やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのはまちがっている。(更新停止) 作:新太朗
では本編をどうぞ。
職場見学まで残り数日となったその日に奉仕部に訪れた人物は意外にも葉山だった。
葉山の依頼内容はチェーンメールで友人の悪口を書かれているので事態の収拾をしてくれ。
と言うものだ。
これ、奉仕部のやることか?そもそも何で葉山は奉仕部に来たんだ?
俺は葉山が何かを隠しているような、そんな気がした。
「葉山君はこの中に書かれている三人の内の誰かと行くつもりなのね?」
と雪ノ下の質問に葉山は
「ああ、まだ決めてはないけど。三人の誰かと行くつもりだけど・・・」
と葉山が言うがこの時点で俺は犯人に大体の目星を付けた。
おそらく、誹謗中傷を書かれた三人の内の誰かが犯人の可能性が高い。
「あ。私、犯人わかったかも・・・」
と由比ヶ浜でもさすがに分かったのか?
「どういうことかしら?由比ヶ浜さん、説明してくれるかしら」
と雪ノ下が由比ヶ浜に説明を求めた。お前は分からないのね。
「職場見学はさ三人一組だからさ、一人余っちゃうからさ。残ったその人は結構きついんだと思うんだよね・・・」
と由比ヶ浜が言うと雪ノ下は
「そういうものなの?でもこれではっきりしたわ。犯人はこの三人の内の誰かね」
とはっきり言うが葉山は否定の言葉を言った。
「ま、待ってくれ。幾らなんでもそんなことありえないだろ。だって悪口を書かれたのはこの三人だぜ。あいつらは違うだろう?」
と葉山は否定していたが、俺にはそれが嘘くさかった。
(こいつは、もしかして犯人を知っているんじゃないか?)
と思っていたので俺は俺の意見を言った。
「バカかお前は。そんなの自分に疑惑の目を向けないためのカモフラージュに決まっているだろうに。俺だったらあえて軽く書いて一人に罪を擦り付けるけどな」
と言っていると
「ヒッキーってすこぶる最低だね!」と由比ヶ浜が言うが、普段からキモいと俺を罵倒しているお前も十分最低と思うぞ。
「とりあえず、その三人の事を詳しく教えてくれるかしら?」
と雪ノ下が葉山に聞いてきた。
「ああ。戸部は俺と同じサッカー部だ。見た目は金髪で悪そうに見えるがムードメーカだな。文化祭や体育祭なんかに積極的に参加している。いい奴だよ」
「・・・騒ぐことしか能ないお調子し者、と」
と雪ノ下のいきなりの罵倒が炸裂した。
悪い方に解釈しているな、こいつは。葉山は絶句しているしな。
と思っていると雪ノ下が
「どうしたの?続けて」と葉山に促すがお前の言葉に絶句しているんだよ、気付け!
「大和はラグビー部。冷静で人の話をよく聞いてくれる。ゆっくりとしたマイペースさとその静かさが安心させてくれるって言うのかな。寡黙で慎重な性格でいい奴だよ」
「反応が鈍くて優柔不断、と」
雪ノ下は容赦がないな。まぁ俺の時もそうだったな。
「・・・大岡は野球部だ。人懐っこくていつも誰かの味方をしてくれる気のいい性格だ。人の上下関係にも気を配って礼儀正しい奴だよ」
「人の顔を窺う風見鶏、と」
ホント、容赦がまったくない。会った事もない人間のことを悪く言うのはこいつの性格が悪いからだな。葉山、ご愁傷様。
俺や由比ヶ浜だけではなく、葉山も完全に黙っている。無理もないか。
「誰が犯人でもおかしくわ無いわね。・・・葉山君の話だと参考にならないわね。二人は彼らのことをどう思っているの?」
と俺と由比ヶ浜に聞いてくるが
俺は「よく知らないな」と。由比ヶ浜は「ど、どうって言われても・・・」と言葉を濁して答えたが駄目だったようで、雪ノ下は俺達二人に頼んできた。
「じゃあ調べて貰えるかしら?グループ決めの締め切りは明後日だけから一日猶予があるわ」
と雪ノ下は言うが由比ヶ浜は顔を俯かせた。
まぁ自分のグループの事を探ることに抵抗があるのだろう。
思ったが雪ノ下。お前は調べないんだな。クラスが違うってだけで、聞き込みくらいしろよ。
自分は指示して終わりかよ。
そして次の日。俺はあの三人を観察していた。人間観察は俺の十八番だ。
サイドエフェクトのおかげで人間観察しやすい。
すると俺の視界に手を挙げて、挨拶してくる人物がいた。
「おはよう、比企谷君」
と俺の癒しの第二天使の戸塚だった。
「おーす。何か用か?戸塚」
と俺が聞くと
「うん。職場見学のグループってもう決めたの?」
と俺は素直に
「まだだな。余った人と組む事になるかもな。戸塚は組む人は決まったのか?」
と聞いてみると微笑んで
「うん。そうなんだ」
と言ってきた。
