魔法と光の使者   作:形右

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 かなり久しぶりの投稿です。

 では、番外編のような感じになっていた主人公の成長物語のラストです。ぜひその「答え」を――「勇気」の証明を見届けてあげてください。


 それでは、どうぞ!


強さ優しさ、重ねて 『――ECRIPSE――』

「はぁ……はぁ……っ!」

 霧の佇む森の中を走る少年の姿があった。

 少年は、自らのけじめをつけるために……走る。

 そのために今、この霧の先にいる――元へと、走る。

 思いを届けるために、彼はもう一度立ち上がった。彼の示す思い、友から教わった……『勇気』。それを今、友に……コスモスに、届ける!

 

 そして、霧の一角が晴れ渡り……その中に横たわる巨大な影を、見つけた。

 自分を、みんなを、守ってくれた人。そして、自分が傷つけてしまた人。いろんな思いを、伝えたかった人。

 

「――コスモス……!」

 

 ウルトラマンコスモスが、そこにいた。

 

 

 

 × × ×

 

 

 

「コスモス……!」

 ――ユウ……。

 初めて出会った頃のように、弱っていたが……確かにコスモスはそこにいた、いてくれた……。

 ――君が無事でよかった……。あの時、分離していなかったら君を危険にさらしてしまうところだった……。

 違う、そんなことはないと由宇はいった。あの時は自分が悪いのだということなど、痛いほどに痛感していたのだから。

「コスモス……僕は、貴方に――」

 ――いいのだ、ユウ……。ここに君が無事に来てくれただけで……私は救われた……。

「コスモス……」

 この時、二人の間に会った……途切れたかと思われた絆は、再び強く、強く繋がった……。だが、それを黙って待っていてくれるほど……〝奴ら〟は甘くない――。

 

 

 

 × × ×

 

 

 

 ユーノの弁により、由宇はコスモスの元へと向かったことは既に『アースラスタッフ』に向かったことは皆に知らされていた。そのことを聞いた一同は、ホッとすると同時にちょっとばかり不安だった。

 とりわけフェイトはそわそわとして、由宇のもとに行きたそうな顔をしていた。それを見ていたなのはは、離れた場所にいる大好きな人の下に行きたいというその気持ちが痛いほど分かるものの……待機していなければならない現状を理解しているので、なんとも言えないジレンマを感じながら……何というべきか、はたまた言わざるべきかの回答について迷っていた。

 しかし、彼女がその回答を出す前に、けたたましく鳴り響いた警告アラームと共に、

 ――《WARNING》

 という表示が出され、何者かによる襲撃を一同に告げる。

「エイミィ、どっちだ?」

 ヴォルケンリッターか、あるいはカオスヘッダーたちか……どちらか?

「ちょっち待って、この反応は――どうやら後者だねぇこりゃ……。しかも不味いよクロノ君、この観測地点は――ユーノくんが見つけた、コスモスの信号を捕らえた地点と完全一致だよ……」

「!? 止めを刺そうってことなのか……?」

「俺が先に出る! クロノはなのはたちを現地に急行させてユウを保護させてくれ、……あいつはまだ戦える状態じゃねぇ……そのための指示は任せたぜ、司令官殿?」

「……ああ、任せろ。アスカは先行――なのは、フェイト、聞いていた通りだ。現地に急行し、ユウの保護を……エイミィ、二人の転送用意を頼む。アルフも転送のサポートを頼む。少しでも転移速度を上げたい。その展開が完了次第、即現地へ飛んでくれ!」

「「「了解!」」」

 クロノの的確な指示を受け、一同が動き出す。

 一同は動き出し、現地へと飛ぶ。

「無事に、帰ってくるんだぞ……」

 クロノの切な呟きは、傷の多すぎたカオスとの戦いに対する感情が込められていた。

 

 

 

 × × × 『行間』

 

 

 

 青白い球体と、虹色の輝きを宿す光の粒子が、そこへ(決着の地)と……向かっていた。

 その二者は、互いをよく知っているわけでただ、自分たちの目的のために〝邪魔な存在〟を倒すために協力のような体制をとっているだけに過ぎない。

 しかし、彼らの本質の部分は、非常に近い。

 全てを〝統一〟しようとする思想が、彼らの根底にはある。

 だから、彼らは今……この奇妙な協力の下、〝邪魔者〟を消すことに、全力を注ぐのだ。

 

 

 

 × × ×

 

 

 

