魔法と光の使者   作:形右

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第一話です。


色々と拙いかもしれませんがどうぞよろしくお願いします。



2017/05/14 加筆修正いたしました。前々から言っていたのですが、まだ終わっていなかったので、これから残った分を少しずつ直していきます。
そして早く連載を前のペースに戻せるように頑張りたいとおもいます。
それにしても、改めてみるとやはり拙いのが先行して一からやり直したくなる衝動にかられますが、それでもせっかく一番長く続けた作品ですしこれからも頑張ってきたいと思います。


【無印編】
光との遭遇 『――ファーストコンタクトーー』


 

 

 

『すべての始まり THE_FIRST_CONTACT.』

 

 

 

 

 

 

『海鳴市』――この街にある公園の一角に、一人の少年がいた。

 

 彼の名は、秋宙由宇(あきぞらゆう)。宇宙に夢をはせるまだ幼き少年だ。皆からはユウやユウ君/ちゃん。なんて呼ばれている。

 今年の春から小学三年生になるのだが、その前の春休みを利用して天体観測がてらこの公園でキャンプをしていたのだ。本当は友達も誘っていたのだが、あいにく予定が合わなかった。そんな訳で、どうしても天体観測をしたかった彼は一人予定を強行したのだが……空を見上げて星々を眺めていたその時、月の表面で何かが動いているのが見えた。

 流れ星……。あるいは隕石か何かかと思ったが、違う。何か、意思を持っている生き物の影が二つ、月面で動いていた。ひょっとして宇宙人かと思い、喜々として空を眺めていたのだが……なんとなく見たことのあるシルエットな気がする。

 

「……何だろう。青と、銀色……かなぁ? あ、もう片方は何かカニみたい……」

 

 何だろう、どこかで見たことがある気がする。一体、何だっただろうか……。

 そこで由宇は思い出した。

 

「あ、そっか! ウルトラマンだ!!」

 

 そう、この世界のテレビ番組でやっている人気番組。『ウルトラマン』に出てくる銀色の巨人にそっくりだ。

 だが、あんな青いウルトラマンは見たことが無い。いや、確かに青いウルトラマンはいる。アグルとかティガやダイナのタイプの一つにもあるし、ゼロとかネクサスも青いカラーリングだったりもするし……。あとはヒカリとか、ギンガもクリスタルが多いから青く見えなくもない。

 でも、あの青いウルトラマンはどれとも違う。

 

「あんなウルトラマン初めて見た……」

 

 そしてしばらく月面でのウルトラマンと……。カニというか、あちらも……あのタイプのやつは見たことないが……たぶんバルタン星人じゃないかなぁ……。と思われる、その二人の闘い?でいいのだろうか、それにしばし見入っていたのだが、裏側に消えてしまったのか見えなくなってしまい、あちこち見回して探したのだが、結局見つからず先ほどまでの出来事は夢だったのかなぁ……? となんだか妙な気持ちで張ったテントの中に戻り、持って来ていた漫画やらゲームやら小説やらとだらだらと過ごしつつ……いつの間にか寝入ってしまっていた。

 しかし、その眠りは数分で中断されてしまう。何故かいきなり空が荒れ、大雨が降り始めたのだ。

 それに気づき、大慌てで防水対策を施し、どうにか寝られる程度のスペースと荷物の避難はできた。

 そうして、由宇が疲れて寝てしまいそうになったころ……。空の上から、二つの巨大な物体がこの星に落ちた。

 

 そしてその一つは……この公園の森に落ちていたのだった――――。

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 次に目が覚めたとき……日は登っていたものの、まだだいぶ早い時間のようで……辺りには霧がかかっており、なんだか薄暗く少し幻想的なような……それでいて少し不気味なような、そんな感じの雰囲気を醸し出しているのだった。

 しかし、その時――。

 

 〝……、〟

 

 微かにだが、何か……声のようなものが聞こえた気がした。

 

「??? 何だろ……」

 

 彼がキャンプを張っていたこの公園は割と広く、サイクリング・ジョギングコースや森林と呼べるほど広い林がある。その中から何かこう――。

 

 ――『助けを求めているような声』が、聞こえた気がした。

 

 それは興味本位だったのか、そうでなかったのかは定かではないが、由宇はなんとなくその声を追って……林の中に入ってみた。

 昨日の大雨のせいか林の内部は深い霧に覆われてはいたが、その霧の奥に〝何か〟がいるということが〝判った〟。

 彼はそこへと近づいていき、その霧の中を覗き込む。

 

