魔法と光の使者   作:形右

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 第二話です。



 2017/5/21 加筆・誤字修正しました。


魔法と失われた遺産 『――ロストロギアーー』

 

 

 

 平和な日常を過ごしていた海鳴市に迫る、たくさんの危機。

 

 『バルタン星人』、『青い宝石』……そして『光の粒子のようなもの』。

 

 それらの脅威を防ぐために、やって来た二つの使者。

 

 ウルトラマンコスモス、フェレット君(?)。

 

 様々な思いや願い、そしてもっと純粋な希望や愛。

 

 それらが交錯するとき、この星とさらなる宇宙の果てにまで広がるたくさんの次元世界の平和をかけた伝説が始まる。

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 夜の海鳴市に巨大な二つの影が現れる。

 その二つの影は対峙したまま、動かない。互いに、相手の出方を窺っている様に見える。

 

「シュア!」

 

「グォオオォ」

 

 先に動いたのは禍々しい姿をした、不定形の怪物の方だ。

 方向と共にもう一つの青と銀のカラーリングの存在、ウルトラマンコスモスに向かっていく。

 だが、コスモスはそれをいなすようにして躱す。

 対して、怪物の方は更なる追撃を仕掛けるが、怪物の攻撃は一度たりとも通さない。

 というよりも……コスモスは相手にダメージを与えない。

 ただ、相手の攻撃を払いのける様にして常に躱していくだけなのだ。

 それを見ていた地上の二つの小さな影はそれを見て不思議に思う。

 

「なんであの巨人は……相手を攻撃しないんだろう?」

 

 そんなつぶやきが漏れる。

 至極当たり前のことではあるが、生物である以上……ある程度以上の脅威に対する場合、相手と立ち回る際に攻撃を加えることは止むを得ないと判断することがほとんどだ。

 しかし、それはその人物がいかに暴力的であるかというよりも、いかにその相手との立ち回り上での力の差によるものであるといえるだろう。

 だが、夜空に届きそうな青き巨人はそれをしない。だからこそ、それを見詰めている二人は分からないのだ。

 

「分からないよ……ねぇ、さっきあの―――えっと『ジュエルシード』だったっけ? あの青い宝石はいったい何なの?」

「そうだった。アレについて説明がまだだったね……あの宝石は僕たちの世界の古代文明の残した危険な遺産。〝ロストロギア〟と呼ばれるものの一つで、『ジュエルシード』というんだけど……ちょっとしたきっかけで暴走したりさっきみたいに怪物化――『異相体』と呼ばれる姿になって暴れ出すこともあるもので――――」

 

 小さな影の内、より小さいほうの影。フェレットのような姿をした方がもう一人の少女に対して説明をする。

 

 ――――先ほども言ったように、青い宝石の名は『ジュエルシード』。彼らの世界のいくつも存在する危険な古代遺産〝ロストロギア〟と呼ばれるものの一つ。

 この『ジュエルシード』とは、膨大なエネルギーを有する結晶体で、些細なきっかけですら暴走や自身の姿を生物に近い姿に変化させ暴れ出し、時には他の生き物に憑りつき、暴走させることすらある非常に危険なものなのだが……。

 

「――――だけど……。あんな変化をするのは、ちょっと変なんだ。君の封印砲で一度封印したのに、もう一度動き出すなんて……これまではなかった。それに、あのさっきの光の粒子のようなもの……あれがいきなりジュエルシードに纏わり付いてから急に……」

「じゃあ、ジュエルシードとさっきの光は関係ないんだね?」

「うん、多分あれは違う。僕にはこの星のものなのか、僕らの世界のものなのかもまだ分からないし、あの巨人もいったい何なのか……」

「あ、えっと……あの巨人さんね? 私たちの世界の人じゃないんだけど……」

「知ってるの?」

 

 フェレット君の方は少女に聞き返す。

 

「うん。えっとね、あの巨人さんは『ウルトラマン』っていうんだ。この世界のテレビ番組でやってるんだけど……この前私の友達が本物にあったって言ってたから多分あのウルトラマンさんの名前は……『コスモス』」

 

「――ウルトラマン……コスモス……」

 

 口の中で反復するようにたった今聞いた名前を反魂するフェレット君は少女に『ウルトラマン』というものが味方か否かを問う。

 

