やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのはまちがっている。(更新停止)   作:新太朗

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雪ノ下(妹)が川崎との話です。

雪ノ下は怒りの沸点が低い。

では本編をどうぞ。



職場見学 川崎沙希②

俺は今、二宮さんに呼ばれて来た事のあるバー

『エンジェル・ラダー 天使の階段』にいる。

何故?俺が再びこのバーに来る破目になったのかと言うと

妹の小町の塾の『お友達』の川崎大志からお願いされたからだ。

 

そのお願いとは姉である。川崎沙希の更正だ。

一年の時は真面目だったのに二年から急に不良になってしまったらしい。

その理由は大志からの話しで大体が検討がついている。

なので俺は必要と思える資料を川崎に見せるため、

ある場所に行き揃えてバーに向かった。

 

そして今、川崎に会うためにバーに来ている。

俺の格好は前回と同じでキッチリとしたスーツに髪をオールバックにして

伊達メガネを掛けている。まさか、またこの格好をすることになるとは

思いもしなかった。

 

 

 

「・・・ヒッキー?」「・・・比企谷君?」

 

俺は気合いを入れて、バーに入ろうとした矢先に後ろから声を掛けられた。

それも聞き覚えのある声だ。

 

(・・・あ~れ~可笑しいな・・・今、後ろから由比ヶ浜と雪ノ下の声が

聞こえた気がしたような?・・・働きすぎでついに幻聴が聞こえ始めたか?)

など、と考えているといきなりスーツの襟を掴まれた。

 

「ちょっと、ヒッキー!!なんで無視するんだし!!

それにどうしてここにいるの?」

と、由比ヶ浜がいつも通りの大きな声で聞いてきた。

 

(参ったな・・・ここでこいつらと関わるのは得策ではないな。

ここは何とかして乗り切りるか)

と、考えていると、雪ノ下がいつもの感じで迫ってきた。

 

「声を掛けられたら、返事くらいしなさい。比企谷君。

・・・ああ、ごめんなさい。耳と脳が腐っていたのだったわね。

失礼したわ、返事はしなくていいわ」

ホント、雪ノ下は姉の陽乃さんと違って人としてなっていないな。

 

「・・・スイマセン。一体?誰のことを言っているのですか?」

俺は陽乃さん直伝の営業スマイルをして、二人に振り向いて名乗った。

 

「・・・ボクは、『山本武(ヤマモトタケシ)』と言う者ですが・・・

その、『ヒッキー』や『ヒキガヤ』と言う人物とボクは似ているのですか?」

と、名乗ったのが効いてようで、二人して驚いた顔をしていた。

 

「!!・・・ご、ごめんなさい!人違いでした!行こ、ゆきのん」

 

「えぇ、そうね・・・」

と、由比ヶ浜と雪ノ下はそのまま過ぎさった。

雪ノ下は疑惑の目を向け続けていた。

 

(ヤべー!!・・・何とか誤魔化すことに成功したな。

危なかったがうまく隠せてよかった・・・)

と、俺は内心焦っていた。とりあえずは様子を見ておくか。

 

 

 

バーに入り、カウンターの二人が座っている席の近くに間を開けて座った。

雪ノ下がどのように川崎を説得するかを見てさらに策を考えておくか

グラスを磨いている川崎を見つけるや否や雪ノ下が話しかけにいった。

 

「・・・やっと見つけたわ。川崎沙希さん」

 

「・・・あんたは確か、雪ノ下だっけ?何か用?」

と、雪ノ下は相変わらず高圧的だし、川崎も何だか冷たい感じだ。

 

「貴女の弟さんから話を聞いてね。姉が不良化したものだから

心配しているのよ。・・・それで話をしに来たの」

と、雪ノ下は言うが、お前はたまたま話を聞いただけだろうに。

 

「・・・そう。でも私はやめる気はないよ。別に遊ぶお金を

稼いでいる訳でもいないんだから。他人の家族の事に首を突っ込まないで

くれるかな。迷惑なんだけど」

 

「そうわ行かないわ。貴女は未成年、本来はここで働くことさえできない

はずなのだから。店側も問題だけど、貴女も問題なのよ」

 

「だから何?説教しにきたのなら帰ってくれない。営業妨害だよ」

 

「やー、でも、話してくれないと分からない事だってあるし、力になれるかも

しれないしさ。話すだけでも楽になるかも知れないし・・・」

と、由比ヶ浜は言うが、それは理想論だ。

それで川崎の問題が解決するなら、弟がすでに解決している。

 

「言ったところで、分かってはくれないよ。あんた達には絶対に分からないよ。

力になれるかも?楽になるかも?そう、だったらあんたは、あたしの親が

用意できなかったものを用意できるの?あんた達が肩代わりしてくれるの?」

 

「そ、それは・・・」

と、由比ヶ浜は言葉を濁した。

 

「そのくらいにしておきなさい。これ以上、吠えるなら・・・」

と、雪ノ下が言いだした時に川崎がとんでもない事を言った。

 

「ねぇ、あんたの親って確か、県議会議員なんでしょ。だったらそんなに

余裕があるなら、あたしの言っている事なんて、分からないでしょ?」

と、川崎は小さく囁いた。

その時、グラスが倒れる音がしたので横を向いて見ると

雪ノ下が唇を強く噛み締めて下を向いていた。

 

「ちょっと!!今はゆきのんの家の事は関係ないじゃん!!」

と、由比ヶ浜は立ち上がり、川崎にいい返した。

いや、由比ヶ浜。感情的で他人と話しができると思っているのか?

