独自解釈有りのタグでなんとなく分かっていただけるかと思いますが、この世界観ではテレビ本編の『オリジナル』とこの小説での独自の時空で活躍した『パラレル』の両ウルトラマンが存在している、という独自解釈を取り入れています。
時空を移動しながら、第97管理外世界・通称:地球へと向かっているコスモス――由宇。その途中の出来事だった……。
× × ×
時空移動の最中、由宇を気遣ったコスモスは休憩を入れるべく無人惑星に降り立とうとした――その時……。
一体の怪獣が、コスモスに襲い掛かる!
その怪獣は、一見すると昆虫のような姿をしているが……その怪獣は、尻尾の様なものを持っており、まるっきりそれはサソリの様である。
故に、この怪獣を仮に名付けるとするなら……、そう――スコーピス、とでも名付けようか。
スコーピスは、コスモスに襲い掛かり……コスモスを星の表面に叩き付ける。
「ギャアアオッ!」
「ホォワッ!?」
叩き付けられてしまったコスモスは、どうにか体制を立て直そうとするが……それをスコーピスは許さない。
コスモスに隙を与えまいと、連続した攻撃を仕掛ける。長い尻尾による攻撃に翻弄されるコスモスは、反撃の隙を見つけようと攻撃を少しずつ、少しずつ、攻撃を直撃のコースから逸らしていき……ついに、攻撃を完全にかわす!
地面に叩き付けられた尻尾をコスモスは素早く起き上がり、それを掴む。そのままスコーピスを振り回し、投げ飛ばす。
コスモスの反撃を受け、スコーピスは一瞬動揺したが……スコーピスは昆虫のように飛行ができる。投げ飛ばされたスコーピスは、羽を広げコスモスへと突進してくるが、コスモスはそれを攻撃技・ルナストラックで迎え撃つ。
光線とスコーピスが激突し、スコーピスは押し負け……地面を転がる。
その隙をつき、コスモスはルナモードから、コロナモードへとモードチェンジする。
「シュアッ!」
赤き光がコスモスを包み、灼熱の太陽の力をその身に刻む。悪を倒すための力、『強さ』のモード。燃え盛る炎のようなその姿に変わったコスモスは、大地を揺らしながらスコーピスへと向かって行く。
スコーピスも、すぐさま体制を立て直し、コスモスを迎え撃つ。スコーピスは強い、宇宙空間にまだ不慣れな由宇はコロナになったとはいえ、スコーピスの方が宇宙での戦いには慣れている。
どうする由宇・コスモス!?
(くっ……もっと、宇宙に適応することができたら………!)
そこで思い浮かぶのは、ティガやダイナといったウルトラマンたち。タイプチェンジの神髄は、相手によって戦いの戦法を変えることにある。
相手の得意分野の方に自身の能力をコントロールし、割り振る。しかし、今になって考えてみると……コスモスと自分の戦い方は至ってシンプル。
そう、今まで由宇は『対話』か『戦い』のどちらかしか選んでこなかった。故に、戦いのバリエーションが思ったよりも少ないのだ。とはいえ、コスモスのコロナモードの力は、パワーは勿論のこと、スピードだって大抵の相手には引けを取らない。だが今、〝それが通じない〟相手と直面している。
だったらどうするか? 以前、時空の狭間で〝黄金の光〟を見たが、あれが何なのか、それは……まだ分からない。コスモスと自分の『新たな可能性』であることは分かっている。だが、その可能性には、今は頼れそうにない……。
ならば、どうすればいいのか?
それの回答もいたってシンプルなものだと由宇は思った。要は、コスモスの足を引っ張ってしまっている自分が、この宇宙での戦いに『慣れる』か『適応する』のどちらかしかない。
由宇の脳裏に浮かぶイメージは、先ほど浮かんだティガやダイナの「スカイタイプ」や「ミラクルタイプ」のようなスピード系のイメージ。スコーピスの動きよりも……もっと、早く。
段々と、イメージが具現化していく……。より早く、【宇宙】に特化した姿をその身に宿すのだ。何者よりも早く動き、宇宙を駆ける。
そして……元の世界への最速を目指して――――
――――その時、コスモスの体が紫の光に包まれる。
ルナモードの青き月夜のような色よりも……もっと宇宙に近く、深い夜空――星空の色を体に刻む。
紫と銀の姿はまさしく星と夜空の様で……静かなる宇宙(そら)の如きモード。しかし、それでいて、力強さを失ったわけではない。静寂に包まれた激しさを、その身に宿す――コスモスと由宇の新たなる姿。
ウルトラマンコスモス:【スペースコロナモード】の誕生だ!
スコーピスはさらに姿を変えたコスモスに驚くが、しかしそれで引く気はないようだ。コスモスへと突進を開始するが――しかし。
「ギギャッ!?」
スコーピスは羽を広げ、コスモスへと突進した筈だったにも関わらず、……その攻撃は空を切った。
スコーピスは慌てた様に辺りを見回す。コスモスの姿は――どこにもない。
かと思われたその時!