「じゃああの……〝コスモス〟は僕らの、というよりこの世界の味方……なのかな?」

「絶対かどうかは分からないけど……うん、そうだよ。この世界では誰でも知ってるヒーローの一人だもん。コスモスさんに会ったっていう友達は一緒に空を飛んで、この世界に何か危ないことが迫ってることを知ってこの世界を守ってくれていたんだって……」

「そうなんだ……」

 

 そして二人は視線を巨大な二体、コスモスとジュエルシードの異相体『Ⅱ』に戻し、戦いの行く末を見守る。

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 コスモスの中で、由宇はコスモスに目の前の敵について問いかけていた。

 

「コスモス、あれは何?」

 〝――――あれは、私が以前戦い、しかし勝てなかった相手。

『カオスヘッダー』が先ほどの二人が探していたらしい青い宝石『ジュエルシード』という物に憑りついた姿だ〟

 

「カオス、ヘッダー……?」

 〝――――そう。カオスヘッダーは、光のウィルスのようなもので先ほど宝石を取り囲んだあの光の粒子こそカオスヘッダーの本来の姿だ〟

 

「その、カオスヘッダーはなんであの宝石……ジュエルシードを狙っていたの?」

 〝――――それは、ジュエルシードがこの世界とは別の世界においてこの古代の遺産〝ロストロギア〟と呼ばれるものの一つであり、ジュエルシードはエネルギーの結晶体で人の願いを受けてそれを叶えるというものだ〟

 

「ジュエルシードで何か願いをかなえようとしているの?」

 〝――――いや、そうではない。彼らは『心』を持っていない、だから彼らが動く理由は本能によるもの。

 彼らの行動の根源にあるのは『秩序』。彼らは、とある星で作り出された人工生命体で元々は平和を守るために活動していたのだが、彼らの性質と相まってすべてを一つに統一することによって全ての意識を一つにするという歪んだものに目的が変わってしまったのだ〟

 

「彼らの『性質』って……?」

 〝――――彼らは、生物・物質に〝感染〟し、その対象をカオス化させることによって操るのだ。

 彼らに感染され、暴走したかいじゅうたちによっていくつもの星が滅びたことも有る。

 カオスヘッダーは、自分たちのもとにすべての生命体を置き、統一することによってこの宇宙の支配。

 つまりは、彼らの『目的』であった〝全宇宙の平和〟をそういった形で成し遂げようとしている〟

 

「そう、なんだ……そのために、あのジュエルシードのエネルギーを得てそれを遂行しようとしてるってこと?」

 〝――――それが大きな目的だが、彼らの最も恐ろしいのはそこではないのだ〟

 

「カオスヘッダーの、一番恐ろしい……部分?」

 〝――――そう、彼らは『学習』し『進化』していく。抵抗する者に対抗するため、そして自分自身をより洗練するために。

 彼らにとっての進化とは、より強く、より完全になるためのもの……。

 つまりは、彼らの意識の根源にある……歪んでしまった『平和』の為のものでもあるということだ〟

 

「進化と、平和……」

 

 少々スケールが大きくなりすぎて、由宇にはいまいち信じがたいような気もする。

 だが、コスモスが言う通り……今、目の前にいる不定形の怪物。

 ジュエルシードとカオスヘッダーの融合したものは、たしかにこの世界を支配しようとしている『脅威』であるし、ほかにもバルタン星人の例のようにこの星を狙う者たちもまだまだいるのかもしれない……。

 そうなると、戦わなければならない理由としては十分であるし、そして何よりも……。

 彼らは今、自分の、そして家族や友人が暮らすこの街を……あの少女がいるであろうこの世界を壊させるわけにはいかない。

 

「――――コスモス、カオスヘッダーを倒すにはどうしたらいいの?」

 〝――――彼らを消滅させるのは難しい。

 加えて、彼らは今些細なきっかけであっても大惨事を引き起こすこともあるジュエルシードを取り込んでいる。融合し、暴走させている今……下手に攻撃すれば被害が増える可能性がある〟

 

「なら、どうすれば……」

 〝――――だが、切り離すことはできる〟

 

 ――『ルナエキストラクト』を使えばカオスヘッダーをジュエルシードから切り離せると、そうコスモスは由宇に告げる。

 

