魔法と光の使者   作:形右

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それではマルチバース編の最終回、ということになります。

昭和に出てきた宇宙人を悪役に起用したので、勧善懲悪気味な回になりました。


それではどうぞ!


汚し、破壊する者 『マグマ』

 

 

 

 

 

サヴィール星の王宮にて。

 

 

「まだ見つからんのか?」

 

「ハッ! 申し訳ございません! し、しかし、先ほどようやく発見したとの知らせがあり、おそらく既に確保済みではないかと思われます!」

 

「ふむ……そうか。ならまぁ、よしとするか」

 

マグマ星人の侵略部隊・第〇〇一部隊隊長『マグマ星人――通称・バート』は王宮の玉座にドスッ、とふんぞり返りながらそういったので部下たちはどうにか隊長の怒りを鎮められたかとほっとしたのだが――

 

「た、大変です!」

 

「貴様! 隊長の御前だ、言葉を慎め! 一体何事だというのだ!」

 

「も、申し訳ございません! さ、先ほど第二王女を発見したという部下たちから新たに知らせが入ったのですが、邪魔が入ったとかで王女を取り逃がしたとの事です!」

 

「チッ……役立たずが……」

 

バートはそう吐き捨て、部下たちは隊長の期限が悪くなりそのとばっちりが自分たちに来ることを恐れ部下たちを怒鳴りつけながら、どうにかこの場を離れようと画策していた。

 

「何たる不始末…恥を知れ! 情けない部下どもだ、こうなれば私達副隊長らが自ら――」

 

「ち、違うのです! それだけではないのです!」

 

「……言ってみろ」

 

「その邪魔者二人が、王宮に!!」

 

ドガーンッ!! 報告に来た部下のマグマ星人Aがそう告げたとき、王宮の玉座の間の扉がすさまじい音と共に破られた。

 

「……何者だ?」

 

「どうもこんにちはマグマ星人のみなさん、俺はアスカどうぞよろしく」

 

「で、そのアスカとやらがこの俺様に何の用だ……?」

 

「お前が、マグマ星人の親玉か?」

 

「マグマ軍・侵略部隊第〇〇一部隊隊長バート、そう意味では確かに俺様がここで言うところのリーダーではあるな」

 

「じゃあ、お前がフィアの姉さんをさらって、フィアも捕まえようとしていたっていう変態野郎か……」

 

「変態とは心外だな。美しいものがあれば、それを手元に置いておきたくなるものだろう? たとえそれに飽きてしまうだろうとしても、だ」

 

「……心底気に入らねぇなその考え方。お前みたいなのとは話し合いにはならねぇか……。まぁそうだな。いきなり人の星を自分たちの都合で乗っ取りに来た挙句、その星のお姫様たちを掻っ攫おうなんてことを現在進行形でするような奴に、考え直せと言っても素直にそれをしてくれるわけねぇよな」

 

アスカの言葉に「まぁそうだな」とあっさり同意するバート。両者のにらみ合いが続き……部下たちも動けないでいる。

そんな中、先に口を開いたのはバートだった。

 

「……で、結局お前は何をしに来たのだ? 見たところ人型としては幼い部類だろうに、そんな成りでよくここまで来られたものだ。こんな場でなければ部下にしたいくらいだな」

 

「そいつはどうも……これでも少し前まで魔導師の戦闘部隊にいたんでね。近接格闘の心得くらいはあるんだよ――それに、俺はある意味あんたとはちょっとした因縁もなくもないんだよ」

 

「因縁、だと?」

 

「そうさ、昔アンタらが滅ぼしたんだろ? ウルトラマンレオの故郷だったそこを」

 

「……!? まさか、貴様……!」

バートは、なんとなく分かったらしい。部下たちはいまいちわかっていなさそうだったが、バートはこの目の前にいる幼い少年が、自分たちがもっとも忌み嫌う『光』の側の陣営の者だと確信した。

 

「そう、俺も『ウルトラマン』だ……、まぁつっても俺の出身はL77星でもM78星雲でもないけどな。それでも確かに俺は光を継いだ、正真正銘のウルトラマンだ。お前らみたいな悪質な侵略者は見逃せないんだよ!!」

 

「ちっ! 殺せ! 殺してしまえ!!」

 

「「「ハッ!」」」

 

バートの指示を受け、右腕をサーベルに変えアスカへと向かって行く副隊長らだが……アスカは、リーフラッシャーを空へと翳した。

 

「ダイナ―――ッ!!」

 

