「天凪総麻、今日は良いデュエルをしよう」
「いや、いいデュエルも何も……こうしてアンタと対峙してる時点で、オレは“最低最悪”の気分なんだけどな」
「……すまない……」
やたらと総麻へのブーイングが多い中、デュエルリングの中央でカイザーと呼ばれているデュエルアカデミアの最強のデュエリスト『丸藤 亮』と対峙する総麻は、自分の挑発と正直な気持ちも兼ねた嫌味に対してこうして素直に謝られると逆に対応に困ってしまう。
「さっ、『サイバー教』の皇帝さん、さっさと終わらせようか……。こんな茶番」
「『サイバー流』だ。ああ、始めよう。デュエッ……」
改めて挑発をしつつデュエル開始を宣言する前に即座にデッキに手を置いてサレンダー。当然静まり返る周囲。それを一切気にせずに、
「はいはい、オレの負け、オレの負け。お疲れ様ー」
「ま、待て!!!」
「なんだよ、皇帝さん。そっちの勝ちなんだから良いだろ、この茶番」
心底面倒そうに手を振りながら立ち去ろうとする総麻を呼び止める亮。思わず頭を抱えたくなる。
(全く……どうしてこうなった?)
何故彼がカイザーと戦ってるかと言うと、事は数日前まで遡る。
数日前……
その日の放課後、一度赤のデッキと紫のデッキを崩して『対ダーククリムゾン』の研究用のデッキを作って対策中であった為に、いつもは六つのデッキを持っているはずがその日だけは合計で五つのデッキしか持って居なかった。しかも、研究用のデッキはカードが不足しているために実戦用はその中の白、緑、青、黄の四つだけだ。
廃寮では何とか新たに加わった龍星皇メテオヴルムで勝てたものの、あの時のダーククリムゾンの口振りからすれば、絶対にまた総麻の前に現れるだろう。
新たに入手したチューナーモンスターであるレイニードルはシンクロモンスターこそ持っていないが効果も扱い易いので戦力として数えられるが、シンクロモンスターであるスコル・スピアについては未だにカードテキストが白紙の為に今の所戦力として数える事はできない。なので、手持ちのカードの中で対策を練るしかない。練るしかないのだが……
《力》を用いて封印した上に机の奥に仕舞いこんだカードを使え、と言う誘惑にも駆られるが……かつての持ち主の憎悪によって狂った精霊の宿ったあのカードを使うのは流石に危険過ぎる。
実際、狂気の根底こそ違うが同じく狂った精霊の宿った魔龍帝ジークフリードは己が原因とは言え、十二分に危険だと理解した。
なお、メインで扱っている赤デッキは調整中の為に使えなかったが、授業の実技では先日の制裁デュエルのダイナソー竜崎戦で本当の意味で初のお披露目となった緑のデッキによる速攻で決着を着けた為に大した問題ではなかった。
授業が終った後は寮に帰って対ダーククリムゾン用の新しい赤デッキの構築と、紫デッキの再構築、他のデッキの改良でもしようと思っていた時に
「あっ、総麻」
「フェイト?」
偶然校門の前でフェイトに出会った。そこで暫くフェイトと話していると何処からか殺気を感じる。目の前のフェイトは気付いている様子も無いことから、器用にも総麻にだけ殺気をぶつけているのだろう。
(ダーククリムゾンの関係か!? 他のデッキで戦えるか!?)