「……それを使えばいいんだね?」

 

 〝――――そうだ。けれど、私たちはこの星では三分間しか戦えない。だから、無駄に撃ってエネルギーを消費すれば彼らの進撃を許すことにもなりかねない。

 だから、機会を待つのだ、ユウ。

 彼らは『心』を持っていない。だから、彼らにはジュエルシードのエネルギーを完全に取り込むことも、使うこともできない。元々彼らは高エネルギー達であるという理由でジュエルシードを発電所のようなイメージでしかとらえていない。

 だからいずれ限界が来る……。そこを狙うのだ〟

 

「分かったよ、コスモス……!」

 

 そういうことなのか……。

 彼らには別に願いなんてない、というよりも〝知らない〟のか……。

 だから、使えない。暴走して収まりかけていたところに憑りついたまではよかったが、彼らにはそれを扱いきれない……むしろ把握しきれない。

 だから、生物であるなら大体が割っていることを生み出され、『支配』することしか知らない彼らには―――この単純な『心』のメカニズムを掌握することはできないのか。

 確かに、カオスヘッダーはだんだんと動きが鈍くなる……。

 躱され、それに対抗しさらに追撃を駆けようとするがコスモスにはそんな単調な攻撃は通用しない。

 だから、融合に不具合が生じてくるのだろう。

 それは最も単純で、普通なら誰も疑わないくらい浅い部分を、彼らが理解しきれず、彼らの理解から最も遠いからこそ、起こったのだ……。

 

「グッ、ォォオアアァァ!?」

「ホォアッ!」

 

 融合が上手くいかず、苦しみだすカオスヘッダーに対しコスモスは構えを取り、手の先から『ルナエキストラクト』を放つ。

 それをモロにくらい、堪らず融合を解き空へと逃げ出すカオスヘッダー。

 そしてその場には三つの青い宝石だけが残った。

 その宝石を手元に寄せ、その様子を見守っていた二人の子供達にそれを渡す。

 

「あっ……」

「ジュエル、シード……!」

 

 コスモスはそれを二人に渡すと、空へと飛び立つ。

 それを見て、二人は去ってしまったコスモスに対してそっと呟いた。

 

 

 ――――――ありがとう、と……。

 

 

 今はまだ、驚きの方が強いが……それでも。目の前に現れた光の使者が、平和や秩序と言った善性を愛する者であろうことだけは、二人の仲にすんなりと溶け込むようにして染み込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 

 飛び去った後、由宇は荒息をつきながら公園でへたり込んでいた。

 

「ハァ…ハァ……終わった………」

 ――――ありがとう、ユウ。これでひとまずは事なきを得た。

 

「う、うん……でも、疲れた……」

 ――――すまない。

 

「大丈夫だよ……。でも、これからも来るんだよね?カオスヘッダーとかあとあのバルタン星人とか」

 ――――ああ、だが今は大丈夫だ。

 

「そっか……」

 

 なら、とりあえずは大丈夫だろうと思いほっ、と一息つく。

 とにかく、もうこんな時間だ。

 家に帰らねばならない、そう思った由宇は家に向かって歩き出す。

 へとへとになってはいた由宇だが、それでも何とか無事に家にはたどり着けた。

 

「た、ただいまぁ……?」

 

 家族に気づかれないように、そっと小さな声でドアを開けて家の中に入ると……。

 

「あーっ!」

「えっ。ゆ、由香……っ!?」

「お兄ちゃんいけないんだぁー! 夜におそとにでるなん……もごもご!?」

「しーっ! ゆ、由香? 今度、何か好きなお菓子とか玩具とか買ってあげるから……そ、それか明日のおやつ僕の分もあげるから、ねっ?」

 

 妹の由香はもごもご、と唸っていたがおやつか何か買ってほしいのか……とにかくそれを聞いてやっと静かになった。

 

「お兄ちゃんそれホント?」

「うん! ホントホント!」

「じゃあお兄ちゃん、約束だよ?」

「うん、約束」

 

 そう言って小指を差し出してきた。……指切りをしろ、ということなのだろうか?