 すると、そこには――――。

 

 〝……、〟

 

 ――――何と、昨日望遠鏡から見えた……あの青いウルトラマンがいた。

 いたのだが、しかしその姿は何やら透き通る様なものになってしまっており……彼が非常に弱っているのが分かった。

 

「ウルトラ、マン……?」

 

 〝……、……〟

 

 話しかけてみたところ、声が直接聞こえたわけではなかったが、なんとなく言いたいことが頭の中に入って来たような感覚にかられた。

 

「――ひ・か・り……? 光が、ほしいの?」

 

 試しに、頭の中に聞こえてきた内容を目の前の『彼』に訊き返してみた。すると『彼』は、目の前のウルトラマンが……頷いた。

 やはり彼もまた、テレビにでてきたウルトラマンのように光が力の源なのだ。たぶん昨日のバルタン星人? との戦いで傷ついてしまって、エネルギーが足りないのかもしれない。

 由宇はそうなんだと理解した。

 

「分かった! ええっと……そうだ! ちょっと待ってて」

 

 先ほどまで自分のいたテントの中にある懐中電灯や鏡、アルミホイルにゲーム機、携帯電話。とにかく何かしら光を出せるもの、あるいはそれらを反射できるものをたくさん持ってきた。

 それらをウルトラマンに届くように角度を変えて当てる。日の光もだんだんと強くなり、ウルトラマンへ当たる光の量も増えていく。

 

 しかし、まだ、足りていない……。

 

 どうすればいいのだろうか……? そこまで考えて、昨日の天体観測で使った望遠鏡を使うことを思いついた。

 反射で当てている光に加え、太陽の光を鏡で望遠鏡のレンズを通して増幅させ、ウルトラマンの額にあるクリスタルに当てる。

 すると、ウルトラマンの額のクリスタルの輝きが増していき……その光が辺りを包み込んだそのとき――――。

 

 ――――ウルトラマンは復活し、再び立ち上がった。

 

「すげぇ……!」

 

 立ち上がったウルトラマンの姿に感嘆の声を漏らす由宇。

 

「……、」

 

 すると、彼は……ウルトラマンは由宇に〝話かけて〟きた。

 

「いいよ、お礼なんて。そんなに大したことはしてなんだし……」

 

 すると、そのウルトラマンはしゃがみ、由宇にこう言ってきた。

 

「……、――」

 

「望み? 欲しいもの? そういわれても……そんなの――あっ。でも……えっと」

 

 小さいころから、持っていた夢があった。

 この世界のどこかに、本当に要るかもしれないウルトラマン達に会ってみたい。

 そしてできるなら一緒に空を飛んでみたい、友達になりたい。

 どこか、諦めかけていた。

 出来るかどうかわからなかった。

 でも、どうしても……もし本当に要るのなら、会ってみたい!

 そんな思いでこの世界の遥か彼方、別の世界に夢をはせていた。

 その世界は、この大地の果てなのか? この海の果てなのか?

 それとも、この宇宙の果てにあるのか。

 あるいは次元なんてものを越えられたら……。そこにあるのか?

 そして今。

 夢の果てにいるはずの彼が今、目の前にいるのだ!!

 

「も、もし……。叶えてくれるなら……一緒に空を――――空を飛んでみたい!!」

 

「――――」

 

「やっぱり、ダメ……だよね」

 諦めたような声でいう由宇。それはそうだ、ウルトラマンだって暇じゃないんだろう。昨日も何かと、戦って、この星を守ってくれたのだ。

 それなのに、こんなお願いをするのは……。

 しかし、ウルトラマンは――――――由宇に手を差し出した。

 

「いいの……っ!?」

 

「……、」

 

 勿論だ、といっているかのように、ウルトラマンは由宇に手に乗れと促す。

 

「うわぁ……すっげぇ~……!!」

 

 そうして、由宇はコスモスの手に乗って空に飛ぶという体験をした。

 凄い! すごい! とにかく語彙なんてものをすべて吹き飛ばして、単純な言葉でしか言い表せない。

 自分の住んでいるこの街を上から眺めることができるなんて……本当にすごい! と。

 常時興奮しっぱなしだったが、楽しい時間はアッという間に過ぎ去ってしまう。

 ウルトラマンと共に元いた公園まで戻ってきて、楽しい時間の終わりを感じて……寂しくなった。

 だから、思わずこう尋ねた。

 

