龍の転生者と魔物達の転生記 決闘符禄   作:龍牙

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TURN-13

「ううっ……やっぱり、総麻くんのカードの効果は何時見ても不気味なの」

 

「そうだね、私もちょっと苦手かな」

 

 先程の不気味なデモポーンの笑い声に若干涙目になってるなのはさんと、そんななのはに苦笑しながら同意しているフェイトちゃんだった。

 

「せやな~、あれが無ければ可愛いんやけど」

 

「「え?」」

 

 はやての発言に驚いたように視線を向けるなのはとフェイト。確かにディフォルメされたガイコツの姿には不気味さは無くて仕草に愛嬌が有るが、可愛いかと聞かれたら返答に困ってしまう姿をしているのがデモポーンだ。

 

「どうしたんや、なのはちゃん、フェイトちゃん? デモポーンちゃんって可愛いやん」

 

「「そ、それはちょっと……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、今のは流石に油断しすぎじゃないのか、皇帝さん?」

 

 そんな観客席の会話も露知らず自分のフィールドに存在するケタケタと笑っているデモポーンと一緒にサイバー・エンド・ドラゴンを失った亮へとそう言葉を告げる。

 

「今までの態度はブラフだったのか?」

 

「いや、本気だった。始まった以上は全力で戦うのがオレの主義なんでね。それに、ディスクには公開情報を確認する機能は付いてるぜ。結構便利なのに、何で使わない奴が多いんだか」

 

「っ!」

 

 実際、デュエルディスクには互いの公開情報を確認する機能が付いている(漫画版GX参照、SUNの能力を確認する為に十代が使っていた)。

 一応授業の内容にすら存在しない説明書に書いてあるデュエルディスクの基本的な機能なのだが、意外とその機能は使われていない。

 

「それに、どうもアカデミアの生徒ってステータスで油断する奴が多いから、上手く行くとは思っていたけどな」

 

「どう言う「強いカードの基準=攻撃力って言うDM最初期の悪癖が未だに残っている。そう言い返れば良いか?」なん、だと?」

 

 亮の言葉を遮って総麻の言葉が響く。

 

「実際、デモポーンを前に自滅しなかったのは、フェイトになのは、はやての三人に十代と三沢だけだったな……」

 

 ふと、このデュエルが始まる数日前に紫デッキのテストに付き合って貰った時の事を思い出す。しっかりと効果を確認して効果破壊で突破したり、連続攻撃可能なモンスターを仕方なく犠牲にして突破されたりしたのは記憶にある。

 十代にしてみれば嫌な予感がしたらしい相棒(ハネクリボー)のお蔭で被害を軽減できていた様子だが。

 三沢は未知のカードに興味を持った事で一々総麻の召喚するモンスターのデータを表示しては暗記していた。興味が有るのなら見せても良いのだが、本人曰く『答え(デッキ)を見せて貰う訳にはいかない』そうだ。

 なのは達三人は元々攻撃力が低いエレキモンスターを使うフェイトの例も有り、攻撃力が低くても警戒は怠らなかった。

 

「サイバー・エンドは失ったが、まだこのデュエルに負けたわけじゃない。オレは魔法カード『強欲な壷』を発動。ッ!?」

 

 新たに二枚のカードをドローした時亮の表情が変わる。

 

「……『アーマード・サイバーン』とか『融合』とかでも引いたのか?」

 

「そんな事を答えるとでも思ったのか?」

 

「いや。だけどな……仮にサイバーンなら、それを召喚されてたらオレは負けてたな。序でに融合だったとしたら、サイバー・ツインとサイバー・ドラゴンの単体召喚かキメラテック・オーバーならそれだけで最小限の犠牲でデモポーン達を一掃出来ていた」

 

「オレはモンスターをセット。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「オレのターン、ドロー!」

 

 亮は総麻の指摘に反応を見せずにカードを伏せてターン終了を宣言する。そして、ターンは総麻へと移る。

 

「オレはハンマーゴレムを召喚! 互いのハンマーゴレム以外のカード一枚につき、二枚相手のデッキから破棄。合計二枚で……四枚、破棄だ! 第二の破壊、デッキ破壊を堪能あれ!」

 

 何故か総麻が四枚の壁を正拳で砕く姿が幻視されると、ハンマーゴレムが上空へと飛び上がり亮のデッキへと突撃する。

 

「くっ!」

 

 亮のデッキから『プロト・サイバードラゴン』を含んだ四枚のカードが墓地に落ちる。

 