 取り敢えず由宇も小指を出し、由香の指に合わせる。

 

「ゆ~びきりげんまん、う~そつ~いた~らはりせんぼんの~ます。ゆ~びきった!」

 

 元気いっぱいに指切りを終えた由香は非常に満足そうだ。

 そんなすごく良い笑顔に由宇は、明日のおやつと自分のお小遣いの行く末を思い少々涙が出たという……。

 そのあとも、妹のトイレに付き合わされたり(どうやら意地を張って一人で部屋から出てきたらしいのだが、兄の登場に気が緩み急に怖くなってしまったらしい)部屋戻るのが怖いとか言い出してくれたこの妹様に対して今日だけだよ? とついつい口にしてしまった由宇は由香が寝ている間に上に乗ってきていて、彼は自身が漬物になってつけられるという夢を見る羽目になった。

 

「うぅ……っ!?」

「むにゃ~……zzz」

 

 

 

 それでも、甘えてくる妹をないがしろにできない甘いお兄ちゃんなのでしたとさ。

 夢を忘れない少年とウルトラマンとの出会いから始まるこの物語は完全に幕を開け、本来の物語と交わっていき魔法と光の物語は始まっていくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、もう一人の使者と出会った少女。なのははというと……?

 

 

 

 彼女は、その日の夕方に学校帰りに公園へアリサ、すずかの親友二人と三人で通りがかったときに聞こえた、助けを求めるような声。

 それに加えその前の日の夜に見た変な夢。この二つとその公園で聞こえてきた声に導かれるようにして、とある公園にて不思議なフェレットと出会った。

 そしてその夜、また再び不思議な声が彼女に助けを求めた。

 その声に導かれ、そこで見たのは――――昼間助けたフェレットに襲い掛かる異形の怪物。

 それを見て、助けるべく行動すると……。

 

 何とそのフェレット君――――――しゃべった……。

 

 そしてそのまま、状況についてけない彼女に渡される赤い宝石と告げられた呪文。

 

 ――風は空に、星は天に……。

 

 ――不屈の心はこの胸に!

 

 ――この手に魔法を……。

 

『レイジングハート、セット・アップ!!』

 

 そうして、彼女が手にしたのは魔法の力。

 優秀な相棒(『彼女』に関しては文字通りまさしく棒)の指示を受け、空を駆けて標的を打ち抜き騒ぎを収めた……かと思ったら、その元凶の宝石に何やら光の粒子が纏わり付いてさっきよりも巨大に姿を変えてしまう。

 フェレット君の方も理由が分からないらしく驚いているところに――――

 

 ――――なんとも驚くべきことに、幼馴染が出会ったという青いウルトラマンが現れた。

 

 そのウルトラマンは、その巨大に変化した怪物を光線で宝石に戻して立ち去った。

 そのウルトラマン……。コスモスが立ち去った後、なのははまだ完全に傷が回復しきっていないフェレット君を連れて家へと帰る。

 

 家に連れ帰り、家に入ろうとしたところ兄と姉に見つかり小学生が出歩くには少々遅い時間ということで少々咎められてしまったが、ひとまず許してもらえた。

 そして、このフェレット君を家族に家で預かってもよいかという有無に関して聞いてみたところ、あっさりとOKをもらった。

 特に彼女な母親など彼のあまりの可愛さに、メロメロになってしまっていた程だ。

 その後、自室に戻り親友二人にフェレット君の預かることになったことをメールした後で未だに自己紹介していないことに気づき互いに自己紹介をする。

 

「えっと自己紹介してなかったよね? 私、なのは。高町なのは。小学校三年生」

「えっと、僕はユーノ・スクライア。スクライアは部族名だから……ユーノが名前です」

「ユーノくん、かぁ……。じゃあ私のことはなのは、って呼んでね?」

「あ……うん。えっと……なのは」

 

 少し顔を赤くしているユーノ、微笑みかけたなのは。

 こうして、この世界における重要な役割を担う二人の出会いは終わり、彼女らの物語が始まる。

 

 

 自己紹介を終えると、ユーノはなのはに『ジュエルシード』の説明を始めた。

 

「さっきの闘いの中でも行ったけど……。ジュエルシードは僕らの世界の古代遺産で、本来あれは『願いを叶える石』何だけど……ジュエルシードは些細なきっかけでも暴走したり、ほかの生き物を巻き込んで暴走――より正確に言うなら『願いを言ってくれる』あるいは『願いを持ってる』自分を使ってくれる人《使用者》を探し求めることもあるんだ……」