「ねぇ、ウルトラマン。これでお別れじゃ……無いよね? また、きっと……会えるよね?」

 

「……、」

 

 ウルトラマンは、頷く。

 

「そっか……!」

 

 嬉しくなり、由宇の顔に笑みがあふれる。

 そんな由宇を前にし、ウルトラマンはこの星に来た訳を話し始めた。この星に迫りくる危機について、警告するために。

 

「……。――、……」

 

「―――たくさんの危機が……この世界に迫っている?」

 

 聞いた言葉を繰り返した由宇に、再びウルトラマンは頷く。

 

「それを防ぐために、来てくれたの?」

 

 再び頷く。

 

「そっか、ありがとう。ウルトラマン」

 

「……、――――」

 

「コス、モス……? それが、君の名前なの?」

 

 彼は、〝コスモス〟は再度頷いた。

 

「コスモス、かあ……。あ、じゃあ僕の名前も聞いてくれる?」

 

「……、」

 

「あのね? 僕は由宇。秋宙由宇っていうんだ」

 

「――、」

 

「うん、そうだよ! ユウだよ!」

 

 名前を呼んでくれたことが嬉しくて、由宇はコスモスにこう尋ねた。

 

「ねぇ、コスモス。僕と……、友達になってくれる?」

 

「…………」

 

「そっか!!」

 

 しかし、その時。コスモスの胸にあるカラータイマーが点滅を始める。由宇の目にはコスモスは少し苦しそうになったように見えた。

 

「大丈夫?」

 

 そう問いかける。それと同時に、由宇はコスモスにはもう時間がないことをなんとなく悟った。

 

「もう、時間が……ないんだね?」

 

「……、」

 

 コスモスは頷き、再び手を差し出して。

 

「……、」

 

「力を、貸してほしい……?」

 

 いったいどういうことだろうか? と思ったのだが……その理由はすぐに分かった。

 

 

 ――『時間』

 ――『エネルギー』

 ――『ウルトラマンと地球』

 

 

 色々な言葉が、すっと頭に浮かぶ。

 

「あっ……そっか。【地球(ここ)】だとウルトラマンたちはそのままじゃ戦えないんだったね」

 

 つまり、テレビで見たのと同じような……あの『同化』というものをして欲しいということなのだろう。

 

 ――この場合、どうしたらいいんだろう?

 

 困っているなら力になりたい。でも、いきなり戦えというのもちょっと……。でも、ウルトラマンたちは――――そしてコスモスは……。

 いや、もしかしたらずっと前から……こうして、由宇とコスモスが出会ったときより、ずっと昔から……色々な、たくさんのウルトラマンたちがこの星や、この宇宙(せかい)を守っていたのかもしれない。

 此処とは別のパラレルワールドというのから、たくさんの星々。宇宙のあらゆる場所を守っていたのかもしれない。

 

 そして今、その彼が助けを求めていて、そして今自分にはその手助けが出来る。

 

 

 なら――――

 

 

「――――いいよ。どこまでできるのか分からないけど、僕でいいのなら一緒に戦うよ。ウルトラマンコスモス」

 

 そういって、由宇も手を差し出した。

 

 

 ――――――ありがとう―――――

 

 

「え……?」

 

 今度は――本当に聞こえた。

 コスモスの、声が。

 そして光に包まれ、次に目が覚めたとき……コスモスは消えてしまっていて、林の中で目を覚ました。

 夢だったのかな、と寝ぼけ眼であたりを見渡してみるが、そこには人っ子一人いない。

 何だか奇妙な感覚のまましばらくボーっとしていたが、何気なしに腕に着けていた時計に目を遣ると時刻は一〇時〇〇分を示していて、そろそろ家に帰らないといけない時間だった。今回のキャンプは一泊して昼頃までには帰ってきなさいというものだったので、早く帰らないと母に起こられてしまう。

 焦りながら散らかったものを片付け、テントをたたむ。そしてそれらを急いで自転車に積んで、キコキコと漕いで家に帰った。

 ……しかし、荷物を片づけていた最中に上着のポケットから落ちてきたこのスティックのようなものは何だろうか?