(何、だと・・・戸塚はもう組む奴がいるのか。できれば戸塚と組みたかったな・・・。
一応、誰と組むかだけでも聞いておくか。)
「・・・戸塚は誰と組むんだ?」
と聞いたら戸塚は「比企谷君」と俺の名前を言った。
「・・・え?それは、つまり俺と?」
と聞くと戸塚は微笑みながら
「うん。そうだよ。もしかしてもう組む人がいるとか?」
と首を傾げながら聞いてくるので俺は
「いや!まだ誰とも組んでいないから大歓迎だ!よろしくな彩加」
と興奮のあまりに戸塚の名前を呼んでしまった。
「初めて、名前で呼んでくれたね。じゃあ、僕はヒッキーって言った方がいいかな?」と戸塚が聞いてくるので俺は
「・・・戸塚。ヒッキーは止めてくれ。俺は引きこもりじゃないからな」
と言うと戸塚はと笑いながら言ってきた。
「それじゃあ、八幡って呼ぶね!」
と笑いながらそう言ってくれた。
(戸塚、お前はまさに天使だな。あぁ~癒されるな。)
と思っているとその時に由比ヶ浜が俺を睨んでいた。
(なんだよ?戸塚との癒しの時間を邪魔するなビッチめが。)
そういえば、例の三人を見るんだった。すっかり忘れていたな。
三人を観察してわかったことがあった。
あの三人は葉山がいなくなった途端に話さなくなった。共通の相手がいなくなったので会話が続かなくなっている。
それを見て謎が解けた気がした。
放課後、奉仕部部室に全員が集まったところで、説明を始めた。
「あの三人なんだが、まず葉山、お前はお前がいない時のあの三人を見た事がないんじゃないか?」
「・・・ああ、見た事はないな」
葉山は戸惑いながらも返事をした。
雪ノ下と由比ヶ浜は俺のことをバカにするような目を向けてくる。
お前らにはいい案があるのか、と思っていると雪ノ下が聞いてきた。
「どういう事かしら?」
「つまりはだ、三人だけの時は仲良くないんだ。あの三人にとっては葉山は友達だがそれ以外は友達の友達なんだよ」
と言うと由比ヶ浜は納得していた。
「あーなるほどー。確かに会話を回す人がいないと気まずいもんね」
雪ノ下は友達がいた経験がないので、頭の上に?を浮かべていた。
人のことを理解できない、こいつに世界はおろか人を変える事なんて出来るはずも無いと思っていると
「それで、解決方法はなんなの?」
と雪ノ下が聞いてきた。
お前は考えていないのか?それでよく人に説教ができるな。
「一応解決策はある。犯人を捜す必要はないし、これ以上揉める必要もない。上手くいけば、あの三人を仲良くさせることができる。知りたいか?」
と俺の問いに葉山は黙ったまま頷いた。
グループ分け締め切り当日。後ろの黒板を見てみると、戸部、大和、大岡と件の三人が同じグループになっていた。
葉山が俺のところまで来て
「おかげで丸く収まった。助かったよ」
と言ってきた。
「俺は実際になにもしていない。ただ、お前にあの三人と組むなと言っただけだ。お前がいなきゃ、揉める必要が無いからかな」
と俺が言うと葉山は
「そうだな。まぁ、これを機会にあいつらが本当の友達になれればいいんだけどな」
と言ってきた。
(こいつは、筋金入りのお人好しではなく、人を信じ過ぎな気がするが別にどうでもいいか)
と思っていると葉山が
「俺、まだグループが決まってないんだ。入ってもいいかな?」
と聞いてきたので俺は
「戸塚にでも聞いてくれ。俺は知らん」
と俺が短く応えた。
「僕は全然、構わないよ。僕と八幡と葉山君の三人でいいかな?」
と戸塚が聞いてきた。
「ああ、俺はそれでいいぞ。それで戸塚はどこに行きたいんだ?」
と聞くと
「僕、ボーダー本部がいいんだけど。二人はどうかな?」
と戸塚が言うのに対して俺は
「・・・ボーダーか」
と少し嫌そうに答えてしまった。
「・・・八幡がいやなら、別のところでもいいよ?」
と戸塚は言うが、何だか申し訳ない気持ちになってしまったので
「・・・いや、ボーダー本部でいいぞ」
と答えたら、戸塚は嬉しそうに
「ホント?よかった。じゃあ、見学先はボーダー本部に決まりだね!」
ちなみに、2年生のほとんどがボーダー本部を見学先に決めているため、下手をしたら俺がボーダー隊員だとばれる可能性がある。
別に隠しておくつもりはないが、ばれたら、それはそれでめんどくさい事になりそうだ。
特に雪ノ下が。
当日は何とか防衛任務を入れるしかないな。上層部とウチの隊のメンバーを説得する必要があるな。特に雪菜の説得には骨が折れそうだ
次回は1話、間をおいてサキサキの話にいきたいと思っています。
雪菜やシノンの出番も出来る限る増やしていきたいです。
では次回の更新をお楽しみに。