 森の中で、コスモスと再び同化しようとしていた由宇だったが、コスモスは弱っており、すぐにはどうかできない。そこでコスモスに光を当てることを断行したが、いかんせんここは薄霧がっており太陽の恩恵は望めない。そこへおまけに、この場所へと襲撃者が迫りつつあることをコスモスから告げられる。

 直ぐにこの場から離れろと告げるコスモスだが、このままではコスモスに止めを刺しに来たカオスヘッダーたちにやすやすとコスモスを襲わせることになる。それは駄目だ。避けなくてはならない事柄の筆頭である。

 しかし、すぐに同化しようにも……今のコスモスの状態ではそれも難しい。もっと光があれば、話は別かもしれないが……今ここは森に居座っている薄くはった霧のせいで太陽光も届かない。かといって、今手元にあるのはユーノから渡された端末と今コスモスに光を当て続けているユーノに一応念のためと言われてユーノが持たせてくれた、発掘の時に使うらしい光を発する魔法をインプットしてくれたという発光デバイスくらいで……これでだけはさすがに足りない。

 初めて会った時のように、そこらへんに鏡になりそうなものや望遠鏡でもあるなら少しは頼もしいものの、今はそれもない。その上、時間もないと来ている。

 ――――完全に、八方ふさがり。

 何か、この状況に対する打開策はないか? と考えを巡らせては見るが、あまり良い案は浮かびそうにない……。

(一体どうする。……いったい、どうしたらいいんだ?)

 ――ユウ、逃げてくれ。このままでは……。

「で、でも……! それじゃコスモスが……!!」

 こんな時にすら、何もできない。ユーノに勇気をもらっても、フェイトに『優しさ』を……『後悔』を乗り越える心の強さを思い出させてもらってなお、今自分には何もできない。

 この霧を払うことも、この光を強めることもできない……まさに無力だ。

 コスモスに光を当てながら、手にある蒼い輝石を眺める。コスモスと自分をつなぐ、絆の象徴。だが、これを今……絆として使うことは今の自分にはできない。足りてない。何もかもが……光が、足りないのだ。

 何もできないことは分かってる。でも……それでも、……それでも、これまでにみんなに貰った『心の強さ』を……『優しさ』を……『勇気』を!! その証明を、……したい!!

『逃げる』という選択肢を選ぶことが、〝誰か〟の為になるのは分かってる。でも、今この時だけは、どこまでも傲慢でしかないそれを果たすために、ここに立つことを……選びたいのだと、彼の心が叫んでいる。

 しかし、その決意を曇らせるべく……襲撃者は宇宙(てん)よりその姿を現す。

 霧を払いのけ、由宇の前に……姿を現す。自らの宿敵に、……これまでさんざん自分たちを阻んでくれた憎き邪魔者(コスモス)に、とどめを刺すために……!

「もう、来たのか……っ!?」

 ――ユウ……! 逃げてくれ、このままでは……――

 そのとき、もう一つの光が……宇宙から降り立ち、コスモスの言葉を、由宇の言葉を掻っ攫っていく。

『……テメェらに、俺のダチに指一本触れさせやしねぇ……。来な、カオスヘッダーにスフィア。俺が相手だ』

『マタ、キサマカ……ッ!?』

 苦々しくそう吐くカオスヘッダーの視線の先にいるのは、もう一人の光の巨人。大胆不敵な無鉄砲野郎――ウルトラマンダイナだ。

『ユウ、お前とお前の相棒には……俺が指一本触れさせやしねぇ……!』

 そう宣言するアスカ――ダイナに、カオスヘッダーは苛立ったかのような声を吐き捨て、怒りと憎しみを体現するような姿……禍々しい悪魔の姿、「カオスヘッダー・メビュート」へと変わる。

 ダイナもそれに対して構えを取り、真正面から対峙する。

 

 ここに、今再び――決戦が始まる。

 

 

 

 × × ×

 

 

 

 ダイナが――アスカが、守ってくれる。

 しかし、それでも今の由宇には、コスモスを――完全に救うことなど、出来ない……。

(もっと、光があれば……)

 そしてそこへ舞い降りる、優しき閃光と純白の天使。光を纏う魔導師たちが、光の輝きを一度手放してしまった勇者の下に舞い降りる。友として、大切な人も元へと降り立つ。

「ユウ!」

「ユー君!」

「フェイト、なのは」

「ユウ! ここにいたら危険だよ、ここから離れないと……!」

「今、アスカ君が抑えてくれてるから、今のうちにポートまで……!」

 二人は由宇の下へと降りると逃げる様に促そうとするが、

「でも……、コスモスを残していきたくない……!」

 由宇の視線の先には、コスモスがいる。水晶のように透き通った姿になってしまったコスモスの姿を見て、フェイトとなのははなんとなく理解する。確かにこんな状態のコスモスを放置したまま逃げるなんて、彼と共に戦ってきた彼女らとて嫌だし、ましてや由宇ならなおさらなのは当たり前だろう。