「シェアッ!」
いきなりコスモスがスコーピスの頭上に出現し、『テンダーキック』を放つ!
その鋭いキックがスコーピスに叩き込まれ、その衝撃はスコーピスを吹き飛ばす。
ゴロゴロと地面に転がされるスコーピス。コスモスのキックが思ったよりも強く、昆虫の外骨格のような体ですら衝撃を受け止めきれなかった。
どうにか起き上がるが、もはやフラフラである。それだけ先ほどのキックが協力であった証拠だが……スコーピスは、フラフラであるにも拘らず未だにコスモスと戦う意思を変えない。何が、そうさせるのか……。戦うことしか知らないのか、はたまた……そうすることだけが存在義としているのか。ただ純粋な悪としてなのか? それは誰にも、スコーピス自身も分かって等いないのだろうが……。
それでも。
スコーピスは、最後の攻撃として――コスモスに光線を放つ。
それを、コスモスは同じく光線で迎え撃つ。
両腕に力を込めると、その両腕を顔の両脇まで上げ、両手を前に突き出した。すると、コスモス・スペースコロナモード最大の必殺技である『オーバーループ光線』が放たれる。
オーバーループ光線はその凄まじい威力で、スコーピスの光線を押し返してスコーピス自身へと撃ち込まれた。そのままスコーピスは轟音と共に爆散し……戦いに勝利はコスモスのものとなった。
しかし、どこか腑に落ちない戦いだったように思われたが――それは甘い考えだったのかもしれない。
勝利を得てコスモスが気を抜いたほんの一瞬を狙い、〝もう一体のスコーピス〟がコスモスの背後から光線を放つ。それを防ごうにも、咄嗟のことで間に合わない……。絶体絶命かと思われたその時、一筋の青と橙の混ざり合ったような光線がスコーピスの放った光線をかき消し、もう一体のスコーピスをあっさりと吹き飛ばした。
一体、何が起こったのか? と由宇は、状況にいまいち付いて行けていない頭を再び動かしスコーピスの物とは別の光線が放たれた方向へと目を向ける。
すると、そこには――
「よっしゃあーッ! 見たぁっ? 俺の超ファインプレー!!」
――銀と赤と青、そして金色のプロテクターを纏ったウルトラマンが立っていた。
そのウルトラマンの名は――
「ウルトラマン……ダイナ……?」
× × ×
コスモス――由宇の前に突如現れたウルトラマンダイナ。彼はいったいなぜここにい要るのだろうか? 疑問が募り、言葉が出せない由宇に何と……ダイナ本人が話しかけてきた。
「よう、大丈夫だったか?」
「えっ……あ、はい。えっと……ありがとうございます、ウルトラマン…ダイナ……」
「アレ? 俺の名前を知ってるのか?」
「あ、はい……僕の世界ではウルトラマンが、テレビ番組でやってて……その中にダイナもあってそれで……」
「ふーん、そういう世界もあるんだな~。あ、一度人間体になったほうがいいかもな。この姿だと話しづらいし、エネルギーは節約しないと……俺今旅の途中だからさ」
「あ、はい。それじゃあ……」
そういって人間の姿に戻る由宇だったが、ダイナの人間形態がセブンのように自分よりも年上の先輩戦士――かと思ったら、なんと……ダイナになっていたのは、由宇とそう変わらない同世代くらいの少年ではないか!
「おー、同い年くらいかねぇ? そんじゃ、改めまして……。俺はアスカ。シンドウ・アスカだ。今はウルトラマンダイナとしてこの宇宙とは別の世界から、この世界にやって来た」
お前の名前は? と聞かれ、由宇は慌てて自己紹介をする。
「僕は、由宇。秋宙由宇。僕もちょっとした事情で、この世界とは別の世界から、この世界に飛ばされてきた」
「ほー、そいつはまたどうして?」
「えっと――」
由宇はアスカに、セブンと会った時とほぼ同じように自分の事情をアスカにも語った。アスカはうんうん、と由宇の話を聞きながら何度か頷き、由宇の事情を大体聞くと納得したようだ。
「ほー、そんな訳だったのかぁ……」
「大体は、そんな感じです」
「んー、なんだか敬語かたっ苦しいから禁止な。どうせ同い年くらいだろ? 俺たち」
スカの言葉にそれもそうかなと納得し、ユウは敬語をやめる。
「じゃあ、そうさせてもらうよアスカ」
「おう、ユウ。ところで……さっき聞いた話だと、お前は管理外世界から来たんだよな? ユウ」
「あ、うん。確か、管理局員のクロノとか、友達のユーノが言っていた限りだと確か……『第97管理外・地球』だったかな?」
「ふーん……じゃああの次元震は、管理世界の方の[[rb:次元 > せかい]]からの干渉だったのか……」
アスカは何かを納得したのか、そしてその納得した内容に何か思うところがあるのか……何かを考察、でいいのだろうか? 難しい表情をして、何かを考えている。
「だとすると……〝奴ら〟の行先は、管理世界の時空なのか……?」
考え込んでいる相手に質問を投げかけるタイミングではないとは思いつつも……なんだかアスカは、まるで管理世界について何かを知っているかのような口ぶりだ。
「アスカは、管理局というか……管理世界を知っているの?」
「ん? ああ、うん。俺の元々の出身世界は管理世界でさ。俺自身も以前、管理局にいたことがあってさ……その時、仲間たちと別世界へ出動したときに奴ら――〝スフィア〟に遭遇したんだ……」
【スフィア】――宇宙球体・スフィア。様々な物体をその体に取り込み、怪獣を作り出すことができる生命体。普段は球形の姿をしており、宇宙を支配しようとする〝意志〟の元で活動を行う。
スフィアが生み出す怪獣は、通称:スフィア合成獣と言い…、スフィア合成獣にはある特徴がある。全部の個体が、『亜空間バリア』と呼ばれ特殊なバリアを張ることができ、単にバラバラになる程度ならすぐさま再生を果たす――という特徴がある。
個々体のスフィアにも意志はあるが、彼らの意志の根源はそのスフィアたちを束ねる親玉、あるいは女王のような存在だろうか?