 何だか上に黒い卵形の球体が乗っているし、随分と変な形のスティックだ。これがいったい何なのか、よくわからないが……なんだか捨てる気になれず、ポケットにそのまま入れて帰ることにした。

 

 

 

 ――そのあと、結局家に帰るのが少し遅れて母さんにはちょっと怒られた。

 

「もぉ~、心配したじゃない! でもよかったわ~、ユーちゃん平気そうで」

「ごめんなさい……」

 あとついでにいえば、今年五歳になる妹にもお兄ちゃんばっかりずるい! 由香も行きたかった!! と文句を言われてしまった。

 でも――さすがにまだ五歳の由香(いもうと)を連れてキャンプするというはちょっとハードル高いかな……と、そんな事を思った。だからと言ってそれを口にするわけにもいかない。故に、由宇は困り顔のままでポカポカと叩いてくる妹になすすべなくやられるしかないのだった。

 

 その後、結局あの後何がなにやら分からないまま時間が過ぎ……何時の間にやら二日が経過していた。

 そう、気づいたら新学期の始まりの日を迎えてしまっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 今年のクラスはどうやら三年一組らしく、教室に入り自分の席に座って頬杖をついていると前の方に三人の女の子たちが座る。見知った顔の少女たちだ。

 前にも同じクラスになったことがある。ついでに幼馴染……でもある。

 アリサ、すずか、なのはの三人組。

 結構話すし、仲も悪くない……が、今は少しばかり話すのが憚られる。

 それは、春休み以来いまだに尾を引いているあの出来事が、夢か現実かすらも分からないのにそれを話すべきかどうか、かなり迷っているからだった。

 正直言えば、話してしまいたかったが……ありていに言えば、夢だと笑われるのが怖かった。

「あ、ユウ。おはよー」

 が、そんな思いはつゆ知らず、幼馴染の一人であるアリサ・バニングスが反しかけてきた。

「あ、ああ……アリサ、おはよう」

 結局、考えているうちに先制攻撃がクリーンヒット。アリサは三人の中でも特に活発な子で、お嬢様でハーフ。そして……ツンデレ、かな? 取り敢えずかなりキャラが濃い。

「ん〜? なになに? 元気ないじゃない。どうしたのよ?」

「いや、特には……」

 咄嗟に嘘をついてしまったが、あの出来事が本当かどうかなんて自分でも未だに分かっていないんだから、あながち嘘とも言い切れない……ハズだ。

 ――多分……。

 

「でも、ちょっと疲れてるみたいだよ?」

「だ、大丈夫だよ。心配いらないよ、すずか」

「そう? なら良いんだけど……」

 

 此方は月村すずか。大人しく、お淑やかで大和撫子……なイメージが強いかな? 此方もアリサと同じくお嬢様。おっとり系なためアリサよりはキャラ薄め、だと思う。

 薄いと言っても充分個性はあるのだから、後々変な属性が加わったりしないことを祈る。もしもヤンデレとかいうのが入ったら――そんな幼馴染見たくない、というか怖い。

 まぁ、それが自分に向けられることがないとわかっていても、そんなものを近くで見るのは怖いから嫌だ。普段おとなしい子ほど怒ると怖いっていうのは、多分合ってる。

 すずかが本気で怒るときは、怒りっぽいアリサやこの辺では有名な〝あの〟高町家の娘であるなのはよりもずっと怖い。――ただ、なのはもなのはで、末恐ろしい可能性があるってこの間彼女に怒られた友達が言っていた。

 ふと思う――末恐ろしいって何だろう?

 友人たちはいったい何を感じたのだろうか、という事を考えていると……今度は三人の最後の一人、なのはが声をかけてきた。

 

「でもユウ君、なにかあったんじゃない?」

 

 ギクッ!? 高町なのは――この子はスポーツ(競技の類)は苦手なのに、何故か変なところで感が鋭かったり、空間認識能力がずば抜けていたりと、何とも言えない運動神経の持ち主。

 加えて、何気にこの子は物凄く勘が鋭い。本当に鋭い。下手に情報を口走れば、そこから少しずつ崩され……あとは気の強いアリサのゴリ押しで結局話すことになりかねない。

 そんな幼馴染の三段攻撃(流れ的には二人だが、すずかも二人の側に回ることが多いため三段としておく)のセオリーから逃れるべく……ひとまずは無難な答えでやり過ごそうと思いながら、なんと答えるべきか少し考えて答えようとしたその時、思考の狭間にアリサが割り込んできた。