 しかし、光を与えるといっても……フェイトにもなのはにも光を発生させるなんて言うのは……確かに、魔法を使う際にすさまじい魔力光を放つが、それを光として照射するなんてことは――。

 と、そこまで考えて二人は顔を見合わせると、それぞれの手にある相棒(デバイス)にこう問う。

 ――「出来る? レイジングハート/バルディッシュ?」、と。

 それに対する答えは……、

 ――【貴女方がそれを望むなら、必ず】

 頼もしい答えが返って来た。

 なら! とデバイスをかざす二人。

「レイジングハート!」

「バルディッシュ!」

【【Shining.】】

 金色と桜色の光がコスモスを照らす。

「凄い……」

「こんなこともできるんだね、レイジングハート」

「(二人とも凄い……)」

 いつも助けられてばかりだ……、自分は。ユーノに、フェイトに、なのはに――そして、コスモスに……、と自分はいつも誰かに与えられてばかりだ。でも、今はそれを嘆くときじゃない。

 皆に与えられた大切なものには、自分自身の心の誠意で示す。

 だが、その時悪いことが二つ、起こった。

 一つ、唐突な日食の発生。何故か? と愚痴っても意味はない。

 ここは別に地球ではない。太陽の恩恵が欲しい時に限って、〝偶々〟地球とは違う周期で、〝偶々〟都合の悪いことが起こった、……ただそれだけでしかない。

 そして二つ目は、コスモスの復活への道が少し遅れそうになったとき、スフィアがダイナに乗っ取りを駆ける。『ゼルガノイド』の例にもあるように、奴らは、ウルトラマンにすら憑りつくことができる。ましてや、協力者がいる状況であれば……こちらの方が、ただ単純に倒すよりも簡単なのは明白である。

「デュォォァァァッ!?」

『フハハハッ!!』

「アスカ……!!」

 いつもこれだ、と由宇は悔しさに歯噛みをしつつ、自分の不甲斐無さを吐き出した。

「今の僕じゃ……コスモスと一緒に戦うことも、……光を与えることもできない! 僕は、僕は――無力だ……」

 せっかくみんなが助けてくれたのに、これでは何にもならないではないか……!

「苦しむダイナを助けることも、何も……何も……できない! 誰かに何かを与えることも、出来ない!」

 でも、もし……もしも何かができるとすれば、……誰かに与えられるのなら、何かを示すことができるのならば――それは、それは……ッ!!

「もしも、今! 僕に何かができるなら、それは……自分の意志を示すことだけ……。そして、何かを……コスモス、貴方に与えることができるなら……! それは――貴方に貰った『優しさ』と『強さ』……。そして、皆からもらった……教えてもらった……」

 

 ――――『勇気』!!

 

 その時、また再び……奇跡は起きる。強き意志の下に、集うのは……未来へと進もうとする力。誰かを助けたいというやさしさと強さが重なりあって貫かれる勇気が紡ぐ、希望の力。

 すると、それに呼応するように、日食の黄金の太陽のリングから発せられる黄金の輝きが降り注ぐ。

 その黄金の輝きが、由宇の手に収まる蒼き輝石に宿る……!

「これは……?」

 ――ユウ……。その輝きを、私に……。

「うん」

 フェイトとなのはに顔を向けると、彼女らは由宇に向かって微笑みながら頷く。「行って来て」というように。由宇もそれに微笑みを返しながら頷く。

 そして、輝石を空へと翳し、叫ぶ。

 

 これまで何度も、何度も……叫んできた、友の名を。今、再び。

 

「コスモ――スッ!!!!」

 

 黄金の輝きを纏った由宇と、コスモスが、今……再び一つになる。

 

 

『優しさ』と『強さ』は、決して違うものなんかじゃない。それは二つで一つ、『強さ』という太陽に『優しさ』という月を重ねて今、黄金の輝きを……未来を創るための、繋げるための、貫き通すための意志となる『勇気』を今、この手に……。

 

 

 ――すべての命の持つ可能性……『希望』を、もう一度……この手に!!