デュインッ! とリーフラッシャーのクリスタル部分が開閉されて光を放ち、アスカを等身大のダイナに変える。

 

「ディア!!」

 

マグマ星人は、元々戦闘向きの種族ではない。確かに、サーベルや鉤爪を使い戦う訓練を積んでいるが、基本的には宇宙人の中では弱い部類に入る。

事実、当時セブンの守っていた地球に進行してきたときも、セブンを追い詰めたのはあくまでもブラックおよびレッドギラスであり、マグマ星人は弱ったところを狙ってきただけに過ぎない。

結果として、当時はまだまだ新米だったレオにすら遅れをとり、彼の活動時間が二分四〇秒とほかのウルトラ戦士よりも短いにも関わらず、結果として侵略を阻止され両ギラスともども敗れ去った。といういきさつである。(もちろんレオにはセブンのサポートなどもあったので単独撃破・勝利、とは言い切れないのだが……それでも結果は負けであることは変わらないが)

 

そんな訳で、ダイナには歯が立たずあっさりとのされる副隊長部隊。バートはいらだちのままに巨大化し、ダイナを連れてきたギラス軍団に仕留めさせようとしたが――

 

 

 

「コスモース!」

 

 

 

――突然現れたもう一人のウルトラマンに、ギラス軍団を引き付けられ、おまけにどちらのウルトラマンも自らの姿を変え、力を変化させるという能力を見せられバートの戦況はどんどん悪化していく。

 

「ウゥ―ディアッ!」 ピキィイインッ! シュキィイン!

 

「シュアッ!!」 シュイィイイン! シュウゥウウンッ!

 

ミラクルとコロナに変化したダイナとコスモスに、ギラスたちは押されっぱなしである。

 

「「「ギィイイイッ!!」」」

 

「何故だ……、何故『貴様ら』(ウルトラマン)『侵略者』(我々)のをするのだ!? この星は貴様らにとって何の関係もない場所だろうに……! 何故だ、答えろ!!」

 

バートはそう二人のウルトラマンに怒鳴る。

それに対しての二人の答えは――

 

「「特に理由は無いよ/ねぇよ!」」

 

「!?」

 

「ただ、困っている人がいた」

 

「理不尽な力で、家族と故郷を失おうとしていた」

 

「辛い気持ちを、悲しみを、その身に抱えていた」

 

「だから、力を貸すんだ」

 

「ただ、それだけのこと」

 

「でも当たり前のこと」

 

「「助けたいから、泣いてほしくないから、だから僕/俺達は戦うんだ!!」」

 

 

――ただ、それだけのことさ!!

 

 

「これだから……ウルトラ戦士というやつは……っ!!」

 

厄介なのだ、とバートは吐き捨てた。

 

何時だってそうだ。

 

此奴らは何故か、自分達()の邪魔をする。人々の笑顔を守るために……野望を阻止してくる。

 

忌々しい、本当に忌々しい。

 

 

 

 

 

「クソがぁッ!!」

 

ついにしびれを切らしたバート自身がダイナに襲い掛かるが、ミラクルタイプのスピードには到底ついていけない。

あっさりとかわされ、バートは投げ飛ばされてしまう。

 

「とっととこの星から出ていけ! 悪事ばかり働いてほかの星の人間に迷惑をかけるな!!」

 

「わ、分かった……出ていけばいいんだろうが、それで満足なんだろう……?」

 

そういってギラスたちに戦いはよせと指示を出し、宇宙船に残っている部下たちにも撤退の準備をしろと言ったバートを見て、ダイナはコスモスの方を振り返りこれ以上は戦いは必要ないと判断したその時――ダイナの背後から、バートの「サーベル光線」が放たれた。

 

(そうだ、確かにお前らは強い。だがな……甘い、甘すぎる。これはお行儀のいい格闘技の試合じゃあない。これはあくまでも殺し合い……生き残った者が勝者なんだよぉ!!)

