A's編のクライマックスを頑張って書いていきますので、楽しんでいただければいいなと思います。
今回ところどころ、少しですがまたオリ展開入ってます。後、今回はpixivの方みたいにタイトルを試しにこっちでもつけてみました。
まぁ、それはともかく本編へどうぞ!
『闇』がこれまでに成してきたその定めを打ち破るべく、少年少女が立ち向かう。しかし、その戦いは……まだ、始まったばかりである……。
[決戦の幕開け Stand_by_Ready?]
まどろみの時は終わり、滅亡への時がついに動き出した。
眠り続けてきた『闇』の解放。それぞれの「想い」が交錯し、それ故に……起こってしまったこの事態。
最早、そこには「善」も「悪」も存在してないどいない。
そこにあるのは、ただひたすらに繋げられてきた――〝これまで〟……。
気の遠くなるほどの〝
――想いが……願いが、人々を「希望」へと導く。
どんなに暗く深い……
人の心から、
大切な人たちを「守る」ために……大切な人たちを「救う」為に。
今再び、『本当の闘い』が始まっていく。
自分たちの「想い」を伝えたいから……。
誰もが笑っていられるような、そんな「幸せ」を……守りたいから。
だから、彼ら彼女らは空を舞う。
星光が駆け、閃光が舞い……獣たちが主を支え、騎士たちが王の下に集い、救いの方を伝えし叡智の使者が『闇』を拘束し、柵を断つべく氷結の槍と共にやって来た漆黒の使者は『闇』を絶対零度の棺の内に閉じ込める。
そして、夜空と、雷光と、星々の輝きが……『闇』を蹴散らす――――。
――さあ、舞台は……整った。
全ての決着を賭けた戦いが今、始まる……。
* * * [それぞれの想いの形 Salvage_or_Abandon.]
復活を果たした『闇の書』。これまで、幾多の世界に破滅をもたらしてきたそれは、この世界にも……その牙を剥いた。
気ままな風のように渡り歩いてきた、自由な魔導書に掛けられた……呪い。
それは、自由を奪い……。騎士たちを、管理者を、そして主たちを苦しめ続け……今尚、今代の主の命を糧として、叶わなくなってしまったその「願い」を叶えんと動き出した。
広域攻撃を受けたなのは、フェイト、ユーノ、アルフ、由宇、アスカの六人はその攻撃を放った女性から距離をとった。
その
これまでも、守護騎士たちと共に現れた事は何度もあった。実際の所、なのはやフェイト、アルフ。そして、ユーノとクロノもあの魔導書に魔力を【蒐集】された。だが今回は、魔導書〝自体〟を使って、……それも、ページの魔力を「解放」するのではなく、完全に使いこなした上での――「使役」攻撃を行っている。
これまでに、無かったパターンの戦法だが……だからと言って、何も対策がないわけという訳ではない。
アレに対抗する方法は、既に〝幾つも〟見つけられている。
――――例えば《凍結封印》。
主を『生かしたままに』封印を行う事……これが現状では〝最も効率が良い〟とされた方法である。
事実、これを行えば……『個』の消失で『大勢』を救う事ができる。【良い結果】――ではあるし、〝これまで〟を考えれば……きっとそれは『理想』であるともいえる。
――――ただ、〝これまで〟の自分たちと同じ様な《大切な人の消失》が、今一度〝だけ〟起こる……と言う〝だけ〟のこと…………。
そう、確かに〝ここ〟に置いて……〝これまで〟の『全ての柵』が幕を閉じる。
だからこそ、これが行われようとした。だが、止められた。その『個』を、守りたいと願うからこそ……。どこまでも正しくありたい……自分の心に正直になって、そうして選び取ったその決意を秘めた者に、止められたのだが――。
――果たして、これを「悪」だと言って良いのだろうか?