 

 

 

 × × ×

 

 

 

 憑りつくスフィア、苦しむダイナ、嘲るように笑うメビュート。

 

 ――そこへ、一筋の黄金の光が降り注ぐ。

 

『……キタノカ』

『カオスヘッダー、今度こそ、……決着の時だ』

 これまでを乗り越えた、コスモスが……それを教えてくれた友を救うべく、メビュートと真っ向から対峙する。

『シュアッチ!』

 灼熱の太陽を、この身に。

『ホウ、ソノスガタニハ……ナレルヨウニ、ナッタノカ』

『まだだ。皆が教えてくれた、「本当の勇気」を、今お前たちに見せてやる!!』

 両腕を握ったまま掲げる。すると、黄金の輝きがコスモスのカラータイマーから発生する。それを、解き放ち……その身へと刻む。

 黄金の輝きは、赤き太陽と青い月を重ね……黄金の日食の力を刻んだコスモス。

 

 ――【ウルトラマンコスモス・エクリプスモード】

 

 金環日食の太陽のリングの放つ黄金の光の如き、『勇気の戦士』の誕生である。

『ホォアッ!!』

『マタシテモ、アラタナスガタ、カ……!』

『みんなに教えてもらった勇気の姿、皆との絆の姿だ!!』

 新たな姿のコスモスと、『イブリース』からさらに己を強化したメビュートとの対峙。

 

 ――ここに、これまでにない決戦の火ぶたが切って落とされた!!

 

『シュア――チッ!!』

『グォォォアアッ!!』

 大地を揺るがし、真正面から負かっていくメビュートとコスモス。

 両者のすれ違いざまに放つそれぞれの一撃は、コスモスの方が一瞬早くメビュートへと直撃した。

 すると、ズドムッ! という音と供にエクリプスモードの重い一撃がメビュートに放たれ、直撃。メビュートはそのまま吹き飛ばされていく。その様は以前戦ったときの鏡合わせを見ているかのようだった。

『グゥオオオァァァッッ!?』

 そこからは……前回とはまさに、真逆。

 エクリプスモードは強い。強すぎると言わんばかりである。

 メビュートの攻撃の一撃一撃を受け止め、反対に、さらに強力な一撃を叩き込んでいく。

『ホォアッ!』

 両手を握り拳のまま左斜め上にあげ、そのまま時計回りに回転させ……黄金の三日月の刃を空中に描く。そしてそれを自分に引き付けるようにして、回転させながらその三日月の刃をメビュートに向けて打ち放つ。

 それを受けたメビュートは尋常でない苦しみの様子を見せる。

 あまりの威力に、メビュートは悪あがきに……彼らなりの苦肉の策に出る。

「!?」

 スフィアに憑りつかれたダイナを、()()()()のだ……。

 クックックッと、たかをくくってコスモスを嘲笑するメビュート。それはそうだ、これは、コスモスが――由宇が、リドリアスの命を奪ってしまった状況と酷似している。

 あの時は、カオスヘッダーそのものがリドリアスに憑りついていた。それを無理やり切り離し、光線技で止めを刺した……。そして今回は、……二つの敵がダイナを押さえつけ、そして自分たちの盾にしている。

 

 これでは、攻撃できないと……誰もがそう思った。

 しかし、コスモスが……由宇が口にした言葉は、それとはまったく異なるものだった。

 

『アスカ……僕を、……信じてくれるかい…………?』

 

 

 

 × × ×

 

 

 

 地球に待機しているクロノとエイミィ、『無限書庫』で資料の検索を行っているユーノにも、由宇の復活の映像は届いており……彼の復活に、そしてエクリプスモードの強さに感嘆の声を上げる。

 だが、しかし……。

 メビュートがダイナを盾に取ったとき、彼らが浮かべていた高揚した笑みは曇り……歪む。

「ダイナを盾にする気か……!」

「……これじゃあまるで、フェイトちゃんが言っていた〝あの時〟を繰り返しているみたいだね…………」

『……大丈夫。今のユウは、これくらいじゃあ折れない、……絶対に』

「……ユーノ、その言葉の根拠は何だ?」

『そうだね、根拠なんてないんだけど……。もし挙げるんだとするなら――〝勘〟……ってやつかな?』

「勘……か。君にしては珍しく根拠0な回答だな……」

『まぁ、信頼……って言い換えてもいいんだけどね?』

「信頼……か」

「男の子同士の、友情ってやつかな?」

『かも、しれません……。でも、きっと――』

 ――これくらいじゃ終わりませんよ、由宇は。ユーノは落ち着いてそう答えた。

 

 その時……由宇の声が、響く。

 

『アスカ……僕を、……信じてくれるかい…………?』

 

 示した勇気は、信頼の証。

 

 

 

 × × ×

 

 

 

 両腕を、胸の前でクロスさせ……そのまま下へ広げる様にして黄金の輝きを右腕に集め、右腕を折り曲げて顔の横あたりに上げ……さらに左腕を右腕の肘のあたりに水平に当てる。腕を上げるのに合わせ、右足を上げる。

 右腕に収束する黄金の輝きが、より一層の輝きを放つ!