「あっ……、そういえばユウ。確かアンタ春休みキャンプするって言ってたわよね? アレどうだったの?」

「えっ……!? い、いや……天体観測してそれだけだったけど?」

 いきなり、動揺というか今の自分のモヤモヤの核心を突かれて言葉に詰まってしまった。

 すると、それに目ざとく気づいてしまったアリサの追撃を受けてしまうことに……。

「……もしかしてなにかあったの? いや……その動揺っぷりは――何かが〝あった〟のね?」

「うっ……」

 その動揺ぶりを見てニヤリ、とすげく良い笑顔でこちらを見てくるアリサに対し、美少女に見つめられるっていう展開は、こんなにも嫌なものなんだろうか? そう由宇は思った。

「さあ、おとなしく白状しなさい!」

「だ、だから……別にそんなんじゃないってば……」

「なんでもないってことはないんじゃなぁ~い?」

 さあ! さあ! と詰め寄ってくるアリサの剣幕に押されて結局白状して…いや、〝させられて〟しまった、の方が正しいかな……?

「……絶対に、笑わない……?」

 

「「「うん!」」」

 

 何ですずかやなのはもそんなに頷いてるんだろう……?

 

「えっと、その……――――」

 

 ぽつりぽつり、と話していく。

 

「――――夢なのか、どうか分かんないけど……ウルトラマンコスモスに、会ったんだ……」

 

 話し終えると、三人は黙っていたがしばらくするとわちゃわちゃと話し出す。

 

「ねぇねぇ! ホントなの!? やっぱり大きかった?」

「コスモスっていうお名前なんだよね?」

「えっと公園で会ったんだよね?」

 意外なことに、女の子三人はその話を信じてくれたらしく色々質問してきた。

 そうやって、三人からごちゃごちゃと根掘り葉掘り聞かれて、へとへとになってしまい、早く帰りたいという思いとは裏腹に足取りは重く……ノロノロと家路を歩いていたその時。

 

 帰り道に交差点を通ったときのことだったが――――

 

 

「うあっ……」

「あっ……」

 

 

 ――――由宇は、一人の少女とぶつかってしまった。

 

「ご、ゴメン。ぼーっとしてたから……」

「ううん、こっちこそよそ見してたから……」

 ぶつかってしまったせいで、互いにしりもちをついてしまっていたため、謝罪をした後、由宇は急いで立ち上がり、ぶつかった少女に向かって手を差し出した。

 

「あ、ありがとう」

 

 そういって手を取り、顔を上げた彼女を見て……由宇は固まった。

 

(うわぁ……! すっごく可愛い……)

 

 由宇は彼女の容姿に目を奪われた。

 透き通るほどに輝いて見える二つにまとめられた金髪と、それに引けを取らないほど白い肌。そして何に対するものなのかは分からないのだが……どこか愁いを帯びているように見える紅の瞳。その瞳に吸い込まれてしまうのではと思う程魅入ってしまう。

 先ほど可愛い、と称したが改めて見ると彼女にふさわしいのはどちらかというとそう……綺麗、だろうか?

 勿論、見たところ自分と同い年くらいだろうから幼い子供なのだが……彼女は随分と大人びて見える。

 だから、可愛いというよりも綺麗――美しいと表現したいように思った。幼馴染の三人の少女たちも美少女に分類される女の子たちとは会ったことは何度もあったが……これほどまでに魅入るのは生まれて初めてだ。

 

「??? あの……?」

 

「えっ……?」

 少女に少し不思議そうに見つめられ、内心ドキッとしながら声が上ずらないように努める。

「その、……手……」

 そう言われて手の方に視線を落とすと、先ほど手を貸した後固まりっぱなしだったために手を握ったままだったことに気づいた。

「あっ!? ご、ゴメン」

 さっきから謝ってばかりだ、なんてそんなことを考えながら下の方に視線を彷徨わせる。どうにもバツが悪いと人間は人の顔を見ることが出来ない生き物なのだ。

 すると、転んだ時に怪我したのだろうか? 彼女の肘のあたりから血が出てるのが目に入った。

「あ……血」

「えっ? ……あ、大丈夫。大したことないから」

「でも、ちゃんと消毒しないと……ばい菌入ったら大変だよ?」

「! ……ばい菌?」

「えっ、あ…うん……」

 何だろう、なんだか反応が微妙に変な気がするが―――まぁ、それは置いておこう。とりあえずこんな人の行きかう交差点の真ん中にいつまでも突っ立ってるわけにもいかない。もうそろそろ信号も変わるだろうし、移動したほうがよいだろう。