完全なる『正義』では無い、それだけは恐らく確かである。ただ、それでも……大勢の『正義』となり得るものである事もまた、確かである。
ただ、最初に言った通り……この戦いに、もはや善悪なんてものは〝そもそも無い〟のだ。
そこにあるのは……皆の心の内に残っているのは、「何かを救いたい」という願いだけ。
誰しもが望む平和への架け橋を作りたくて、いつも通りの日常を取り戻したくて、目の前で苦しんでいる人を見捨てたくなくて……誰しもが戦っている。
最高のハッピーエンドという奴は、そう簡単にはやっては来ない。
しかし、誰しもが
それがたとえ、どれだけ残酷な選択をしようとしていたのだとしても……。
たとえ、泥の中を這いずり回り続けることになったとしても……。
たとえ、苦悩と苦汁の海に溺れ続けている様な時であっても……。
たとえ、辛辣な「現実」というやつを目の当たりにしても……。
たとえ、後ろで支える事以外できないとしても……。
たとえ、見守る事以外に選択肢が無いとしても……。
たとえ、どれだけ分かり合えないのだとしても……。
それでも、前へと進むことをやめない者たちが……。決して『希望』を失うことのない子供たちが。この悲しき
少年少女たちの、年暮れの夜に迫る、決着への一手が今……打ち放たれた。
* * * [決戦開始 Ready_fight!!]
いったん距離をとった若き魔導師一同。
すぐさま対策を練りにかかる。あの中に囚われている、自分たちの
そのためには、何が何でもあの女性騎士の情報が必要だ。やみくもに、それこそ我武者羅に戦っても、何も……誰も、救うことは出来ないのだ……ということは、ここにいる誰もが知っていることであるから。
そのために、この救出に尽力する者の中で、一番の博識であり、尚且つこれまでずっと目の前の本丸についての情報を集めていた叡智の寝床より帰還した少年に一同の注意は集まる。
「ユーノ、僕たちはどうすればいいのかな……? どうやったらいいのか、何をしたらいいのかを、それを教えて……!」
由宇が、ユーノにそう指示を仰ぐと……アスカも続いてユーノに質問する。
「あの人は、いったい誰なんだ?」
由宇とアスカ、二人のその問いかけに対し、ユーノはすぐさま答える。
「うん、あの女の人は、『闇の書』の管理者人格。なのはたちの世界でいうと、AIって言ったら分かりやすいかな。あの人は魔導書の管理者であると同時に、本来は主と魔導書をつなぎ合わせるための融合機――『ユニゾンデバイス』と呼ばれる〝意志を持ったデバイス〟でもあるんだ」
「それって、レイジングハートやバルディッシュみたいな……?」
なのはがユーノにそう聞いた。
「うん、インテリジェントデバイスである、レイジングハート、バルディッシュと同じ……〝意志を持った〟デバイスであるんだけど……これまでの確認された例や、『闇の書』――『夜天の魔導書』としての資料をあたって見た感じだと……彼女は本当に人に近い存在。守護騎士たちと同じようにね」
つまり……今の『闇の書』は、ある意味ではやてたち家族の命をその一心に詰め込んだ、「棺桶」の様な状態になってしまっているということだ。
「つまり、壊したりしてしまったら……」
フェイトが不安そうにユーノに尋ねる。
「……うん。魔導書の暴走で強化された《再生機能》と《旅をする機能》――つまり、《無限再生機構》と《転生機能》によって、はやてたちを取り込んで、どこかの世界へと消えてしまう……」
ユーノは、目を落とし、辛そうに告げる。
「ユーノ、取り込まれたはやてたちを開放する方法はないの……?」
「……無いことはないんだ」
由宇の問いかけに、ユーノはそう答える。
だが、
「前に一度、調べていることの経過報告の時に行ったけど……あの魔導書を止めるには、さっき説明したリーゼさんたちが行おうとしていた凍結魔法による封印か、あるいは魔導書の主の、『管理者権限』が必要なんだ。でも――」
――現状ではそれは難しい……、とユーノは『闇の書の管理者』を見据えながらそう言った。
曰く、管理者権限の使用には主の明確な意思が必要なのであるらしい。
しかし、今のはやての現状では……彼女の人格はあの魔導書の内に沈み込み、眠りについてしまっている。
――これでは、『管理者権限』は使えない。
つまり、「主自ら外に出る」という選択肢を選ぶことができない。第一、主が目を覚ましている状態でないと《防衛プログラム》から、はやてたちを切り離せない。
しかし、このままおめおめと引き下がる気など……ここにいる皆の心に有るはずもない。
だとすれば、どうする?