その意志の根源は、大本であり本体とも言える【暗黒巨大惑星・グランスフィア】によるものである。
普段は、異空間に身を潜めているが……時折姿を現す、不気味且つ危険な存在である。カオスヘッダーとはまた別の意味での〝宇宙の統一〟を果たそうとしている存在で……カオスヘッダーとの明確な違いとしては、生み出された存在か否かという点だろうか?
秩序をもたらすための一種のプログラムのようにして生み出されたカオスヘッダーとは違い、スフィアは最初から存在した生物である。ここが、二者の最大の相違点と言えるだろう。
そんなスフィアにアスカは先程述べた演習中に出会い、戦った。しかし、隊はアスカを除き全滅。アスカ自身も深手を負い、どうにかギリギリ魔力でシールドを維持しながら宇宙を彷徨っていた。そんな時、彼はぼんやりと自分の父のことを思い出した。
光の中に消えた、英雄。伝説の名士。そんな風に呼ばれている父を、なんとなく思い出した。自分も、父の消えた宇宙で死ぬのか? とぼんやり思ったが……それでも美しい宇宙を眺めても、ここで終わってたまるか、最後まであきらめないという意思がアスカの中で再び燃え出したとき、宇宙からの光に包まれ……気づいたら別の世界へと流れ着いていた。手に妙な神器、とでも呼べそうな何かをもって……。
それこそダイナに変身するための道具『リーフラッシャー』だった。それを手にし、飛ばされた世界にもいたスフィアたちと戦いながら、元の世界への攻撃をさせまいと戦い続けてきた。
だが。
先日、そう…由宇が巻き込まれた、ジュエルシードの暴走による次元震を感知したスフィアはもとの世界、それも地球へと進行しようと考えていた。いったい何が彼らをそちらへと導いたのか……。それは分からないが、それを阻止するべく能力をフルに使いスフィアを追うために次元を超えていた最中に、コスモス――由宇の闘いの現場に遭遇し加勢した、というわけである。
これが、二人がここで出会った偶然への道のり。加えて、同時に彼らの目的地はこれまた同じ場所……。
これは偶然出会いなのか……。それとも必然の
その真相は、神のみぞ知る……というところだろうか?
× × ×
「なるほど……」
「ユウ、このことを踏まえて、一つ頼みがある」
「頼み?」
「ああ、俺もお前の世界へ同行させてくれないか? 由宇がいて……あの『アースラ』のスタッフたちがいるって聞いても、やっぱり少し気がかりなんだよ。スフィアたちを見逃して、これ以上の被害を出すわけにはいかない。だから頼む、一緒に行かせてくれ『地球』に」
アスカの申し出は、ひどく単純なものだった。しかし、それでいてとてつもなく深いものでもある。
由宇は、もちろんと頷き、アスカに同行してもらうことにした。
こうして、ウルトラマンを宿した二人の少年は、お互いが進んでいた時空を超えた旅の道を同じくし、友人となりまた同時に平和を掲げる同市となった。
「そうと決まれば、ぜんざいは急げだ。早速行こうぜ」
「……(善は急げ、って言いたかったのかな…?)」
突っ込まないのは、優しさか……はたまた呆れ故か? 真実は闇の中へ消え去ったのだった……。
そして、その星から二つの光が次元の狭間へと消えていく。
旅路の中でまた新たな出会いを果たし、友人を得た由宇。このまま、順調に彼の帰還への道が続きますように……。
To be continued.
ダイナ登場回でございます。
次回からは、マルチバース編の大詰めに入ります。
あくまでも短編的な扱いなので、この賞は短くまとめますのでよろしくお願いします。