赤のデッキが調整中と言う拙い時に来られたと警戒しつつ、青のデッキの納められたデッキフォルダに触れる。
デッキから召喚条件を無視して強力な魔龍帝ジークフリードを特殊召喚する効果を持ったダーククリムゾンの相手には、白よりも青の方が有効かと考えた結果の判断だが、
「おい、そこのオシリスレッド!」
何故か出てきたのは、妙に殺気立った十人程のオベリスクブルーの生徒達だったと言う訳だ。
「なんでお前みたいな落ち零れがテスタロッサさんと仲良く話してるんだよ!?」
「何でって聞かれても……なあ?」
「友達だから、だよね?」
それ以外に何の理由が有るのだろうかと疑問に思う。
「お前……落ち零れのオシリスレッドの分際でテスタロッサさんと友達だと!?」
「そりゃ、高等部からの編入組みは女子以外は嫌でもオシリスレッドかラーイエローだろ?」
思いっきり鼻で笑い飛ばしながら、
「それにしても、このランク分けも妙に的を射てるよな」
「どう言うこと?」
総麻の言葉に聞き返すフェイト。
「ああ、元々アカデミアのランクのネーミングの元になったであろう三幻神の中で、オベリスクだけが効果発動しない限り攻撃力が4000と一定してるんだ」
「そう言えば」
「逆にラーは生贄の攻撃力の合計、オシリスは手札×1000と、数値は安定しない。オシリスは効果は強力だけどその分手札を使えない、数値の変動が激しく手札破壊で0にして戦闘破壊もできる」
「そう言われればそうだよね」
「そう、オシリスの効果を考えると最低限攻撃力2100以上必要だけどな。そして、三幻神の中でラーが最上級の能力と位に位置している」
ゆっくりと自分達を睨んでいるオベリスクブルーの生徒達へと視線を向けて、
「ラーイエローも外部からの成績上位者が居る為に、下手なブルーよりも実力者がぞろぞろと居る訳だ」
そう言った後、相手を挑発するような笑みを浮かべつつ、
「お前……オレ達が弱いって言いたいのか?」
「さあな、条件次第でオシリスもオベリスクより強くなるってのは事実だ。十代が良い例だ」
「そこまで言うなら、オレ達エリートの実力を見せてやる!」
「いやいや、二度くらい勝ってるし」
そう言った後心の中で『万丈目の取り巻き相手だけど』と付け加えておく。
「さてと、それで誰が相手をしてくれるんだ? ああ、全員相手なら纏めて頼むぜ、こっちも暇じゃないんでな」
「舐めやがって……だったら、望み通り全員で相手をしてやろう!」
「……そこで、『ふざけるな、オレが相手だ』と言う台詞が無い時点で、落ち零れ扱いしている相手に『私達は一人じゃ勝てません』と言ってる様なものなの、解ってるか?」
「うるせぇ! なんでお前ばっかり!」
「テスタロッサさんだけじゃなくて、高町さんや八神さんとも仲良いんだよ!?」
「……なんでも良いから早く始めてくれ……」
ようするにこいつ等は彼女達と仲が良い自分に嫉妬しているだけだと。十代もそれなりに親しいが、どちらかと言えば総麻の方が仲は良いだろう。
付け加えると、月一テストではブルーの一年の中でトップクラスの実力の万丈目に公衆の面前で勝った十代よりもブルーに勝ったとは言え、相手が万丈目の取り巻きの一人だけで有る為に、まだ勝てる可能性があると思わせているのもあるのだろう。
少なくとも、挑発に乗って十人で戦うのは十人で戦えば何処かでミスが出るという思惑も有ったのだろう。
「そう言うわけで、少し下がっててくれ」
「う、うん。でも、一人で十人も一度に相手にするなんて無茶だよ」
「いや、大丈夫。それでどうするんだ?」
「オベリスクブルーを舐めた事、後悔させてやる! デュエル!」
『デュエル!!!』
「……結局十人で、か」
互いのデュエルディスクが起動し、同時に各々のデュエリストのライフが表示される。
「行くぞ、オレのターン! 『ゴブリンエリート部隊』を攻撃表示で召喚して、カードを一枚伏せてターンエンドだ!」
「行くぞ、オレのターン……」
どうも完全にプライド捨てているのか、それとも挑発が効いたのか、格下と見下しているオシリスレッドの総麻相手に十人と言う大人数での変則デュエル。
最初のターンは互いに攻撃できないものの、相手のターンが終わって総麻にターンが廻ってくるまで矢張り結構な時間が掛かる。