「……訴え掛けてみるか」
アスカが、皆にそういった。
「訴え掛ける……?」
「あぁ、俺たちの気持ちを……真っ向からな」
それを聞いた瞬間、それぞれの瞳に……強く、熱い、『意志の炎』が灯った。
「まずは、ぶつかってみなくちゃ……分からないこともある、だね」
「……うん!」
「やろう、皆。はやてに……僕らの気持ちを、届けよう!」
「「「うんっ!!」」」
想いを届けるための、猛烈なアタックが開始された。
だが、
――――何を、願われますか?
『…………ゆ、めや…………。こんなん……悪い、「夢」や…………』
――――承知いたしました、我が主。ですから……今は、しばし「幸せな微睡みの中」にて、お待ちください……。
届けたいと願う心とは裏腹に、少女の心は……
* * * [行間 一 主の心、苦しみ故の逃避は「願い」]
……もう嫌や。こんな思いは……。
「不自由」でも良かったはずなんよ……。
「肩身」なんか、狭くったってええ……。
「そういう目」で見られたってかまへん……。
ただ、私は…………「家族」と、
みんな一緒に、すごしていけるのであるならば……それで――ええんよ。
それが今の、私の中にある……あったはずの……たった一つの、「願い」や……。
* * * [友の叫び、救いたい願い Crying_to_your_heart.]
暗闇が、夜空を汚していく……。まっさらな主の心を闇に染めていく。
誰も望まなかったはずの、「
「主よ……貴女の望みを叶えます。愛おしき守護者たちを、傷つけた者たちを今――破壊します……」
そして広がる、混沌とした色彩の結界。
言葉は、まだ届かない……。
だから、ぶつかり合うしかない……。
「スレイプニール、羽ばたいて……」
【Sleipnir.】
黒翼を広げ、『
そんな彼女に、この場に立つ子供たちは……届かないと分かっていても尚、言葉を紡ぐ。
「あの……、『闇の書』さん……!」
「……お前も、私をその名で呼ぶのだな」
それを聞き、誰もが出かかっていた言葉を飲み込んでしまう。
そう、今の姿が『その名』通りであっても……彼女には、彼女らには、本来の名前が有る。
それなのに、何気なくその名で呼んでしまえるという自分たちの今の認識を、少年少女たちは恥じた。
名前を呼ぶことが、大抵のことの始まりであるのに……。それを、間違えること……それは、相手のことを正しく認識していない――知ろうとしていないのと同じように〝間違った〟『その名』で呼ばれた相手は……悲しさを感じられるだろう。
しかし、その
「我が騎士たちは……お前たちを打ち破り、『ナハト』の呪いを解き……主を救うと誓った。そして我が主は……自らの愛する守護騎士たちを傷つけられた、傷つけるようなこの世界を、傷つけた者たちがいるような〝こんな世界〟が、『悪い夢であれば』と願った。――お前たちに、咎が無いことは、分からなくもない。だが……それでも、お前たちさえ大人しくしてくれていたら…………きっと主と守護騎士たちは、心静かな聖夜を過ごせていた筈なのだ……。最後の……聖夜を――」
「――ふざけんな!」
アスカが、叫ぶ。
「まだ、何にも……終わって何かねぇだろうが! いや、終わってようが何だろうが――俺が終わらせねぇッ!!」
「……始まったときが、終わりの時。それが『闇の書』の主に課せられた、定め――「ンな事知るかよ!!」……」
「分からないっていうんなら、何度だって言ってやる! 俺は、そんなさび付いたくだらねぇ定めから、助けたいんだって言ってんだよ!! 勿論、アンタもまとめてだ!」
「……、」
「
そう言いながら、リーフラッシャーを取り出したアスカ。しかし、彼がそれを天に掲げようとしたとき、
「……ならば、闇の中で――本当にそれに抗えるかどうかを、試してみると良い」
「!?」
それと同時に、アスカの体の周辺に不自然な闇色の光が現れ、アスカを包み込んだまま……その体を『闇の書』の〝中〟へと取り込んだ…………。
「アスカァァ――ッ!?」
そして、アスカを取り込んだ後……『闇の書』のページを閉じた彼女は、ゆっくりと残りの子供たちへと視線を向ける。
「……私は所詮『
――我らに仇なす者たちを……倒す、と! そう言い放ちながら、再び魔力弾を放つ。
それを躱す一同。
――どうやっても、今このままでは……分かり合うことなど、出来ないのだろうか?