「えっと……。あのさ、そろそろ信号が変わっちゃうみたいだし――――と、とりあえずそこの公園にでも。たぶん水道あると思うし……」

 

「……、」

 

 コクコク、とまるっきり小動物にでもなったかのような彼女は何だか……そう、まるで別の国から来た(……まぁ来たのは分かるけども。明らかに日本人じゃないみたいだし)観光客とかが、いきなりやって来た観光地で「自分たちのところでは免疫がなくても平気だが、ここではその病気が普通にありますから免疫無い人は注意してくださいね」的なことを言われた人みたいな感じ。言ってみれば、まるっきり未知のものに触れてるとか、そういう知識がないみたいな反応。でもここは日本だし……それに今流行ってる病気とか、テレビとか学校で注意されるような地域の流行りもないのにさすがにその線はないか、と由宇は思い直した。

 その時、なんとなく頭をこんな可能性が過る。

 

 ――まさか……、宇宙人だったりして?

 

 いや、そんなまさか……。コスモスに会ったから……まぁ、あれが夢か現実かなんてまだわからないけれど……ついついそんなことを考えてしまう。

 宇宙人には地球の免疫とかそういうこと以前の問題だという話はよくある。

 

(今度またウルトラマンに見直してみようっと、ずっと好きだったからもうホントに覚えてないくらいからいつも見てたもんなぁ……)

 

 ちなみに色々部屋とリビングに置いてあるらしい。

 さて、そんなことを考えているうちに着いたようだ。

「ちょっと待ってね?」

「うん……」

 水道でハンカチを濡らして傷口を拭いてあげようと思ったのだが……。そのとき、この間のキャンプでは使わなかったので……母さんに怪我しやすい盛りだからとかで、持ってなさい。などと言われてカバンに入れっぱなしにしていた絆創膏と消毒スプレーといういかにもな組み合わせのセットを取り出し、濡れたハンカチで傷口を優しく拭き汚れを落とした後で、スプレーをかけて絆創膏を張った。

「はい、これでいいと思うよ」

「ありがとう……」

 そういって微笑んだ彼女に見とれてしまっていた。

 それを不思議に思ったらしい彼女は『?』を浮かべてこちらの顔を覗き込んでくる。

「??? どうしたの……?」

「えっ!? い、いや、な………なんでもない……よ?」

 思いっきりビクッとしてしまい、かなりどもりながら返答してしまい……端的に言うと、今の由宇の状況は―――かなりカッコ悪いものだった。

 

「ふふふ、君……なんだか面白いね?」

 

 そんなめちゃくちゃ可愛い笑顔で、変とか言わないで欲しい! と由宇は切に思った。ガラスの心が壊れてしまいそうだ。

「あ、そろそろ行かないと……。手当てしてくれてありがとう、それじゃあ」

「え、もう?」

 なんて、思わずつぶやいてしまう。言いなおそうとかそういうのでもないけれど、なんというか勝手に体が動くようなそんな感じで……もっと話したい、仲良くなりたいと由宇は思った。

 生まれて初めて感じるこの感情はどうするべきなのか分からないのだが……兎に角、このまま名前も知らないでいるのが嫌だった。

 そう思った由宇はまた、勝手に体と口の動くままに目の前にいる少女に声をかけた。

 

「あ、あのさ! 僕、由宇って言うんだ! 秋宙由宇! き、君の名前は?」

 

 すると、少女はこう答える。

 

「――フェイト。フェイト・テスタロッサ」

 

 その微笑みと、振り向いた瞬間になびいた金髪。そして伏目がちな瞳に魅せられてしまい、由宇は彼女が立ち去った後もしばらく動けなかった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 その後、どこかぽわぽわした気分になり……。気づいた時には、自分の部屋のベットに横たわっていた。

 ちなみに、「夕飯は?」と聞くと母は「あらあら、食べたじゃない?」と言われ、自分の意識が飛んでいたことについて改めて驚いた。

 そして、就寝時間になりベットの中で悶々と今日のことを思い出しながらもぞもぞとしていた。

 

(これが……その、ひ、一目惚れというやつなのかな……?)