 今、彼に一切の躊躇はない。だがそれは、相手を打ち倒すための非情さが成す技ではない。それは、

 ――ユウ、今の君に必要なのは……信頼と勇気。ためらうことのない、一切の迷いなき一撃だけが……友を救える。

(信頼と、勇気……戸惑いを抱かない、強い意志……)

 ――そして、君の信頼が、相手にも届いたとき、この光線は本当の意味で完成する。

 そう、迷わない心が……その勇気が、救う為の力になるのだ。

『アスカ……僕を、信じて……!』

 アスカにそう語り掛ける由宇。その由宇の語り掛けを、思いをアスカは全力で受け止める。

『……たりめぇだろ、元から……疑ったりなんて…………しやしねぇさ――今この瞬間からの俺の命全部……、お前に預ける!!』

 全てを受け止めることを表明するアスカに、由宇は……その自分自身の全力全開でその信頼に対する答えを示す。

 

 ――――黄金の輝きの奔流が今、…………解き放たれる。

 

 メビュートはそのコスモスの行動に驚いた。というより、〝仲間ごと撃つ〟なんて行為を予想など、想定など、していなかった。

 そして、黄金の光が、避ける間もなくカオスヘッダーを、スフィアを、そして――ダイナを、撃ちぬいた。

 

 だが……、

『グォォォアアアアアアッッッ!!!???』

 叫び声尾を上げたのは〝メビュート〟だけであり……、ダイナの体の表面にへばりついていたスフィアを吹き飛ばした黄金の光線は、ダイナを貫き……そのままメビュートに直撃し、先程の光の刃とは比べものにならないほどの威力を持った光線を、メビュートに叩きこむ。

 

 ――――だが、彼の放った光線は……ダイナには()()()()()()()()()()()()()

 

 その光線は、メビュートだけを爆散させ……倒した。

 あの光線は……カオスヘッダー・メビュートとスフィアを同時に粉砕し、ダイナにダメージを負わせることなく、ことを成し遂げた。

『あの光線は、悪しきものだけを倒すのか……。味方には、一切のダメージを与えずに……』

『きっと、あの光線の中で、由宇の持ってる「優しさ」と「強さ」が、一つになっているんだよ……』

『……「勇気」の光線、かぁ……』

「凄く、優しい光だね……」

「うん、本当にそうだ……」

 皆は、光線を放ったコスモスを見て、脅威を退けることができたことを……彼が乗り越えられたことを、改めて時間したのだった……。

 光線を放った由宇は、カオスヘッダーたちがいなくなったことを確認すると、急いでアスカの下に歩み寄り……アスカにこういった。

『有難う、信頼……してくれて』

『今更だろ、そんな事……。何時だって、俺はダチを信頼してるんだからよ』

 そして彼らは変身を解き、元の姿に戻る。

 元の姿に戻った彼の手には、コスモスとの絆の形が、再び収められていた。

 それをみて、由宇は微笑み……アスカに肩を貸して、二人の少女たちの下へ向かって行った。

 

 

 

 覚悟を以て、悲しみを受け止めたとき……人は前へ進み、もっと強く、もっと優しくなれるのだから……。

 

 

 

 こうして、悲しみを伴う『勇気』を知るまでの闘いは、幕を閉じ……再び、魔導の物語へと運命の矛先を変えていくのだった。

 

 

 

 

次回、『蝕み、迫りくる時 ――タイムリミット――』

 

 

 

 




 いかがだったでしょうか? ついにエクリプスモードに至ることができた由宇ですが、次回から、また再び悲しき魔導書の事件へと時の流れは踊り、その先にある天使の墜落や聖なる王の血を引く幼子の物語へとだんだんと流れていきます。


 このシリーズも、決して途中で投げ出すことだけはしません。

 必ず、一つ一つの結末まで走りぬいて、再び物語を紡いで行って見せますので、応援していただければ幸いです。


 後は、ご感想等有りましたら、どうかお気軽にどうぞ。


 それではまた次回お会いしましょう。
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