「放っておくと、大変なことになっちゃうんだね……でも、何でそんなものが家のご近所に?」

 

 なのはが口にした疑問。

 異世界から来た、というものに今日はよく出会う日だったが、なぜそんなことになっているのかはまだわからない。

 だからこそ、彼女はユーノにそう質問したのだが――。

 

「…………僕の所為なんだ……」

 

 ユーノは少し下を向き、まるで誰かに謝るようにしてこの騒動の始まりについて語り出す。

 彼のいた世界……宇宙のどこかの星とか、そういうのではなくて本当に〝別の世界〟。

 この世界はいくつもの次元の重なりからできていて、ユーノたちの世界でこの世界の科学のように発達した技術が『魔法』。

 その力を凝縮し、ユーノたちの世界の古代文明が作り出したとされる危険な遺産。それが〝ロストロギア〟と呼ばれるもので、この世界に散らばってしまったのはその一つで名称は『ジュエルシード』。

 

 それを発見・発掘したのがユーノだった。

 

 彼の一族であるスクライア一族は、遺跡の発見・発掘を生業とする移動系の部族民。

 ユーノも幼いながらも彼の類まれなる才覚故に、発掘作業の責任者をしていた。

 そこで、彼はこの『ジュエルシード』を発見した。

 見つけたそれらを発掘した後、彼らの世界を文字通り管理している『管理局』と呼ばれる機関に依頼し、この危険な古代遺産の保護を依頼したのだが……。

 

 彼の手配した次元船が『ジュエルシード』の運搬中に何らかの事故にあってしまう。

 

 その事故は人為的なものか、自然的なものなのかについてはいまだにはっきりとはしていないけれど、原因よりも重大なのは……その次元船によって運ばれていた『ジュエルシード』。

 発掘された二十一個、その全てがこの世界――ユーノたちでいうところの《第97管理外世界》、つまりなのはたちの住んでいる《地球》を含む、この次元世界にこの二十一個が散らばってしまったのだった……。

 

 それを聞きつけ、ユーノは自らの責任を果たすべくこの世界にやって来た。

 しかし、ユーノは相性が悪い……という程でもないのだろうが、彼はこの星において万全の状態で魔導師としての力を発揮しきれなかった。

 そのせいで、ジュエルシード集めは思ったようにいかず、回収できたのはなのはとコスモスの手助けがあって回収できた三つと自信がどうにか回収した一個を含めた四つだけ……と、ここまで話してユーノはいったん話を切った。

 夜も受けてきたし、なのはは魔法を初めて使ったばかりなのだから休息が必要だと判断したためだ。

 

「でも、お話し続き、どうしようか? 私、明日も学校で……」

「あぁ、それは大丈夫。離れていても話はできるよ」

 

 ふぇ? とポカンとしたなのはにユーノが彼らの世界での魔導士たちの使う『念話』で話しかける。

 

 《……なのははもう、魔法使いなんだよ?》

 

 ユーノの声が、なのはの頭の中――いや、心に直接響いてくる。

 

 《あ、これ……私を呼んでた時の……》

 《そう、レイジングハートを身に着けたままで……心で僕に向かってしゃべってみて?》

 

 なのははデバイスモードのレイジングハートを持ったままで、ユーノに向けて念じる様に反しかけてみる。

 

 《ええと、こう……?》

 《うん、そう。簡単でしょ?》

「ほ、ホントだ……」

 

 すごく便利だ、となのはは素直にそう思った……。

 どうやら『魔法』には、戦ったり空を飛んだりする以外にも様々なバリエーションがあるようだ。

 

「開いている時間に色々話すよ……僕の事とか、魔法の事。そして、ジュエルシードのこととかも……」

「……うん」

 

 ジュエルシード、という単語を言うときにまた少し沈んでしまったユーノだったが、なのははまた優しく微笑んで返事をした……。

 穏やかに、彼がただ罪悪感に潰されないようにという思いを込めて。

 

 

 

 こうして、もう一つの出会いを果たした方の魔法少女の今日が終わっていき……また翌日から、新しい世界とつながっていくだろう物語が加速していくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

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