そんな事を考えていたことが、顔に出ていた由宇を見たフェイトが、彼と共に空を飛びながら……こういった。
「……ぶつかろう」
「……えっ?」
「今のままで、分かり合えないのなら……何度でもぶつかっていこう。由宇やなのはがそうだったように、全力全開で……真っ向から!」
「……うん!」
そうだ、何を迷っていたのだろうか、と由宇は思った。そうだ、いつだってやって来たことじゃないか。
分かり合う為の闘い、これは何度も乗り越えてきた。
この街で、次元の中で、こことは別の世界で、何度も何度もわたって来た。
そして今この瞬間でも、目の前にいるのは……自分たちの友達で、過酷な定めを背負わされた少女だ。それに対して自分は何を迷っているのか。アスカは、あんなにもの真っ直ぐ挑んでいったというのに。
「……お前たちも、闇の中で……永久の眠りを」
「……そう上手く行くかな」
「……何を」
「アスカは、真っ向から向かっていった。きっと、そこにある悲しみと……必ず戦ってる。はやてを救う為に」
「救えはしない、これまでが……〝そう〟だったのだから……」
「救えるさ」
自身満々に、由宇は即答する。
「ここには、皆がいるから――必ず、救って見せるさ! 僕たちの、絆の力で!!」
「……、――ッ!? ぅぅっ……!!」
その言葉を、子供たちの真っ直ぐな視線を見ていた彼女は、突然左腕を抑える。最初にゴーゴンの髪よろしく、蛇のようにうごめいていた「それ」は一種の武器のように形を変え、彼女の左腕に収まっていたのに……再び、うごめき出した。
「……沈まれ。『ナハト』……ッ!」
そういうと、どうにかその動きを抑える……いや、見ようによっては、まるで子供を諫めているかのような、そんな雰囲気がある。
「……もはや、猶予は無い」
より一層視線を鋭くした彼女は……目下の敵を「殲滅」させることにのみ、意識を向けることとした様だ。
その様子に同調するように、なのは、フェイト、ユーノ、アルフ、由宇もまた…戦闘モードにシフトする。
「……穿て、〝ブラッディ・ダガー〟」
血のような色の魔力光を放ついくつもの光の短剣が、放たれた。
だが、
「はぁッ!!」
ユーノの翡翠の魔力光を放つ防御魔法「スフィア・プロテクション」が、皆の元に展開される。
そして、
「レイジングハート、お願いっ!」
「バルディッシュ!」
【All right. My master.】
【Yes, sir.】
「アクセルシューター、シュート!」
「クレッセント・セイバーッ!」
桜色の誘導弾が、金に輝く鎌から放たれた魔力刃の双方が、彼女に迫る。
しかし――。
「……盾」
混沌とした『闇』色の盾が彼女をアクセルシューターから守り、左手につけた小型の矢を放つような弓のついた小手……とでも言うべきそれが闇色の光を放ち、クレッセント・セイバーをはじき返す。
だが、なのはたちも、それで引き下がるわけでは――ない。
「コンビネーション2――バスターシフト!」
「ロック!」
彼女の腕を桜色と金色の拘束魔法が固める。
【Divine buster Extension.】
【Plasma smasher.】
「「シュ――トォォォッ!!」」
桜色と、金色のまばゆい輝きが闇に迫る。ありったけの想いを込めて、伝えるためにぶつかっていく……。
――だが。
「……、」
今度は、彼女が放っていた混沌とした「紫」の魔力光ではなく、その盾の放つ光はシャマルやユーノ、リンディらと同じような鮮やかな「翠」。
「あれは……!」
「ユーノの……ッ!?」
「我が騎士たちが、身命を賭して集めた魔法だ……」
攻撃魔法を放ったなのはとフェイトがそのわずかな驚愕の刹那に、翡翠の輝きを放つ球形の「スフィア・プロテクション」を纏った〝砲撃を突き抜けるようにして〟彼女が――――〝突撃してきた〟。