 

「!?」

 

しかし、マグマ星人・バートは知らなかった。

ダイナのミラクルタイプの神髄は、単なるスピードだけではないことを……。

 

かつてアスカ・シンの戦った時空で青く変わったダイナを見て、S・GUTS(スーパーガッツ)の女性隊員はこう形容した。

 

――青いダイナは、〝超能力〟戦士……。

 

そう、感知能力を引き上げることだってできるだろう。

そもそもウルトラマン相手に、付け焼刃のからめ手が通用するなどとは考えない方がいい。

それをやって成功できるのは悪質とが極悪とかと知略を巡らせて対抗してくる相手だからだろう。

それと言われたのなら、おとなしく去るべきだったのだということをバートはその攻撃を放った直後に後悔した。

 

「フッ!」

 

ダイナはその『サーベル光線を』バリアで受け止め、増幅して打ち返した。『レボリューブウェーブ・カウンターヴァージョン』である。

 

「ぎぁあああ!?」

 

まさか打ち返されるなどとは夢にも思っていなかった自信家のバートは、その攻撃を受けて驚きのあまりその場で悶え転がった。

 

「反省が足りないなら……お前も一回別の次元にでも行って来やがれ!!」

 

ダイナは手を握り、そのまま腕を額のクリスタルの前で交差させる。そして腕が光り、続いて円を描くように右手を前に広げながら出し、左手は腰の横に引き寄せる。

すると、右手に橙のエネルギーが集まりだし集まったところで右手を腰の横に引き、それとは反対に左手を突き出すようにしてから右手の上にかぶせる様に持ってくる。

 

「ま、待て! 話せばわかる! 話せば……!」

 

しかし、ダイナの意志は揺るがない。

 

「そ、そうだ! お前たちの望みを叶えてやろう! 星の一つや二つ、宝石や財宝の山程度なら昼寝しながらでも手に入るぞ!?」

 

「そんなもんいるかよ、今の俺の望みは……お前が反省して二度と悪事ができなくなることくらいだ!」

 

「わ、分かった! 分かったからよせ! もう二度とこんな前はしない!!」

 

「そのセリフを今の気持ちで、さっき口にしていたら……こうはならなかっただろうな」

 

「うぅっ……!」

 

「一遍次元のかなたで反省して来い!」

 

ダイナは右手を突き出し、左手を胸に水平に当て『レボリューブウェーブ』を放つ!

 

「ちくしぉおおおおおおおッ!!!!」

 

勿論、今回は小型ブラックホールで押しつぶすほどの威力は込めていない。ただ単にバートをこの次元から追い出すにとどめた。

 

「た、隊長がやられた!?」

 

「ま、まずい! 撤退だ!! 急げ!!」

 

「お、王女はどうしましょう!?」

 

「そんなの知るか捨て置け! 解放してしまえ、今はそんなことよりも逃げる方が先決だ!!」

 

そうやってフィアの姉を開放し、慌ただしく逃げ去るマグマ星人の部隊を見つめていたダイナとコスモス。

これで連中も少しは懲りてくれるといいのだが……そうもいかないだろうか?

 

マグマ星人が去っていくと……二人は変身をとき、地面に横たわるフィアの姉をのもとに歩み寄った。

 

「大丈夫ですか?」

 

「え、ええ……あなたたちは……さっきの、光の巨人……ですか?」

 

「ええ、まぁそうです」

 

「それよりも……アンタ、フィアの姉さんだよな?」

 

「はい、そうですが……フィアが心配していましたよ? 『お姉様は囚われの身で』ってそれはもう自分のことのように」

 

「フィアに会ってやってくれ、すぐに連れてくるからさ」

 

そういってアスカはフィアを連れて来ようとするが――

 

「お姉様――ッ!!」

 

「フィア!」

 

「あーあ…抜け出しちゃだめって言ったのに……」

 

「ま、いいじゃねぇか。結果は勝利、フィアの姉さんも取り返した。ハッピーエンドってやつだろ?」

 

「……うん、そうだね。アスカ」

 

再会した姉妹の仲睦まじいさまを見ながら、二人はそう思うことにした。

 

こうして、二人のウルトラマンの手によって、宇宙の宝石と呼ばれる星『サヴィール』は守られた。

 

しかし、侵略者たちの魔の手はまだどの宇宙でも途絶えることはない。

これからも、ウルトラ戦士たちはそれぞれの出会うものたちを守るために、戦い続けるだろう。

光はつながれ、平和を作るために……優しさを乗せて宇宙を漂い続けるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

× × × 

 

 

【マルチバース編】~~エピローグ~~

 

 

 

 

 

 

マグマ星人の撤退により、サヴィール星はもとの美しさを取り戻しつつある。

 

人々にも笑顔が戻り、街には笑い声が舞い……人々の活気が再びこの星を覆い始める。

 

「これが、本来の姿何だな」

 

「そうなんだろうね……綺麗で、優しくて、温かい。良い星だよね、ここは」

 