 

 そんなことばかりを考えていた。

 それにしても、今日出会ったばかりの女の子、それも――――今思い出してみると……。何というか、カッコつけ過ぎた気がする(カッコつけられてもいなかったけれど)。というか、なんとも出来すぎた出会い方な気がするが……。気にしたら負けだな、うん。

 兎に角、そういったことを抜きにしても…。

 

(……なんていうか、チョロいなぁー僕……)

 

 初心な初恋()をしてしまった由宇は自分のとった行動がちょっとカッコつけようとしすぎだったかな? という(加えて恥ずかしい失敗も含めた)後悔にも似た気持ちと、もう一回会いたいなぁ……などという事を考え、すっかり顔を赤くしていた。

 

 

 このまま、自然と眠りにつけば少しは落ち着くかな? と、思っていたのだが……。

 

 

 

 ――――――何故か、その時の彼の心は妙にざわついていた。

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 いったい何なのだろうか、この胸のざわめきは。

 あの少女、フェイトと会った時に感じた……高鳴るようなあの鼓動じゃない。

 

 この鼓動は……。

 

 まるで、自分の大切な何かが崩れ去っていくような感覚。

 

(何だろう……これ…………何か、大きな力の渦が迫ってくる感じ)

 

 それはまるで、その大きな力の渦がすべてを飲み込み、全ての連鎖が負の方向に進むように……。

 だが、気のせいだと決めつけて、無理やり眠ろうとするのだが――――

 

 

 ――――その衝動は止まらない、収まらない。

 

 

 ドクドクという鼓動と、冷や汗と謎の圧迫感に由宇は押しつぶされそうになる。

 フェイトと出会ったときとは全くの逆の鼓動だ。

 

「ハァ、ハァ……いったい何なのさ……ッ!?」

 

 ガバッ、とベットから飛び起き外に飛び出す。

 寝巻に上着を羽織るとそのまま外に飛び出して、走る。

 どこかにいる〝何か〟のもとへと走る。

 走って、走って、夜の闇の中を走り抜けて……。

 

 そして、たどり着いたところで、彼が見たものは――――――。

 

 

 

 

 

 

 ――――――何かと何かの闘いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 異業の形の怪物と闘う女の子……。

 空中をものすごい速度で移動しながら変な怪物と女の子が戦っているが……。

 あと、なんだか指示を出している……のだろうか?

 なんかよくわからないのだが、二本足で立っている――――えっと……狐? それともイタチ? あ……フェレットっていうんだっけ?

 とにかくそんな類の小動物が戦いを見守っている。

 

「なん……だ?」

 

 よくわからないが……。何だというのか?

 この状況が理解できない。

 それに、あの飛んでいる女の子……。もしかしてなのはか?

 見知った幼馴染の顔を確認し、呆然とする。

 が、そう思ったその時、怪物の方が小動物――フェレットの方に狙いを定めたらしく、そちらへと向かっていく。

 それに気づいたなのはが攻撃から庇い、バリアで防ぐが……。

 

「くぅ……ッ!!」

 

 完全に押されているのは目に見えている、するとそこへ電子的な音声が響く。

 

 《利き腕を前に出して》

「は、はい!」

 

 《Shoot Barrett.》

 

 桃色の光の玉が彼女の左腕に出現する。

 

 《撃って!》

 

 光の玉が光の砲撃となり、その一撃が怪物を打ち抜き、吹き飛ばす。

 だが……。

 敵は分裂し、なのはから逃走を図る。

 本能的になのはの先程の光の砲撃の威力に勝てないと悟ったのだろう。

 しかし、なのはは彼女の持っている杖に(どうやら先ほどの声はこの杖が出していたものらしい)導かれるままにあの三つに分裂したものを追う。

 彼女は追いながら、杖に問いかける。

 

「さっきの光……もっと遠くまで飛ばせない!?」

 《貴女がそれを望むなら》

「……うん!」

 

 そうしてなのははビルの屋上に立ち……標的に狙いを定める。

 ドクンッ! とその胸の奥にある彼女の力の根源から発せられる熱い力を両腕に集める。

 

 《そうです。胸の奥の熱い塊を両腕に集めて》

 

 彼女の腕に集まる力が、彼女の杖を変化させていく……。

 

 

 ――――Mode change cannon mode. ――――

 

 

 彼女の杖が、砲撃用へと変形する。

 

「……まさか、封印砲? ――――あの子ひょっとして……砲撃型!?」

 

 フェレット君が何か言っているが、あのタイプに対して何かあるらしくとても驚いている。

 そうこうしている間に、なのはは三体に狙いを定め足元に……何だろう、魔法陣?