【Protection smash.】
二人の攻撃魔法を文字通り、潜り抜ける様にして突撃してきた彼女。その突進攻撃を、動揺していたフェイトは躱しきれなかった。
「うぁぁぁああああっっ!?」
「「「フェイト(ちゃん)!!」」」
しかし、彼女の追撃は止まない。更に翠と橙の魔法陣を作り出し、鎖を放つ。
「これって……まさか!?」
「アルフと、ユーノの……〝チェーン・バインド〟?」
「? ……ッ! 違う、これは〝チェーン・バインド〟じゃない!!」
「じゃあ、これは……? ――ッ!」
「これは……僕が【蒐集】された魔法……!?」
「ユーノの? これってなんなんだ、ユーノ?」
「これは――」
ユーノがこの魔法のことを告げようとした瞬間、魔法陣の数が一気に増え……翠と橙の鎖が縦横無尽に駆け巡る。
「咎人を捕らえよ、戒めの鎖……。枷となり、封鎖の檻の元へ咎人を繋げ。〝アレスター・チェーン〟」
ガギィンッ! という音共に、一同が鎖で捕らえられる。ただの〝チェーン・バインド〟とは異なる、とんでもない魔力の練りこまれたその鎖は、まさに「動く牢獄」……。
檻に繋がれてしまったも同然の一同へ、管制融合機の女性は次なる一撃を用意する。それは、この場にいた者であれば、誰もが見たことのある魔法。星々の光を集めて放つ、まさに〝必殺〟の一撃。さらに言えば……くしくもその魔法は、この鎖の魔法の本来の使い手の繋いだ『絆』が生み出したといっても過言ではない魔法でもあった。
「咎人達に、滅びの光を。星よ、集え……全てを打ち抜く光となれ……。貫け、閃光……! 〝スターライト・ブレイカー〟」
彼女の手から放たれた桜色の光の奔流に、飲み込まれそうになる一同。
だが――。
「〝トランス・ポーター〟!」
その刹那にユーノの高速構築した転送魔法で、砲撃の放たれた位置から高速で移動する。
「あ、危なかったぁ……」
「有難うユーノくん……」
「有難う、ユーノ……」
「助かったよ……」
それにしても、
「勘弁してほしいよ……。コスモプラックを手に持ってないときに、ユーノの拘束魔法となのはの砲撃の組み合わせとか……」
ホント、思い出すだけでも恐怖で身震いする。そういった由宇に、なのはは困ったように笑みを浮かべつつも、自分の隣にいるユーノに苦笑しながらこういった。
「そ、そんなに怖がらなくても……。ね、ねぇ、ユーノくん?」
と、そう……言ったのだが…………。
「うぇっ!? え、……ええと……ええとぉ…………」アタフタ、……スッ
何も言えないユーノは、頭に玉汗を浮かべつつ……そっと視線をそらした。
「ユーノくん!?」
ガーン! と、まさかのユーノの裏切りに合い、なのははそんな擬音が似合いそうなほどにショックを受ける。で、でもでもと、フェイトの方にも視線を向ける――だが、
「ね、ねぇ、フェイトちゃん……?」
「ふぇっ!? え、ええと、えっとぉ……その、あの…………」
言葉を探さねばならに程にテンパっている彼女を見て、なのはは二度目の裏切りに対して、今度こそ言葉を失う。
「……いいもん、いいもん。悪魔だって、魔王だっていいもん……」
「あ、あの、その……えっとね、なのは……」
「ナノハ……さっきのはね、そのえっと……」
ユーノとフェイトは本気で落ち込んでるなのはに、何かかける言葉を探すが……そんな都合のいい言葉は、この場の誰も持ち合わせてなどいなかった――。
「(――えとえと、ユーノ、後でなのはと一緒にデートしてあげて!)」
「(へっ? で、デートぉ!? そんなことじゃ、僕はともかく、なのははそんなに喜ばないと思うけど……?)」
「(もぉっ! ユーノの鈍感! 無自覚! 淫獣! ヘタレ! そんなだから、STS最終回でいい雰囲気だったのに、百合展開に負けるんだよ! もっと獣にならなきゃ、なのはは落とせないよ!)」
