やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのはまちがっている。(更新停止)   作:新太朗

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本日二回目の更新です。

川崎の話はこれで終了です。

では本編をそうぞ。



職場見学 川崎沙希③

川崎の件が無事に終わり、防衛任務もきっちりとこなして朝方近くに家に帰り、少しだけ仮眠を取って学校に向かっていた。

自転車に乗りながら、昨日の川崎のことを考えていた。

 

(川崎は家族と話をしているだろうか?特に大志とは話したほうがいい。

あいつは本気で姉のことを心配していたからな)

と、考えていると、後ろに乗っている小町から驚くべき話がきた。

 

「お兄ちゃん。お菓子の人と知り合いだったんだね?」

 

「・・・はぁ?お菓子の人?って誰のことだよ」

 

「えっ!?・・・誰って、それは結衣さんだよ?」

 

「・・・由比ヶ浜が犬の飼い主でお菓子を持って来た人だと?」

 

「そうだよ?・・・知らなかったの?でも、なんで?」

 

「・・・それは俺が知りたいわ。でも、教えてくれてサンキューな」

 

「いえいえ。これくらい、お兄ちゃんのためだしね。

これは小町的にポイントが高いね!」

 

「そうだな。すごく高いわ。それ・・・」

 

(つまり、あの事故の関係者が同じ部屋にいるってことだよな!

気まずすぎだろ。何の罰ゲームだよ!

それにして、由比ヶ浜はなんで何も言ってこないんだ?

それにあいつが、妙に馴れ馴れしいく変なあだ名で呼んでいたのは

俺に気を使ってのことなのか?)

と、考えても何も答えが見えてこなかった。

 

俺は小町を学校に送り届けた後。教室に入って見ると川崎がいた。

このところ、遅刻が多く朝に見かけることが余りなかった。

由比ヶ浜が俺と川崎を交互に見てソワソワしていた。

 

雪ノ下が川崎がバーで働いていたことを学校側に言ったのだろう。

そんな態度を取るくらいなら、最初から関わらなかったら良かったのに。

その後、普通に授業は行われたが、一時間目が終わってから

川崎は生徒指導の平塚先生に連れて行かれた。

 

しかし、二時間目が始まる前には何事も無かったかのように帰ってきた。

その後は昼まで普段と変わらない風景だった。

一点、違いがあるなら、由比ヶ浜の視線くらいだろうか?

 

昼飯をいつもの人気のない場所で購買で買ったパンを齧り、マッ缶を

飲んでいると後ろから声を掛けられた。

 

「・・・比企谷・・・」

 

「ん?・・・なんだ、川崎か。何か用か?」

 

「・・・うん。・・・その、お礼が言いたかったから・・・」

 

「そんなことか?そんなの別にいいぞ。それに俺は昨日の夜は

お前になんて会ってないからな」

 

「・・・そうだったね。あたしも比企谷には会ってないよ」

 

まるで、ちょっとした茶番劇だ。

しかしこのやり取りには重要な意味がある。

ここで俺と川崎が会っていたことを認めれば、例のバーで川崎が働いていたことの証明になるからだ。

それは流石に不味い。学校は勿論だが雪ノ下に知られれば何を仕出かすか、

分かったものではない。

 

「・・・川崎さん。これはどういう事かしら?・・・」

と、俺と川崎の後ろから雪ノ下の声が聞こえてきたので、

振り返って見ると、完全にキレている雪ノ下とオドオドしている由比ヶ浜がいた。

 

「・・・何の事を言ってんの?雪ノ下・・・」

 

「惚けないで!!貴女は確かにバーでアルバイトをしていたはず、

なのに今朝方に学校側が確認をしたら、『川崎沙希と言う、女性は働いてはいない』と

連絡してきたのよ。・・・これはいくら何でも有り得ないことだわ!!」

 

「・・・雪ノ下は一体、何の話をしているのよ?」

 

「惚けないでと言ってるでしょ!!・・・未成年の貴女がバーでアルバイトをしていたことが消えているのよ。貴女が何かしたに決まっているわ!!」

 

「・・・だから、あたしはバイトなんてしたことは無いんだってば・・・」

と、川崎が言うと、雪ノ下は顔を歪めていた。

由比ヶ浜は、相変わらずにオドオドしていた。

 

「・・・あくまでシラを切るつもりなら、絶対に尻尾を掴んでやるわ。

覚えておきなさい!!」

と、言い残して、由比ヶ浜と行ってしまった。

 

「・・・これでいいんでしょ。比企谷?」

 

「・・・あぁ、上出来だ。学校側にもそう言ったんだろ?モチロン」

 

「・・・あんたの指示だしね。先生もあっさり信じたよ・・・」

 

「それでいい。雪ノ下は躍起になって調べるだろうが、その当たりも抜かり無いはずだしな。

仮に真相が分かっても時既に遅しってことだ」

 

「・・・確かにそうだね。それに未成年がバーに来たのが知れたら、困るのは雪ノ下と由比ヶ浜のはずだしね」

 

「それもそうだな。行ったのがバレると俺も危ないしな・・・」

 

「・・・でも雪ノ下の親が家に連れ戻したいのに・・・

その親がマンションで一人暮らしを許したのは、何でなの?」

と、川崎は疑問になって、俺に質問してきた。

 

「・・・そうだな・・・親って言っても父親が許可しただけで母親は反対だったんだ。

父親は娘達に甘いらしいからな、それで出来ているんだろう・・・」

 

「・・・ふ~ん。偉そうなことを言っているくせに自分は親のスネをかじっているってわけね。・・・いい気なものだね」

 

「まぁ、そうなんじゃないのか?人ごと世界を変えるとほざいている奴だからな。

その上、ナルシストだしな。あまり近付きたくはない」

 

「そうなの?まぁ、近付きたくはないね。それじゃ、あたしは行くね。

改めて、比企谷。ありがと」

 

「どういたしまして。あまり、家族に心配させるなよ。家族は助け合うものだしな」

と、俺の言葉を聞いた川崎はそのまま、教室に戻って行った。

 

「さってと、俺もそろそろ、戻るとするか・・・」

 

その後の授業は何事もなく進み、放課後となって奉仕部に言ってみると

雪ノ下は未だにキレていた。

 

「・・・どうしてですか?・・・理由をお聞かせください!・・・

それでも、彼女は確かにあそこにいたのです。・・・待ってください!

・・・・・・」

 

雪ノ下はどこかに電話していたが一方的に切られたらしい。

 

「・・・比企谷君。説明しなさい!これはどういうことなのか?」

 

「・・・何の事だよ?お前が聞いている事は?」

 

「・・・そう。貴方もシラを切るのね・・・いいわ。いつか必ず、証拠を掴んでみせるわ」

と、意気込んでいたが、戦う相手がまさか、自分の母親だと知った時には

どんな顔になることやら。少し楽しみでもある。

 

そして、明日はボーダー本部で職場見学の日だ。

何か、ありそうで憂鬱になりそうだ。でも策は念のために用意してある。

 




ついに次回はボーダーの職場見学です。

雪ノ下と三浦がやらかしてしまいます。

では更新をお楽しみに。

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