「手札から魔法カード『二重召喚(デュアル・サモン)』発動。そして、永続魔法『悪夢の拷問部屋』を発動して……。デモポーンとハンマーゴレムを生贄に……」

 

 アメジストと変わったデモポーンと、サファイヤへと変わったハンマーゴレムが一つに重なり合いダイアモンドの宝石が表れる。

 

「白亜の輝きを宿し出撃せよ、『鎧神機ヴァルハランス』、スタンバイ!」

 

 砕けたダイアモンドの痕から出現するのは人型のロボット、白き機神『鎧神機ヴァルハランス』。

 

 

鎧神機ヴァルハランス ☆8

 属性:光

機械族

攻撃力2700/守備力2300

効果

 相手が魔法・罠・モンスター効果を発動させた時、フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを一枚セットしなおす事でその効果を無効にして破壊する。

 バトルフェイズ中、自分フィールド上に攻撃表示で存在するバトルを行っていない『神機』と名の付くカードを墓地に送る事でその攻撃力の半分の数値だけアップする。

 

 

「なっ!? そのモンスターは!?」

 

 デモポーンと同じく今まで見た事の無いモンスターの登場に微かに表情を歪める亮。そんな亮の姿に、

 

「本邦初公開、オレの六つのデッキの切り札の一枚、鎧神機ヴァルハランスだ! 行け、ヴァルハランス! 伏せモンスターを攻撃!」

 

 総麻の号令に従いマントに隠されたブースターを全開にし、加速をつけて拳を振り上げて亮のフィールドの伏せカードへと向かう。

 

「くっ!」

 

 ヴァルハランスの拳が叩き付けられ黄色いボディの機械族モンスター『アーマード・サイバーン』の姿が露になる。

 

 

アーマード・サイバーン ☆4

攻撃力0/守備力2000

 

 

 アーマード・サイバーンの2000の守備力では☆4の中では高いとは言え、ヴァルハランスの2700の攻撃力に抗える筈も無く一撃の元に粉砕される。

 

「さて、カードを一枚伏せて……ターンエンドだ」

 

 

総麻

LP4000

手札1枚

鎧神機ヴァルハランス 攻撃力2700

伏せカード一枚

『悪夢の拷問部屋』(永続魔法)

 

 

 ヴァルハランスが総麻のフィールドに戻ると同時にターンは亮へと移る。

 教師・生徒問わず観客全員が言葉を失っている。ライフこそ互いに1ポイントも減っていないが、帝王(カイザー)と呼ばれたデュエルアカデミア最強のデュエリストが目の前では切り札を失い確実に追い込まれていたのだから。

 

「オレのターン、ドロー。……お前の言う通りのようだ。此処からはオレはもう油断はしない。全力で君を倒す」

 

「その一手目の油断(ミス)は結構痛いと思うけどな。忠告しとくぜ皇帝さん、ヴァルハランスの無限の【装甲】は簡単には突破できない」

 

「(装甲?)ああ、その忠告はありがたく受け取っておこう。だが、手札から魔法カード『天よりの宝札』を発動。互いのプレイヤーは手札が六枚になる様にドロー」

 

「(出たな、原作効果だと即禁止カードだった、最強の手札増強カード)それはどうも」

 

 互い手札が六枚となる。まだ四ターン目では有るが最初のミスはほぼ取り戻せたと言った所だろう。

 

(さて、どう動く? サイバー・エンドと一緒にデッキのサイバー・ドラゴンは全部墓地だ。ハンマーゴレムの効果で一枚プロトも墓地に行っている。デッキの残りのプロト・サイバーを引いたとしたら二枚)

 

 それでも、プロト・サイバーの効果を考えれば正規の融合なら直ぐには出て来れない。それに万が一の為の融合対策のヴァルハランスだ。流石に二度も効果の確認を怠る程愚かでは無いだろう。忠告しなかったとしても大して結果に変わりは無い筈だ。

 

「更に手札から『貪欲な壷』を発動。墓地の三枚のサイバー・ドラゴンとサイバー・エンド・ドラゴン、プロト・サイバードラゴンをデッキに戻して二枚ドロー」

 

 銀色の不細工な壷が墓地の五枚のカードを飲み込み砕けると、二枚のカードをドローする。これで相手の手札は七枚、サイバー・ドラゴンも全てデッキに戻った。

 

(来るか?)

 




まだ続きます。

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