そして、最後の一人のフィールドにモンスターが召喚されカードがセットされるとやっと総麻のターンとなる。
「ドロー」
ドローしたカードに視線を向ける。良いカードは引けたが手札のカード一枚で大半の相手は片付く上に生き残ったとしても致命傷に出来る。相手へと与えるのは、ある意味では屈辱的な敗北。その為に今回は態々引き続き“青”のデッキを選んだのだから。
「オレはカードを三枚伏せて、『ハンマーゴレム』を召喚!」
総麻のフィールドに召喚されるのは一本足の簡易型の機械人形(ゴレーム)。
ハンマーゴレム ☆4 攻撃力1200/800
レベル4のモンスターとしてはかなり低い攻撃力。破壊耐性も無く、三枚の伏せカードが有るとは言え攻撃表示で曝すのは大人数相手にして攻撃を防ぐ為には、絶対的にステータスが足りていない。相手からは嘲笑う声が聞こえてくるが、総麻はそれを無視してデュエルを進める。
「ハンマーゴレムの効果発動! このカードが召喚された時、フィールド上に存在するこのカード以外のカード一枚につき相手のデッキのカードを二枚墓地に送る! オレのカードは三枚……」
「チッ! デッキ破壊か、リスペクトに反するカードを使いやがって。でも、この人数だ、デッキ破壊されるよりも、お前のライフがゼロになる方が先だ!」
「少なくとも、一人相手に大勢でデュエル挑んでる時点で言う資格無いと思うぞ、その台詞。……お前達“全員”のフィールドのカードは合計して20枚以上」
『なっ!?』
思わず相手達から声が上がる。10人もの人数で同時に戦ったのに、それを逆に利用された形となった。
「墓地に送るカードの枚数は……合計46枚! 47枚以上デッキに投入している奴以外は此処でゲームオーバーだ! 行け、ハンマーゴレム!」
総麻の指示でハンマーゴレムが空高くジャンプし、約23体分裂して相手のデッキに突撃していく。
『う、うわぁぁぁぁぁぁああ!!!』
落下してくるハンマーゴレムに対する相手の絶叫と共に、デュエルディスクにセットされたデッキのカードが次々と飛び散って墓地へと消えていく。
そして、最後のハンマーゴレムが彼のフィールドに戻った瞬間、相手への最後の言葉を告げる。
「さあ、ターン……エンドだ」
総麻の宣言と共にソリットビジョンが一斉に消えていく。全員デッキに投入してあるカードの枚数は46枚以下だったのだろう。
デッキは最低40枚以上だが、その最低枚数でデッキを作るデュェリストが多い。故にこの結果は必然とも言えるが……
ある者は唖然と、ある者は腰が抜けているのか地面に尻餅を付いている中、ある意味恐れの篭った目で総麻を見ている。
「えっと……ちょっと、やり過ぎじゃないかな、総麻」
「……やっといてなんだけど、少し反省してる……」
全員の心境は恐らくフェイトのその言葉で説明できるだろう。流石に相手の人数を逆に利用したデッキ破壊によるワンターンキルは流石に遣り過ぎだろう……。
まあ、この人数を相手に一人一人を正攻法で戦うのは流石に面倒なので、纏めてデッキ破壊で片付けたくなるのも仕方ないと言えば仕方ないが。どうもデッキ破壊やロックに耐性の無いデュエリストが多い気がするのは、間違いなく気のせいでは無いだろう。
「ち、ちくしょー!!!」
総麻とフェイトが会話していると、デッキ破壊で敗北して唖然としていたブルー生徒達が我に返ると、先程の負けの事を思い出したのか泣きながら叫んで逃げ出していく。
「今度は一人で挑んで来いよー」
「あ、あははは……」
トドメを刺す様にそう言って手を振って逃げ出していくブルー生徒達を見送る総麻にフェイトは苦笑を浮べている。
その後はフェイトを女子寮まで送った後、総麻もレッド寮に帰り……食堂で以前のダーククリムゾンに敗北したのが原因なのかデッキを見直している十代にアドバイスしつつ、その日は過ぎて行った……。
その後、何度か……主になのは達三人と話している時にブルーの生徒に絡まれてはデッキ破壊で片付けると言う作業を繰り広げていたのだが……。
「やれ、『英雄巨人タイタス』!」
「砕け、『機動要塞キャッスルゴレム』!」
相手の制服の色に合わせて青デッキによるデッキ破壊で嫉妬で挑んでくる連中を片付けるのが二日ほど続いた後、何日かは何も無かったのだが。
―オシリスレッドの天凪総麻くん、直ぐに校長室まで来てください。繰り返します……―
「呼び出し?」