 そんな感じのものを展開させる。

 

 《直射砲形態で発射します!》

 

 魔法陣の輝きが増していく……。

 

 《ロックオンの瞬間に、トリガーを》

 

 なのはの目には照準がサークルとなって三つ展開され、それぞれに対し狙いを定めるべく動いている。

 そして、それは今――――――

 

 

 ――――――重なった。

 

 

 なのはがトリガーを引くとズドンッ! という音と共に先ほどよりもすさまじい桜色の砲撃が放たれ、三体を一撃で封印した。

 

 

 

 だがその時……、突然光の粒子のようなものが降り注ぎ、三体から出てきた青い宝石を包み込み、先ほどの姿よりもさらに巨大に……そしてより禍々しく変化し、街に降り立った。

 

「な、なに……?」

「これは、いったい……? ジュエルシードは確かに封印されたハズなのに……!?」

 

 巨大に姿を変えた相手に対して何やら事情を知っているようなフェレット君にも何が起こっているか分からないようだ。

 だが、やっと思考がこの状況に追いついて来た由宇は理解した。

 あれがコスモスの言っていた『いくつもの危機』。

 あれは、月でコスモスが戦っていたバルタン星人とはまた違う種類の脅威なのだろうか?

 ともかく、アレがなんであるにしても人間にとって脅威であることは自分にもなんとなくわかる。

 

(コスモスはアレを止めるために……)

 

 だが、自分にはどうしようもない。

 特別な力なんて持っていない。

 なのはみたいに飛べないし、コスモスのように強くもない。

 ――何もできない、ちっぽけな存在だ……。

 夢を持っていても、希望を信じるにしても、どうやっても力になれない。単なる足手まといでしかない。

 

(無力って、こういうことを言うのかもしれない……)

 

 そんな考えが、頭を過ったその時……。

 

 ――――ユウ。

「!?」

 

 聞こえてきた、その声は――。

 

 ――――新たなる脅威が、ついに来てしまった……。

「コスモス……?」

 

 ――――君の力を貸してほしい。ともに、この星を……そしてこの世界とそれらの世界を束ねる宇宙を守るために……。

 

 正直、逃げ出したいとも思った。力になりたいが、所詮小学生の自分にはあの戦いの中に入りこめない。

 勇気が……、足りない。

 助けたいと思っているのに、動けない。

 体が、動いてくれない。

 

 ――――ユウ……。

 

 違う……。

 動いてくれないんじゃない。

 ただ自分が迷ってるだけなんだ。

 あの時、コスモスに〝自分に何ができるのか分からないけど、自分にできるのだとしたら力になりたい〟とそういったのに……。

 言い訳をして、決めたことを捻じ曲げて、臆病風に吹かれているだけなんだ。

 決めるんだ、自分自身の答えを。

 何をすべきなのか、何よりもそれを踏まえたうえで――自分が何をしたいのかを……。

 

 ――今、僕は……何がしたい?

 

 

「――――――――――――どうすれば、いいの?」

 

 短く、コスモスに問う。

 

「ねぇ、コスモス。――――――僕はどうしたら……君の力になれるの?」

 

 

 ――――――何をすれば……、皆を守れるの……?

 

 

 そう問いかける由宇に対し、コスモスはそのための手段を教える。

 

 ――――――君に託した、『コスモプラック』を使って変身するのだ。そうすれば君と私は一心同体として戦うことができる。君のやさしさを解き放って、誰かのために戦いたいのだと強く思ってくれれば……きっと、私たちは誰にも負けはしない。

「うん……分かったよ、コスモス。やろう、みんなを守るために……!」

 

 見つけてからいつも何気なしにポケットに入れていた『コスモプラック』……。これがそんなに大事なものだったとは思わなかった。

 ――ともかく、これを使えば戦えるというのなら……やってみるさ!

 そう意を決し、『コスモプラック』を構え、空へとかざす!

 

「コスモース!」

 

『コスモプラック』の卵型の部分が花弁のように開き、中からクリスタルの部分が突き出し輝きを放つ。

 すると体がその光に包まれる。

 すると……由宇はコスモスと一体化し、怪物の目の前に立った。

 

 

「シュアッ!」

 

 

 ウルトラマンコスモスが、今ここに爆誕したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリ主はコスモスと同化しました。

これからもお楽しみにしていただけたら嬉しいです。
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