「ああ、だ・け・ど。俺たちには目的があるし、お前も家族のとこへ帰らないといけないだろ? それにぃ、噂の彼女にも早く会いてぇんだろぅ?」 ニヤニヤ

 

「まだ告白してないんだよ? 僕」

 

「……あのな? お前さ、〝僕を忘れないでくれているなら、必ず帰ってくるから〟なーんて、それもはや告白通り越してプロポーズだろが?」

 

「……そーゆーものなの?」

 

「……」(無自覚って、時々罪だよなぁ……)

 

そんな風に思ったアスカだったが、実のところフェイトも生まれが複雑なため〝そういうこと〟に疎かったりするので、お互いを無自覚に好き合うにはお似合いなのかもしれない。(ただ、互いにのめりこむと一直線の為暴走しがちになることも多そうな気もするが……まぁそれは杞憂だろう――と思いたい)

 

「あの……行ってしまわれるのですか?」

 

「フィア、それにリルスさん」

 

「おー、よっす」

 

「アスカ様、ユウ様……本当にもう、行ってしまわれるのですか?」

 

「……うん」

 

「まぁ、な……」

 

「……」

 

目に見えて落ち込む幼いフィアを見ると、罪悪感が湧き起こってしまいなんだか二人とも行きづらくなってしまう。

 

「フィア……お二人が困っておられますよ? わがままを言っては駄目です……」

 

「……はい、お姉様」

 

しょんぼりしているフィアにアスカは歩み寄り、フィアを軽くくすぐりだす。

 

「ふぁああっ!? あ、アスカ様? 何を……あははっ! くすぐったいですよぉ~!」

 

「おー漸くいい顔になった。辛気臭い顔してるといいことないぞぉ~?」

 

「アスカ様……」

 

「そんなに落ち込むなよ、な?」

 

「はい……」

 

「また会えるさ、きっと……もう俺たちは光の絆でつながっているんだからさ」

 

「光の……絆?」

 

「ああ、人と人が……お互いを信じあって、助け合って…そして生まれる絆……それはもう、俺たちをつないでいる」

 

「……本当ですか?」

 

「ああ! ほら、まーた落ち込んでる……それじゃ、約束だ」

 

「約束……ですか?」

 

「ああ、また会いに来る、っていうな」

 

「!」

 

「またいつか、この星に来るよ――約束だ」

 

ほい、と指を差し出すアスカ。それに指を重ねるフィアを由宇とリルスは静かに見守った。アスカはいつでも人を和ませる何かを持ってる。そんな彼の天性の資質を見て、由宇は少し微笑んだ。

 

彼は、いつだって優しい……。

 

「じゃあな、また会おうぜ」

 

「またね」

 

「はい! 絶対、また来てくださいね!」

 

「おう!」

 

「お二人の旅の無事を微力ながら願っています。ご武運を」

 

「有難うございます」

 

王女たちが見守る中、二人は空へと手に握る変身アイテムを掲げた。

 

「ダイナーッ!」

 

「コスモース!」

 

そして、その光に包まれた多色の巨人と青い巨人が、青と紫の光に包まれ……宙へと飛び立った。

 

そして、それを二人の王女と紅と藍の星が見つめていた。

 

彼らの時空の旅は……まだ、終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしこの二か月ほど後……サヴィール星を守った二人の巨人が、地球のある第97管理外世界まで目前に迫った頃、物語は――胎動を始め、再び物語が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【次章予告】

 

 

 

 

 

ある一人の少女に降りかかる、新たなる騒動の種。

悲しき運命の連鎖が、少女を死へ誘うべく胎動を始める。

 

名を変えられてしまった魔導書と、運命を忘却されられた騎士たち。

 

そして、それらの主たる少女。

 

再び始まる悲しき運命(さだめ)の物語と光の使者が再び交差する。

 

 

 

 

 

第二部:【2nd A's】 ――始動――

 

 






いかがでしたでしょうか?

これで、マルチバース編は終了ですが、あくまで主人公の地球へ戻る途中の大筋のダイジェストなイメージで書いたので、まだ書けていないエピソードを後で書こうと思ってます。

第二部の予告も載っていますが、そっちの方は今日、pixivの方と同時に投稿しようと思います。
(ここまではぶっちゃけ書いたものそのまま移すだけでしたからね)


ついでに、俺ガイルのクロスの『思ったよりもこのデスゲーム攻略は悪くない』もその内pixivに投稿しようかと思っているので、そっちも興味があったら是非どうぞ。
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