「なんだろう?」
「さあ。廃寮の一件はもう済んだはずだろうし」
なのは達と話していると突然校長室に呼び出された。特に心当たりが無く頭を捻りながらも校長室に入ると。
「理解しましたか?」
「いや、全ッ然」
長々とリスペクトがどうとか言う話を聞かされたが、興味ないので殆ど聞き流していたりする。
「ですから、君の使っているあのデッキはリスペクトに反しています。直ぐにそのデッキを捨ててください!」
「いや、校長……だから何でだよ?」
「だから、それはリスペクトに反しているからです」
心底答えになって居ないと思う。要するに、デッキ破壊はリスペクトに反するかららしいが……
「あのさ、そう言う事は生徒にじゃなくてペガサス会長にでも言ってくれ」
「ペガサス会長は関係ないでしょう!」
「いや、関係有るだろう。あんたが言ってるのはルールの根底に関係する話なんだから」
そもそもルールの上で使用を認められているカードを使って何が悪いのだ、と言う所だ。強力な効果を持ったカードは同時に莫大なコストも必要とする。リスクをメリットに返られるかは使い方次第だが、少なくとも禁止・制限・隼制限となるのはリスクに対してメリットが大き過ぎる故だろう。
特に禁止などはノーリスクのメリットだけと言えるカードも多い。良い例は遊戯王(デュエルモンスターズ)史上最狂最悪の除去カード『サンダーボルト』だ。
だが、デッキ破壊が一つの戦術として認められている以上、使ったところで一切の問題は無いはずだ。
「何を言うのですか、デュエリスト一人一人の心がけが……」
「デッキ破壊やロック一つ対応できないで、何が未来のデュエルキングだか」
ぶっちゃけ、未来の時間軸に入る運命に選ばれしデュエリスト・『不動 遊星』はロックもデッキ破壊もかなり酷い状況に追い込まれても勝っている。
「少なくとも……本当に実力が有るならロックだろうが、デッキ破壊だろうが、どんな相手にも対応できるだろ?」
これ以上は付き合いきれない、とばかりにそう言って無理矢理に会話を切り捨てる。根本的にデッキ破壊にもロックにも弱点は存在している。そう言って総麻は手を振りながら校長室を後にする。
(……リスペクトデュエルね……。聞こえは良いが、どう考えても大事な所を間違えてるだろ)
少なくとも、総麻の考えの中では禁止・制限のルールを守っている以上は鮫島校長の言う所のリスペクトに反しているとは言えないと思っている。そして、何より向こうの言葉はこう言う事に他ならない。
(……勝ち負けがどうでも良い、ね。確か、無印の頃はダイナソー竜崎はこう言っていたよな『勝つための努力は幾らでもしている』って。この言葉の後に聞くと、あいつ等のリスペクトは勝つ努力を放棄した言い訳にしか聞こえないだろ)
改めて思う。ダーククリムゾンと戦った時の闇のデュエルだけではなく、何かを賭けた『負けられないデュエル』も存在している。リスペクト等と言っている連中は、負けられないデュエルに直面した時、向こうの言う所の『リスペクトに反するカード』を使われて負けたら何と言うのだろうか、と。
(……まあ、オレには関係ないか……)
この時の総麻はそう思っていた。だが、その日にちょっと気になったので『サイバー流』について調べていると、何故かサイバー流のPR用のHPに明日の日程でデュエルのネット中継を行うと言う旨が有った。しかも、
「対戦相手が……オレ?」
異名として『反逆者』等と付けられた総麻の名前が有った。対戦相手は『皇帝』らしいが……。
「……上等だ……」
机に突っ伏すと直ぐに研究用のデッキを一度崩す。そして、青と白のデッキから数枚のカードを抜き取る。
勝手に妙な渾名を付けられた事も頭にきているが、了承も無しに妙な事に巻き込んでくれた事にも心底頭にきている。
「……精々楽しい動画にしてやろうじゃないか……」
黒い笑みを浮かべつつ、『テーマは三壊』と書いた紙を壁に貼り付けて明日の為のデッキを作り始めるのだった。
現在……
即座のサレンダーでこのデュエルを終らせようとしたが、無理だった様だ。互いのLPが表示される。
「先行は君に譲ろう」
「いえいえ、一応は先輩なんだから、後輩として先手は譲らせていただきます。其方からどうぞ……皇帝さん」
「「…………」」