「(ふぇ、フェイト……いったい何の話……?)」
そう、何でも有りません。ぶっちゃけただの電波です。電気系の能力者(魔導師だけど)だから拾っちゃったんですよ、きっと。
さてそんなギャグをかましたところで、なのはもどうにか……それこそまさにしぶしぶ機嫌を治し、銀髪の管制融合機の女性へと向き直る。するとそこへ、エイミィより入電。クロノからの現場への支持が告げられる。
『皆、クロノ君からの支持を伝えるよ。闇の書の主に……はやてちゃんに、投降を呼びかける様にって……!!』
それを聞いた一同は、改めて、言葉を向ける。
「闇の……いや、『夜天の魔導書』さん。どうか、止まってください。僕らは、はやてを……貴女たちを、助けたいんです!」
「武装を、解除してください……!」
「……。主の命はもう、持たない。それに――」
彼女は告げる。自らがなんであるのか、を。自分でそう自分自身を称する。
「――私は、所詮『道具』だ。この力は、〝始まったときが、終わりの時〟……。先ほども言った通り、もはや……猶予はない。ならばせめて、全てが終わる前に……主の願いを、叶えたい」
決して揺るがない、と彼女はそう言っている。
諦めた、ゆえに滅びを受け入れようと……。そしてまた再び、それは繰り返されるだけであると、彼女は……そう言っているのだ。
自分自身をある一定の「枠組み」で固めてしまう。
作り出した狭い領域にすべてを押し込もうとする。
それは、この定めへの逃避であり……全てに対する滞りの表れでもある。
そう、それは――まるで、以前の自分を見ている様であり……。
でも、だからこそ!!
「だからこそ、……助けたいんだ! 貴女たちの事を!」
「……無駄だ、我は魔導書……。主の敵を、粉砕する……」
それでも、彼女は止まらない。
「このっ……! 駄々っ子!」
フェイトが、自身の二つ名の如き閃光の様な速度で、目の前に佇む彼女の元へと迫るが……、彼女は、再びシールドを両手に展開するにとどまった。しかし、今回は、誰からか【蒐集】した魔法ではない、彼女自身の……『闇の書』の闇色の魔力光のシールドだった。
フェイトの攻撃に対してこちらの方が有効ととったのか否かについての真偽は定かではないが、ともかくフェイトの振り下ろした一撃は、真っ直ぐに彼女のシールドへと叩き込まれたのだったが……。
「お前も……闇に沈め――己の抱える、心の闇の中へ」
「何を――ッ!?」
フェイトが叩き込んだ一撃、だがそれを受け止めた理由は防御が目的ではなかったらしい。
フェイトは兄化が自分を覆っていくのを肌で感じた。何かに〝取り込まれていくというその感覚は、半年ほど前にも味わったことのある、「
「我が主も、あの少年も、あの少女も……覚める事の無い眠りの内に、終わりなき『夢』を見る。生と死の狭間の夢。それは――永遠だ……」
容赦なく取り込まれたフェイトに対し、彼女は悲しげにそう告げる。
でも、それでも……、
「永遠なんて……、無いよ!」
なのはは、彼女のそういった。
瞳に涙をためながら、真っ直ぐに彼女を見据えながら、そう言い放った。
「……コスモス、危険なんてもうどうでもいい。僕は……僕は……っ!」
――行こう、夢の中へと。
「有難う、また……わがままに付き合ってもらっちゃったね」
そして、少年は、
「……無駄な事を。闇の家で、静かに眠れ……」
「――眠らせない」
ユーノが、そういった。
「ユウが言っていたように、まだ……何一つ終わったりなんてしてない」
「そうだよ、はやてちゃんも、ヴィータちゃんたちも、アスカ君も、フェイトちゃんも、ユー君も――まだ、生きてる!」
なのはが叫ぶ。
「こんなところで、……終わりゃあしないんだよっ!」
アルフも、銀髪の女性へ向かってそう怒鳴る。
そう……まだ、誰も、死んでなどいない。
――――まだ終わってなど、いない!
