた仲ゆえの寛容さなのかもしれない。
「もう作業はおわった。奈良坂も休んでくれ。」
隊長という上司に遠慮して、先に休めないような関係ではない。普段余計なことはあまり言わないはずの奈良坂が、話しかけてきたのは自分に気を使ってだと三輪は感じていたので話を切り上げて奈良坂を気遣った。
「そうだな。じゃあまた明日。」
「ああ。お疲れ様。」
奈良坂より少し遅れて三輪も鍵をかけて隊室を後にした。
例によって続きはありません。
次の駄話は空閑が食べます。