 

「なら、あたしの家の事も関係ないでしょ」

 

「・・・帰りましょ、由比ヶ浜さん・・・」

 

「で、でも、ゆきのん!このままじゃ・・・」

 

「・・・川崎さん。覚悟しておくことね・・・」

と、さながらヒーローに負けて、棄てセリフを言っている悪役のようだ。

雪ノ下達の話が終わったので次は俺の出番だな。

 

 

「・・・次は俺と話をしようぜ、川崎」

と、急に俺が話し掛けるものだから川崎は少し驚いていた。

 

「・・・えっと、あんたは誰なの?」

 

「同じクラスの比企谷八幡だ。よろしく」

 

「同じクラスだったんだ。それで何?あんたも雪ノ下のように

あたしを説教にでも来た訳?」

と、川崎はかなり警戒している。あのアホ共が。

 

「いや、違う。俺の場合は説教ではなく、提案だ」

 

「・・・提案?それってどう意味?」

 

「まずは川崎。お前がバイトを始めた理由からだ。

弟の話を聞いて分かったんだが、弟は今年の春から塾に行き始めたんだよな。

その事から考えるにお前も進学を視野に入れていることだろう。

だからお前は大学受験のための資金集めをしているんだろ?塾に行くために。

ウチの高校は進学校だ。進学の人間が殆んどだ。

そして、お前もな。だから、お前は塾に行くための資金がほしかった。

そうだろ?」

と、俺の質問に川崎は明らかに動揺してしていた。

図星、これで間違いはない。

 

「そこで俺の提案は『スカラシップ』だ」

 

「・・・『スカラシップ』って何?」

と、川崎は疑問に思うのも無理ない。塾に行ったことが無いのだろう。

 

「『スカラシップ』ってのは、奨学金。または奨学金を受け取る資格の事だ」

 

「・・・それを使えば、学費とかを気にしなくていいわけってこと?」

 

「まぁそうだな。つまり、お前はここでバイトをする必要がなくなるってこと」

 

川崎は少し考え込んでいた。それで答えが出たらしい。

 

「・・・そっか。そんなのがあったなんて知らなかったよ。ありがと」

 

「別にいいよ。俺は妹のためにやったに過ぎない。それにあまり家族を

悲しませるのは良くないからな。

兎に角、川崎。お前は明日からここに来なくていいからな」

 

「でも、いきなりバイトが辞める事なんて出来ないでしょ。辞めるなら

一ヶ月前くらいに言ってないと」

 

「あぁそのことなんだが、雪ノ下が明日一番で学校側に言いつけると思うんだわ。

そうなると、お前は最悪の場合に停学処分になるかもしれないからな。

そうなると、受験どころじゃ無くなるだろ?」

 

「でも、どうするの?雪ノ下でも説得でもするの?でもあいつの性格は・・・」

と、川崎は雪ノ下の性格をあれだけで理解したようだ。

 

「その辺りは大丈夫だ。この事を何とかしてくれる人物には心当たりがるから」

 

川崎は疑問に思っているだろう。あの雪ノ下を説得できるか分からないのだから。

そして、俺はスマホを出して、ある人物に電話をした。

 

「・・・どうも、こんばんは。こんな時間に失礼します。

実は相談したいことがありまして、娘さんのことに関わることです。

・・・はい、そうです。・・・はい。

『エンジェル・ラダー 天使の階段』と言う名のバーで働いている

川崎沙希と言う女性がそこで働いていた記録を全て消して欲しいのです。

・・・はい。反抗期の娘さんの教育に役に立てると思います。

・・・ありがとうございます。・・・はい。では失礼します」

 

俺は電話を終えてスマホを仕舞った。そうすると川崎が質問してきた。

 

「・・・あんた、今、誰に電話したの?」

 

「あぁ、相手は雪ノ下の母親だよ」

 

「・・・何で、雪ノ下の母親の電話番号を知っているの?」

 

「えっと、川崎は口は堅いほうか?」

 

「・・・喋るなと言うなら誰にも喋らないよ・・・」

 

「実は俺、雪ノ下の姉と付き合っているんだ。ようは恋人関係なわけ」

 

「・・・そうなの?でも、何で?そこで母親が出て来るの?」

 

「・・・実は、雪ノ下はバイトもしないで結構いいマンションに一人暮らしを

していてな。母親はそれを良くないと思っているんだ。

そこで、実家に連れ戻す理由が欲しいんだよ」

 

「・・・そうなの?・・・だけど、大体はわかったよ」

 

「理解が早くて助かる。さっきも言ったが、もうお前はここで働く必要はない。

それに雪ノ下が学校側に言ってそうだしな。だから働くことは無理だろ?

それから教師や他の人に何か聴かれたらこう答えろ。

『あたしはバイトなんてしたことがありません』と、言えばいい」

 

「それでいいわけ?そんなんで、誤魔化せるかな?」

 

「大丈夫だ。店側も未成年を働かせていたなんて、知られたくないだろうしな

証拠がなければ、どうとでもなる」

と、俺はそうとう、悪い顔をしていた。

俺は川崎にスカラシップに必要となる用紙を渡して、バーを後にした。

ボーダー本部に向かい、深夜の防衛任務をこなした。

 

 

 




サキサキの話はもう一話してからボーダー本部の職場見学に入ります。

その際に三浦と雪ノ下がやらかします。

更新をお楽しみに。

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