与えられた「都合のいい幸福」など、所詮は甘ったるい幻想でしかない。
突きつけられた絶望もまた、自分の心の弱さに対する言い訳でしかない。
自らの手で未来をつかみ取るために、本当のこれからを始めるために、誰かと絆を紡ぐために戦ってきた彼ら彼女らには、もはやそんなものは……何の価値もない路傍の石以下の物でしかない。
勝ち取るのだ、未来を。
その未来が、どんなものであるのかなど、どうだっていい。なぜなら、その人の未来の行く末など……誰にも分かりはしないのだから。
それは何故か?
未来は、決して与えられるものではなく……自分自身の手で、作り上げていくものだからだ。各々が、自分自身の手で積み重ねていく物語だからなのだ。
――それを、知っている子供たちがいる。
彼ら彼女らの生末は、彼ら彼女らが書き綴っていくページの上にある、その日その日の一段落であり、あるいは一文であり、一単語でも、一文字でもある。
そうやって、今この瞬間を、全力で突き進んでこそ、そこに……命ある物語は、生まれるのだから…………。
――しかし、それを妨げようとする者……何かしらの障害もまた、必ず存在するのだ。憎しみを帯びた光の筋が、……復讐者を宿敵の元へと誘う道を示し、宿敵が……再び少年の元へと迫りくる。
それは、時に壁としてあるいは谷となって人々の前に立ちふさがってくる。
乗り越えるか、迂回するか、……あるいは立ち止まって停滞するか、それらは個人の自由だ。
だが、それでも……そんな中でも、譲れないものがある時、人はどうするか?
ある者は逃げ、ある者は悩み、ある者は回避を図り、そしてある者は立ち向かうことを選んだ。
今、言えることは一つ。
その瞬間に……どれだけ傲慢であろうが、何が何でも自分にとってこうあるべきだということを貫ける者こそ、先へと進める。
その形は、何も一つきりでなくていい。
右隣の誰かと異なっていても構わない。
ただ、それが自分だと言えるようになったとき、初めて人は……前へと歩みを進めることができるのだから……。
――己の心の内での戦いが、今……再び始まる。
* * * [夢、微睡み side_Fate. Version_First_Your_dream.]
此処は、何処だろう?
辺りは暗くて、目の前もよく見えない。試しに照らしてみようとするが、手に持っていたはずのバルディッシュは無くなっていた。……一体どういう事なのだろうか?
さっぱり分からない。
とはいえ、其処に立ち尽くしているだけでは何も変わらない。意を決し、彼女はこの暗闇の中を歩き出した。
そしてしばらく歩くと、彼女はこの空間に何もないのだという事を知った。
どこまでも続いて行く暗闇。一寸先は光さえ見えないような、そんな光景。真っ暗で、寂しい世界。
――――ここには、何もない。
しかし、彼女がここから出る方法を知らない。そもそも、此処がどんな場所であるかさえも知らないのだ。
あの時……『闇の書』に取り込まれた時。彼女は、確かこう言っていた。――『お前の中にある、闇の内に沈め』、と……。
つまりここは――
辺りには、何もない。
だから、この場におけるヒントは何も……〝無い〟……。
探そうにも、その手掛かりすらないのだ。物事の原則において、無から有を生じさせることは不可能であるように……ただそこに
しかし、その時。少女の目の前に、ある光景が広がっていく。
暗闇の中で……かすかな光が揺れ、少女の記憶の中にある――〝知っている〟光景が暗闇の中に形作られていく。
「あれは……?」
少女のつぶやきは、暗がりの中に広がった光の内へと消えていく……。
* * * [夢、微睡み side U. Version_First_come_to_CALAMITY.]