サイバー・ドラゴンの効果はよく分かっているので後攻の方が有利だろう。だからこそ、適当な理由で先行を譲ろうとしたのだが……。
ってか、このデュエルをまともに始めてやる気も無い総麻だったが、これにはそう揉める事も無くコイントスで先行は総麻と決まった。
総麻 LP4000
亮 LP4000
「オレのターン、ドロー!」
ドローしたカードを一瞥、そして、手札から今回のデッキの一手目となるカードを使う。
「手札から『デモポーン』を召喚。ターンエンドだ」
総麻のフィールドに召喚されたのは紫の鎧を着た剣と盾を持ったディフォルメされたガイコツの兵士。不気味さは無く召喚された際の仕草も、尻餅をついて外れたかけた頭を慌てて拾ったりと何処か愛嬌がある。
デモポーン ☆2
攻撃力500/守備力400
『なんだよ、それー!』『真面目にやれー!』『ふざけるなー!!!』
周囲から湧き上がるブーイング。当の総麻は気にした様子も無く、目の前に居る亮を一瞥している。
「オレのターン、ドロー」
亮は目の前にいる総麻を一瞥し、
「君がこのデュエルを快く思わない事は知っていた」
「?」
「だが、始まったデュエルで此処まで手を抜かれるとは思わなかった」
静かだが怒気を含んだ声でそう言われて改めてフィールドを見る。総麻のフィールドに居るのはデモポーン一体だけ。ステータスもレベルも低く、攻撃表示として出すのはミスとしか思えない数値だ。
「ああ、確かにデモポーンは弱いな」
「望みどおりこのデュエル、直ぐに終らせよう。俺は魔法カード『パワー・ボンド』を発動! 手札のサイバー・ドラゴン三体を融合! 現れろ、『サイバー・エンド・ドラゴン』!」
亮のフィールドに現れた白銀の機械竜『サイバー・ドラゴン』三体が混ざり合い三ツ首の機械竜『サイバー・エンド・ドラゴン』が現れる。
周りからは『終った』や『ざまあみろ』や『当然だ』と言ったような声が聞こえるが……
(こいつ等……。ってか、皇帝さん……ディスクの機能くらい使えよ)
サイバー・エンド・ドラゴン ☆10
攻撃力4000→8000/守備力4000
「サイバー・エンド・ドラゴンでデモポーンを攻撃、エターナル・エヴォリューション・バーストォ!!!」
(一応、相手のカードのデータの確認くらい出来るはずだろ?)
三つの首から放たれる光の奔流がデモポーンを飲み込み、巻き起こった爆煙が総麻の姿を隠す。
亮はそれを一瞥し残念そうな表情を浮かべながらも、フィールドを見て疑問を覚える。
(何故、サイバー・エンド・ドラゴンが消えない?)
攻撃が決まりデュエルが終った筈だと言うのに未だにサイバー・エンド・ドラゴンがフィールドに存在し続け居る。それを疑問に思うが、その答えが出るよりも先に、
―ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ―
会場全体に不気味な笑い声が聞こえる。
「残念ながら、始まった以上は気に入らなくても真面目には戦うぜ、皇帝さん」
総麻 LP4000
「デモポーンの効果は破壊された時に発動する。デモポーンは主人思いで寂しがり屋なんだ」
総麻は笑みを浮かべながらそう告げる。
「攻撃表示のデモポーンとの戦闘ではプレイヤーはダメージを受けない。更に破壊された時、デッキから同名のカードを特殊召喚できる」
そして現れる新たなデモポーン。だから攻撃表示で出したのかと納得して次の行動に移ろうとする亮だが、
「デモポーンは寂しいってさ……一人で墓地に行くのは。だから、一緒に来て欲しいっていってるぜ……皇帝さん、アンタの大事な切り札にな」
「何?」
「デモポーンが墓地に送られたターンのバトルフェイズ終了時……」
止む事の無い不気味な笑い声と共に紫の人魂を引き連れた半透明のデモポーンが現れ、サイバー・エンド・ドラゴンに取り付く。
「破壊したモンスターを破壊する! さあ、【呪撃】せよ、デモポーン!」
デモポーンの笑い声が最大限に大きくなるとサイバー・エンド・ドラゴンは爆散する。
「サイバー・エンド・ドラゴン、撃破! 更にこの効果で破壊されたモンスターがエクストラデッキから召喚された場合、三度目のオレのターンの終了時まで同名のカードは特殊召喚できない」
次なるデモポーンを引き連れながら総麻は亮を一瞥し、
「楽しんでけよ、皇帝さん。アンタの為に用意した、三つの破壊をな」