僕が降り立ったのは、暗い……とても暗い――――闇の中。
ここは、恐らく……『夜天の魔導書』を『闇の書』へと変えてしまった、『闇』の部分。あの銀髪の女性が「微睡み」と称した……『〝幸せな〟夢の中』。ここにはきっと、吸い込まれてしまったフェイトもいるはずだ。
――探そう。
そうして動き出した彼の元へと歩みを進めようとした、少年の元へ――見た事がない、いや……よく見知っているはずの『ウルトラマン』の姿が、そこにあった。
「コス、モス……?」
だが、そこに立つ者は……コスモスであってコスモスでは無い。以前に一度、『イブリース』の手に入れた情報を元に作り出した姿。そう……それが、今度は【エクリプスモード】までも手に入れてやって来た――――四度目の、〝復讐〟を成そうとする……『復讐者』の姿であった。
――【カオスウルトラマン・カラミティ】
「そうか……この世界は、『闇の書』の〝闇〟を利用して作り出したんだな? そしてこの世界に僕らをも引きずり込み、その際にコスモスと僕を再び分析して……エクリプスの力を――」
――ソノ通リ、ダ。我々ハ、コレマデニ……イヤ、正確ニ言ウナラバ……コノ数ヶ月、我々ノ〝生きて〟キタ、全テノ時間カラスレバ…………余リニモ、短イ。シカシ、ソノ中デ我々ハ幾ツモノ『感情』、『心』知ッタ。ダカラコソ――――コスモス、ユウ……我々ハ、オマエタチヲ、必ズ消スッッ!!!!
四度目の激闘……光と闇、「
「ホォアッ!」
「グォアッ!」
ぶつかり合う、混沌と秩序の『光』。
今は決して分かり合えないでいる二つの者たちが、激しくぶつかり合う。
その戦いの中に、どことなく……〝分かってもらえなかった〟先ほどまでに光景が重なって見える……。
そしてまた、一つの疑念が生じる。
――――本当に、彼らとは分かり合えないのだろうか? と。
先程までの自分たちはこういったではないか――分かってもらえないなら、分かってもらえるまで何度でも言う、と。なのに、今はこうして『敵』同士として……ぶつかり合っている。
相手が、人の理を越えた者であることは……分かっている、つもりだ。
だが、それでも……どこかで、滞りを感じているのは何故どうしてか?
きっと、とんでもなく〝甘い〟と言われそうな考えを……叶うはずのない〝理想〟を、その胸の内に抱いているからなのだろう。
――――きっと、分かり合えるはずだ……という、希望を。
もし、こんな時であっても……『敵』だとか、『悪』だとか、そういったことを全て超えた先に、そんな未来があるのだとしたら――。
「――カオスヘッダー……。こんな戦い、もうやめよう……」
――笑ワセルナ! 何方カガ、消エルマデ……戦イハ終ワラナイ!!
そう言って、再びぶつかり合う両者。互いの拳を、止められない……。
「僕らがこんなに憎しみ合うみたいに、戦う理由ってなんなのさ……! 元々、僕らがこんなにぶつかり合う理由なんて、もうないんじゃないか?」
――我々ハ、戦ウ……。ソレシカ、無イノダ!! ソレニ……我々ハ前ニ言ッタハズダ。
――――オ前ガ『憎い』、ト……ッ!!
その言葉に、何と答えればいいのかも――分からなくなってしまった。
確かに、これまで……幾度となくぶつかり合った。互いに、傷を負いながら……戦ってきた。そして今も、それを続けている……。
それなのに、いきなり和解しようなどというのは、いささか都合がよすぎるだろう……。
でも、それでも、……本当に――
――もう本当に、……互いに止まることは出来ないのだろうか……?
悲しき戦いは、未だに続いていく……。
――――だが、「憎しみ」もまた、……『心』の一つだということを、《人の心》とは……そういうものだけではないということを……彼らは、はたして気づいているのだろうか……?
* * * [戦いの果てに、そして……。 ――和解と覚醒――]
次回、『夜空晴れる時、夢の終わり ――リインフォース――』
いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけたのでしたら幸いです。次回以降も頑張って書いていきますので、よろしくお願いします。
あと今回は、前書きにも書いた通りに小タイトルをこっちにも実験的につけてみましたがどうでしたでしょうか? 少しでもこの小説の足しになっていたのであればいいなぁと思っております。
では次回以降もお楽しみにしていていただければ幸いです。次回からはいよいよ、本当の戦いが始まってまいりますので頑張って書いていこうと思います。
もしご感想等がありましたら、ご遠慮なくどうぞ。
それではまた次回にお会いしましょう……。